2010/03/14(日) - 23:43
イタリアの工具メーカーeffetto mariposa(エッフェットマリポサ )から、自転車メカニック用途に最適な設定のトルクレンチgiustaforza professional(ジュースタフォルツァ プロフェッショナル)が発売された。今回はその使用感インプレッションも含めて紹介しよう。
おそらくサイクリストにとって、「トルクレンチ」はまだ馴染みの薄い工具ではないだろうか。トルクレンチという工具をあらためて説明すると、ネジの締め付けトルクを管理するために、メーターがついた形式のものや、あらかじめ締め付けトルクを設定して使用するものの2タイプが存在する。エッフェットマリポサ giustaforza professionalは、後者のタイプだ。
エッフェットマリポサ社が自転車用のトルクレンチを発売したことは、昨今の自転車に多く使用されるカーボン製パーツの台頭と無関係ではない。
カーボンファイバーは、軽量化や剛性と快適性という相反することを同時に満たすことなど、多くのメリットをもたらし、自転車にとって多くの可能性を広げてくれた素材である。しかし、同時にその取扱いについては、じつはデリケートな扱いが必要である。
すでにキャリアの長いベテランサイクリストにとっては、ネジを締める感覚は指先に染み付いている方も多いと思う。
しかし、スチールやアルミなどの金属の場合とカーボンファイバーでは、その感触が大きく違うのである。つまり金属と同じ感覚で締め付けてしまうと、過度に締め付けてしまう場合が多い。
それに加え、カーボンファイバーは素材の特性上、無理な力(ネジで言うと、過度の締め付け)を掛けた状態で使い続けると、最悪の場合は繊維が裂け破断してしまう。そのため、パーツの締め付けには、指定されたトルクを厳守して締め付けることが要求される。giustaforza professionalは、そんなカーボンパーツを扱う場合にも頼りになる、自転車用に設計されたトルクレンチだ。
まずは自転車用のトルクレンチとして最適なのは、トルクが2~16Nmという小さい範囲で設定可能な点だ。
クルマやバイク用として存在するトルクレンチは、もっと大きなトルクを想定した製品が多いが、これはちょうどスポーツサイクルのパーツに多い小さなトルク域をカバーし、なおかつ細かく設定できる。またトルクレンチ本体もコンパクトで、狭い空間の整備にも便利だ。
付属するビット(付け替えて使用する先端部分)も、六角用ヘッドが2mm、2.5mm、3mm、4mm、5mm、6mm、8mm。トルクスヘッドがT20、T25、T30。マイナスヘッド3mm、4.5mm、プラスヘッド0mm、1mm、2mm。
延長用のエクステンションや、使用頻度の高い六角5mmには、ボールジョイントも揃えているので、このセットで多くのネジに対応が可能だ。
これらの全てのセットは、専用のケースにコンパクトに収納されている。このケースの上蓋の裏面には締め付けトルクの推奨値がいくつか具体例として挙げられている。例えば「FSA OS115ステムの4ボルト式ヘッドプレートのチタンボルトは8.8Nm」といった具合だ。
Nmというのは、締め付けトルクの国際単位として設定されている、"ニュートン・メーター"という単位である。
このトルクレンチの設定値もNmを基準としているが、先ほどの上蓋にはポンド・フィートやポンド・インチという別の単位に換算する表も一緒に記載されている。
インプレッション
giustaforza professionalトルクレンチ本体を取り出してまず気がつくのは、アルミ製でたいへんコンパクトな造りなこと。また、初めて手にしてもすぐに使用法が判るシンプルで余計な装飾の無いデザインは、モノとしての拘りを感じるデザインだ。
各サイズのビットは、本体の先端部分に開けられた穴に差し込むようにして取り付ける。
ビットをその口に差し込むと、強力なマグネットで吸い込まれるように、確実に装着できる。非常に簡単で、違うサイズへの交換も容易で好感がもてる。装着したビットと本体に、若干のガタつきが残るが、レンチとして使用した際には全く気にならなかった。
実際にビットを装着して使用した感触は、本体がコンパクトながら適度な重量感があり、とても使いやすい。本体に付けられた滑り止め加工もかなり有効で、使用中に滑り落ちそうになることも皆無だった。そして何よりも、無駄なガタや遊びが極力排除されているので、全体に精度が高く信頼感のある工具を使用している感触がある。
トルクの設定は、本体からのびたダイヤルを回して行う。ダイヤルを回すと、メモリの部分に刻まれた白いラインが移動して、好みのトルクに設定する。
メモリは1Nmづつ刻まれているので、細かな調整もしやすく、適切に設定が可能だ。そしてレンチを使いネジを締め設定トルクに達すると、カチっという確実な音と感触で、ビットを差し込んだ頭の部分が首を振り伝えてくれる。このときの感触はたいへん節度があって、すごく判りやすい。
工具としても使いやすく優れているが、各部分のデザインや質感にも高級感があり、所有欲も満たしてくれる製品である。
ただ忘れてはいけないのは、トルクレンチは工具といえども精密機械であること。付属の取扱説明書にもあるが、ネジを緩める方向には使用しない、使用後には最低設定トルクにメモリを合わせてから保管するなど、くれぐれも取り扱いには注意したい。
effetto mariposa giustaforza professional
(エッフェットマリポサ ジュースタフォルツァ プロフェッショナル)
付属ビット
六角ヘッド 2mm、2.5mm、3mm、4mm、5mm、6mm、8mm
トルクスヘッド T20、T25、T30
マイナスヘッド 3mm、4.5mm
プラスヘッド 0mm、1mm、2mm
延長取り付け、ロング5mmアーレンキー
専用ケース付き
重量:トルクレンチ本体部分のみでメーカー公称重量 169g
価格(税込み):29,400円
おそらくサイクリストにとって、「トルクレンチ」はまだ馴染みの薄い工具ではないだろうか。トルクレンチという工具をあらためて説明すると、ネジの締め付けトルクを管理するために、メーターがついた形式のものや、あらかじめ締め付けトルクを設定して使用するものの2タイプが存在する。エッフェットマリポサ giustaforza professionalは、後者のタイプだ。
エッフェットマリポサ社が自転車用のトルクレンチを発売したことは、昨今の自転車に多く使用されるカーボン製パーツの台頭と無関係ではない。
カーボンファイバーは、軽量化や剛性と快適性という相反することを同時に満たすことなど、多くのメリットをもたらし、自転車にとって多くの可能性を広げてくれた素材である。しかし、同時にその取扱いについては、じつはデリケートな扱いが必要である。
すでにキャリアの長いベテランサイクリストにとっては、ネジを締める感覚は指先に染み付いている方も多いと思う。
しかし、スチールやアルミなどの金属の場合とカーボンファイバーでは、その感触が大きく違うのである。つまり金属と同じ感覚で締め付けてしまうと、過度に締め付けてしまう場合が多い。
それに加え、カーボンファイバーは素材の特性上、無理な力(ネジで言うと、過度の締め付け)を掛けた状態で使い続けると、最悪の場合は繊維が裂け破断してしまう。そのため、パーツの締め付けには、指定されたトルクを厳守して締め付けることが要求される。giustaforza professionalは、そんなカーボンパーツを扱う場合にも頼りになる、自転車用に設計されたトルクレンチだ。
まずは自転車用のトルクレンチとして最適なのは、トルクが2~16Nmという小さい範囲で設定可能な点だ。
クルマやバイク用として存在するトルクレンチは、もっと大きなトルクを想定した製品が多いが、これはちょうどスポーツサイクルのパーツに多い小さなトルク域をカバーし、なおかつ細かく設定できる。またトルクレンチ本体もコンパクトで、狭い空間の整備にも便利だ。
付属するビット(付け替えて使用する先端部分)も、六角用ヘッドが2mm、2.5mm、3mm、4mm、5mm、6mm、8mm。トルクスヘッドがT20、T25、T30。マイナスヘッド3mm、4.5mm、プラスヘッド0mm、1mm、2mm。
延長用のエクステンションや、使用頻度の高い六角5mmには、ボールジョイントも揃えているので、このセットで多くのネジに対応が可能だ。
これらの全てのセットは、専用のケースにコンパクトに収納されている。このケースの上蓋の裏面には締め付けトルクの推奨値がいくつか具体例として挙げられている。例えば「FSA OS115ステムの4ボルト式ヘッドプレートのチタンボルトは8.8Nm」といった具合だ。
Nmというのは、締め付けトルクの国際単位として設定されている、"ニュートン・メーター"という単位である。
このトルクレンチの設定値もNmを基準としているが、先ほどの上蓋にはポンド・フィートやポンド・インチという別の単位に換算する表も一緒に記載されている。
インプレッション
giustaforza professionalトルクレンチ本体を取り出してまず気がつくのは、アルミ製でたいへんコンパクトな造りなこと。また、初めて手にしてもすぐに使用法が判るシンプルで余計な装飾の無いデザインは、モノとしての拘りを感じるデザインだ。
各サイズのビットは、本体の先端部分に開けられた穴に差し込むようにして取り付ける。
ビットをその口に差し込むと、強力なマグネットで吸い込まれるように、確実に装着できる。非常に簡単で、違うサイズへの交換も容易で好感がもてる。装着したビットと本体に、若干のガタつきが残るが、レンチとして使用した際には全く気にならなかった。
実際にビットを装着して使用した感触は、本体がコンパクトながら適度な重量感があり、とても使いやすい。本体に付けられた滑り止め加工もかなり有効で、使用中に滑り落ちそうになることも皆無だった。そして何よりも、無駄なガタや遊びが極力排除されているので、全体に精度が高く信頼感のある工具を使用している感触がある。
トルクの設定は、本体からのびたダイヤルを回して行う。ダイヤルを回すと、メモリの部分に刻まれた白いラインが移動して、好みのトルクに設定する。
メモリは1Nmづつ刻まれているので、細かな調整もしやすく、適切に設定が可能だ。そしてレンチを使いネジを締め設定トルクに達すると、カチっという確実な音と感触で、ビットを差し込んだ頭の部分が首を振り伝えてくれる。このときの感触はたいへん節度があって、すごく判りやすい。
工具としても使いやすく優れているが、各部分のデザインや質感にも高級感があり、所有欲も満たしてくれる製品である。
ただ忘れてはいけないのは、トルクレンチは工具といえども精密機械であること。付属の取扱説明書にもあるが、ネジを緩める方向には使用しない、使用後には最低設定トルクにメモリを合わせてから保管するなど、くれぐれも取り扱いには注意したい。
effetto mariposa giustaforza professional
(エッフェットマリポサ ジュースタフォルツァ プロフェッショナル)
付属ビット
六角ヘッド 2mm、2.5mm、3mm、4mm、5mm、6mm、8mm
トルクスヘッド T20、T25、T30
マイナスヘッド 3mm、4.5mm
プラスヘッド 0mm、1mm、2mm
延長取り付け、ロング5mmアーレンキー
専用ケース付き
重量:トルクレンチ本体部分のみでメーカー公称重量 169g
価格(税込み):29,400円