2018/05/02(水) - 09:31
4月8日に開催されたグレイトアース千葉南房総ライド。天候に恵まれ、輝く太陽のもとで走ることができた一方で、参加者は向かい風に悩まされることに。数多く用意されたエイドステーションでグルメと、海ならではの景色を楽しんだロングライドレポートの最終回をお届けしよう。(※前編はこちら)
ファミリーオ館山を出発し、約25km、1時間20分ほど経過する間に現れた南房総の魅力的な自然。ここまでの向かい風は強く、心が折られそうになるものの、集団走行というテクニックと絶妙な位置にあるエイドステーションに助けられていた。何よりも1番力になるのは房総半島らしい景色だ。
東映のオープニングムービーで映し出されるような荒磯と波を横目にペダルを黙々と漕いでいたら、第2エイドステーションにたどり着いたところまでがvol.2の内容だ。場所は野島崎灯台にある広場。この灯台は房総半島の南端に位置しており、ついに我々は最南端部までやってきた。鴨川の折り返しまでは北上してくこととなる。
さて、ここで振舞われるのは、館山のベーカリー「モンフルニエ」の惣菜パンと、老舗コーヒー専門店「サルビア」のドリップコーヒー。出発前に朝食はとっていたが、2度目の朝食としてベストチョイスなラインアップ。モンフルニエはオムレツサンドやコロッケサンド、ホットドッグを用意してくれており、どれを選ぼうか悩ませてくる。強風のせいで温まらない体にはホットコーヒーは嬉しい上に、小腹が空いたタイミングに食事できてラッキーである。
パンとコーヒーを両手に持ったら気をつけて。トンビが頭上を旋回し、我々の誰かから朝食を奪おうとしている。ピーヒョロロロローという声が聞こえたら上を見よう。もしかしたら、手をめがけて飛んでくるかもしれない。そう考える落ち落ち気を抜いて入れられない状況下でのブレックファーストとなってしまったが、エネルギーは補給できた。残り100km近い距離を走りきるためには絶えずエネルギーを摂ることが大事だ。
先はまだまだ遠いため私はホットドッグを頬張り、野島崎灯台を後にする。白浜のリゾートエリアは南国のそれのように白色の建物やヤシの木と、日本の漁港テイストの魚屋が混在するユニークな光景を我々に見せてくれる。このリゾートを抜けると国道410号線と房総フラワーラインは海と並行して走る2本の道路のうち内陸側となるが、グレイトアース一団は太平洋を満喫するため海沿いの道を走っていく。
房総半島の南端エリアは荒磯となり激しく波を打ち付けている場所が多い。整備された護岸は漁港のみとなっており、そこに地元の釣り人たちが集まり糸を垂らしている。のんびりとした休日の時間を過ごしている方たちを横目に我々は、ペダルを漕ぎつづける。
相変わらず房総の風は我々サイクリストの行く手を阻むように正面から吹き付けてくる。ダウンヒルでもないのにクラウチングポジションのように深い前傾姿勢を取り、少しでも風の影響を少なくしようと工夫をしてみる。
黙々とペダリングしているだけでは勿体無いので、目を横に向けるといつでも太平洋が広がっているのが良い。風が強いからこそ海はうねり、白波が荒磯に打ちつけられ、高い飛沫となる。のんびり平和的な海も良いが、力強い自然は私の気持ちも高めてくれ、ペダルを漕ぐパワーへと変わる。
約8km進んだところで道の駅ちくらに構えられた第3エイドステーションが現れる。10km未満で休憩所となるのは中々珍しいケースだが、向かい風の影響も走りごたえはバッチリ?ここでは館山の老舗パン屋さんのクリームパンが用意されている。先程は惣菜パンとコーヒーというブレックファーストセットだったが、今度は菓子パンということで10時のおやつといったところだろうか。ガッツリとした補給が2つ続き、中村屋のクリームパンは非常に美味しいのだが、お腹は嬉しい悲鳴をあげていたので、半分は後々の楽しみにとっておくことに。
この道の駅ちくらは別名「潮風王国」と名付けられているだけあり、風の通りが良い。太平洋の大海原を眺めながらチルしたいところだが、気温が上がりきっていない午前中だったため、体を冷やさないために足早にライドに戻る方が多い。
再び海沿いの平坦路をゴリゴリと踏んでいくと、いつの間にかフォークリフトが並ぶ千倉漁協の施設が現れる。朝一に到着するとここで水揚げされる様子を見学できるのかなと思いながら駆け抜け、房総フラワーラインを少し走行すると、グレイトアース千葉南房総で最も凶悪な区間に差し掛かる。
県道297号線。約3.5kmがほぼ直線区間であり行き先が見通せるものの、向かい風によりイメージしているパワーが乖離し、いつまで経っても直線の終わりにたどり着かない道だ。ハードなイメージを持つかもしれないが、この無間地獄が峠のない南房総ライドにピリッとしたスパイスとなっている。風と戯れてこその房総だ。
第3エイドより16km、全体の50km地点で第4エイドが現れる。道の駅和田浦WA・O!という鯨の骨格標本が展示されているエイドでは、クジラ肉を使ったコロッケが振舞われる。ここ和田浦の港は捕鯨基地となっており、地元グルメとしてクジラが有名なのである。
鯨肉は独特のにおいがあるが、このコロッケにはそれが無く、お肉の味わいがしっかりと伝わってくる。コロッケの甘みやスパイスも効いており、いくらでも食べられそう。さらにこのエイドでは揚げたてを頂くことができるため美味しさ倍増。ライドの疲れを癒してくれるのはいつだって美味しいグルメだ。ここでも気力を回復させ、いよいよ折り返し地点となる鴨川へと向かう。
ライドが始まり3時間ほどが経過し太陽も十分天高くのぼったため、気温も上がり20℃を越える。強い日差しが注がれた海面は朝よりも一層キラキラと輝き、サイクリストの気持ちを高揚させてくれる。そして適度なアップダウンが現れはじめる。一つの坂を登りきり美しい海原が登場するときの達成感は普遍な情感なのだろう。ありとあらゆる海の表情をフルコースで楽しんできた50kmだったが、飽きを知らず魅力的にその達成感を味わう。
いくつかのトンネルを抜けると突如市街地が現れ、鴨川に到着したことに気がつく。加茂川沿いに進むとようやく鴨川市総合運動場に辿り着く。片道約64km、4時間のライドは中々の走りごたえを味わえ、気分は上々だ。約64kmも走行距離が残っていることはともかく、このライドでの最北端にやって来れたというのは、単純に嬉しい。
エイドステーションで振舞われるお刺身唐揚げも非常に美味しく大満足な休憩となっている。文字だけでは振舞われているグルメが、刺身なのか、唐揚げなのか判断しかねると思う。結論は唐揚げである。但し、調理する朝に水揚げされ、“刺身”のように新鮮な素材を揚げているという注釈がつく。いずれにせよプリプリな身の魚とイカを使用した唐揚げは最高だ。ビールのお供に最高なだけに、ここで一杯とできないのだけが残念である。
気を取り直してスタート/ゴール地点であるファミリーオ館山へと戻ることに。基本的には同じルートと設定されているため、道に迷う心配も少なく安心して走行することができる。鴨川の市街地にお別れを告げ、再びトンネルと抜け海との再会を果たす。
同じ道だからといって「同じ景色か…」と言って侮ることなかれ。見ている方向が180°異なれば、目に飛び込んでくる景色も異なるものである。例えば、往路で海原を背にしてヒルクライムした場所は、復路では海に飛び込むようなダウンヒルとなる。実際に太海のトンネルを抜けた先が、例のような場所であり、非常に気持ちよく駆け抜けられる。
景色は最高なのだが、不運にも風向きが変わってしまったのか、再び向かい風に晒される。70km近く走行した体には堪えるものであり、往路に比べると全くスピードが出ない。本当の正念場がやってきたようだ。
命からがら道の駅和田浦WA・O!に転がり込む。はちみつアイスクリームと再び鯨肉コロッケを頂き気力と体力を回復させる。周りを見渡してみると、それぞれの顔に疲労が見て取れる。気持ちよく走りきることができるなんて気持ちが浮ついていた。ある程度の試練が与えられるのはサイクリングの使命だろう。受け入れるしか無い。
そう考えながらコースへと戻ると、往路で心が折れかけた県道297号線へと差し掛かる。仲間で参加している方は密度の高いパックとなりただひたすらに突き進む。ここからはガムシャラに頑張っても得られるものは少ない、可能な限り省エネ走行を続け、エイドステーションが現れるのをひたすら待つばかり。
道の駅ちくら潮風王国ではヒジキのコロッケが振舞われ、瞬く間に完食。気温もピークとなりポカポカ陽気に。朗らかな雰囲気である一方で、向かい風に体力を削られてしまった方が、芝生の広場に寝そべるなんてシーンも。次なるエイドである野島崎灯台でもグッタリとした参加者がチラホラと。いよいよ本格的にハードなライドになってきたようだ。
残す距離は30km弱、ラストスパートだ。往路では大きく感じなかった砂丘が大きく感じられたりと、心持ちで見える景色も異なるようで、その変化も非常に面白い。「この砂丘を過ぎれば、エイドステーションまではもう少し」と考えていた方も少なく無いはずだ。
いよいよ最終エイドにたどり着き、ドラゴンフルーツのジュースを頂くと、スッキリとした甘みが全身に行き渡り、ラスト15kmへの活力へと変わる。最後の力を振り絞り、一気に最終区間を駆け抜け、ファミリーオ館山の看板を見つけると安堵感に包まれる。ゴールでは平野由香里さんとハイタッチし、この日のライドは終わりを迎えた。
獲得標高661mにも関わらず走りごたえがあり、海の景色のフルコースを味わえたグレイトアース千葉南房総ライド。風の影響を受けやすいもののほぼ平坦路で、途中で引き返すことのできるピストンルート設計となっているため、ビギナーも走りやすいと感じる。エイドではご当地のグルメに舌鼓をうち、味覚でも満足できる旅だ。
と、ここまでがグレイトアース本番のお話。今年はB.B.BASEとコラボしており、帰宅も同列車で快適な旅を楽しめるようになっている。非常に混みやすいアクアラインを通らずに都心へと戻ることのできるのは嬉しいポイントだ。夕日に照らされノスタルジックな雰囲気に包まれた館山駅を背にB.B.BASEは東京へと出発した。
道中買い込んだ晩御飯を食べ終え、暮れなずむ風景を眺めていると、いつのまにか夢の中に。気がつくとネオンが輝く東京・両国駅に到着していた。房総よりも気温が低く、冷えた風に驚きながらも、快適でラグジュアリーな旅を反芻しながら両国駅からの帰路へ着いた。
text&photo:Gakuto Fujiwara
ファミリーオ館山を出発し、約25km、1時間20分ほど経過する間に現れた南房総の魅力的な自然。ここまでの向かい風は強く、心が折られそうになるものの、集団走行というテクニックと絶妙な位置にあるエイドステーションに助けられていた。何よりも1番力になるのは房総半島らしい景色だ。
東映のオープニングムービーで映し出されるような荒磯と波を横目にペダルを黙々と漕いでいたら、第2エイドステーションにたどり着いたところまでがvol.2の内容だ。場所は野島崎灯台にある広場。この灯台は房総半島の南端に位置しており、ついに我々は最南端部までやってきた。鴨川の折り返しまでは北上してくこととなる。
さて、ここで振舞われるのは、館山のベーカリー「モンフルニエ」の惣菜パンと、老舗コーヒー専門店「サルビア」のドリップコーヒー。出発前に朝食はとっていたが、2度目の朝食としてベストチョイスなラインアップ。モンフルニエはオムレツサンドやコロッケサンド、ホットドッグを用意してくれており、どれを選ぼうか悩ませてくる。強風のせいで温まらない体にはホットコーヒーは嬉しい上に、小腹が空いたタイミングに食事できてラッキーである。
パンとコーヒーを両手に持ったら気をつけて。トンビが頭上を旋回し、我々の誰かから朝食を奪おうとしている。ピーヒョロロロローという声が聞こえたら上を見よう。もしかしたら、手をめがけて飛んでくるかもしれない。そう考える落ち落ち気を抜いて入れられない状況下でのブレックファーストとなってしまったが、エネルギーは補給できた。残り100km近い距離を走りきるためには絶えずエネルギーを摂ることが大事だ。
先はまだまだ遠いため私はホットドッグを頬張り、野島崎灯台を後にする。白浜のリゾートエリアは南国のそれのように白色の建物やヤシの木と、日本の漁港テイストの魚屋が混在するユニークな光景を我々に見せてくれる。このリゾートを抜けると国道410号線と房総フラワーラインは海と並行して走る2本の道路のうち内陸側となるが、グレイトアース一団は太平洋を満喫するため海沿いの道を走っていく。
房総半島の南端エリアは荒磯となり激しく波を打ち付けている場所が多い。整備された護岸は漁港のみとなっており、そこに地元の釣り人たちが集まり糸を垂らしている。のんびりとした休日の時間を過ごしている方たちを横目に我々は、ペダルを漕ぎつづける。
相変わらず房総の風は我々サイクリストの行く手を阻むように正面から吹き付けてくる。ダウンヒルでもないのにクラウチングポジションのように深い前傾姿勢を取り、少しでも風の影響を少なくしようと工夫をしてみる。
黙々とペダリングしているだけでは勿体無いので、目を横に向けるといつでも太平洋が広がっているのが良い。風が強いからこそ海はうねり、白波が荒磯に打ちつけられ、高い飛沫となる。のんびり平和的な海も良いが、力強い自然は私の気持ちも高めてくれ、ペダルを漕ぐパワーへと変わる。
約8km進んだところで道の駅ちくらに構えられた第3エイドステーションが現れる。10km未満で休憩所となるのは中々珍しいケースだが、向かい風の影響も走りごたえはバッチリ?ここでは館山の老舗パン屋さんのクリームパンが用意されている。先程は惣菜パンとコーヒーというブレックファーストセットだったが、今度は菓子パンということで10時のおやつといったところだろうか。ガッツリとした補給が2つ続き、中村屋のクリームパンは非常に美味しいのだが、お腹は嬉しい悲鳴をあげていたので、半分は後々の楽しみにとっておくことに。
この道の駅ちくらは別名「潮風王国」と名付けられているだけあり、風の通りが良い。太平洋の大海原を眺めながらチルしたいところだが、気温が上がりきっていない午前中だったため、体を冷やさないために足早にライドに戻る方が多い。
再び海沿いの平坦路をゴリゴリと踏んでいくと、いつの間にかフォークリフトが並ぶ千倉漁協の施設が現れる。朝一に到着するとここで水揚げされる様子を見学できるのかなと思いながら駆け抜け、房総フラワーラインを少し走行すると、グレイトアース千葉南房総で最も凶悪な区間に差し掛かる。
県道297号線。約3.5kmがほぼ直線区間であり行き先が見通せるものの、向かい風によりイメージしているパワーが乖離し、いつまで経っても直線の終わりにたどり着かない道だ。ハードなイメージを持つかもしれないが、この無間地獄が峠のない南房総ライドにピリッとしたスパイスとなっている。風と戯れてこその房総だ。
第3エイドより16km、全体の50km地点で第4エイドが現れる。道の駅和田浦WA・O!という鯨の骨格標本が展示されているエイドでは、クジラ肉を使ったコロッケが振舞われる。ここ和田浦の港は捕鯨基地となっており、地元グルメとしてクジラが有名なのである。
鯨肉は独特のにおいがあるが、このコロッケにはそれが無く、お肉の味わいがしっかりと伝わってくる。コロッケの甘みやスパイスも効いており、いくらでも食べられそう。さらにこのエイドでは揚げたてを頂くことができるため美味しさ倍増。ライドの疲れを癒してくれるのはいつだって美味しいグルメだ。ここでも気力を回復させ、いよいよ折り返し地点となる鴨川へと向かう。
ライドが始まり3時間ほどが経過し太陽も十分天高くのぼったため、気温も上がり20℃を越える。強い日差しが注がれた海面は朝よりも一層キラキラと輝き、サイクリストの気持ちを高揚させてくれる。そして適度なアップダウンが現れはじめる。一つの坂を登りきり美しい海原が登場するときの達成感は普遍な情感なのだろう。ありとあらゆる海の表情をフルコースで楽しんできた50kmだったが、飽きを知らず魅力的にその達成感を味わう。
いくつかのトンネルを抜けると突如市街地が現れ、鴨川に到着したことに気がつく。加茂川沿いに進むとようやく鴨川市総合運動場に辿り着く。片道約64km、4時間のライドは中々の走りごたえを味わえ、気分は上々だ。約64kmも走行距離が残っていることはともかく、このライドでの最北端にやって来れたというのは、単純に嬉しい。
エイドステーションで振舞われるお刺身唐揚げも非常に美味しく大満足な休憩となっている。文字だけでは振舞われているグルメが、刺身なのか、唐揚げなのか判断しかねると思う。結論は唐揚げである。但し、調理する朝に水揚げされ、“刺身”のように新鮮な素材を揚げているという注釈がつく。いずれにせよプリプリな身の魚とイカを使用した唐揚げは最高だ。ビールのお供に最高なだけに、ここで一杯とできないのだけが残念である。
気を取り直してスタート/ゴール地点であるファミリーオ館山へと戻ることに。基本的には同じルートと設定されているため、道に迷う心配も少なく安心して走行することができる。鴨川の市街地にお別れを告げ、再びトンネルと抜け海との再会を果たす。
同じ道だからといって「同じ景色か…」と言って侮ることなかれ。見ている方向が180°異なれば、目に飛び込んでくる景色も異なるものである。例えば、往路で海原を背にしてヒルクライムした場所は、復路では海に飛び込むようなダウンヒルとなる。実際に太海のトンネルを抜けた先が、例のような場所であり、非常に気持ちよく駆け抜けられる。
景色は最高なのだが、不運にも風向きが変わってしまったのか、再び向かい風に晒される。70km近く走行した体には堪えるものであり、往路に比べると全くスピードが出ない。本当の正念場がやってきたようだ。
命からがら道の駅和田浦WA・O!に転がり込む。はちみつアイスクリームと再び鯨肉コロッケを頂き気力と体力を回復させる。周りを見渡してみると、それぞれの顔に疲労が見て取れる。気持ちよく走りきることができるなんて気持ちが浮ついていた。ある程度の試練が与えられるのはサイクリングの使命だろう。受け入れるしか無い。
そう考えながらコースへと戻ると、往路で心が折れかけた県道297号線へと差し掛かる。仲間で参加している方は密度の高いパックとなりただひたすらに突き進む。ここからはガムシャラに頑張っても得られるものは少ない、可能な限り省エネ走行を続け、エイドステーションが現れるのをひたすら待つばかり。
道の駅ちくら潮風王国ではヒジキのコロッケが振舞われ、瞬く間に完食。気温もピークとなりポカポカ陽気に。朗らかな雰囲気である一方で、向かい風に体力を削られてしまった方が、芝生の広場に寝そべるなんてシーンも。次なるエイドである野島崎灯台でもグッタリとした参加者がチラホラと。いよいよ本格的にハードなライドになってきたようだ。
残す距離は30km弱、ラストスパートだ。往路では大きく感じなかった砂丘が大きく感じられたりと、心持ちで見える景色も異なるようで、その変化も非常に面白い。「この砂丘を過ぎれば、エイドステーションまではもう少し」と考えていた方も少なく無いはずだ。
いよいよ最終エイドにたどり着き、ドラゴンフルーツのジュースを頂くと、スッキリとした甘みが全身に行き渡り、ラスト15kmへの活力へと変わる。最後の力を振り絞り、一気に最終区間を駆け抜け、ファミリーオ館山の看板を見つけると安堵感に包まれる。ゴールでは平野由香里さんとハイタッチし、この日のライドは終わりを迎えた。
獲得標高661mにも関わらず走りごたえがあり、海の景色のフルコースを味わえたグレイトアース千葉南房総ライド。風の影響を受けやすいもののほぼ平坦路で、途中で引き返すことのできるピストンルート設計となっているため、ビギナーも走りやすいと感じる。エイドではご当地のグルメに舌鼓をうち、味覚でも満足できる旅だ。
と、ここまでがグレイトアース本番のお話。今年はB.B.BASEとコラボしており、帰宅も同列車で快適な旅を楽しめるようになっている。非常に混みやすいアクアラインを通らずに都心へと戻ることのできるのは嬉しいポイントだ。夕日に照らされノスタルジックな雰囲気に包まれた館山駅を背にB.B.BASEは東京へと出発した。
道中買い込んだ晩御飯を食べ終え、暮れなずむ風景を眺めていると、いつのまにか夢の中に。気がつくとネオンが輝く東京・両国駅に到着していた。房総よりも気温が低く、冷えた風に驚きながらも、快適でラグジュアリーな旅を反芻しながら両国駅からの帰路へ着いた。
text&photo:Gakuto Fujiwara
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