2019/07/31(水) - 12:01
7月7日(日)に開催された「北アルプス山麓グランフォンド」のレポート後編をお届け。戸隠の大望峠・小川天文台・鷹狩山と3つの絶景ポイントを回りつつ、長野の自然とグルメを堪能した165kmクラス後半の模様をお伝えします(前編はこちら)。
緩く小雨が降り続く中、戸隠エイドを出発した一行は鬼女紅葉伝説の舞台として知られる荒倉山の北側を通り鬼無里へと戻っていく。基本的には鬼無里の中心部まで一気に下るだけの道なのだが、その途中で足を止めたいのが”伝説の谷”と看板を掲げた「大望峠」の展望台である。
紅葉と呼ばれた鬼女を退治したことで鬼のいない里、すなわち鬼無里という地名になったという伝説を残す旧鬼無里村が広がる谷の様子がはっきりと見えるのがこの展望台。右手には戸隠連峰が、左手には北アルプスの山々もまとめて一望できる絶景スポットなのだ。といってもこの日は谷が厚い雲で覆われており、真っ白い風景しか見えなかったのが非常に残念。逆に伝説の谷っぽさがあるかな、と無理やり納得しつつ看板の解説を見ながら北アルプスに思いを馳せる。
濡れた路面に注意して8kmもの下りをこなした後は、再度4kmほどの峠を登り長野市から小川村へと入っていく。スタートから100kmを過ぎ、ここまで来るとさすがにチーム内でも脚力差が現れ、登りではバラけて各々のペースで進んでいく。静寂に包まれた山深い峠を、淡々と集中してペダルを回し登っていく参加者の姿は思わず見惚れてしまうほど。キツイ登りを耐えた後は小川アルプスラインエイドで休憩だ。
小川天文台がある「星と緑のロマン館」の駐車場に立てられたテントでは長野らしい”おやき”がいただけた。雨は止んだものの気温はそこまで上がらず、ほんのり温かいおやきが一層美味しく感じられる。皮も厚みがあって食べごたえは十分。次のエイドまでは15kmほど離れているのでしっかり補給をしていくとしよう。
また、この小川エイドも標高1,000m近い場所とあり、晴れていれば北アルプスの眺望が美しい地点なのだが、これまた雲に邪魔されてしまい今回はおあずけとなってしまった。春先であれば雪を頂いた北アルプスが、秋はオレンジに染まった紅葉が楽しめる展望スポットとして知っておいて損はないはず。
そこからは下りながら小川村を南下していき、県道31号に沿って大町市へと向かう。長野五輪開催時に長野会場と白馬会場を繋いだオリンピック道路として整備されたため、道幅は広く走りやすかったことだろう。地味にキツい緩やかな登り基調の道を耐えて、美麻地区のぽかぽかランドエイドに到着だ。
ここでは長野のロングライドイベントではお馴染みとも言える、ネギ味噌おにぎりと漬け物のバイキングが振る舞われた。時刻もちょうどお昼頃、各自好みの漬け物をお皿に取り、ご飯とおかずが揃った昼食と言った感じでいただきます。全クラスの参加者が通過するエイドとあって、今まで以上に多くの人が集まって活気ある雰囲気を醸し出す。雨に打たれ消耗した参加者も、おにぎりを頬張り元気を取り戻してさあ出発だ。
といっても、エイドを出た瞬間に参加者の心を折る壁のような登りが待ち受ける。またしても4km弱のヒルクライムだ。中には自転車を降り歩きで進む参加者の姿も。ゆっくり、でも着実にペダルを回せば登り切った先で美麻給水所へピットイン。
おろし生姜をたんと乗せた冷奴でさっぱりリフレッシュ。さらにはバナナで糖分も補給していこう。登り疲れた多くの参加者が長めの休憩時間を取り、次のエイドまでの10kmに備え回復に努めていた。目指すは今大会屈指のビューポイント「鷹狩山」。絶景を求めいざ山深い登りへと再度突入していく。
県道497号から脇に逸れ、「え、ホントにここコースなの?」と疑いたくなるような細い山道を駆け上がっていく。木々が鬱蒼と生い茂る中を淡々と登っていけば急に視界が開け、緑がどこまでも続いていく山々の風景に思わず感嘆の声を上げてしまうほど。斜度が一段と厳しくなるラスト数百メートルを気合で登り切れば、大町市を一望できる鷹狩山の山頂へ到着だ。
視界いっぱいに北アルプス山脈が飛び込んでくる、まさにパノラマと言うに相応しい美しい眺望が広がっており、登り切った達成感はひとしおだ。ぼーっと立ち尽くしていつまでも眺めていたい、そんな気分にもさせてくれる。
さて、そんな鷹狩山エイドではブルーベリーソースをかけたアイスをいただく。汗をダラダラかくくらい天気が良ければさらに美味しかったかもしれないが、そこはまた来年の楽しみとして取っておこう。ベンチや斜面に腰を掛け、ゆったりと眺めを楽しみながら満足感に浸る。また、豊富な水源を有する大町市は湧き水も有名で、ペットボトルウォーターがモンドセレクションを獲得した実績も持つ。そんな美味しいお水をボトルに詰め、いざ最終エイドへと走り出す。
鷹狩山を下り大町市街を抜けた後は、スタート/ゴール地点である鹿島槍スポーツヴィレッジへ向かって北上していく。途中、仏崎観音寺に向かう参道では野仏が道の脇に立ち並び厳かな雰囲気を醸し出していた。残り15kmを走り切るパワーを仏様からもらいつつ、程なくして大町温泉郷エイドが見えてくる。
雨は完全に止みようやく気温も上がってきたところで、さっぱりとした冷や麦が染みるように美味しく感じられる。体力的にはかなり消耗しているはずの皆さんだが、それでもつるりと食べられてしまうほど。レッドブルでもエナジーチャージをして、翼を授かるイメージで後は飛ぶようにフィニッシュを目指すだけだ。
青々とした田んぼが一面に広がるのどかな里山風景を堪能しつつ、残りの距離を消化していく。ここまで来ると「ゴールはまだか…!」と逸る気持ちもあったかもしれない。最後に待ち受ける2km弱の登り坂に苦しめられながらも、チームで励まし合って進んだ先にはフィニッシュゲートが。165kmで獲得標高3500m、9時間にも及ぶ(もっと速いチームも多数いただろうが)長いライドを走り切った満足げな表情で参加者たちが帰ってくる。
ゴール後はチームで揃って大会パネルの前で記念撮影。なんとその場でプリントアウトして完走証とともにもらえるという粋な計らいも。大会を完走した記念となるものを参加者にプレゼントしたいという思いで、今回初めて行われた試みだ。
完走証を手に達成感溢れる様子の皆さん。どうですか、このキツいコースが病みつきになったアナタはぜひ来年も足を運んでみては。来年は記念すべき10回大会になるとのことで、さらに楽しめるコースレイアウトや企画を考案中とのこと。来春も大会情報を忘れずチェックして、再びここ鹿島槍スポーツヴィレッジに集まろう。
text&photo:Yuto.Murata
緩く小雨が降り続く中、戸隠エイドを出発した一行は鬼女紅葉伝説の舞台として知られる荒倉山の北側を通り鬼無里へと戻っていく。基本的には鬼無里の中心部まで一気に下るだけの道なのだが、その途中で足を止めたいのが”伝説の谷”と看板を掲げた「大望峠」の展望台である。
紅葉と呼ばれた鬼女を退治したことで鬼のいない里、すなわち鬼無里という地名になったという伝説を残す旧鬼無里村が広がる谷の様子がはっきりと見えるのがこの展望台。右手には戸隠連峰が、左手には北アルプスの山々もまとめて一望できる絶景スポットなのだ。といってもこの日は谷が厚い雲で覆われており、真っ白い風景しか見えなかったのが非常に残念。逆に伝説の谷っぽさがあるかな、と無理やり納得しつつ看板の解説を見ながら北アルプスに思いを馳せる。
濡れた路面に注意して8kmもの下りをこなした後は、再度4kmほどの峠を登り長野市から小川村へと入っていく。スタートから100kmを過ぎ、ここまで来るとさすがにチーム内でも脚力差が現れ、登りではバラけて各々のペースで進んでいく。静寂に包まれた山深い峠を、淡々と集中してペダルを回し登っていく参加者の姿は思わず見惚れてしまうほど。キツイ登りを耐えた後は小川アルプスラインエイドで休憩だ。
小川天文台がある「星と緑のロマン館」の駐車場に立てられたテントでは長野らしい”おやき”がいただけた。雨は止んだものの気温はそこまで上がらず、ほんのり温かいおやきが一層美味しく感じられる。皮も厚みがあって食べごたえは十分。次のエイドまでは15kmほど離れているのでしっかり補給をしていくとしよう。
また、この小川エイドも標高1,000m近い場所とあり、晴れていれば北アルプスの眺望が美しい地点なのだが、これまた雲に邪魔されてしまい今回はおあずけとなってしまった。春先であれば雪を頂いた北アルプスが、秋はオレンジに染まった紅葉が楽しめる展望スポットとして知っておいて損はないはず。
そこからは下りながら小川村を南下していき、県道31号に沿って大町市へと向かう。長野五輪開催時に長野会場と白馬会場を繋いだオリンピック道路として整備されたため、道幅は広く走りやすかったことだろう。地味にキツい緩やかな登り基調の道を耐えて、美麻地区のぽかぽかランドエイドに到着だ。
ここでは長野のロングライドイベントではお馴染みとも言える、ネギ味噌おにぎりと漬け物のバイキングが振る舞われた。時刻もちょうどお昼頃、各自好みの漬け物をお皿に取り、ご飯とおかずが揃った昼食と言った感じでいただきます。全クラスの参加者が通過するエイドとあって、今まで以上に多くの人が集まって活気ある雰囲気を醸し出す。雨に打たれ消耗した参加者も、おにぎりを頬張り元気を取り戻してさあ出発だ。
といっても、エイドを出た瞬間に参加者の心を折る壁のような登りが待ち受ける。またしても4km弱のヒルクライムだ。中には自転車を降り歩きで進む参加者の姿も。ゆっくり、でも着実にペダルを回せば登り切った先で美麻給水所へピットイン。
おろし生姜をたんと乗せた冷奴でさっぱりリフレッシュ。さらにはバナナで糖分も補給していこう。登り疲れた多くの参加者が長めの休憩時間を取り、次のエイドまでの10kmに備え回復に努めていた。目指すは今大会屈指のビューポイント「鷹狩山」。絶景を求めいざ山深い登りへと再度突入していく。
県道497号から脇に逸れ、「え、ホントにここコースなの?」と疑いたくなるような細い山道を駆け上がっていく。木々が鬱蒼と生い茂る中を淡々と登っていけば急に視界が開け、緑がどこまでも続いていく山々の風景に思わず感嘆の声を上げてしまうほど。斜度が一段と厳しくなるラスト数百メートルを気合で登り切れば、大町市を一望できる鷹狩山の山頂へ到着だ。
視界いっぱいに北アルプス山脈が飛び込んでくる、まさにパノラマと言うに相応しい美しい眺望が広がっており、登り切った達成感はひとしおだ。ぼーっと立ち尽くしていつまでも眺めていたい、そんな気分にもさせてくれる。
さて、そんな鷹狩山エイドではブルーベリーソースをかけたアイスをいただく。汗をダラダラかくくらい天気が良ければさらに美味しかったかもしれないが、そこはまた来年の楽しみとして取っておこう。ベンチや斜面に腰を掛け、ゆったりと眺めを楽しみながら満足感に浸る。また、豊富な水源を有する大町市は湧き水も有名で、ペットボトルウォーターがモンドセレクションを獲得した実績も持つ。そんな美味しいお水をボトルに詰め、いざ最終エイドへと走り出す。
鷹狩山を下り大町市街を抜けた後は、スタート/ゴール地点である鹿島槍スポーツヴィレッジへ向かって北上していく。途中、仏崎観音寺に向かう参道では野仏が道の脇に立ち並び厳かな雰囲気を醸し出していた。残り15kmを走り切るパワーを仏様からもらいつつ、程なくして大町温泉郷エイドが見えてくる。
雨は完全に止みようやく気温も上がってきたところで、さっぱりとした冷や麦が染みるように美味しく感じられる。体力的にはかなり消耗しているはずの皆さんだが、それでもつるりと食べられてしまうほど。レッドブルでもエナジーチャージをして、翼を授かるイメージで後は飛ぶようにフィニッシュを目指すだけだ。
青々とした田んぼが一面に広がるのどかな里山風景を堪能しつつ、残りの距離を消化していく。ここまで来ると「ゴールはまだか…!」と逸る気持ちもあったかもしれない。最後に待ち受ける2km弱の登り坂に苦しめられながらも、チームで励まし合って進んだ先にはフィニッシュゲートが。165kmで獲得標高3500m、9時間にも及ぶ(もっと速いチームも多数いただろうが)長いライドを走り切った満足げな表情で参加者たちが帰ってくる。
ゴール後はチームで揃って大会パネルの前で記念撮影。なんとその場でプリントアウトして完走証とともにもらえるという粋な計らいも。大会を完走した記念となるものを参加者にプレゼントしたいという思いで、今回初めて行われた試みだ。
完走証を手に達成感溢れる様子の皆さん。どうですか、このキツいコースが病みつきになったアナタはぜひ来年も足を運んでみては。来年は記念すべき10回大会になるとのことで、さらに楽しめるコースレイアウトや企画を考案中とのこと。来春も大会情報を忘れずチェックして、再びここ鹿島槍スポーツヴィレッジに集まろう。
text&photo:Yuto.Murata
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