フレーム塗装とレース風景写真の貼り込みという大仕事を終えた前回。次の作業はパーツの装飾だ。フレームがフレームだけに、フツーのパーツを汲んだんじゃ面白くない!てことで、パーツにもお飾りしちゃいましょ!

さてフレームはできたけど、パーツが...。僕はフレームのデザインや塗装、結構上手なんだけど、(おいおい、プロだろ!)、部品に悪戯させたら、天下一品の悪戯小僧(中年?)だ。

ホイールに葉っぱ400枚をデザイン

色々悩んだけど、ホイールはこんな感じで、小さな葉っぱをちりばめてみた。その数、前後で約400枚!根気だね。

カーボンホイールのリムには葉っぱを400枚散りばめてみた!カーボンホイールのリムには葉っぱを400枚散りばめてみた!

なんかせっせと貼り込んでいると、九谷焼とかの伝統工芸作家になった気分になります。
仕上がりも上々! 可愛い~。これに綾野編集長が乗るのか...微妙...。

さて残りの部品は・・・・今回は少々悩んでます・・・猫も悩んでます。

パーツを前にデザインを考える。猫も考える。パーツを前にデザインを考える。猫も考える。

デザインとは誰のもの?...。

哲学的な私は、仕事に入る前にデザインの定義を考えてみた。そもそも第1に誰の為のデザインであるのか?
これは非常に重要で、僕の回答はもちろん「クライアントのためのデザイン」って答え。でも別にクライアントの言いなりでデザインを進めていくって事じゃない。
そこにはKatsuriのエッセンスを多分に加えていきながら、クリエーターとクライアントの要望が上手く融合する形で作られていくべきだと考えている。

さて今回の場合...。プロキャメラマンである綾野氏の写真をふんだんに取り入れるって事を第1のテーマとして取りかかっている。

デザインはツール・ド・フランスのプロトンが向日葵畑を行く写真をメインで使用した。ってことは、当然他の部品も向日葵でまとめるのが、最も簡単であり、かつ誰からも受け入れられやすいデザインということになる。

これ、重々承知なんだけど、僕の中には「?」が残ってしまった。で、悩んでます。

綾野さんが送って来てくれた数多くの写真を何度も何度も見返してみる。何度も見返していて、ある事に気づいた!

ロードレースの情景を表現してみよう!

綾野さんの写真って、観客が生き生きとしているってこと。一流の選手を綺麗にとれるキャメラマンは、結構いるが、応援する観客たちや風景までも描けるキャメラマンはそうそういない。でね、今回のデザインテーマも考え直してみたの。綾野氏の自転車から、シクロワイアードの自転車にね。

シクロワイアードの中には何があるのでしょう? その中には自転車の全てが入ってる。まるでオモチャ箱! 

そんなことで、テーマは「オモチャ」に決定!

ここからは早かった! まずはハンドルとステムから着手。ここは、ヘッド部周辺との一体感を出すために、向日葵畑をモチーフに。

ハンドルにも向日葵畑を行くプロトンをあしらってみよう!ということにハンドルにも向日葵畑を行くプロトンをあしらってみよう!ということに
向日葵畑の風景が広がるハンドルとステム向日葵畑の風景が広がるハンドルとステム

クランクは、名物悪魔おじさんの登場! チャンピオンのコンタドールさんにもデザインに加わって貰う事にした。

クランクアームには悪魔おじさんとコンタドールが友情出演!(笑)クランクアームには悪魔おじさんとコンタドールが友情出演!(笑)

そしてピラーには子供達が遊ぶ自転車のオモチャ! 
シートピラーにもオモチャを散りばめてみたシートピラーにもオモチャを散りばめてみた


さて、全てのパーツが完成した! いよいよ組み上げに入っていく!




成田 加津利(カツリーズサイクル)成田 加津利(カツリーズサイクル) プロフィール
成田 加津利(なりた かずとし)


1967年11月27日生まれ(ブルースリーと同じ日である事が自慢)。文化系の生い立ちで美術系への進学を試みるが、ことごとく失敗。その反動で、体育会系へ転身。

高校時代にピスト競技で日本一に輝き、実業団へと進む。ツール・ド・北海道や国際大会で入賞し、平成元年に競輪へと進む。2000年に現役を引退し、現在のショップ「カツリーズ」を開業。

同時に選手指導への思いも強く、アテネオリンピック代表の唐見実世子を育成。現在も石川県のヘッドコーチを務める。メカニックとしても活躍し、現在はNIPPO COLNAGOに所属。過去にはジャパンナショナル、愛三工業、EQA・梅丹本舗・グラファイトデザイン、ブリヂストン・アンカーでもスポットでメカニックを努めた事がある。

デザイナーとしては自分が選手として参加した、石川インターハイのパンフレットや、グッドデザインにも輝いたナカガワサイクルワークスの初代チームジャージを手がけている。ちなみに現在のカツリーズサイクルのカツリは、中川茂氏が間違えて読んだ事からニックネームとして定着。開業時に相談したところ、「カツリで行け!」と、かん高い声で名付けたという(分かる人には分かる話!)。

カツリーズ サイクル