2019/03/15(金) - 12:21
大分県の国東半島を巡るサイクリングルート「仁王輪道(におうりんどう)」完成を記念した走行会が開催された。国東半島を南下し、杵築市、日出町に入っていく後半をお届けしよう。2度目の昼食タイムでは名物・太刀魚丼も登場だ
少し落ち着いたところでリスタート。国東半島を南下していく。道すがらには半島の沖合にある姫島が眺められるスポットも。今回はあいにくの曇天だったため、薄っすらとしか見えなかったが、それでも日本の漁村の原風景なような気がして、ここで少し景色を眺めながら一服したい欲に駆られる。
奈良浜海岸付近から大分空港までは国道沿いにサイクリングロードが通っている。これは1966年まで運行されていた大分交通国東線の廃線跡を使ったもの。車道と完全に分離されているので、走りやすく、より海に近いため潮風も感じられ、気持ち良い。
しばらく走り、浜辺にある小さな公園に停まる。ここでは豊後高田市の昭和の町に店を構える菓子禅高田屋のいちご大福が振る舞われた。採れたてのイチゴを使用しており、いちごは甘くジュージー。滑らかな白あんと、杵つき餅が見事な三位一体を演出してくれる。いちご大福ってプレミア感あって良いよね。好き。
そのまま南下を続け、国東市の市街地を抜けていく。ここは淡々と直線を楽しむ平坦区間。各市町村の入り口には今回の「仁王輪道」の名前の由来となった石造仁王像が迎えてくれる。しばらく走れば次の目的地である、道の駅くにさきに到着である。
国東市サイクリングターミナルとしてレンタサイクルなども借りる事が出来る道の駅くにさき。大分空港からは10km弱の距離であり、旅の拠点として活用できる場所だ。こちらでは施設に併設される大分県漁協直営のお食事処「銀たちの郷」で二度目?の昼食タイムだ。
ここでは国東市で穫れるブランド魚「くにさき銀たち」太刀魚丼が頂ける。この地域の太刀魚は豊後灘の荒波に揉まれており、しっかりしつつも柔らかい身が特徴。蒲焼の甘辛いタレ味となっており、ご飯が進む1品となっている。今回は太刀魚丼だけだったが、漁協の直営店ということもあり新鮮な魚介類を刺し身、天ぷら、塩焼きと様々なバリエーションで楽しめる。国東半島に来たら是非立ち寄りたいお店だ。
さてさて程よい疲れと満腹感で眠気が襲ってくるところだが、フィニッシュまではまだもう少しあるので、先を急ぐ。ここから再び海岸線を南下。大分空港も通過し、杵築市に入っていく。かつては3万2000石の規模を誇り栄えた杵築城を越えたところで最後の休憩ポイントである橋詰公園で停車。
ここでは日出町で人気のパン屋さん、ジョルノスブラッド&デリのクリームパンと、杵築市の和菓子屋さんとまやの最中が振る舞われた。どちらもサイクリストが大好きな甘味で美味しく頂ける。ここまで食べてばっかりなような気がするが、自転車に乗っていればプラマイゼロなのがサイクリングの良いところ。食い倒れの旅行にはサイクリングは不可欠である。
ここからフィニッシュの日出町までは10kmほどの距離だが、すでに結構消耗しているというのにアップダウンのあるコースになっていくという。「コースの最後にハイライトを持ってくるあたり、分かってるじゃねえか。武者震いがするぜ」と強がっておきながら、内心はここに来て登りですか!?と怯えざる得ない。
さてはともあれ走らないとゴール出来ないので、出発。レジェンド今中さんと大分大学の自転車部員を中心にハイペースで進んでいく。私は途中まで付いていき「何もしなけりゃシクロワイアードの名が廃るぜ」と1回だけアタックした後、写真撮影を口実に停車。乱れた息を整えるのであった。
フィニッシュは日出町中央公民館。参加者の皆さんが到着すると今回のイベントを企画した事務局の方々が出迎えてくれる。そして仁王輪道オリジナルサコッシュと工夫を凝らしたサイクルマップ、ステッカーが配られた。
このサイクルマップには国東半島を巡る7種類のサイクルルートの詳細や、周辺のサイクルオアシス、観光スポットなどの情報がまとめられており、国東半島を自転車で楽しむ際にはぜひ持っておきたいマップとなっている。公式サイトには更に2種類のルートが加えられ、9つの推奨ルートが紹介されている。周辺スポット情報も随時更新されるとのことで、国東半島へサイクリングに行く際はチェックしてみてはいかがだろうか。
サイクルルート策定など事業をプロデュースしたツナガル株式会社 竹林さんにインタビュー
まず、どのような経緯で事業が始まったのでしょうか?
国東半島は神仏習合発祥の地として独自の六郷満山文化などの文化的資産や、両子山を中心とする山、伊予灘と周防灘という海など粒ぞろいの観光資源が各所に点在する場所でした。それらの資源を結ぶためのアイデアとして2年前に国東半島観光振興協議会でサイクルツーリズムが立案されました。その後、行政の事業ディレクションを行っている私達、ツナガル株式会社にお声がけ頂き、プロジェクトが始まったという流れですね。
プロジェクトはどのように進行していったのでしょうか?
我々がプロジェクトを任されてから最初に行ったのが基礎調査です。国東半島にどのような人がいて、どのような観光資源があるのかを調べました。そこから交通アクセスが良く、観光スポットを効率よく周れる仮ルートを作り、そこから更に実走調査を行い、9つのルートを策定しました。
その後は今回のマップを編纂したり、公式ウェブサイトを作るための情報収集や制作を行ったり、「仁王輪道」という名前やロゴマークを決定するなど作業していきました。そして今回、お披露目会という形で走行会を行わせて頂きました。
今後はどのように展開していくのでしょうか?
今年1年は地元の飲食店や宿泊施設などの観光に関わる方々に自分たちの町のサイクリングルートだと誇って宣伝出来るような状態にしていきたいと思っています。具体的にはサイクリストフレンドリーなグルメや宿泊プランなどを作って頂いて公式ウェブサイトに掲載していくということを行っていきたいです。今日訪れた国東ユースホステルの吉田夫妻さんのように国東の魅力を多くの人に知ってもらいたいという思いを持った人がここにはたくさんいます。そういった方々にサイクルツーリズムが自分達の観光資源だと胸を張れるような状況になって欲しいです。
ご飯も美味しく山と海の風景も楽しめる国東半島。その上、サイクリストにとって大切な走りも十二分に楽しめるフィールドが用意されていると感じた。大分空港からのアクセスも良好なため、多くのサイクリストが楽しめる場所になっていくだろう。都会から脱出した大自然サイクリングを楽しみたい人は国東半島を候補地に加えてみるのは如何だろうか。
国東半島のサイクルツーリズムについては、2016年に紹介したこちらの特集記事も参考にしてほしい。
text&photo:Kosuke.Kamata
少し落ち着いたところでリスタート。国東半島を南下していく。道すがらには半島の沖合にある姫島が眺められるスポットも。今回はあいにくの曇天だったため、薄っすらとしか見えなかったが、それでも日本の漁村の原風景なような気がして、ここで少し景色を眺めながら一服したい欲に駆られる。
奈良浜海岸付近から大分空港までは国道沿いにサイクリングロードが通っている。これは1966年まで運行されていた大分交通国東線の廃線跡を使ったもの。車道と完全に分離されているので、走りやすく、より海に近いため潮風も感じられ、気持ち良い。
しばらく走り、浜辺にある小さな公園に停まる。ここでは豊後高田市の昭和の町に店を構える菓子禅高田屋のいちご大福が振る舞われた。採れたてのイチゴを使用しており、いちごは甘くジュージー。滑らかな白あんと、杵つき餅が見事な三位一体を演出してくれる。いちご大福ってプレミア感あって良いよね。好き。
そのまま南下を続け、国東市の市街地を抜けていく。ここは淡々と直線を楽しむ平坦区間。各市町村の入り口には今回の「仁王輪道」の名前の由来となった石造仁王像が迎えてくれる。しばらく走れば次の目的地である、道の駅くにさきに到着である。
国東市サイクリングターミナルとしてレンタサイクルなども借りる事が出来る道の駅くにさき。大分空港からは10km弱の距離であり、旅の拠点として活用できる場所だ。こちらでは施設に併設される大分県漁協直営のお食事処「銀たちの郷」で二度目?の昼食タイムだ。
ここでは国東市で穫れるブランド魚「くにさき銀たち」太刀魚丼が頂ける。この地域の太刀魚は豊後灘の荒波に揉まれており、しっかりしつつも柔らかい身が特徴。蒲焼の甘辛いタレ味となっており、ご飯が進む1品となっている。今回は太刀魚丼だけだったが、漁協の直営店ということもあり新鮮な魚介類を刺し身、天ぷら、塩焼きと様々なバリエーションで楽しめる。国東半島に来たら是非立ち寄りたいお店だ。
さてさて程よい疲れと満腹感で眠気が襲ってくるところだが、フィニッシュまではまだもう少しあるので、先を急ぐ。ここから再び海岸線を南下。大分空港も通過し、杵築市に入っていく。かつては3万2000石の規模を誇り栄えた杵築城を越えたところで最後の休憩ポイントである橋詰公園で停車。
ここでは日出町で人気のパン屋さん、ジョルノスブラッド&デリのクリームパンと、杵築市の和菓子屋さんとまやの最中が振る舞われた。どちらもサイクリストが大好きな甘味で美味しく頂ける。ここまで食べてばっかりなような気がするが、自転車に乗っていればプラマイゼロなのがサイクリングの良いところ。食い倒れの旅行にはサイクリングは不可欠である。
ここからフィニッシュの日出町までは10kmほどの距離だが、すでに結構消耗しているというのにアップダウンのあるコースになっていくという。「コースの最後にハイライトを持ってくるあたり、分かってるじゃねえか。武者震いがするぜ」と強がっておきながら、内心はここに来て登りですか!?と怯えざる得ない。
さてはともあれ走らないとゴール出来ないので、出発。レジェンド今中さんと大分大学の自転車部員を中心にハイペースで進んでいく。私は途中まで付いていき「何もしなけりゃシクロワイアードの名が廃るぜ」と1回だけアタックした後、写真撮影を口実に停車。乱れた息を整えるのであった。
フィニッシュは日出町中央公民館。参加者の皆さんが到着すると今回のイベントを企画した事務局の方々が出迎えてくれる。そして仁王輪道オリジナルサコッシュと工夫を凝らしたサイクルマップ、ステッカーが配られた。
このサイクルマップには国東半島を巡る7種類のサイクルルートの詳細や、周辺のサイクルオアシス、観光スポットなどの情報がまとめられており、国東半島を自転車で楽しむ際にはぜひ持っておきたいマップとなっている。公式サイトには更に2種類のルートが加えられ、9つの推奨ルートが紹介されている。周辺スポット情報も随時更新されるとのことで、国東半島へサイクリングに行く際はチェックしてみてはいかがだろうか。
サイクルルート策定など事業をプロデュースしたツナガル株式会社 竹林さんにインタビュー
まず、どのような経緯で事業が始まったのでしょうか?
国東半島は神仏習合発祥の地として独自の六郷満山文化などの文化的資産や、両子山を中心とする山、伊予灘と周防灘という海など粒ぞろいの観光資源が各所に点在する場所でした。それらの資源を結ぶためのアイデアとして2年前に国東半島観光振興協議会でサイクルツーリズムが立案されました。その後、行政の事業ディレクションを行っている私達、ツナガル株式会社にお声がけ頂き、プロジェクトが始まったという流れですね。
プロジェクトはどのように進行していったのでしょうか?
我々がプロジェクトを任されてから最初に行ったのが基礎調査です。国東半島にどのような人がいて、どのような観光資源があるのかを調べました。そこから交通アクセスが良く、観光スポットを効率よく周れる仮ルートを作り、そこから更に実走調査を行い、9つのルートを策定しました。
その後は今回のマップを編纂したり、公式ウェブサイトを作るための情報収集や制作を行ったり、「仁王輪道」という名前やロゴマークを決定するなど作業していきました。そして今回、お披露目会という形で走行会を行わせて頂きました。
今後はどのように展開していくのでしょうか?
今年1年は地元の飲食店や宿泊施設などの観光に関わる方々に自分たちの町のサイクリングルートだと誇って宣伝出来るような状態にしていきたいと思っています。具体的にはサイクリストフレンドリーなグルメや宿泊プランなどを作って頂いて公式ウェブサイトに掲載していくということを行っていきたいです。今日訪れた国東ユースホステルの吉田夫妻さんのように国東の魅力を多くの人に知ってもらいたいという思いを持った人がここにはたくさんいます。そういった方々にサイクルツーリズムが自分達の観光資源だと胸を張れるような状況になって欲しいです。
ご飯も美味しく山と海の風景も楽しめる国東半島。その上、サイクリストにとって大切な走りも十二分に楽しめるフィールドが用意されていると感じた。大分空港からのアクセスも良好なため、多くのサイクリストが楽しめる場所になっていくだろう。都会から脱出した大自然サイクリングを楽しみたい人は国東半島を候補地に加えてみるのは如何だろうか。
国東半島のサイクルツーリズムについては、2016年に紹介したこちらの特集記事も参考にしてほしい。
text&photo:Kosuke.Kamata
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