2017/10/27(金) - 09:50
10月1日(日)、宮城県最南端の街である丸森町で開催された「自転車と旅の日~MARUVÉLO à marumori」。その主催者として大きな役割を果たされた目黒誠子さんのレポートの後編をお届けします。(※前編はこちら)
さまざまな旅をたのしめる空間に
齋理屋敷庭園は、緑に囲まれ車を感じさせない、歴史を感じて非日常的なスローな空間。まるで南フランスのマルシェのように見立て、世界のさまざまな国の食べ物や雑貨、本を扱うお店に出店していただき「世界の旅」。 江戸時代からの歴史を感じる齋理屋敷で「歴史と時空の旅」。
ツール・ド・フランスはまさに3週間の「自転車の旅」。 丸森町まで来ていただく「丸森までの旅」。 音楽ライブを催すことで、「音楽の旅」。 このイベントに来ることによって、それぞれの「人生の旅」を楽しむことの、インスピレーションの循環となりますように。そう願いを込めました。
ツール・ド・フランスの美しい写真をみんなに見てもらいたい
7月。マルベロの大枠が決まってから赴いた、3度目のツール・ド・フランス。ドイツのデュッセルドルフがグランデパールとなり、ベルギー、ルクセンブルク、フランスと4国にまたいで行われたツール・ド・フランスは、見方も感じ方も、これまで以上に充実したものとなりました。
マルベロには、ツールの美しさを切り取る「写真」の存在は必要不可欠だと感じていました。マルベロという初めてのイベントで「ツール・ド・フランス」の写真展を行い、たくさんの方に見ていただきたいと、写真家の辻啓さんに相談。「いいですよ~。やるなら自分も行きたいです。」とうれしい返事をいただき、大阪―仙台の飛行機を使い、丸森まで来てくれることになりました。
飯島美和さんも「もちろん喜んで!私も行きたいけれど、この日はイタリアでレースが…」。残念ながら美和さんの来場は叶いませんでしたが、ご自身のフォトギャラリーと販売、そして新城幸也選手の実車とトロフィー、ドキュメンタリームービーの貸し出しを「東北のみなさんに見せたい」と快くOKしてくれたのです。
力を合わせて「まとまる」。
帰国後は、関係各所の調整のほか、資金面と駐車場が大きく苦労した部分です。企業や個人さまから協賛金を募り、力をいただき、運営にまわしました。会場装飾の大きな部分を占める「テント」はイベントの雰囲気を決定づけるもの。
こだわりを持ちたかったことからレンタルを考えていましたが、資金的なことから自分たちで作ることを決意、廃材も利用し極力費用を抑えました。これが、開催前日、半数近くも数が足りないことが発覚。これには顔面蒼白、青ざめました。でも、「絶対間に合わせます!」という力強い男子7名の徹夜の作業により完成。搬入も1時間早めた6時から、と齋理屋敷側に懇願し、搬入開始です。
当日10時の開催に間に合いました。駐車場は、これまで町のイベントでも貸したことがなかったという齋理屋敷西側にあるお寺を、母のつてで紹介していただき、なんと貸していただけることに。「こういうイベントをたくさんやって、町を活気づけてください」とありがたい応援の言葉もいただきました。
既存の魅力の発見
マルベロを進めていくにあたっては、丸森町の既存の魅力もたくさん発見しました。張りがあるにも関わらずふんわりやさしく丈夫な「丸森和紙」は、和紙の原料となる植物・楮(こうぞ)から手すきで作られています。丸森和紙も齋理屋敷と同じく江戸時代からの伝統で、その“はぎれ”を利用し、ネコのアートギャラリーを行いました。
丸森町には、日本一ともいわれる数多くの猫の石碑「猫神さま」が祀られています。かつて養蚕が盛んだった頃、ネズミから蚕(かいこ)を守ってくれる猫を大切にしており、「猫神さま」として石碑が多く立てられたのです。このネコのアートギャラリーには、猫好きでツール・ド・フランスの解説としても有名でTOJの大会ディレクターでもある栗村修氏にも依頼。「ネコのガッツポーズ」ができあがりました。
大会当日。10月1日。
10時。「マルベロ開催です」。カウベルの音とともに開場。10時前から齋理屋敷前には行列ができ、開場直後のほんの10分間で、150名のお客様が来場されました。実行委員会や出店者にはドレスコードを設けてありました。パリでは「ホワイトディナー」という白だらけのディナーパーティがあります。それをイメージし、ドレスコードは「白」に。ヤタイの屋根の白色と、庭園の緑、好天に恵まれたことから、やさしく差し込む秋の光が見事にマッチ。まぶしいほどの空間を作り出しました。
「自転車と旅」のテーマに沿ってコーディネートした23のお店には、北欧やアフリカの雑貨、フランスの紅茶にパン、イギリスの紅茶、南米チリのワイン、ヨーロッパのクラフトビール、インド料理、それにヨーロッパ仕込みの仙台のサイクリングショップ「ベルエキップ」も並びました。
アートとミュージックとツール・ド・フランス
「時の蔵」の白い壁が美しい背景となるウッドデッキのステージと石の椅子。こちらでは、川崎在住シンガーソングライターのオハラ マヤさんのアコースティックギターと唄のライブ、丸森町在住の野地晃さんと仙台市在住の田嶋桃子さんのクラシックギター演奏を、まるでパリの街角のように自然に聞こえてくる雰囲気で。ツール・ド・フランスにおいても人々の集いにはミュージックは欠かせないもの。石の椅子に座りながらコーヒーを飲み、たまたま音楽が流れてきたような感じを演出しました。
新館では、仙台在住のTakuro Kikuchiさんによるピアノライブ「旅のはじまり」。 辻啓さんによる活き活きとしたツール・ド・フランスの写真に囲まれ、新館のドアを大きく開け放ち、齋理屋敷の美しい庭園とマルシェが借景です。
飛行機と音楽の2つのワークショップ
ワークショップにぴったりな「習の蔵」では、日本伝統文化の折り紙ヒコーキの楽しみを伝える「空育® JAL折り紙ヒコーキ教室」を開催しました。「旅」には飛行機も必須項目。大阪や東京、仙台から駆けつけてくださった日本航空社員のみなさんによる折り紙ヒコーキ教室は、湿度や風量、風向きを考えながらの本格的なもの。子供たちだけでなく、大人も楽しめるものとなり、大好評でした。齋理屋敷の庭園で思い思いに紙ヒコーキを飛ばす子供たちの姿がより心を躍動させてくれました。
もう一つのワークショップは、「音と糸車」。 糸車は自転車の車輪も連想させてくれます。その糸車から紡ぎだされる音色、そして星々の共鳴を体験する「糸車と音色のワークショップ ちいさな山のがっこう」。やさしく静かでナチュラルな雰囲気が齋理屋敷とマッチし、スローな空間を紡いでくれました。
ズイフトに注目が集まったベルエキップブース
「ベルエキップ」ブースでは、ズイフトとともに2台のベルエキップオリジナルロードバイクを試乗展示。子供から大人まで30名ほどの実車がありました。「ロードバイクに乗るのも触るのもはじめて」という子供たちは、ゲーム感覚でできるズイフトとバイクに大興奮。列ができるほどに。
サイクルフェスタ帰りのライダーたちにも「ズイフト、興味があったけど実際に見るのははじめて。」「やったことがなかったけど、はじめてわかった。これはおもしろい。」と大好評。ほかにも、日本ではなかなか手に入らない2017年版ツール・ド・フランスのミニチュアフィギュア、補給用の羊羹やマッサージオイルも「意外と好評で、購入された方も思ったよりも多かった」。
辻啓氏トークショーとフォトギャラリー&販売
辻啓氏トークショーでは、参加された人は「自転車に乗らなくても、とても興味深く、楽しめた。」「ツール・ド・フランスに興味を持った。来年はテレビで観戦したい。」「撮影秘話が聞けてよかった。」「壮大な話に引き込まれた。」等、終始笑顔に包まれてのトークショーとなりました。
仙台市内にある認知症専門病院「杜のホスピタル・あおば」の鹿野英夫理事長は、「このような力強く美しい写真は、心理的なものさえも動かし、人間に活力を与えるんです。」と、辻啓氏の写真を数枚購入、病院内にある「認知症カフェ」やトレーニングルームに飾るとのこと。入院中の患者さんやデイケアに来られる家族・職員・一般の方でも利用できるとのことで、心理的・脳科学的側面からのよい影響が期待できます。鹿野理事長は仙台から丸森まで自走でいらっしゃいました。
新城幸也選手の実車と敢闘賞トロフィー、ドキュメンタリームービー
新城幸也選手の実車展示は、新館前に展示。これが歓声をあげるほどの好評を博していました。「実際乗ってたやつだってよ!」「ほんとだー!名前が入っている。」。それを聞いて、自転車を知らない人も「どれどれ、すごいーー!」。この「本物」が生み出すエネルギーと刺激がよい循環となっていました。J sportsで放映された「The Real~新城幸也の過ごした164日間 ~大腿骨骨折からツール・ド・フランス出場へ~」は「守の蔵」で上映。見入る人も多くいました。
東北に実店舗がない「ラファ」はラファルイゾンとともに、長野から丸森まで約430kmを北上してくれました。マルベロをイメージしたとき、「ラファ」の存在があってほしく、「自転車をあまり知らない人にもラファの世界観・おしゃれ観を知ってほしい」とイメージしていました。
このような小さな町に来てくれるか不安でしたが、OKをいただいた時には本当にうれしかったです。マルベロ開催前日には、「ラファキャラバン丸森」が開催。マルベロ会場齋理屋敷向かいの「八雄館」をスタート、45名がエントリー。沢尻の棚田やグラベルを含む、距離45km、標高910mの丸森のライドをたのしみました。
「この道を行ったらどこに行くのだろう?とワクワク心を駆り立てるような可能性に満ちた、ライドに適したバラエティに富んだ土地」と参加者は語っていました。「変な道(?)がいっぱいで、おもしろかった」とも。マルベロでは、「ALL PRESS ESPRESSOコーヒー」とRaphaのサイクリングウエア、アクセサリーの販売があり、多くの方に喜ばれていました。
この日、マルベロでは、多くのお客様に来場し楽しんでいただきたい思いから、齋理屋敷の入館料610円かかるところを無料とさせていただきました。ですが、お心を承るメルシーボックスを設けたところ、約19000円ものお気持ちをいただきました。開催後の丸森町長へのイベント報告では、これまでにない画期的なイベントだとお褒めの言葉をいただきました。約2500名ものお客様が来られ、齋理屋敷向かいの八雄館では、過去最高の売上を達成、店舗・交通など町の経済にもよい影響があったようです。
マルベロは、自転車、飛行機、都会と田舎、海外、日本、歴史と未来。自然との共生、地域の自信と誇り。さまざまなインスピレーションが循環したイベントとなりました。「丸森町」「マルシェ」と、「自転車(フランス語:VÉLOベロ)」を合わせた名称 MARUVÉLO~マルベロの「マル」は、めぐる、まとまる、はじまる、つながる、ひろがる、という願いも込められています。
美しく、自然も心も豊かな田舎町である丸森町からMARUVÉLOははじまり、県南地域、そして東北、日本、世界へと、よろこびが広がりつながっていくことを目指しています。自転車は、風と大地を感じながら目的地へ運んでくれる、ワクワクを連想させる乗りもの。軽やかに、心の自転車に飛び乗って、MARUVÉLOが、皆さんの人生の旅をよりたのしむツールになりますよう。
自転車と旅の日~MARUVÉLO
日時:2017年10月1日(日)10:00~16:30
場所:丸森町「齋理屋敷」
主催:ジャパン・マルベロ・フォーラム
共催:ノワイヨ、hori pan、一般財団法人丸森町観光物産振興公社
後援:丸森町
協力:日本航空株式会社、ベルエキップ
アートディレクション/株式会社ノワイヨ ルウグ デザインスタジオ
【来場者数】約2500名
【ご来場者様の声】
・洗練されたマルシェ
・素敵な町
・こんなイベントははじめて
・門をくぐったら幻想的で異空間
・まるで絵本の中のような世界
・緑と白のコンビネーションがすばらしい
・おしゃれな人も子どもたちもおじいちゃんおばあちゃんも入り混じり、齋理屋敷のロケーションとマッチしていて素敵
・来てよかった
・ピアノ・ギターの音が心地よい
・ツール・ド・フランスの写真や新城選手の自転車が見れるなんて感激
・丸森町の野菜が新鮮で安い
・自転車に乗る人がこんなにいるとは
・まぶしさ200%
・来年もやってほしい
・ぜひ続けてほしい etc...
著者プロフィール:目黒 誠子(めぐろせいこ)
宮城県丸森町生まれ。2006年ジャパンカップサイクルロードレースに業務で携わってからロードレースの世界に魅了される。2014年よりツアー・オブ・ジャパンでは海外チームの招待・連絡を担当していた。ロードバイクでのサイクリングを楽しむ。趣味はヨガ、バラ栽培と鑑賞。航空会社の広報系の仕事にも携わり、折り紙飛行機の指導員という変わりダネ資格を持つ。現在は宮城県丸森町に拠点を置きつつ、海外の自転車事情やライフスタイルを取材しながら、ライター、プロデューサー、コーディネーターとして活動。自転車とまちづくり・クリーン工房アドバイザー、ジャパン・マルベロ・フォーラム代表。https://www.facebook.com/maruvelo/
Photo:MARUVÉLO / Satoru Yashima
さまざまな旅をたのしめる空間に
齋理屋敷庭園は、緑に囲まれ車を感じさせない、歴史を感じて非日常的なスローな空間。まるで南フランスのマルシェのように見立て、世界のさまざまな国の食べ物や雑貨、本を扱うお店に出店していただき「世界の旅」。 江戸時代からの歴史を感じる齋理屋敷で「歴史と時空の旅」。
ツール・ド・フランスはまさに3週間の「自転車の旅」。 丸森町まで来ていただく「丸森までの旅」。 音楽ライブを催すことで、「音楽の旅」。 このイベントに来ることによって、それぞれの「人生の旅」を楽しむことの、インスピレーションの循環となりますように。そう願いを込めました。
ツール・ド・フランスの美しい写真をみんなに見てもらいたい
7月。マルベロの大枠が決まってから赴いた、3度目のツール・ド・フランス。ドイツのデュッセルドルフがグランデパールとなり、ベルギー、ルクセンブルク、フランスと4国にまたいで行われたツール・ド・フランスは、見方も感じ方も、これまで以上に充実したものとなりました。
マルベロには、ツールの美しさを切り取る「写真」の存在は必要不可欠だと感じていました。マルベロという初めてのイベントで「ツール・ド・フランス」の写真展を行い、たくさんの方に見ていただきたいと、写真家の辻啓さんに相談。「いいですよ~。やるなら自分も行きたいです。」とうれしい返事をいただき、大阪―仙台の飛行機を使い、丸森まで来てくれることになりました。
飯島美和さんも「もちろん喜んで!私も行きたいけれど、この日はイタリアでレースが…」。残念ながら美和さんの来場は叶いませんでしたが、ご自身のフォトギャラリーと販売、そして新城幸也選手の実車とトロフィー、ドキュメンタリームービーの貸し出しを「東北のみなさんに見せたい」と快くOKしてくれたのです。
力を合わせて「まとまる」。
帰国後は、関係各所の調整のほか、資金面と駐車場が大きく苦労した部分です。企業や個人さまから協賛金を募り、力をいただき、運営にまわしました。会場装飾の大きな部分を占める「テント」はイベントの雰囲気を決定づけるもの。
こだわりを持ちたかったことからレンタルを考えていましたが、資金的なことから自分たちで作ることを決意、廃材も利用し極力費用を抑えました。これが、開催前日、半数近くも数が足りないことが発覚。これには顔面蒼白、青ざめました。でも、「絶対間に合わせます!」という力強い男子7名の徹夜の作業により完成。搬入も1時間早めた6時から、と齋理屋敷側に懇願し、搬入開始です。
当日10時の開催に間に合いました。駐車場は、これまで町のイベントでも貸したことがなかったという齋理屋敷西側にあるお寺を、母のつてで紹介していただき、なんと貸していただけることに。「こういうイベントをたくさんやって、町を活気づけてください」とありがたい応援の言葉もいただきました。
既存の魅力の発見
マルベロを進めていくにあたっては、丸森町の既存の魅力もたくさん発見しました。張りがあるにも関わらずふんわりやさしく丈夫な「丸森和紙」は、和紙の原料となる植物・楮(こうぞ)から手すきで作られています。丸森和紙も齋理屋敷と同じく江戸時代からの伝統で、その“はぎれ”を利用し、ネコのアートギャラリーを行いました。
丸森町には、日本一ともいわれる数多くの猫の石碑「猫神さま」が祀られています。かつて養蚕が盛んだった頃、ネズミから蚕(かいこ)を守ってくれる猫を大切にしており、「猫神さま」として石碑が多く立てられたのです。このネコのアートギャラリーには、猫好きでツール・ド・フランスの解説としても有名でTOJの大会ディレクターでもある栗村修氏にも依頼。「ネコのガッツポーズ」ができあがりました。
大会当日。10月1日。
10時。「マルベロ開催です」。カウベルの音とともに開場。10時前から齋理屋敷前には行列ができ、開場直後のほんの10分間で、150名のお客様が来場されました。実行委員会や出店者にはドレスコードを設けてありました。パリでは「ホワイトディナー」という白だらけのディナーパーティがあります。それをイメージし、ドレスコードは「白」に。ヤタイの屋根の白色と、庭園の緑、好天に恵まれたことから、やさしく差し込む秋の光が見事にマッチ。まぶしいほどの空間を作り出しました。
「自転車と旅」のテーマに沿ってコーディネートした23のお店には、北欧やアフリカの雑貨、フランスの紅茶にパン、イギリスの紅茶、南米チリのワイン、ヨーロッパのクラフトビール、インド料理、それにヨーロッパ仕込みの仙台のサイクリングショップ「ベルエキップ」も並びました。
アートとミュージックとツール・ド・フランス
「時の蔵」の白い壁が美しい背景となるウッドデッキのステージと石の椅子。こちらでは、川崎在住シンガーソングライターのオハラ マヤさんのアコースティックギターと唄のライブ、丸森町在住の野地晃さんと仙台市在住の田嶋桃子さんのクラシックギター演奏を、まるでパリの街角のように自然に聞こえてくる雰囲気で。ツール・ド・フランスにおいても人々の集いにはミュージックは欠かせないもの。石の椅子に座りながらコーヒーを飲み、たまたま音楽が流れてきたような感じを演出しました。
新館では、仙台在住のTakuro Kikuchiさんによるピアノライブ「旅のはじまり」。 辻啓さんによる活き活きとしたツール・ド・フランスの写真に囲まれ、新館のドアを大きく開け放ち、齋理屋敷の美しい庭園とマルシェが借景です。
飛行機と音楽の2つのワークショップ
ワークショップにぴったりな「習の蔵」では、日本伝統文化の折り紙ヒコーキの楽しみを伝える「空育® JAL折り紙ヒコーキ教室」を開催しました。「旅」には飛行機も必須項目。大阪や東京、仙台から駆けつけてくださった日本航空社員のみなさんによる折り紙ヒコーキ教室は、湿度や風量、風向きを考えながらの本格的なもの。子供たちだけでなく、大人も楽しめるものとなり、大好評でした。齋理屋敷の庭園で思い思いに紙ヒコーキを飛ばす子供たちの姿がより心を躍動させてくれました。
もう一つのワークショップは、「音と糸車」。 糸車は自転車の車輪も連想させてくれます。その糸車から紡ぎだされる音色、そして星々の共鳴を体験する「糸車と音色のワークショップ ちいさな山のがっこう」。やさしく静かでナチュラルな雰囲気が齋理屋敷とマッチし、スローな空間を紡いでくれました。
ズイフトに注目が集まったベルエキップブース
「ベルエキップ」ブースでは、ズイフトとともに2台のベルエキップオリジナルロードバイクを試乗展示。子供から大人まで30名ほどの実車がありました。「ロードバイクに乗るのも触るのもはじめて」という子供たちは、ゲーム感覚でできるズイフトとバイクに大興奮。列ができるほどに。
サイクルフェスタ帰りのライダーたちにも「ズイフト、興味があったけど実際に見るのははじめて。」「やったことがなかったけど、はじめてわかった。これはおもしろい。」と大好評。ほかにも、日本ではなかなか手に入らない2017年版ツール・ド・フランスのミニチュアフィギュア、補給用の羊羹やマッサージオイルも「意外と好評で、購入された方も思ったよりも多かった」。
辻啓氏トークショーとフォトギャラリー&販売
辻啓氏トークショーでは、参加された人は「自転車に乗らなくても、とても興味深く、楽しめた。」「ツール・ド・フランスに興味を持った。来年はテレビで観戦したい。」「撮影秘話が聞けてよかった。」「壮大な話に引き込まれた。」等、終始笑顔に包まれてのトークショーとなりました。
仙台市内にある認知症専門病院「杜のホスピタル・あおば」の鹿野英夫理事長は、「このような力強く美しい写真は、心理的なものさえも動かし、人間に活力を与えるんです。」と、辻啓氏の写真を数枚購入、病院内にある「認知症カフェ」やトレーニングルームに飾るとのこと。入院中の患者さんやデイケアに来られる家族・職員・一般の方でも利用できるとのことで、心理的・脳科学的側面からのよい影響が期待できます。鹿野理事長は仙台から丸森まで自走でいらっしゃいました。
新城幸也選手の実車と敢闘賞トロフィー、ドキュメンタリームービー
新城幸也選手の実車展示は、新館前に展示。これが歓声をあげるほどの好評を博していました。「実際乗ってたやつだってよ!」「ほんとだー!名前が入っている。」。それを聞いて、自転車を知らない人も「どれどれ、すごいーー!」。この「本物」が生み出すエネルギーと刺激がよい循環となっていました。J sportsで放映された「The Real~新城幸也の過ごした164日間 ~大腿骨骨折からツール・ド・フランス出場へ~」は「守の蔵」で上映。見入る人も多くいました。
東北に実店舗がない「ラファ」はラファルイゾンとともに、長野から丸森まで約430kmを北上してくれました。マルベロをイメージしたとき、「ラファ」の存在があってほしく、「自転車をあまり知らない人にもラファの世界観・おしゃれ観を知ってほしい」とイメージしていました。
このような小さな町に来てくれるか不安でしたが、OKをいただいた時には本当にうれしかったです。マルベロ開催前日には、「ラファキャラバン丸森」が開催。マルベロ会場齋理屋敷向かいの「八雄館」をスタート、45名がエントリー。沢尻の棚田やグラベルを含む、距離45km、標高910mの丸森のライドをたのしみました。
「この道を行ったらどこに行くのだろう?とワクワク心を駆り立てるような可能性に満ちた、ライドに適したバラエティに富んだ土地」と参加者は語っていました。「変な道(?)がいっぱいで、おもしろかった」とも。マルベロでは、「ALL PRESS ESPRESSOコーヒー」とRaphaのサイクリングウエア、アクセサリーの販売があり、多くの方に喜ばれていました。
この日、マルベロでは、多くのお客様に来場し楽しんでいただきたい思いから、齋理屋敷の入館料610円かかるところを無料とさせていただきました。ですが、お心を承るメルシーボックスを設けたところ、約19000円ものお気持ちをいただきました。開催後の丸森町長へのイベント報告では、これまでにない画期的なイベントだとお褒めの言葉をいただきました。約2500名ものお客様が来られ、齋理屋敷向かいの八雄館では、過去最高の売上を達成、店舗・交通など町の経済にもよい影響があったようです。
マルベロは、自転車、飛行機、都会と田舎、海外、日本、歴史と未来。自然との共生、地域の自信と誇り。さまざまなインスピレーションが循環したイベントとなりました。「丸森町」「マルシェ」と、「自転車(フランス語:VÉLOベロ)」を合わせた名称 MARUVÉLO~マルベロの「マル」は、めぐる、まとまる、はじまる、つながる、ひろがる、という願いも込められています。
美しく、自然も心も豊かな田舎町である丸森町からMARUVÉLOははじまり、県南地域、そして東北、日本、世界へと、よろこびが広がりつながっていくことを目指しています。自転車は、風と大地を感じながら目的地へ運んでくれる、ワクワクを連想させる乗りもの。軽やかに、心の自転車に飛び乗って、MARUVÉLOが、皆さんの人生の旅をよりたのしむツールになりますよう。
自転車と旅の日~MARUVÉLO
日時:2017年10月1日(日)10:00~16:30
場所:丸森町「齋理屋敷」
主催:ジャパン・マルベロ・フォーラム
共催:ノワイヨ、hori pan、一般財団法人丸森町観光物産振興公社
後援:丸森町
協力:日本航空株式会社、ベルエキップ
アートディレクション/株式会社ノワイヨ ルウグ デザインスタジオ
【来場者数】約2500名
【ご来場者様の声】
・洗練されたマルシェ
・素敵な町
・こんなイベントははじめて
・門をくぐったら幻想的で異空間
・まるで絵本の中のような世界
・緑と白のコンビネーションがすばらしい
・おしゃれな人も子どもたちもおじいちゃんおばあちゃんも入り混じり、齋理屋敷のロケーションとマッチしていて素敵
・来てよかった
・ピアノ・ギターの音が心地よい
・ツール・ド・フランスの写真や新城選手の自転車が見れるなんて感激
・丸森町の野菜が新鮮で安い
・自転車に乗る人がこんなにいるとは
・まぶしさ200%
・来年もやってほしい
・ぜひ続けてほしい etc...
著者プロフィール:目黒 誠子(めぐろせいこ)
宮城県丸森町生まれ。2006年ジャパンカップサイクルロードレースに業務で携わってからロードレースの世界に魅了される。2014年よりツアー・オブ・ジャパンでは海外チームの招待・連絡を担当していた。ロードバイクでのサイクリングを楽しむ。趣味はヨガ、バラ栽培と鑑賞。航空会社の広報系の仕事にも携わり、折り紙飛行機の指導員という変わりダネ資格を持つ。現在は宮城県丸森町に拠点を置きつつ、海外の自転車事情やライフスタイルを取材しながら、ライター、プロデューサー、コーディネーターとして活動。自転車とまちづくり・クリーン工房アドバイザー、ジャパン・マルベロ・フォーラム代表。https://www.facebook.com/maruvelo/
Photo:MARUVÉLO / Satoru Yashima
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