2017/12/09(土) - 09:29
今年で第14回を数える「もてぎ7時間エンデューロ」が11月26日(日)に開催された。澄み渡る秋晴れの中、3400人もの参加者が駆けた秋の定番サーキットイベントをレポートします。
栃木県は芳賀郡茂木町のツインリンクもてぎにて、毎年春秋の2回開催されている「もてぎ7時間エンデューロ」。関東近県からのアクセスも良く、なおかつMotoGPやSUPER GTなどのモータースポーツに使われるサーキットを目一杯走れる人気イベントとあって、今回も約3400人もの参加者が集まった。
例年10月末もしくは11月初旬に行われていた同イベントだが、今年はそこから約3週間遅らせた11月26日(日)の開催に。12月目前の時期ということもあり朝方は冬すら感じさせられる冷え込みとなったが、快晴の中降り注ぐ陽によって、日中は15度を超えるこの季節にしては暖かな気温となった。そのため最初はウォーマー類で寒さ対策をしていたライダーも時間が経つにつれ軽装備に。中には半袖ジャージの夏の格好で走る参加者の姿も見られた。
コースはツインリンクもてぎの特徴的なオーバルコースに併設される1周4.8kmのロードコースサーキットを使用。計14ヶ所のコーナーと1ヶ所の登り区間、長く伸びた直線区間や気持ちのよい下り区間などが現れ、緩急のあるレイアウトが参加者を楽しませる(あるいは苦しませる)コースとなっている。各カテゴリーで優勝を狙うなら長時間走れるペーシングを含めた総合力が試されるのだ。コース幅も10m以上設けられており、初めてサーキットを走る人でも安心して走行できたことだろう。
表彰対象となるカテゴリー分けが豊富なのも同イベントの特徴で、最も参加者の多い4時間エンデューロのクラスに至っては全8部門が設けられた。賞品も毎年豪華とあってトップ集団ではプロレースさながらのスピードと駆け引きが行われ、全力で表彰台を狙っていくライダーも少なくない。秋を連想させるオレンジの水玉デザインが入ったチャンピオンジャージも、このイベントでぜひとも獲りたい賞品の一つとなっている。
朝7時過ぎに会場へ到着すると、すでにコース上は試走を行う人で溢れており参加者のやる気の高さを感じられるというもの。寒さで身体が動かないとアップのために入念に走った方もいたことだろう。会場端にはローラー台エリアも専用で設けられ、各カテゴリースタート前にはそちらも大いに活用されていた。
寒さ対策としてはチームテントに風よけのシートを細工したり、毛布を持参したり、温かい飲み物を用意したりといったチームも見られた。最寄りのコンビニへちょっと買い出し、とはいかないけれども、会場内には軽食のケータリングカーや会場内のグランツーリスモカフェといった施設が十分に用意されているのはこのイベントの強みだろう。
メインとなる7時間エンデューロに先駆けて行われたのは未就学児による「ひよこレース」。子どもだからといって侮ってはいけない、みな大人顔負けのスタートダッシュを次々に決めていく。寒さをものともせず無邪気な笑顔で駆けていく姿が何とも微笑ましく、頑張る我が子の姿をカメラに収めようとスタート脇には親御さんもズラリと並び、応援の声を飛ばしていた。
その後に続く小学生による「キッズレース」では、先導のプロライダーの後ろにピッタリと付いてドラフティングを行うほど本格的な展開に。普段の練習では味わえない集団走行を体験できたりゴールスプリントをしてみたりと、子どもたちのレースデビューにもうってつけのイベントとなっている。
朝9時スタートに合わせ続々とコースインしてくるのは「7時間エンデューロ」、そして最も参加者の多い「4時間エンデューロ」に出走するライダーのみなさん。コース幅いっぱいに広がっても最後尾が見えないほどたくさんの参加者がスタートラインに並んだ。
その先頭には同イベントでお馴染みのサポートライダーの姿が。地元茂木町を含む芳賀郡を活動拠点とするHonda栃木や那須ブラーゼン、マトリックスパワータグといったJプロツアーチーム、自転車競技の強豪校である明治大学、そしてワールドツアーシーズンを終え帰国した新城幸也という豪華な顔ぶれだ。各カテゴリーのペースメークとサポートを行うコンシェルジュとして、参加者とともにライドを楽しんだ様子だった。
スタート直後のS字カーブは自分のラインを保持して他ライダーと接触しないように。その後オーバルコースの下をくぐるトンネルを抜けたらもてぎ名物の直登区間が待ち受ける。長時間のエンデューロだけに、ここをオーバーペースで踏んでしまうと後々キツくなる(といってもトップ集団は猛スピードで駆けていくのだが)。
ややペースを抑えつつ登り切った後は流れるような下り区間。スピードを出しすぎるとコーナーで曲がりきれないなんてことも珍しくないためその点には注意が必要だ。コースが広すぎてなかなか進んでいないような錯覚にも陥るが、速度の出やすいサーキットコースということもあり、あっという間に時速40、50kmまで加速するスピード感を味わえるのがもてぎの醍醐味だ。その後3度の直線区間を経てスタート地点まで戻ってくる。
コースの要所要所には安全のための注意喚起の看板が置かれるとともに、特にピットエリア付近では減速を呼びかけるアナウンスも行われ事故に対する配慮が随所に現れていた。参加者の走行ラインもパンフレットの案内通りにゆっくり走る人は左側、追い抜く人や高速で走る人は右側ときちんと分かれていた印象で、コース外から見ていてもマナーの良さを感じることができた。
ロードバイクだけでなく、ママチャリやミニベロにビンディングペダルを付けエアロなスキンスーツ姿といったガチ仕様で楽しむチームもいれば、コスプレで走るライダー、お揃いのジャージに身を包んだ親子など皆さん思い思いの楽しみ方をされていた様子。最も人数の多かった団体は約80名もの大所帯で来たというから驚きである。
また朝とお昼前の2回「初心者向け自転車クリニック」が開かれるのも嬉しいポイント。今回は宇都宮ブリッツェンの廣瀬佳正GMが講師となり、40分間にも渡り基本的な走り方を座学にて講習してくれた。加えてビギナークラス向けには模擬レースも行い、イベントの雰囲気に慣れる工夫も。初めて自転車のイベントに参加するという人でも安心して走れる環境づくりは同大会が力を入れるポイントの一つである。
4時間エンデューロがちょうど終わろうかという13時からは、メインステージにて新城幸也のトークショーが開かれ今シーズンを振り返る数々のエピソードが話された。「来年からはチームキットのカラーも変わる予定なので、皆さん楽しみにしていて下さい」とも。続けて行われたサイン会はすぐに長蛇の列ができるほどで、並んだ一人ひとりと丁寧に交流する新城選手の姿が印象的であった。
やや薄暗くなり始めた16時、朝から走り通しの7時間エンデューロと午後からスタートした2時間エンデューロのゴールをもって全日程の終了だ。各カテゴリーの先頭集団はラストのゴールスプリント勝負となったところもあり、最後まで白熱したレースを展開したようだった。例年強豪レーサーが集う7時間ロードソロは銀山耕一選手(Roppongi Express)が制し、春大会の同カテゴリーにて勝利を飾った高岡亮寛選手(Roppongi Express)に続く同チームによる連覇となった。
大会事務局の山本勇希さんは「昨年から登場した種目の”企業対抗賞”が引き続き熱いですね。勝利した企業のロゴが翌年のゼッケンに入りますし、パンフレットと大会ホームページにてPRのスペースが設けられるんです」と説明する。そんなスペシャルな権利を今回勝ち取ったのは4時間クラス優勝の山下ゴム㈱と、7時間クラス優勝のテイ・エステック㈱の2社。日頃、会社の自転車部等で活動しているロードバイク乗りの皆さん、ぜひ出場を検討してみてはいかがだろう。
レースで疲れたお父さんも次の日は仕事、元気に走り回った子どもたちも次の日は学校、しっかり休んで備えるとしよう。備えると言えば、来春のもてぎ7時間エンデューロGWも開催予定となっているため、このもてぎをターゲットレースとして練習し次大会に向けて備え、再びここツインリンクもてぎに足を運んで欲しい。
text:Yuto.Murata
photo:Yuto.Murata&Gakuto.Fujiwara
栃木県は芳賀郡茂木町のツインリンクもてぎにて、毎年春秋の2回開催されている「もてぎ7時間エンデューロ」。関東近県からのアクセスも良く、なおかつMotoGPやSUPER GTなどのモータースポーツに使われるサーキットを目一杯走れる人気イベントとあって、今回も約3400人もの参加者が集まった。
例年10月末もしくは11月初旬に行われていた同イベントだが、今年はそこから約3週間遅らせた11月26日(日)の開催に。12月目前の時期ということもあり朝方は冬すら感じさせられる冷え込みとなったが、快晴の中降り注ぐ陽によって、日中は15度を超えるこの季節にしては暖かな気温となった。そのため最初はウォーマー類で寒さ対策をしていたライダーも時間が経つにつれ軽装備に。中には半袖ジャージの夏の格好で走る参加者の姿も見られた。
コースはツインリンクもてぎの特徴的なオーバルコースに併設される1周4.8kmのロードコースサーキットを使用。計14ヶ所のコーナーと1ヶ所の登り区間、長く伸びた直線区間や気持ちのよい下り区間などが現れ、緩急のあるレイアウトが参加者を楽しませる(あるいは苦しませる)コースとなっている。各カテゴリーで優勝を狙うなら長時間走れるペーシングを含めた総合力が試されるのだ。コース幅も10m以上設けられており、初めてサーキットを走る人でも安心して走行できたことだろう。
表彰対象となるカテゴリー分けが豊富なのも同イベントの特徴で、最も参加者の多い4時間エンデューロのクラスに至っては全8部門が設けられた。賞品も毎年豪華とあってトップ集団ではプロレースさながらのスピードと駆け引きが行われ、全力で表彰台を狙っていくライダーも少なくない。秋を連想させるオレンジの水玉デザインが入ったチャンピオンジャージも、このイベントでぜひとも獲りたい賞品の一つとなっている。
朝7時過ぎに会場へ到着すると、すでにコース上は試走を行う人で溢れており参加者のやる気の高さを感じられるというもの。寒さで身体が動かないとアップのために入念に走った方もいたことだろう。会場端にはローラー台エリアも専用で設けられ、各カテゴリースタート前にはそちらも大いに活用されていた。
寒さ対策としてはチームテントに風よけのシートを細工したり、毛布を持参したり、温かい飲み物を用意したりといったチームも見られた。最寄りのコンビニへちょっと買い出し、とはいかないけれども、会場内には軽食のケータリングカーや会場内のグランツーリスモカフェといった施設が十分に用意されているのはこのイベントの強みだろう。
メインとなる7時間エンデューロに先駆けて行われたのは未就学児による「ひよこレース」。子どもだからといって侮ってはいけない、みな大人顔負けのスタートダッシュを次々に決めていく。寒さをものともせず無邪気な笑顔で駆けていく姿が何とも微笑ましく、頑張る我が子の姿をカメラに収めようとスタート脇には親御さんもズラリと並び、応援の声を飛ばしていた。
その後に続く小学生による「キッズレース」では、先導のプロライダーの後ろにピッタリと付いてドラフティングを行うほど本格的な展開に。普段の練習では味わえない集団走行を体験できたりゴールスプリントをしてみたりと、子どもたちのレースデビューにもうってつけのイベントとなっている。
朝9時スタートに合わせ続々とコースインしてくるのは「7時間エンデューロ」、そして最も参加者の多い「4時間エンデューロ」に出走するライダーのみなさん。コース幅いっぱいに広がっても最後尾が見えないほどたくさんの参加者がスタートラインに並んだ。
その先頭には同イベントでお馴染みのサポートライダーの姿が。地元茂木町を含む芳賀郡を活動拠点とするHonda栃木や那須ブラーゼン、マトリックスパワータグといったJプロツアーチーム、自転車競技の強豪校である明治大学、そしてワールドツアーシーズンを終え帰国した新城幸也という豪華な顔ぶれだ。各カテゴリーのペースメークとサポートを行うコンシェルジュとして、参加者とともにライドを楽しんだ様子だった。
スタート直後のS字カーブは自分のラインを保持して他ライダーと接触しないように。その後オーバルコースの下をくぐるトンネルを抜けたらもてぎ名物の直登区間が待ち受ける。長時間のエンデューロだけに、ここをオーバーペースで踏んでしまうと後々キツくなる(といってもトップ集団は猛スピードで駆けていくのだが)。
ややペースを抑えつつ登り切った後は流れるような下り区間。スピードを出しすぎるとコーナーで曲がりきれないなんてことも珍しくないためその点には注意が必要だ。コースが広すぎてなかなか進んでいないような錯覚にも陥るが、速度の出やすいサーキットコースということもあり、あっという間に時速40、50kmまで加速するスピード感を味わえるのがもてぎの醍醐味だ。その後3度の直線区間を経てスタート地点まで戻ってくる。
コースの要所要所には安全のための注意喚起の看板が置かれるとともに、特にピットエリア付近では減速を呼びかけるアナウンスも行われ事故に対する配慮が随所に現れていた。参加者の走行ラインもパンフレットの案内通りにゆっくり走る人は左側、追い抜く人や高速で走る人は右側ときちんと分かれていた印象で、コース外から見ていてもマナーの良さを感じることができた。
ロードバイクだけでなく、ママチャリやミニベロにビンディングペダルを付けエアロなスキンスーツ姿といったガチ仕様で楽しむチームもいれば、コスプレで走るライダー、お揃いのジャージに身を包んだ親子など皆さん思い思いの楽しみ方をされていた様子。最も人数の多かった団体は約80名もの大所帯で来たというから驚きである。
また朝とお昼前の2回「初心者向け自転車クリニック」が開かれるのも嬉しいポイント。今回は宇都宮ブリッツェンの廣瀬佳正GMが講師となり、40分間にも渡り基本的な走り方を座学にて講習してくれた。加えてビギナークラス向けには模擬レースも行い、イベントの雰囲気に慣れる工夫も。初めて自転車のイベントに参加するという人でも安心して走れる環境づくりは同大会が力を入れるポイントの一つである。
4時間エンデューロがちょうど終わろうかという13時からは、メインステージにて新城幸也のトークショーが開かれ今シーズンを振り返る数々のエピソードが話された。「来年からはチームキットのカラーも変わる予定なので、皆さん楽しみにしていて下さい」とも。続けて行われたサイン会はすぐに長蛇の列ができるほどで、並んだ一人ひとりと丁寧に交流する新城選手の姿が印象的であった。
やや薄暗くなり始めた16時、朝から走り通しの7時間エンデューロと午後からスタートした2時間エンデューロのゴールをもって全日程の終了だ。各カテゴリーの先頭集団はラストのゴールスプリント勝負となったところもあり、最後まで白熱したレースを展開したようだった。例年強豪レーサーが集う7時間ロードソロは銀山耕一選手(Roppongi Express)が制し、春大会の同カテゴリーにて勝利を飾った高岡亮寛選手(Roppongi Express)に続く同チームによる連覇となった。
大会事務局の山本勇希さんは「昨年から登場した種目の”企業対抗賞”が引き続き熱いですね。勝利した企業のロゴが翌年のゼッケンに入りますし、パンフレットと大会ホームページにてPRのスペースが設けられるんです」と説明する。そんなスペシャルな権利を今回勝ち取ったのは4時間クラス優勝の山下ゴム㈱と、7時間クラス優勝のテイ・エステック㈱の2社。日頃、会社の自転車部等で活動しているロードバイク乗りの皆さん、ぜひ出場を検討してみてはいかがだろう。
レースで疲れたお父さんも次の日は仕事、元気に走り回った子どもたちも次の日は学校、しっかり休んで備えるとしよう。備えると言えば、来春のもてぎ7時間エンデューロGWも開催予定となっているため、このもてぎをターゲットレースとして練習し次大会に向けて備え、再びここツインリンクもてぎに足を運んで欲しい。
text:Yuto.Murata
photo:Yuto.Murata&Gakuto.Fujiwara
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