2018/05/28(月) - 08:59
青い海に、緑の山。二つのロケーションを楽しめるグレイトアース日南海岸サンシャイン宮崎ライド。大海原に圧倒されつつ走り抜けた前半に続き、後半戦は緑が映える山岳ライドへ。丸一日宮崎の魅力を味わいつくしたレポートをお届けします。
ずっと視界の半分を占めていた太平洋に別れを告げ、今度は内陸へ。長かった冬が終わり、緑に色づき始めた山へと向かっていく。日南市の街中を通り過ぎ、酒谷川沿いに遡っていくと、先頭集団とすれ違う。集団の中には白戸さんの姿も。そう、ここから第3エイドまでは、往復コースとなっているのだ。
先頭集団とすれ違ったのを皮切りに、多くの参加者たちが反対方向へと走っていく。お互い軽く会釈するのは、なんだか仲間意識があって嬉しい。山方面へと走っていくとは言え、ほとんどは川沿いの緩やかな道で、ほとんど平坦のようなものだ。
本格的な登りが始まる合図となるのは日南ダム。台風による氾濫をきっかけに造られた治水ダムだそうで、これが見えたら斜度がきつくなってくる。とはいえ、距離2km、平均斜度も5%前後と、そこまできついわけではない。ペースで登り切り、少し下った先にある道の駅酒谷が、3つ目のエイドステーションとなる。
こどもの日が近いこともあり、こいのぼりのオーナメントが飾られたこちらのエイドでは、草だんごが振舞われた。手作り感あふれる一品で、むっちりしたお餅とあまい餡子が登りで使ったエネルギーを取り戻させてくれる。一息ついたら、来た道を引き返していくことに。
今度は登ってくる人たちを応援しながら、するすると下っていく。下り基調ということもあり、あっという間に次のエイドとなる飫肥(おび)城へ到着だ。ここへ到着するころには、すっかり日も高くなっておりお腹の虫の声もかなり大きくなってきた。そんなサイクリストたちに振舞われたのは、地元名物・飫肥天を軸にしたランチ定食。
日向灘が育んだイワシやアジといった近海魚のすり身を使った揚げかまぼこで、いわゆる薩摩揚げにも似ているのだけれど、豆腐を混ぜているのが大きな違いなのだとか。確かに、柔らかくてふわっとした口当たりは飫肥天ならでは。いっしょにおにぎりとみそ汁をいただき、エネルギーを充填完了。
この後に控えるのが、このライド最大の山場となる飫肥杉峠への登りなので、ここでしっかり補給を受けられるのはありがたい。ちなみに、ショートコースの方々はここで飫肥駅から日南線に乗り、フィニッシュ地点へ向かうことになる。つまり、苦しいところはショートカットで、美味しいところだけ楽しめるというわけだ。自分もそっちが良かった……。
エイドとなる飫肥城跡周辺には、お土産屋さんや甘味処などいろんなお店が軒を連ねているほか、もちろんお城を見て回ることもできる。なので、ショートコースの参加者の方の中には、電車の時間まで観光を楽しんでいた人も結構居た様子。え、なにそれ羨ましいんですけど……。
さて、いつまでもショートコースを妬んでいても、1mmも前に進んでいるわけではないので、そろそろ出発。今度は広渡川沿いを上流へと登っていくことになる。いくつか丘を越えていくと、一気に山深くなっていく。
序盤の勾配は緩いのだけれど、いつの間にか斜度が増しているのがこの飫肥杉峠。しかも、九十九折れではなく、直登していくので視覚的に斜度の変化が分かりづらい。見た目はそんなに登ってないと思っていたら、道の脇にある看板には「9%」と掲げられ、思わずうそでしょ!?と声を上げると、後ろから来たサポートライダーに笑われてしまった(恥)
しかも、このころには気温もだいぶ上がってくる。熱中症気味になる前に、途中の直売所の自販機で冷えたサイダーを流し込む。生き返るわー、と思っているとほかの方もピットイン。もう少しでピークみたいですねー、なんて会話を交わしてラストスパート。
左へ大きく曲がると、一気に視界が開ける。一面に植えられた飫肥杉の山を見下ろす展望台を過ぎれば、このライドのKOMだ。ピークを通り過ぎ、爽快なダウンヒルへ。下りも大きなコーナーは無いので、ついついスピードが出がちだけれど、そこは抑えめで。なぜなら、結構すぐにエイドステーションが登場するから。
目印となるのは赤い鉄橋。その先に5つめのエイドとなる道の駅田野が現れる。こちらでは、いろんなお漬物、そして小豆たっぷりのお汁粉が用意されていた。暑い日差しで失われた塩分と、登りで使ったエネルギーを補なうにはピッタリだ。失った栄養素を求めているのか、いつもの何倍もおいしく感じてしまうのは、サイクリストの特権のはず。
道の駅田野は、この丘陵地帯に設けられた牧草地の一角を利用しているとのことで、エイドの裏には羊やポニーがのんびりと過ごしている。のどかな風景になごみつつ、お汁粉を啜る、平和なひと時だ。また、エイドではないけれど、売店では牧場で搾られ牛乳を使ったソフトクリームもあり、思わず購入。つめたくあまい、ミルクの濃厚な味わいが最高でした。ちなみに、さつまいもソフトというのもあり、そちらも人気なのだとか。
さて、ここまでくれば、あとは大会会場へと戻るだけだ。峠を下り、交通量の多い道を避けるルートをたどりながら、サンマリンスタジアムへと走っていく。いくつか丘を越えるものの、基本は下り基調なので、疲れた脚でも大丈夫。
スタジアムでは、一足先に戻っていた平野さんが参加者を迎えてくれる。元気いっぱいのMCとハイタッチをして、フィニッシュゲートをくぐれば盛りだくさんのライドも終わりだ。と、思いきやこのフィニッシュ地点にもエイドステーションが!
そう日南といえば、の地鶏炭火焼きが一人一人に振舞われるのだ。炭火にかけられた籠にドサッと豪快に入れられた鶏もも肉が目の前で焼き上げられていく様子は、見ているだけでも食欲をそそる。今、この原稿を書きながら写真を見ていてもお腹が減ってくるほどですが、現地ではさらに匂いが追い打ちをかけてくる。
更には完走賞で白霧島まで付いてくる。なんだか打ち上げ会場のようなフィニッシュエイドに、運転する人は飲んじゃだめ、という事実に打ちひしがれる人も多数。私も空港まで自走なので、地鶏だけいただきます!前夜祭でも地鶏の炭火焼きは出てきたけれど、焼き立てのものはやっぱり別格。更に、120kmを走り切った達成感も相まって、これ以上ないご馳走だ。
最後の最後まで大満足のグレイトアース日南海岸サンシャイン宮崎ライド。海派も山派も楽しめる一粒で2度おいしいコース設定に、さらにはがっつり走りたいロングコースと、飫肥の観光も楽しめるショートコースが用意され、どんな楽しみ方をするライダーでも満足できる1日になったはず。また来年、この景色とグルメを味わいに戻ってきたい、そう思わされるイベントだった。
text&photo:Naoki.Yasuoka
ずっと視界の半分を占めていた太平洋に別れを告げ、今度は内陸へ。長かった冬が終わり、緑に色づき始めた山へと向かっていく。日南市の街中を通り過ぎ、酒谷川沿いに遡っていくと、先頭集団とすれ違う。集団の中には白戸さんの姿も。そう、ここから第3エイドまでは、往復コースとなっているのだ。
先頭集団とすれ違ったのを皮切りに、多くの参加者たちが反対方向へと走っていく。お互い軽く会釈するのは、なんだか仲間意識があって嬉しい。山方面へと走っていくとは言え、ほとんどは川沿いの緩やかな道で、ほとんど平坦のようなものだ。
本格的な登りが始まる合図となるのは日南ダム。台風による氾濫をきっかけに造られた治水ダムだそうで、これが見えたら斜度がきつくなってくる。とはいえ、距離2km、平均斜度も5%前後と、そこまできついわけではない。ペースで登り切り、少し下った先にある道の駅酒谷が、3つ目のエイドステーションとなる。
こどもの日が近いこともあり、こいのぼりのオーナメントが飾られたこちらのエイドでは、草だんごが振舞われた。手作り感あふれる一品で、むっちりしたお餅とあまい餡子が登りで使ったエネルギーを取り戻させてくれる。一息ついたら、来た道を引き返していくことに。
今度は登ってくる人たちを応援しながら、するすると下っていく。下り基調ということもあり、あっという間に次のエイドとなる飫肥(おび)城へ到着だ。ここへ到着するころには、すっかり日も高くなっておりお腹の虫の声もかなり大きくなってきた。そんなサイクリストたちに振舞われたのは、地元名物・飫肥天を軸にしたランチ定食。
日向灘が育んだイワシやアジといった近海魚のすり身を使った揚げかまぼこで、いわゆる薩摩揚げにも似ているのだけれど、豆腐を混ぜているのが大きな違いなのだとか。確かに、柔らかくてふわっとした口当たりは飫肥天ならでは。いっしょにおにぎりとみそ汁をいただき、エネルギーを充填完了。
この後に控えるのが、このライド最大の山場となる飫肥杉峠への登りなので、ここでしっかり補給を受けられるのはありがたい。ちなみに、ショートコースの方々はここで飫肥駅から日南線に乗り、フィニッシュ地点へ向かうことになる。つまり、苦しいところはショートカットで、美味しいところだけ楽しめるというわけだ。自分もそっちが良かった……。
エイドとなる飫肥城跡周辺には、お土産屋さんや甘味処などいろんなお店が軒を連ねているほか、もちろんお城を見て回ることもできる。なので、ショートコースの参加者の方の中には、電車の時間まで観光を楽しんでいた人も結構居た様子。え、なにそれ羨ましいんですけど……。
さて、いつまでもショートコースを妬んでいても、1mmも前に進んでいるわけではないので、そろそろ出発。今度は広渡川沿いを上流へと登っていくことになる。いくつか丘を越えていくと、一気に山深くなっていく。
序盤の勾配は緩いのだけれど、いつの間にか斜度が増しているのがこの飫肥杉峠。しかも、九十九折れではなく、直登していくので視覚的に斜度の変化が分かりづらい。見た目はそんなに登ってないと思っていたら、道の脇にある看板には「9%」と掲げられ、思わずうそでしょ!?と声を上げると、後ろから来たサポートライダーに笑われてしまった(恥)
しかも、このころには気温もだいぶ上がってくる。熱中症気味になる前に、途中の直売所の自販機で冷えたサイダーを流し込む。生き返るわー、と思っているとほかの方もピットイン。もう少しでピークみたいですねー、なんて会話を交わしてラストスパート。
左へ大きく曲がると、一気に視界が開ける。一面に植えられた飫肥杉の山を見下ろす展望台を過ぎれば、このライドのKOMだ。ピークを通り過ぎ、爽快なダウンヒルへ。下りも大きなコーナーは無いので、ついついスピードが出がちだけれど、そこは抑えめで。なぜなら、結構すぐにエイドステーションが登場するから。
目印となるのは赤い鉄橋。その先に5つめのエイドとなる道の駅田野が現れる。こちらでは、いろんなお漬物、そして小豆たっぷりのお汁粉が用意されていた。暑い日差しで失われた塩分と、登りで使ったエネルギーを補なうにはピッタリだ。失った栄養素を求めているのか、いつもの何倍もおいしく感じてしまうのは、サイクリストの特権のはず。
道の駅田野は、この丘陵地帯に設けられた牧草地の一角を利用しているとのことで、エイドの裏には羊やポニーがのんびりと過ごしている。のどかな風景になごみつつ、お汁粉を啜る、平和なひと時だ。また、エイドではないけれど、売店では牧場で搾られ牛乳を使ったソフトクリームもあり、思わず購入。つめたくあまい、ミルクの濃厚な味わいが最高でした。ちなみに、さつまいもソフトというのもあり、そちらも人気なのだとか。
さて、ここまでくれば、あとは大会会場へと戻るだけだ。峠を下り、交通量の多い道を避けるルートをたどりながら、サンマリンスタジアムへと走っていく。いくつか丘を越えるものの、基本は下り基調なので、疲れた脚でも大丈夫。
スタジアムでは、一足先に戻っていた平野さんが参加者を迎えてくれる。元気いっぱいのMCとハイタッチをして、フィニッシュゲートをくぐれば盛りだくさんのライドも終わりだ。と、思いきやこのフィニッシュ地点にもエイドステーションが!
そう日南といえば、の地鶏炭火焼きが一人一人に振舞われるのだ。炭火にかけられた籠にドサッと豪快に入れられた鶏もも肉が目の前で焼き上げられていく様子は、見ているだけでも食欲をそそる。今、この原稿を書きながら写真を見ていてもお腹が減ってくるほどですが、現地ではさらに匂いが追い打ちをかけてくる。
更には完走賞で白霧島まで付いてくる。なんだか打ち上げ会場のようなフィニッシュエイドに、運転する人は飲んじゃだめ、という事実に打ちひしがれる人も多数。私も空港まで自走なので、地鶏だけいただきます!前夜祭でも地鶏の炭火焼きは出てきたけれど、焼き立てのものはやっぱり別格。更に、120kmを走り切った達成感も相まって、これ以上ないご馳走だ。
最後の最後まで大満足のグレイトアース日南海岸サンシャイン宮崎ライド。海派も山派も楽しめる一粒で2度おいしいコース設定に、さらにはがっつり走りたいロングコースと、飫肥の観光も楽しめるショートコースが用意され、どんな楽しみ方をするライダーでも満足できる1日になったはず。また来年、この景色とグルメを味わいに戻ってきたい、そう思わされるイベントだった。
text&photo:Naoki.Yasuoka
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