2017/09/04(月) - 08:54
ロードやMTBのレースシーンで活躍するバイクを手がけるメリダより、肩の力を抜いて走るグラベルライド/ツーリング向けマルチパーパスバイク「SILEX(サイレックス)」がデビュー。これまでメリダが培ってきたノウハウを投入した遊び系バイクをインプレッションとともに紹介しよう。
シャカリキに結果を追い求める競技という側面と、車やバイクとは異なった遊び方で旅や移動を楽しむことができるツールとしての側面を持つスポーツバイク。後者の遊び方、特に近年ではグラベルロードの注目度が高まってきていることで、ロードバイクはオンロード、MTBやシクロクロスバイクはオフロード、という線引きも緩くなってきており、クロスオーバー的に自転車を走らせ、行動範囲を限定しない楽しみ方への注目も高まっている。
そんな競技とは一線を画す楽しみ方に連れ出してくれるツーリングバイクが、レーシングマシンを真摯に作るメリダからリリースされる。モデル名は「SILEX(サイレックス)」。ロードやMTB、シクロクロスの開発で得たノウハウを投入した新ジャンルのバイクだ。
メリダ史上最も多目的に乗ることができ、快適性に優れているというSILEX。バイクの方向性を決めるジオメトリーは、オフロードで安定した走行を実現するための設計が採用される。具体的にはトップチューブ、チェーンステー長を長く、ヘッドやシート角を倒し気味、リーチやスタックなどをMTBのようなジオメトリーとすることで、安定性やハンドリングの性能を獲得している。
エンデュランスロードもしくはMTBのようなハイスタックのジオメトリーは、ハンドルバートップを握った際の荷重が手にかかりすぎないという。肩や腕への負担が少なくなるため、長い距離を走るツーリングでも快適な状態が維持されるだろう。
一方で、MTBレーシングバイクと異なるのは、BBドロップをSILEXでは大きくすることで低重心化を図ったこと。大荷物をバイクに装備した場合での安定感などツーリングバイクらしさを演出している。
フレームの形状は、トップチューブから流れるように繋がるシートステーなどにより衝撃吸収性やトラクション性能を稼ぐ形。一方で、極端に快適性を追求する形状ではなく、ペダリングパワーを逃さないようにBB周りやチェーンステーはややボリュームを持たせている。フォークはクラウン部分がボリューミーに、先端の方はスリムな形状とすることで、路面からの衝撃の低減を狙う。
一見するとシンプルなロードバイク然とした形だが、バイクパッキング装備を考慮した形となっていることもポイント。特にヘッド周りはフレームバッグの収まりが良くなる形をしていることに加え、ヘッドチューブの前方へ回すベルトが引っかかるような出っ張りが設けられているのだ。
フロントフォークにはアイレットが設けられているため、各種ケージ類の取り付けが可能。フレームのメイン三角に用意されたダウンチューブ裏含め3箇所のボトルケージ台座とあわせ計5つのケージを載せることができるため、パッキングの幅を広げてくれそうだ。
対してリアバックにはアイレットが設けられていないため、載せることができるのは大型サドルバッグのみ。SILEXはキャリアを装着し、ゆったりとしたスピードで走るバイクというよりも、スポーツバイクの機動性を活かすバイクパッキング装備が最適なのだろう。
搭載するパーツ類もグラベルロードらしいアッセンブリ。ラインアップ全てディスクブレーキを採用し、前100mm×12mm、後ろ142mm×12mmという現在のスルーアクスル主流規格とした。リアブレーキにはSCLTURAやREACTOで使用された放熱フィンが装備される。
タイヤはマキシスと共同開発を行ったSILEX専用品だ。35Cでサイドノブ付きセミスリックタイヤとされたタイヤは、マキシスが誇る耐パンク層シルクワームが使用されており、グラベルでのカットパンクなどの危険性を低減する。SILEX自体は44mm幅のタイヤも飲み込むクリアランスを有しており、650bホイールに2.2インチタイヤという組合せにも対応する。
ラインアップはカーボンモデル2種類、アルミモデル2種類と素材別に計4種類が用意される。カーボンモデルはいずれもフロントシングル仕様で、ハイスピードレンジにも対応できるワイドレシオなギア構成とされる。アルミモデルはフロントダブル仕様だ。詳しいスペックは記事下部にて紹介する。
今回は最上級モデルのSILEX 9000のインプレッションをマウンテンバイク、シクロクロス、ロードに精通するRISERIDE店長の鈴木祐一さんに語って頂いた。競技から遊びまで知り尽くした店長がみるグラベルロードとは。
― インプレッション
「優れた走行性能はもちろん、細かい配慮までされた1台」鈴木祐一(ライズライド)
ツーリングバイクというコンセプト通り、バイクパッキングの荷物を積んだり、オフロードでの走破性のことを考えて開発されていることが見た目から伝わってくるバイクですね。乗り心地がいいし、長時間走っていても疲れにくいという振動吸収性はレベルが高いところにありますね。
走行感としては、フレーム全体が衝撃を吸収したあとに反発で自転車が前に進むような印象を受けました。ただ単に衝撃の逃がしたり、乗り心地が良いというだけのフレームとは異なり、吸収したエネルギーを活かすということに意外性を感じましたし、試乗してみて衝撃を受けました。振動吸収性に優れるバイクの中でもひと段階ほど性能が良いフレームですね。
また、実際に乗ってみて設計思想で納得できたポイントはヘッドチューブの長さでした。長いヘッドチューブとすることで、ハンドルのドロップ部を握った際、手の位置が通常のロードバイクのブラケットポジションと同じ高さになるんですよね。
ハンドルのドロップ部を握るとブレーキングした時の安心感を得られたり、自転車コントロールが正確になったりします。そのドロップ部がブラケットと同じ高さにあることで、自転車操作が安定するというのは乗ってみて納得することができました。
SILEXには、荒れたオフロードでの安定したハンドリングとコントロールの正確さがシビアに求められていますが、最近のMTBのようにヘッドアングルを寝かせ、トレイル量をコントロールすることで、要求されるハンドリング性能を上手に実現していますね。長年MTBを開発し続けているメリダのノウハウを感じる部分です。
一方で、MTBのようなジオメトリーとすることで、ドロップハンドルを装着する自転車としては長いトップチューブとなっています。そのためロードバイクに装着するステムよりも短いステムを装着することになるでしょう。
パーツパッケージは油圧ディスクブレーキや、非常にワイドレシオなギア比のフロントシングルコンポーネントなど、MTB系の流れを受け継ぐセレクトがされていて面白い部分です。特にフロントシングルは変速トラブルが少ないなどツーリングバイクの仕様としてもマッチします。
SILEX専用品となるマキシスのタイヤは、高い空気圧を入れるとトレッドセンターのスリック部分を使えて走りが軽くなり、空気圧を落とすことでサイドノブを使うことができる設計になっています。携帯ポンプさえあれば、路面状況に応じて対応できるので、旅する場所ごとにタイヤを交換する煩わしさが無いのは嬉しいです。
乗り心地が良い、振動吸収性に優れるという性能は当たり前として、操作の安定性への細かい配慮がされていることがこのバイクの魅力ですね。また優れた性能が備えられているため、ツーリングというシチュエーションで余力が生まれ、旅自体を充実させることができるバイクだと感じました。
メリダ SILEX 9000
フレーム:Silex CF2 R12
フォーク:Silex Carbon 12 FM
クランク:SRAM Force 44T
ギア:SRAM XG1150 10-42T
BBセット:SRAM PF86
ディレイラー:SRAM Force CX1
シフター:SRAM Force CX1
リム:Fulcrum Gravel
タイヤ:MAXXIS Gravel 35
サイズ:44、47、50、53、56
価格:549,000円(税抜)
メリダ SILEX 6000
フレーム:Silex CF2 R12
フォーク:Silex Carbon 12 FM
クランク:SRAM Apex 44T
ギア:SRAM PG-1130 11-42T
BBセット:FSA 386BB
ディレイラー:SRAM Apex
シフター:SRAM Apex
リム:Merida Expert CC
タイヤ:MAXXIS Gravel 35
サイズ:44、47、50、53、56
価格:289,000円(税抜)
メリダ SILEX 400
フレーム:Silex Lite R12
フォーク:Silex Carbon 12 FM
クランク:FSA Gossamer 48-32T
ギア:Shimano CS-5800 11-32T
BBセット:FSA BB PF86 for 30mm spindle
ディレイラー:Shimano 105
シフター:Shimano RS505
リム:Merida comp 22 disc cross
タイヤ:MAXXIS Gravel 35
サイズ:44、47、50、53、56
価格:199,900円(税抜)
メリダ SILEX 200
フレーム:Silex Lite R12
フォーク:Silex Carbon 12 FM
クランク:FSA Omega 48-32T
ギア:Shimano CS-HG200 9S 11-32T
BBセット:FSA PF86 MegaExo
ディレイラー:Shimano Sora
シフター:Shimano Sora
リム:Merida comp 22 disc cross
タイヤ:MAXXIS Gravel 35
サイズ:44、47、50、53、56
価格:139,900円(税抜)
シャカリキに結果を追い求める競技という側面と、車やバイクとは異なった遊び方で旅や移動を楽しむことができるツールとしての側面を持つスポーツバイク。後者の遊び方、特に近年ではグラベルロードの注目度が高まってきていることで、ロードバイクはオンロード、MTBやシクロクロスバイクはオフロード、という線引きも緩くなってきており、クロスオーバー的に自転車を走らせ、行動範囲を限定しない楽しみ方への注目も高まっている。
そんな競技とは一線を画す楽しみ方に連れ出してくれるツーリングバイクが、レーシングマシンを真摯に作るメリダからリリースされる。モデル名は「SILEX(サイレックス)」。ロードやMTB、シクロクロスの開発で得たノウハウを投入した新ジャンルのバイクだ。
メリダ史上最も多目的に乗ることができ、快適性に優れているというSILEX。バイクの方向性を決めるジオメトリーは、オフロードで安定した走行を実現するための設計が採用される。具体的にはトップチューブ、チェーンステー長を長く、ヘッドやシート角を倒し気味、リーチやスタックなどをMTBのようなジオメトリーとすることで、安定性やハンドリングの性能を獲得している。
エンデュランスロードもしくはMTBのようなハイスタックのジオメトリーは、ハンドルバートップを握った際の荷重が手にかかりすぎないという。肩や腕への負担が少なくなるため、長い距離を走るツーリングでも快適な状態が維持されるだろう。
一方で、MTBレーシングバイクと異なるのは、BBドロップをSILEXでは大きくすることで低重心化を図ったこと。大荷物をバイクに装備した場合での安定感などツーリングバイクらしさを演出している。
フレームの形状は、トップチューブから流れるように繋がるシートステーなどにより衝撃吸収性やトラクション性能を稼ぐ形。一方で、極端に快適性を追求する形状ではなく、ペダリングパワーを逃さないようにBB周りやチェーンステーはややボリュームを持たせている。フォークはクラウン部分がボリューミーに、先端の方はスリムな形状とすることで、路面からの衝撃の低減を狙う。
一見するとシンプルなロードバイク然とした形だが、バイクパッキング装備を考慮した形となっていることもポイント。特にヘッド周りはフレームバッグの収まりが良くなる形をしていることに加え、ヘッドチューブの前方へ回すベルトが引っかかるような出っ張りが設けられているのだ。
フロントフォークにはアイレットが設けられているため、各種ケージ類の取り付けが可能。フレームのメイン三角に用意されたダウンチューブ裏含め3箇所のボトルケージ台座とあわせ計5つのケージを載せることができるため、パッキングの幅を広げてくれそうだ。
対してリアバックにはアイレットが設けられていないため、載せることができるのは大型サドルバッグのみ。SILEXはキャリアを装着し、ゆったりとしたスピードで走るバイクというよりも、スポーツバイクの機動性を活かすバイクパッキング装備が最適なのだろう。
搭載するパーツ類もグラベルロードらしいアッセンブリ。ラインアップ全てディスクブレーキを採用し、前100mm×12mm、後ろ142mm×12mmという現在のスルーアクスル主流規格とした。リアブレーキにはSCLTURAやREACTOで使用された放熱フィンが装備される。
タイヤはマキシスと共同開発を行ったSILEX専用品だ。35Cでサイドノブ付きセミスリックタイヤとされたタイヤは、マキシスが誇る耐パンク層シルクワームが使用されており、グラベルでのカットパンクなどの危険性を低減する。SILEX自体は44mm幅のタイヤも飲み込むクリアランスを有しており、650bホイールに2.2インチタイヤという組合せにも対応する。
ラインアップはカーボンモデル2種類、アルミモデル2種類と素材別に計4種類が用意される。カーボンモデルはいずれもフロントシングル仕様で、ハイスピードレンジにも対応できるワイドレシオなギア構成とされる。アルミモデルはフロントダブル仕様だ。詳しいスペックは記事下部にて紹介する。
今回は最上級モデルのSILEX 9000のインプレッションをマウンテンバイク、シクロクロス、ロードに精通するRISERIDE店長の鈴木祐一さんに語って頂いた。競技から遊びまで知り尽くした店長がみるグラベルロードとは。
― インプレッション
「優れた走行性能はもちろん、細かい配慮までされた1台」鈴木祐一(ライズライド)
ツーリングバイクというコンセプト通り、バイクパッキングの荷物を積んだり、オフロードでの走破性のことを考えて開発されていることが見た目から伝わってくるバイクですね。乗り心地がいいし、長時間走っていても疲れにくいという振動吸収性はレベルが高いところにありますね。
走行感としては、フレーム全体が衝撃を吸収したあとに反発で自転車が前に進むような印象を受けました。ただ単に衝撃の逃がしたり、乗り心地が良いというだけのフレームとは異なり、吸収したエネルギーを活かすということに意外性を感じましたし、試乗してみて衝撃を受けました。振動吸収性に優れるバイクの中でもひと段階ほど性能が良いフレームですね。
また、実際に乗ってみて設計思想で納得できたポイントはヘッドチューブの長さでした。長いヘッドチューブとすることで、ハンドルのドロップ部を握った際、手の位置が通常のロードバイクのブラケットポジションと同じ高さになるんですよね。
ハンドルのドロップ部を握るとブレーキングした時の安心感を得られたり、自転車コントロールが正確になったりします。そのドロップ部がブラケットと同じ高さにあることで、自転車操作が安定するというのは乗ってみて納得することができました。
SILEXには、荒れたオフロードでの安定したハンドリングとコントロールの正確さがシビアに求められていますが、最近のMTBのようにヘッドアングルを寝かせ、トレイル量をコントロールすることで、要求されるハンドリング性能を上手に実現していますね。長年MTBを開発し続けているメリダのノウハウを感じる部分です。
一方で、MTBのようなジオメトリーとすることで、ドロップハンドルを装着する自転車としては長いトップチューブとなっています。そのためロードバイクに装着するステムよりも短いステムを装着することになるでしょう。
パーツパッケージは油圧ディスクブレーキや、非常にワイドレシオなギア比のフロントシングルコンポーネントなど、MTB系の流れを受け継ぐセレクトがされていて面白い部分です。特にフロントシングルは変速トラブルが少ないなどツーリングバイクの仕様としてもマッチします。
SILEX専用品となるマキシスのタイヤは、高い空気圧を入れるとトレッドセンターのスリック部分を使えて走りが軽くなり、空気圧を落とすことでサイドノブを使うことができる設計になっています。携帯ポンプさえあれば、路面状況に応じて対応できるので、旅する場所ごとにタイヤを交換する煩わしさが無いのは嬉しいです。
乗り心地が良い、振動吸収性に優れるという性能は当たり前として、操作の安定性への細かい配慮がされていることがこのバイクの魅力ですね。また優れた性能が備えられているため、ツーリングというシチュエーションで余力が生まれ、旅自体を充実させることができるバイクだと感じました。
メリダ SILEX 9000
フレーム:Silex CF2 R12
フォーク:Silex Carbon 12 FM
クランク:SRAM Force 44T
ギア:SRAM XG1150 10-42T
BBセット:SRAM PF86
ディレイラー:SRAM Force CX1
シフター:SRAM Force CX1
リム:Fulcrum Gravel
タイヤ:MAXXIS Gravel 35
サイズ:44、47、50、53、56
価格:549,000円(税抜)
メリダ SILEX 6000
フレーム:Silex CF2 R12
フォーク:Silex Carbon 12 FM
クランク:SRAM Apex 44T
ギア:SRAM PG-1130 11-42T
BBセット:FSA 386BB
ディレイラー:SRAM Apex
シフター:SRAM Apex
リム:Merida Expert CC
タイヤ:MAXXIS Gravel 35
サイズ:44、47、50、53、56
価格:289,000円(税抜)
メリダ SILEX 400
フレーム:Silex Lite R12
フォーク:Silex Carbon 12 FM
クランク:FSA Gossamer 48-32T
ギア:Shimano CS-5800 11-32T
BBセット:FSA BB PF86 for 30mm spindle
ディレイラー:Shimano 105
シフター:Shimano RS505
リム:Merida comp 22 disc cross
タイヤ:MAXXIS Gravel 35
サイズ:44、47、50、53、56
価格:199,900円(税抜)
メリダ SILEX 200
フレーム:Silex Lite R12
フォーク:Silex Carbon 12 FM
クランク:FSA Omega 48-32T
ギア:Shimano CS-HG200 9S 11-32T
BBセット:FSA PF86 MegaExo
ディレイラー:Shimano Sora
シフター:Shimano Sora
リム:Merida comp 22 disc cross
タイヤ:MAXXIS Gravel 35
サイズ:44、47、50、53、56
価格:139,900円(税抜)
リンク
Amazon.co.jp