2016/09/03(土) - 09:48
イベントで出会ったライダーとバイクを紹介する企画「あなたの自転車を見せてください」。今回、編集部員が訪れたのは、国内で最大級のロードレースイベント、シマノ鈴鹿ロードレース。そこで見つけたバイクを紹介します。
森崎英登さん(MKW) スペシャライズド S-Works Tarmac
全国から集った強豪ホビーレーサーたちがしのぎを削る5ステージスズカを制した森崎英登(ひでと)さん。愛知産業大学工業高等学校に通う高校2年生だ。チャンピオンジャージと金メダル獲得に貢献した森崎さんの愛車はスペシャライズド S-Works Tarmacのサガンレプリカカラー。ロードステージもタイムトライアルもこのバイクで走り切った。
「個人的にサガンの積極的な走りが大好きということもあり、一目惚れしてしまいました」とアルカンシェルカラーをまとったサガンレプリカを選んだ理由を森崎さんは言う。サドルもサガンレプリカのプロロゴ スクラッチ2を選んでおり、サガンのファンだということがわかる。スプリンターである森崎さんのハンドルトステムは、プロスプリンターも愛用するPRO VIBE。
また、森崎さんは高体連に登録しているため、5ステージスズカでもフロント52T・リア14Tというギアが義務付けられている。その装備で並み居る強豪たちと相まみえ、ポディウムの頂点に立ったのだ。
「元々は高体連に登録するつもりがなかったので53Tのチェーンリングを使用していました」という森崎さんの足元には、シマノDURA-ACEのチェーリング(52-39T)に105のクランクが装着されている。なんでも高体連に登録する際、タイミング良く知り合いからDURA-ACEを譲ってもらえたのだという。「少し見た目は悪いですが、自力が強ければカッコイイと思ってもらえると思って、このままにしています」と森崎さん。
森崎さんが自転車競技をはじめたのは高校に入ってから。それからMKWのチーム発足のルーツとなった地元の練習やカミハギサイクルの実業団チームに参加しながら、月3,000km~4,000kmも乗り込み力をつけていったという。この次に目指すビッグタイトルは来年のインターハイ優勝だ。
太田貴明さん(ストラーダバイシクルズ) キャノンデール SUPERSIX Hi-Mod
「なにか面白いことをしようと思って、自転車をはじめた時に乗っていたバイクのカラーにしようと思いました」と説明してくれるのは、キャノンデール SUPERSIX Hi-Modをサエコ・キャノンデールのチームカラーに塗り替えたストラーダバイシクルズの太田貴明さん。
各部のロゴやステッカーまで当時のものをインターネットで探し、取り寄せ、サエコ・キャノンデールを忠実に再現したという。「ただそのままだと面白く無いので…」とシートステーにはストラーダバイシクルズのロゴを、チェーンステーには現行モデルそのままのSUPERSIXのロゴをあしらっている。カラーを黄色にし縁取っているだけだが、雰囲気は昔のそれと変わりなくまとまっている。
現在、ストラーダバイシクルズでテックスペシャリストとして活躍する太田さん。学生時代は全日本学生個人ロードタイムトライアルで優勝したり、トラックで活躍していた選手である。その後もチーム右京発足時のメンバーであったりと、競技面でも輝かしい経歴を持っているのだ。
マヴィックのブレーキキャリパーは「軽量で、コントロール性能も良いので」と長年愛用し続けるパーツという。ホイールもマヴィックのコスミックだ。「以前あるプロ選手からハンドルを頂いたので、それにマッチするステムやシートポストを選んでいます」とイーストンで固められたハンドル周りを説明してくれた。
宮田直紀さん ウィリエール Cento1SR、中山海途さん サーヴェロ S2(愛工大名電高校)
5ステージスズカに出場していた愛知工業大学名電高校からは、宮田直紀さんと中山海途(かいと)さんが登場。MKWの森崎さんと同様に愛工大名電を始めとした高校生たちはフロント52T、リア14Tのジュニアギアを装着している。シマノ鈴鹿ロードの5ステージスズカでは、大人たちとの闘いに加えてジュニアカテゴリーも設けられており、高校生たちがしのぎを削っているのだ。
ウィリエール Cento1SRに乗る宮田さん、サーヴェロ S2を駆る中山さんともに重視しているのはカラーコーディネート。宮田さんはフレームのCento1SR、フィジーク Arioneというサドル、スピードプレイのペダル、シェイクスのブラケットカバー全て赤黒に統一されていた。ホイールはフルクラム RACING SPEED35だ。
赤黒の宮田さんに対して、青黒でコーディネートしていた中山さん。サーヴェロ S2の青いアクセントカラーに合わせるように、フィジークのARIONEとタイヤのサイドのみを青くしている。パーツのこだわりはエアロフレームと合わせるために手に入れたスペシャライズドのS-Works Carbon Aeroflyだ。
愛工大名電の自転車競技部は現在新入部員の募集が停止されており、宮田さんと中山さんら2年生が最後の部員となるそう。限られたメンバーで来年のインターハイを征するために、今から非常にモチベーションが高くなっていたような印象だ。
岸本伊織さん(MKW)アンカー RT9
今年の5ステージスズカはMKWというチームが活躍した。上記で紹介した森崎さんの個人総合に加えて、MKWがチーム総合でも優勝している。MKWとは三河の頭文字をとったもので、三河地域の速い人達を集めたというオールスターチームだ。
そんなMKWの一員が岸本伊織さん。第2ステージ・個人タイムトライアルで7位に入るほど健脚の岸本さんのTT用バイクはアンカー RT9だ。「実はこのバイク、通常品とは違いシートピラーが黒いカラーなんです。たまたまこのシートピラーが手元にやってきました」と岸本さん。
「ロードバイクはスペシャライズドのS-Worksに乗っているのですが、TTバイクはちょうど1年前、購入するタイミングでデビューしたRT9を選びました。国内ブランドということで期待を込めて購入しました」とこのバイクを選択した理由を教えてくれた。
パーツのこだわりはホイールだ。ホイールは、マヴィックやライトウェイト、コリマと試してきた中でカンパニョーロ GHIBLIをリアにチョイス。あえて古いモデルを選んでいるのは、多少の重量増より高速走行時のスピードの伸びの良さを重視したからだという。フロントはゼンティスのMARK 1 TT ホイール。「ホイールに関しては、これ以上の選択肢はありません」というほどだ。
岸本さんはシマノ鈴鹿ロードのタイムトライアルだけではなく、Coupe de AACAという愛知県を中心に開催されるレースイベントのタイムトライアルにも参加しているという。普段からTTバイクに乗る機会が多いため、機材やポジションが洗練されているのだろうと感じさせられた。
高田侑亮さん(TEAM DRONE)サーヴェロ P3
ポタリングを中心に活動するTEAM DRONEの高田侑亮さん。TEAM DRONEはシマノ鈴鹿ロードのように大きなイベントの時に集まってレースするチームだそう。今回チームTTに出場したのは、事の成り行きとのことで、TTバイクも今回の参加に合わせて購入したという。
「ほとんど衝動買いですよね。TTバイクに乗ったのも納車した2週間前が初めてで、この大会にあわせるために練習をしてきました」と高田さん。そんな高田さんの記念すべき初TTバイクはサーヴェロ P3。信頼しているショップの店長にオススメしてもらったものをそのまま購入したという。
パーツ類も店長セレクトで「まだ乗った期間が短いですが、今のところしっくり来ています」とのことだ。「チーム全員が一丸となって、トレインを回すのは気持ちが良かったです」と初TTTの感想を教えてくれた。
HRTのみなさん(武田光司さん、沖本篤さん、藤村剛さん、谷本康仁さん)BH AeroLight
山口県の自転車好きが集まって結成されたチーム「HRT」。シマノ鈴鹿ロードは今年で7年目の出場となる常連チームだ。昨年までは毎年5ステージスズカに出場していたというが、今年はチームタイムトライアル(JCF未登録)のみに照準を合わせて参加しているという。
HRTは「チームの一体感」にこだわり、レースに参加する4名中3名がBH AeroLightを選んでいる。「特に強制はしていませんが、全員が機材を揃える方向で、徐々に揃えている途中なんです」という。ハンドルバーもデダエレメンティのクロノスドゥエカーボンを使用している選手が2名。「DHバーが両端が下げられているのが戦闘機をイメージさせてカッコイイですよね。」ハンドルも将来的には揃えていくという。
そんなHRTは土曜日に3位入賞、日曜日は優勝を果たしている。ロードに加えてタイムトライアル用の機材を用意するのはハードルが高いが、チーム全員で機材を揃えるスタイルも格好良さもあると感じさせられた。
山家康平さん(+CHARIBU)オリジナルフレーム
何万人もの人とバイクが集まる鈴鹿ロード。今年、このイベントに参加した中でも最も奇抜な部類に入るバイクは、+CHARIBUの山家康平さん制作のハンドメイド・クロモリバイク「Struvive(ストラバイブ)」だろう。"struggle=もがく"と"survive=生き残る"という言葉を掛けあわせた造語で、それぞれの単語の意味の通り「もがいて生き残る」という意味だという。
Stravibeが奇抜な理由は、シートステーとシートチューブの接合部分が左右で異なるためだ。「シートステーの溶接位置を左右でずらしたら面白いのではないかと考えついたことが最初ですね。見た目のインパクトが欲しくてこのようなデザインとしました」と、シートステーの溶接部分をずらした理由を山家さんは語る。
駆動側は接合部分が下げられたため、リア三角形はコンパクトに。半駆動側は接合部分が上げられ、チューブ長が伸びているのだ。このアシンメトリックデザインの効果で、駆動側は力をダイレクトに推進力に変えてくれ、反駆動側は衝撃をマイルドに押し返してくれるという。また、アシンメトリックデザインが足の疲れ方に影響することはないと山家さんはいう。
このデザインの影響でリアブレーキがチェーンステーに取り付けられている。「BBの裏側に取り付けるダイレクトマウントではキャリパーがクランクに当たってしまうんです。なのでチェーンステーの上に通常のキャリパーを取り付けているのです」と山家さんは説明する。また、BB幅もMTB用の73mmにしたりと、ブレーキ位置に関しては最も試行錯誤を繰り返したという。
リア三角形に加えて、シフトケーブルを内装化としている点とそのアウター受けの溶接が非常に綺麗である点にもこだわりが見て取れる。ブレーキケーブルは整備性を考え外装とされた。
そんな細部まで拘ったバイクを作り上げた山家さん。「今は趣味の範囲ですが将来的にはオーダーフレームを作れる自転車屋になりたいと考えているので、今後はどんどん作っていきたいです。」と語ってくれた。
text&photo:Gakuto.Fujiwara
photo:Naoki.Yasuoka
森崎英登さん(MKW) スペシャライズド S-Works Tarmac
全国から集った強豪ホビーレーサーたちがしのぎを削る5ステージスズカを制した森崎英登(ひでと)さん。愛知産業大学工業高等学校に通う高校2年生だ。チャンピオンジャージと金メダル獲得に貢献した森崎さんの愛車はスペシャライズド S-Works Tarmacのサガンレプリカカラー。ロードステージもタイムトライアルもこのバイクで走り切った。
「個人的にサガンの積極的な走りが大好きということもあり、一目惚れしてしまいました」とアルカンシェルカラーをまとったサガンレプリカを選んだ理由を森崎さんは言う。サドルもサガンレプリカのプロロゴ スクラッチ2を選んでおり、サガンのファンだということがわかる。スプリンターである森崎さんのハンドルトステムは、プロスプリンターも愛用するPRO VIBE。
また、森崎さんは高体連に登録しているため、5ステージスズカでもフロント52T・リア14Tというギアが義務付けられている。その装備で並み居る強豪たちと相まみえ、ポディウムの頂点に立ったのだ。
「元々は高体連に登録するつもりがなかったので53Tのチェーンリングを使用していました」という森崎さんの足元には、シマノDURA-ACEのチェーリング(52-39T)に105のクランクが装着されている。なんでも高体連に登録する際、タイミング良く知り合いからDURA-ACEを譲ってもらえたのだという。「少し見た目は悪いですが、自力が強ければカッコイイと思ってもらえると思って、このままにしています」と森崎さん。
森崎さんが自転車競技をはじめたのは高校に入ってから。それからMKWのチーム発足のルーツとなった地元の練習やカミハギサイクルの実業団チームに参加しながら、月3,000km~4,000kmも乗り込み力をつけていったという。この次に目指すビッグタイトルは来年のインターハイ優勝だ。
太田貴明さん(ストラーダバイシクルズ) キャノンデール SUPERSIX Hi-Mod
「なにか面白いことをしようと思って、自転車をはじめた時に乗っていたバイクのカラーにしようと思いました」と説明してくれるのは、キャノンデール SUPERSIX Hi-Modをサエコ・キャノンデールのチームカラーに塗り替えたストラーダバイシクルズの太田貴明さん。
各部のロゴやステッカーまで当時のものをインターネットで探し、取り寄せ、サエコ・キャノンデールを忠実に再現したという。「ただそのままだと面白く無いので…」とシートステーにはストラーダバイシクルズのロゴを、チェーンステーには現行モデルそのままのSUPERSIXのロゴをあしらっている。カラーを黄色にし縁取っているだけだが、雰囲気は昔のそれと変わりなくまとまっている。
現在、ストラーダバイシクルズでテックスペシャリストとして活躍する太田さん。学生時代は全日本学生個人ロードタイムトライアルで優勝したり、トラックで活躍していた選手である。その後もチーム右京発足時のメンバーであったりと、競技面でも輝かしい経歴を持っているのだ。
マヴィックのブレーキキャリパーは「軽量で、コントロール性能も良いので」と長年愛用し続けるパーツという。ホイールもマヴィックのコスミックだ。「以前あるプロ選手からハンドルを頂いたので、それにマッチするステムやシートポストを選んでいます」とイーストンで固められたハンドル周りを説明してくれた。
宮田直紀さん ウィリエール Cento1SR、中山海途さん サーヴェロ S2(愛工大名電高校)
5ステージスズカに出場していた愛知工業大学名電高校からは、宮田直紀さんと中山海途(かいと)さんが登場。MKWの森崎さんと同様に愛工大名電を始めとした高校生たちはフロント52T、リア14Tのジュニアギアを装着している。シマノ鈴鹿ロードの5ステージスズカでは、大人たちとの闘いに加えてジュニアカテゴリーも設けられており、高校生たちがしのぎを削っているのだ。
ウィリエール Cento1SRに乗る宮田さん、サーヴェロ S2を駆る中山さんともに重視しているのはカラーコーディネート。宮田さんはフレームのCento1SR、フィジーク Arioneというサドル、スピードプレイのペダル、シェイクスのブラケットカバー全て赤黒に統一されていた。ホイールはフルクラム RACING SPEED35だ。
赤黒の宮田さんに対して、青黒でコーディネートしていた中山さん。サーヴェロ S2の青いアクセントカラーに合わせるように、フィジークのARIONEとタイヤのサイドのみを青くしている。パーツのこだわりはエアロフレームと合わせるために手に入れたスペシャライズドのS-Works Carbon Aeroflyだ。
愛工大名電の自転車競技部は現在新入部員の募集が停止されており、宮田さんと中山さんら2年生が最後の部員となるそう。限られたメンバーで来年のインターハイを征するために、今から非常にモチベーションが高くなっていたような印象だ。
岸本伊織さん(MKW)アンカー RT9
今年の5ステージスズカはMKWというチームが活躍した。上記で紹介した森崎さんの個人総合に加えて、MKWがチーム総合でも優勝している。MKWとは三河の頭文字をとったもので、三河地域の速い人達を集めたというオールスターチームだ。
そんなMKWの一員が岸本伊織さん。第2ステージ・個人タイムトライアルで7位に入るほど健脚の岸本さんのTT用バイクはアンカー RT9だ。「実はこのバイク、通常品とは違いシートピラーが黒いカラーなんです。たまたまこのシートピラーが手元にやってきました」と岸本さん。
「ロードバイクはスペシャライズドのS-Worksに乗っているのですが、TTバイクはちょうど1年前、購入するタイミングでデビューしたRT9を選びました。国内ブランドということで期待を込めて購入しました」とこのバイクを選択した理由を教えてくれた。
パーツのこだわりはホイールだ。ホイールは、マヴィックやライトウェイト、コリマと試してきた中でカンパニョーロ GHIBLIをリアにチョイス。あえて古いモデルを選んでいるのは、多少の重量増より高速走行時のスピードの伸びの良さを重視したからだという。フロントはゼンティスのMARK 1 TT ホイール。「ホイールに関しては、これ以上の選択肢はありません」というほどだ。
岸本さんはシマノ鈴鹿ロードのタイムトライアルだけではなく、Coupe de AACAという愛知県を中心に開催されるレースイベントのタイムトライアルにも参加しているという。普段からTTバイクに乗る機会が多いため、機材やポジションが洗練されているのだろうと感じさせられた。
高田侑亮さん(TEAM DRONE)サーヴェロ P3
ポタリングを中心に活動するTEAM DRONEの高田侑亮さん。TEAM DRONEはシマノ鈴鹿ロードのように大きなイベントの時に集まってレースするチームだそう。今回チームTTに出場したのは、事の成り行きとのことで、TTバイクも今回の参加に合わせて購入したという。
「ほとんど衝動買いですよね。TTバイクに乗ったのも納車した2週間前が初めてで、この大会にあわせるために練習をしてきました」と高田さん。そんな高田さんの記念すべき初TTバイクはサーヴェロ P3。信頼しているショップの店長にオススメしてもらったものをそのまま購入したという。
パーツ類も店長セレクトで「まだ乗った期間が短いですが、今のところしっくり来ています」とのことだ。「チーム全員が一丸となって、トレインを回すのは気持ちが良かったです」と初TTTの感想を教えてくれた。
HRTのみなさん(武田光司さん、沖本篤さん、藤村剛さん、谷本康仁さん)BH AeroLight
山口県の自転車好きが集まって結成されたチーム「HRT」。シマノ鈴鹿ロードは今年で7年目の出場となる常連チームだ。昨年までは毎年5ステージスズカに出場していたというが、今年はチームタイムトライアル(JCF未登録)のみに照準を合わせて参加しているという。
HRTは「チームの一体感」にこだわり、レースに参加する4名中3名がBH AeroLightを選んでいる。「特に強制はしていませんが、全員が機材を揃える方向で、徐々に揃えている途中なんです」という。ハンドルバーもデダエレメンティのクロノスドゥエカーボンを使用している選手が2名。「DHバーが両端が下げられているのが戦闘機をイメージさせてカッコイイですよね。」ハンドルも将来的には揃えていくという。
そんなHRTは土曜日に3位入賞、日曜日は優勝を果たしている。ロードに加えてタイムトライアル用の機材を用意するのはハードルが高いが、チーム全員で機材を揃えるスタイルも格好良さもあると感じさせられた。
山家康平さん(+CHARIBU)オリジナルフレーム
何万人もの人とバイクが集まる鈴鹿ロード。今年、このイベントに参加した中でも最も奇抜な部類に入るバイクは、+CHARIBUの山家康平さん制作のハンドメイド・クロモリバイク「Struvive(ストラバイブ)」だろう。"struggle=もがく"と"survive=生き残る"という言葉を掛けあわせた造語で、それぞれの単語の意味の通り「もがいて生き残る」という意味だという。
Stravibeが奇抜な理由は、シートステーとシートチューブの接合部分が左右で異なるためだ。「シートステーの溶接位置を左右でずらしたら面白いのではないかと考えついたことが最初ですね。見た目のインパクトが欲しくてこのようなデザインとしました」と、シートステーの溶接部分をずらした理由を山家さんは語る。
駆動側は接合部分が下げられたため、リア三角形はコンパクトに。半駆動側は接合部分が上げられ、チューブ長が伸びているのだ。このアシンメトリックデザインの効果で、駆動側は力をダイレクトに推進力に変えてくれ、反駆動側は衝撃をマイルドに押し返してくれるという。また、アシンメトリックデザインが足の疲れ方に影響することはないと山家さんはいう。
このデザインの影響でリアブレーキがチェーンステーに取り付けられている。「BBの裏側に取り付けるダイレクトマウントではキャリパーがクランクに当たってしまうんです。なのでチェーンステーの上に通常のキャリパーを取り付けているのです」と山家さんは説明する。また、BB幅もMTB用の73mmにしたりと、ブレーキ位置に関しては最も試行錯誤を繰り返したという。
リア三角形に加えて、シフトケーブルを内装化としている点とそのアウター受けの溶接が非常に綺麗である点にもこだわりが見て取れる。ブレーキケーブルは整備性を考え外装とされた。
そんな細部まで拘ったバイクを作り上げた山家さん。「今は趣味の範囲ですが将来的にはオーダーフレームを作れる自転車屋になりたいと考えているので、今後はどんどん作っていきたいです。」と語ってくれた。
text&photo:Gakuto.Fujiwara
photo:Naoki.Yasuoka
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