2018/02/05(月) - 09:10
美ら島オキナワセンチュリーランに新しく加わった「ヒルサイドコース100km」を実走取材。海の風景のハイライトも楽しめ、コースの約40%がアップダウンだという上級向けコースの走りごたえはいかに?
人気の美ら島センチュリーランのなかでも一番の人気はシーサイドコース100kmだ。程よい距離と、沖縄ならではの海の風景をたっぷり味わえることがその人気の理由だ。そしてその100kmに今年は「ヒルサイドコース」が追加され、合計4コースにバリエーションが増えた。「新しいコースはとりあえず走っておかなくては」と、CW編集部はこちらにも実走参加してみた。
ヒルサイドコースのエントリーリストを見ると、ゲストライダーの平野由香里さんと西加南子さんの名前が。2人のゲストがふたりとも揃ってこのコースになっているのはなぜ?
訊けば平野さんは「昨年もシーサイドを走っているので、そのコースとの違いを伝えていかなくちゃと思って」と。西さんは「160kmって長くて、100kmがちょうどいいんですよね。山もあるコースはトレーニングも兼ねることができるし、このコースはよく走る好きなルートを通るんです。今回は大会応援ライダーのスルガ銀行ロードバイクプロジェクトの皆さんと走ります」とのこと。沖縄好きの西さんは、冬季は名護に住んでいる沖縄ツウだ。
大会に華を添える女性ゲスト2人共と一緒に走れるオトク感と、インスタ映えならぬ記事の写真映えの面でもありがたい。スタートはセンチュリーコースがスタートしてから1時間半後の8時半。スタートライン脇のステージに登った平野さんから元気いっぱいの関西弁の挨拶エールをもらう。お日様はすでに上がり、朝の眩しい光の中を走り出していく。
参加者は150名弱と他のクラスより少なめ。やはり「上級者向けです」の脅し文句(?)が効いているのだろうか。それとも、沖縄の山の風景にはあまり期待されていないのだろうか。
恩納村から名護市への道は、海を左手に眺めながら走る。ちょうどクルマの増える時間なので慎重に一列走行で。名護市役所近くの21世紀の森エイドで黒糖まんじゅう、かりんとう饅頭、バナナ、塩などがさっそくたっぷりと振る舞われるので、ここを朝食代わりにしてもいいくらい。気温も上がりだし、ジャケットや長指グローブはここで脱いで畳んでもいい感じ。天気が良いことが保証されていたとおり、太陽の光が眩しい。寒い寒い内地から来たら、この気候だけで得した気分になれます。
ツール・ド・おきなわでも曲がる交差点を経て本部半島へ。そこから海岸線を行くのではなく、本島の中央部を突っ切るように山岳地へと向かう。高い山の無い沖縄。標高差は大したことないが、そこからしばらくは森と山のエリアだ。
さっそく桜を見つける。沖縄の桜はソメイヨシノではなく、少し濃いピンクの緋寒桜(ヒカンザクラ)。路肩に咲いていても、気をつけて見ていないと素通りしてしまう。登りでハアハアして、下を向いているとなおさら。見つけたら、あとから来る人にも声をかけて教えてあげよう!。
八重岳を左手に、標高を上げていく。やんばるの森の風景は内地の人には見慣れない独特のもの。ヒカゲヘゴと呼ばれる大きなシダ植物も多くて、やんばる地方ならではのジャングルっぽい雰囲気が味わえる。そして山肌を注意してみていると、濃いピンクの花がちらほら。桜だ。ところどころに風情のある古民家が点在する。
標高で50m+80mUPの2段階の登りは最初の関門だ。ちなみに過去のツール・ド・おきなわもこの山岳路に近いルートがコースになっていた時期がある。
下りきったところ、県道505号線に出たあたり(乙羽入口)の交差点にある「かかし広場」には、自転車に乗ったかかしが待っている。なかなかにぎやかで、ほのぼのした気分にさせてくれる。これは昨年から地元の子供達がサイクリストたちの応援のためにデコレーションしたもの。
第2エイドの今帰仁村「あいあいファーム」は廃校を利用した施設。普段からここでおきなわそばづくり体験や宿泊もできるとか。広々した校庭にならべられた机で沖縄そば、ジューシーと白米のおにぎりをいただきます。焚き火も用意してくれていた。ヤギもいました!今度はプライベートで泊まりに来てみたい所。ちなみにこの昼食スポットには我々は11時に到着。制限時間は13時まで。
ワルミ大橋を経て屋我地島へ。しばらくはシーサイドコースと同じ、海の道。ここで平野さんに合流。そういえば一昨年は嵐のような大雨に見舞われて、この場所で湖風に煽られて走っていた風景が思い出される。今回は今までに見たこと無いほどの濃いブルーの海! 絶対に過去最高の青!。皆さんも古宇利島大橋では海を背景に念入りに記念撮影タイムだ。
古宇利島大橋を渡りきったらまたエイドだ。サーターアンダギーに黒糖のスウィーツタイムだ。この時期ならではさとうきびのスティックもうれしい。さとうきびは収穫期真っ盛りの「とれとれ」なのだ。昼食後の甘いものがほしいタイミングを計られたかのような設定に納得。
海のハイライトを経て、再び名護方面へと向かう。「羽地ダム」と聞いてツール・ド・おきなわの最後の勝負どころと分かる人も多いだろう。このダムの登りを逆方向から登ることに。ちなみに体力が残っていない人は登りをカットして恩納に向かうのもOKです。
再びうっそうとしたやんばるの森の風景のなか、ここでもちらほらと桜が見られた。西さんとスルガ銀行サイクルプロジェクトの皆さんと一緒に登る。ツール・ドのときには険しく思える坂も、思ったよりすぐ登りきれた。坂を下る途中、一気に視界の開けるコーナーが現れる。高いところから見渡す限りの海と、名護の街。思わず歓声を上げるほどのパノラマスポットだ。素晴らしいご褒美!。
下ったら最後のエイドは許田にある道の駅。ユーモラスなゆるキャラ「名護親方」と戯れる。道の駅の奥には沖縄名物の様々な店が連なっている。サーターアンダギーにアイス、そばにドラゴンフルーツ、アメリカのスパムを使ったポークおにぎりなどなど、沖縄情緒たっぷりの土地の名物の数々に、まさに「ちゃんぷるー」文化を感じることができる。
あとは恩納村のフィニッシュまで坂はもうない。スタートから最後まで良い天気で走りきれたのはこれが初めてのこと? 今回は爽やかに終われた。フィニッシュしたら少し肌寒くなったが、皆でテーブルを囲んでミニ完走パーティで盛り上がる。
ヒルサイドコースはコースの約40%がアップダウンということで、走ってみれば短くとも濃縮された走りごたえを感じることが出来た。ちなみに私のGarminの実測データでは実走99.3kmで6時間20分。合計上昇高度は1009mでした。ヒルサイドといっても海の魅力を感じるパートはシーサイドとほぼ同程度なので、そこに山の魅力がプラスされたと考えていい。坂は増えるけれど、おススメです。
西加南子さん&スルガ銀行 大会応援ライダーと走る
今回ご一緒したスルガ銀行ロードバイクプロジェクトの皆さんは、揃って「大会応援ライダー」のゼッケンを付けて走っていた。これは、スルガ銀行の企画として「美ら島オキナワCenturyRunの魅力」と称した西さんと平野さんによるトークイベントを11月に大会実行委員会と共同で東京都内で開催。参加を考えている人たちに向けた大会の魅力や走り方、準備の仕方などのノウハウを説明するPRイベントには60人ほどが参加し、今大会にはトークイベント参加者が実際に多く出場していた。
「首都圏のサイクリストに冬の沖縄の魅力を知ってもらいたい」という理由が第一。そしてスルガ銀行としては自転車振興を通じて静岡県の地方創生を加速させるミッションがあるという。また、「これらの活動を通して、沖縄のサイクリストの方々にも富士山サイクリングができる静岡にも関心を持っていただき、静岡にもお越しいただきたいですね」と企画担当の中山亮介さんは話す。
西さんとメンバーたちが走った今回の美ら島センチュリーの参戦レポートは、スルガ銀行d-labo.サイト内のSURUGA Cycle Journalに近日掲載される予定だそうだ。そちらもお楽しみに。
photo&text:Makoto.AYANO
人気の美ら島センチュリーランのなかでも一番の人気はシーサイドコース100kmだ。程よい距離と、沖縄ならではの海の風景をたっぷり味わえることがその人気の理由だ。そしてその100kmに今年は「ヒルサイドコース」が追加され、合計4コースにバリエーションが増えた。「新しいコースはとりあえず走っておかなくては」と、CW編集部はこちらにも実走参加してみた。
ヒルサイドコースのエントリーリストを見ると、ゲストライダーの平野由香里さんと西加南子さんの名前が。2人のゲストがふたりとも揃ってこのコースになっているのはなぜ?
訊けば平野さんは「昨年もシーサイドを走っているので、そのコースとの違いを伝えていかなくちゃと思って」と。西さんは「160kmって長くて、100kmがちょうどいいんですよね。山もあるコースはトレーニングも兼ねることができるし、このコースはよく走る好きなルートを通るんです。今回は大会応援ライダーのスルガ銀行ロードバイクプロジェクトの皆さんと走ります」とのこと。沖縄好きの西さんは、冬季は名護に住んでいる沖縄ツウだ。
大会に華を添える女性ゲスト2人共と一緒に走れるオトク感と、インスタ映えならぬ記事の写真映えの面でもありがたい。スタートはセンチュリーコースがスタートしてから1時間半後の8時半。スタートライン脇のステージに登った平野さんから元気いっぱいの関西弁の挨拶エールをもらう。お日様はすでに上がり、朝の眩しい光の中を走り出していく。
参加者は150名弱と他のクラスより少なめ。やはり「上級者向けです」の脅し文句(?)が効いているのだろうか。それとも、沖縄の山の風景にはあまり期待されていないのだろうか。
恩納村から名護市への道は、海を左手に眺めながら走る。ちょうどクルマの増える時間なので慎重に一列走行で。名護市役所近くの21世紀の森エイドで黒糖まんじゅう、かりんとう饅頭、バナナ、塩などがさっそくたっぷりと振る舞われるので、ここを朝食代わりにしてもいいくらい。気温も上がりだし、ジャケットや長指グローブはここで脱いで畳んでもいい感じ。天気が良いことが保証されていたとおり、太陽の光が眩しい。寒い寒い内地から来たら、この気候だけで得した気分になれます。
ツール・ド・おきなわでも曲がる交差点を経て本部半島へ。そこから海岸線を行くのではなく、本島の中央部を突っ切るように山岳地へと向かう。高い山の無い沖縄。標高差は大したことないが、そこからしばらくは森と山のエリアだ。
さっそく桜を見つける。沖縄の桜はソメイヨシノではなく、少し濃いピンクの緋寒桜(ヒカンザクラ)。路肩に咲いていても、気をつけて見ていないと素通りしてしまう。登りでハアハアして、下を向いているとなおさら。見つけたら、あとから来る人にも声をかけて教えてあげよう!。
八重岳を左手に、標高を上げていく。やんばるの森の風景は内地の人には見慣れない独特のもの。ヒカゲヘゴと呼ばれる大きなシダ植物も多くて、やんばる地方ならではのジャングルっぽい雰囲気が味わえる。そして山肌を注意してみていると、濃いピンクの花がちらほら。桜だ。ところどころに風情のある古民家が点在する。
標高で50m+80mUPの2段階の登りは最初の関門だ。ちなみに過去のツール・ド・おきなわもこの山岳路に近いルートがコースになっていた時期がある。
下りきったところ、県道505号線に出たあたり(乙羽入口)の交差点にある「かかし広場」には、自転車に乗ったかかしが待っている。なかなかにぎやかで、ほのぼのした気分にさせてくれる。これは昨年から地元の子供達がサイクリストたちの応援のためにデコレーションしたもの。
第2エイドの今帰仁村「あいあいファーム」は廃校を利用した施設。普段からここでおきなわそばづくり体験や宿泊もできるとか。広々した校庭にならべられた机で沖縄そば、ジューシーと白米のおにぎりをいただきます。焚き火も用意してくれていた。ヤギもいました!今度はプライベートで泊まりに来てみたい所。ちなみにこの昼食スポットには我々は11時に到着。制限時間は13時まで。
ワルミ大橋を経て屋我地島へ。しばらくはシーサイドコースと同じ、海の道。ここで平野さんに合流。そういえば一昨年は嵐のような大雨に見舞われて、この場所で湖風に煽られて走っていた風景が思い出される。今回は今までに見たこと無いほどの濃いブルーの海! 絶対に過去最高の青!。皆さんも古宇利島大橋では海を背景に念入りに記念撮影タイムだ。
古宇利島大橋を渡りきったらまたエイドだ。サーターアンダギーに黒糖のスウィーツタイムだ。この時期ならではさとうきびのスティックもうれしい。さとうきびは収穫期真っ盛りの「とれとれ」なのだ。昼食後の甘いものがほしいタイミングを計られたかのような設定に納得。
海のハイライトを経て、再び名護方面へと向かう。「羽地ダム」と聞いてツール・ド・おきなわの最後の勝負どころと分かる人も多いだろう。このダムの登りを逆方向から登ることに。ちなみに体力が残っていない人は登りをカットして恩納に向かうのもOKです。
再びうっそうとしたやんばるの森の風景のなか、ここでもちらほらと桜が見られた。西さんとスルガ銀行サイクルプロジェクトの皆さんと一緒に登る。ツール・ドのときには険しく思える坂も、思ったよりすぐ登りきれた。坂を下る途中、一気に視界の開けるコーナーが現れる。高いところから見渡す限りの海と、名護の街。思わず歓声を上げるほどのパノラマスポットだ。素晴らしいご褒美!。
下ったら最後のエイドは許田にある道の駅。ユーモラスなゆるキャラ「名護親方」と戯れる。道の駅の奥には沖縄名物の様々な店が連なっている。サーターアンダギーにアイス、そばにドラゴンフルーツ、アメリカのスパムを使ったポークおにぎりなどなど、沖縄情緒たっぷりの土地の名物の数々に、まさに「ちゃんぷるー」文化を感じることができる。
あとは恩納村のフィニッシュまで坂はもうない。スタートから最後まで良い天気で走りきれたのはこれが初めてのこと? 今回は爽やかに終われた。フィニッシュしたら少し肌寒くなったが、皆でテーブルを囲んでミニ完走パーティで盛り上がる。
ヒルサイドコースはコースの約40%がアップダウンということで、走ってみれば短くとも濃縮された走りごたえを感じることが出来た。ちなみに私のGarminの実測データでは実走99.3kmで6時間20分。合計上昇高度は1009mでした。ヒルサイドといっても海の魅力を感じるパートはシーサイドとほぼ同程度なので、そこに山の魅力がプラスされたと考えていい。坂は増えるけれど、おススメです。
西加南子さん&スルガ銀行 大会応援ライダーと走る
今回ご一緒したスルガ銀行ロードバイクプロジェクトの皆さんは、揃って「大会応援ライダー」のゼッケンを付けて走っていた。これは、スルガ銀行の企画として「美ら島オキナワCenturyRunの魅力」と称した西さんと平野さんによるトークイベントを11月に大会実行委員会と共同で東京都内で開催。参加を考えている人たちに向けた大会の魅力や走り方、準備の仕方などのノウハウを説明するPRイベントには60人ほどが参加し、今大会にはトークイベント参加者が実際に多く出場していた。
「首都圏のサイクリストに冬の沖縄の魅力を知ってもらいたい」という理由が第一。そしてスルガ銀行としては自転車振興を通じて静岡県の地方創生を加速させるミッションがあるという。また、「これらの活動を通して、沖縄のサイクリストの方々にも富士山サイクリングができる静岡にも関心を持っていただき、静岡にもお越しいただきたいですね」と企画担当の中山亮介さんは話す。
西さんとメンバーたちが走った今回の美ら島センチュリーの参戦レポートは、スルガ銀行d-labo.サイト内のSURUGA Cycle Journalに近日掲載される予定だそうだ。そちらもお楽しみに。
photo&text:Makoto.AYANO
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