2019/07/24(水) - 12:49
梅雨真っ只中の7月7日(日)、長野県大町・白馬周辺を舞台に開催された「北アルプス山麓グランフォンド」をレポート。時折雨にも降られる天候の中、獲得標高3500mにも及ぶ国内ライドイベント屈指の難関コースを多くの参加者が堪能しました。
数多くのロングライドイベントを抱える長野県の中でも一際高い難易度を誇り、走りごたえのあるコースレイアウトで人気を博す「北アルプス山麓グランフォンド」。年々パワーアップを重ね、9回目を数える今年は過去最高となる165kmコース&獲得標高3500mにもなるルートが引かれた。もちろん、135/90/80kmと体力に合わせたクラス設定がされており、自身のレベルに合ったコースを楽しむことができる。
「この大会を完走したことがちょっとしたステータスになるような、そんな一目置かれる大会を目指しています」とは大会実行委員長の西沢さんの言葉。参加者を苦しめるサディスティックなコース設定とは裏腹にリピーターが数多くいるとのことで、大会側のもてなしや北アルプスの自然を堪能できる内容が高い評価受けているイベントでもある。
一昨年から7月開催としており、今年は本格的な夏に突入する前の7月7日(日)に行われた。真夏の暑さを回避するための日程だったが、当日は梅雨真っ只中の天候でやや涼しいほどの気温に。残念ながら厚い雲に覆われた曇りの天気だったが、それでも700人弱の参加者が元気いっぱいの様子でスタート地点に並んだ。今回もチームでのみエントリーできる最長コースの165kmクラスに沿って大会をレポート。少しでも多くの参加者が時間内に完走できるよう、朝5時という早朝から次々にスタートを切っていく。
会場である鹿島槍スポーツヴィレッジを出発すると、いきなり3kmほどのヒルクライムへ。木々が鬱蒼と生い茂った細い道を突き進むと今大会屈指のビューポイント「小熊山」に到着だ。標高1300mにもなる展望スポットからは仁科三湖の一つ、木崎湖や大町市街が一望できる風景が広がる。トレッキングで訪れたり、パラグライダーを楽しんだりもできるレジャースポットとしても人気の場所である。
しばし足を止め景観を楽しんだ後は、速度に気をつけつつ安全に山を下り木崎湖脇を抜け、いざ白馬方面へと北に進路をとる。春に行われるAACRでは、雪化粧した白馬の山々が美しく見える撮影スポットとして参加者の多くが青木湖でストップするのだが、今回はみな華麗にスルー。軽快なスピードで白馬村へと入っていく。
正面には深い緑を湛えた初夏の雰囲気を漂わす山々が広がっており、季節感のある風景を楽しみつつ、165kmコースで唯一とも言える平坦区間を北上していく。途中、長野冬季五輪を沸かせた「白馬のジャンプ台」や、国内有数のMTBパークとして近年人気急上昇中の「白馬岩岳」などを横目に通りつつ、今大会最初のエイドポイントである栂池高原エイドに到着だ。
時刻はちょうど朝の7時頃、朝食代わりに振る舞われた地元小谷村名産のお蕎麦をいただく。さっぱりしていて朝一からでもスルリと食べられるのは嬉しいところ。ゲストライダーの水越ユカさんも「一瞬でなくなってしまいました!」とよほど美味しかった様子。まだまだ序盤で元気な皆さんは休憩もほどほどに走り出す。
晴れていれば白馬の山々がそびえるように見える松川大橋で止まって軽く記念撮影。今回は雲に覆われていてしまっていたが、川と山の組み合わせが美しく映えるスポットだけに足を止めてみるのも悪くないだろう。その後は白馬の田園地帯を抜け、わずか10kmほど走れば次なる白馬エイドで再度休憩だ。
嶺方峠の入り口となる地点に設けられたこのエイドでは、登りに向けてバナナとブルーベリーで糖分を補給。一休みしてこれから迫る7.5kmもの登りに備えよう。また、希望者に配布して試してもらっていたイヤホン型のコミュニケーションデバイス「BONX(ボンクス)」もブースを出して機器を回収。ご家族やチームの仲間とともに参加していた人たちがライド中の会話を楽しんだようだ。中には「独り言が多くて恥ずかしいので外しちゃいました笑」という方も。
ここまでなんとか降らずに持ってくれた空模様だったが、ついにパラパラと雨粒が落ちてくる。そんな中、一行は白馬から長野市に抜ける国道406号の登りをひた走る。ただ雨足は弱いままでわずかに体を濡らす程度、登りで火照る体をクールダウンさせるにはちょうど良かったのかもしれない。
さて「嶺方峠」と言えば頂上の絶景が多くのサイクリストの間でも有名なビュースポット。長野市側から登ると、最後トンネルになる白沢洞門の向こう側に北アルプスの雄々しい山々が現れる、非常に美しい景色が広がるポイントなのだ。といっても、この日はあいにくの天気。参加者も「何にも見えねーじゃん笑」とツッコミを入れつつ、しばし登り切った余韻に浸るとしよう。
そこから下ったところにある「鬼無里の湯」に設けられた鬼無里給水所では、地元のキュウリと手作りの味噌で水分と塩分を一緒に補給。パリッと弾けるみずみずしいキュウリはまさに新鮮そのもの。実がずっしりと詰まっており食べごたえも満点だ。ちなみに鬼無里(きなさ)には「いろは堂」というおやきの名店もあるため、観光で訪れた際はぜひそちらもチェックしてみて欲しい。
嶺方峠から20kmほど下り基調の道を行き足を回復させた後、今度は165kmクラスのみに設けられた戸隠エイドに向かって再び登りをこなす。歴史の深い戸隠の厳かな雰囲気、タイヤの走行音のみが響く静寂、ひたすらにペダルを回す参加者たち。どことなく張り詰めたような、でも心地よい空気感を味わいつつ名産である蕎麦畑を抜けてやってきたのが「そばの里二番館」。今大会最長コースでのみ味わえるプレミアムエイドだ。
ここで振る舞われるのはもちろん戸隠のお蕎麦。ズッキーニとのり菜の天ぷらも添えてあり、雨の中を厳しい表情で走ってきた参加者も思わずほころぶ美味しさだ。加えて蕎麦団子も揚げたてで用意してくれ、外はカリッと中はもちっとした食感がたまらない。甘じょっぱいタレが付いているが、それ以上に蕎麦の風味が口いっぱいに広がって幸せな気分。お腹も心も満たされ次へと進む活力が湧いてくるというものだ。
ここまででようやく90kmほどを走破。大きな登りを3つこなしたにも関わらず、皆さん意外と余裕のある表情を浮かべており大会を楽しんでいる様子がこちらにも伝わってくる。ただ後半はさらにアップダウンの激しいコースが待ち受ける。まだまだ続く長野の雄大な自然を存分に満喫していくとしよう。
後編に続く。
text&photo:Yuto.Murata
数多くのロングライドイベントを抱える長野県の中でも一際高い難易度を誇り、走りごたえのあるコースレイアウトで人気を博す「北アルプス山麓グランフォンド」。年々パワーアップを重ね、9回目を数える今年は過去最高となる165kmコース&獲得標高3500mにもなるルートが引かれた。もちろん、135/90/80kmと体力に合わせたクラス設定がされており、自身のレベルに合ったコースを楽しむことができる。
「この大会を完走したことがちょっとしたステータスになるような、そんな一目置かれる大会を目指しています」とは大会実行委員長の西沢さんの言葉。参加者を苦しめるサディスティックなコース設定とは裏腹にリピーターが数多くいるとのことで、大会側のもてなしや北アルプスの自然を堪能できる内容が高い評価受けているイベントでもある。
一昨年から7月開催としており、今年は本格的な夏に突入する前の7月7日(日)に行われた。真夏の暑さを回避するための日程だったが、当日は梅雨真っ只中の天候でやや涼しいほどの気温に。残念ながら厚い雲に覆われた曇りの天気だったが、それでも700人弱の参加者が元気いっぱいの様子でスタート地点に並んだ。今回もチームでのみエントリーできる最長コースの165kmクラスに沿って大会をレポート。少しでも多くの参加者が時間内に完走できるよう、朝5時という早朝から次々にスタートを切っていく。
会場である鹿島槍スポーツヴィレッジを出発すると、いきなり3kmほどのヒルクライムへ。木々が鬱蒼と生い茂った細い道を突き進むと今大会屈指のビューポイント「小熊山」に到着だ。標高1300mにもなる展望スポットからは仁科三湖の一つ、木崎湖や大町市街が一望できる風景が広がる。トレッキングで訪れたり、パラグライダーを楽しんだりもできるレジャースポットとしても人気の場所である。
しばし足を止め景観を楽しんだ後は、速度に気をつけつつ安全に山を下り木崎湖脇を抜け、いざ白馬方面へと北に進路をとる。春に行われるAACRでは、雪化粧した白馬の山々が美しく見える撮影スポットとして参加者の多くが青木湖でストップするのだが、今回はみな華麗にスルー。軽快なスピードで白馬村へと入っていく。
正面には深い緑を湛えた初夏の雰囲気を漂わす山々が広がっており、季節感のある風景を楽しみつつ、165kmコースで唯一とも言える平坦区間を北上していく。途中、長野冬季五輪を沸かせた「白馬のジャンプ台」や、国内有数のMTBパークとして近年人気急上昇中の「白馬岩岳」などを横目に通りつつ、今大会最初のエイドポイントである栂池高原エイドに到着だ。
時刻はちょうど朝の7時頃、朝食代わりに振る舞われた地元小谷村名産のお蕎麦をいただく。さっぱりしていて朝一からでもスルリと食べられるのは嬉しいところ。ゲストライダーの水越ユカさんも「一瞬でなくなってしまいました!」とよほど美味しかった様子。まだまだ序盤で元気な皆さんは休憩もほどほどに走り出す。
晴れていれば白馬の山々がそびえるように見える松川大橋で止まって軽く記念撮影。今回は雲に覆われていてしまっていたが、川と山の組み合わせが美しく映えるスポットだけに足を止めてみるのも悪くないだろう。その後は白馬の田園地帯を抜け、わずか10kmほど走れば次なる白馬エイドで再度休憩だ。
嶺方峠の入り口となる地点に設けられたこのエイドでは、登りに向けてバナナとブルーベリーで糖分を補給。一休みしてこれから迫る7.5kmもの登りに備えよう。また、希望者に配布して試してもらっていたイヤホン型のコミュニケーションデバイス「BONX(ボンクス)」もブースを出して機器を回収。ご家族やチームの仲間とともに参加していた人たちがライド中の会話を楽しんだようだ。中には「独り言が多くて恥ずかしいので外しちゃいました笑」という方も。
ここまでなんとか降らずに持ってくれた空模様だったが、ついにパラパラと雨粒が落ちてくる。そんな中、一行は白馬から長野市に抜ける国道406号の登りをひた走る。ただ雨足は弱いままでわずかに体を濡らす程度、登りで火照る体をクールダウンさせるにはちょうど良かったのかもしれない。
さて「嶺方峠」と言えば頂上の絶景が多くのサイクリストの間でも有名なビュースポット。長野市側から登ると、最後トンネルになる白沢洞門の向こう側に北アルプスの雄々しい山々が現れる、非常に美しい景色が広がるポイントなのだ。といっても、この日はあいにくの天気。参加者も「何にも見えねーじゃん笑」とツッコミを入れつつ、しばし登り切った余韻に浸るとしよう。
そこから下ったところにある「鬼無里の湯」に設けられた鬼無里給水所では、地元のキュウリと手作りの味噌で水分と塩分を一緒に補給。パリッと弾けるみずみずしいキュウリはまさに新鮮そのもの。実がずっしりと詰まっており食べごたえも満点だ。ちなみに鬼無里(きなさ)には「いろは堂」というおやきの名店もあるため、観光で訪れた際はぜひそちらもチェックしてみて欲しい。
嶺方峠から20kmほど下り基調の道を行き足を回復させた後、今度は165kmクラスのみに設けられた戸隠エイドに向かって再び登りをこなす。歴史の深い戸隠の厳かな雰囲気、タイヤの走行音のみが響く静寂、ひたすらにペダルを回す参加者たち。どことなく張り詰めたような、でも心地よい空気感を味わいつつ名産である蕎麦畑を抜けてやってきたのが「そばの里二番館」。今大会最長コースでのみ味わえるプレミアムエイドだ。
ここで振る舞われるのはもちろん戸隠のお蕎麦。ズッキーニとのり菜の天ぷらも添えてあり、雨の中を厳しい表情で走ってきた参加者も思わずほころぶ美味しさだ。加えて蕎麦団子も揚げたてで用意してくれ、外はカリッと中はもちっとした食感がたまらない。甘じょっぱいタレが付いているが、それ以上に蕎麦の風味が口いっぱいに広がって幸せな気分。お腹も心も満たされ次へと進む活力が湧いてくるというものだ。
ここまででようやく90kmほどを走破。大きな登りを3つこなしたにも関わらず、皆さん意外と余裕のある表情を浮かべており大会を楽しんでいる様子がこちらにも伝わってくる。ただ後半はさらにアップダウンの激しいコースが待ち受ける。まだまだ続く長野の雄大な自然を存分に満喫していくとしよう。
後編に続く。
text&photo:Yuto.Murata
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