2016/01/20(水) - 08:54
キャノンデールが2016年モデルにて発表した、まったく新たな遊び方を提案してくれるマルチパーパスバイク「SLATE」。山本和弘さんの案内のもと、SLATE独特の世界観を体験できる試乗会が開催された様子をレポートしよう。
ドロップハンドルに30mmトラベルのサスペンションを組み合わせ、650Bのホイールに42cのスリックタイヤに油圧ディスクブレーキを装備した、これまでどのバイクブランドもラインアップしてこなかった全く新しいスタイルのバイクが、キャノンデールのSLATEである。(以前のレビュー記事はこちら)
その特徴的なルックス、そしてユニークさで多くのサイクリストの記憶にその存在を刻みつける一方で、果たしてどういった使い方をすればいいの?という疑問を抱いた方も決して少なくは無いはず。興味はあれど、具体的なシチュエーションが思い浮かばないという人も多いだろう。そこで、ロードバイクでも、MTBでも、シクロクロスバイクでもない、「SLATE」の遊び方を知りたいという人へ向けた、試乗ライドが開催されたのである。
この試乗会を主催するのは、全国的なスポーツバイクチェーンであるワイズロード。そして、このツーリングでSLATEの魅力を余すところなく伝えるために講師役を務めてくれたのは「カズ」こと山本和弘さん。MTB、シクロクロス、ロードレースで12年間の競技人生をキャノンデールと共に過ごし、選手を引退した現在はキャノンデール・ジャパンに勤務する、まさにキャノンデールバイクを知り尽くしたカズさんが同行し、SLATEの遊び方をレクチャーしてくれた。
SLATEツーリングの舞台となったのは、東京西部にあるトレイル。アプローチまでは舗装路を走り、道幅も広く整備されたジープロードを経由し、いくつかのトレイルを走るというコースだ。今回、この試乗会に集まったのは、普段ロードからMTBまで幅広く自転車を楽しんでいるベテランサイクリストから、普段はクロスバイクに乗っているという街乗り派まで、非常に幅広い層のみなさん。それぞれ、自転車に求めるものは違う方たちが、このユニークな自転車に引きつけられてきたのだ。
ずらりと並んだ試乗車を見て、「タイヤ太いなあ」とか「けっこうサスペンションもしっかりしてるんだね」といった感想を話す皆さん。顔合わせを済ませれば、早速ライドへと出発だ。トレイルの入り口までは4%程度の登り坂が現れる。ブロックタイヤのMTBであれば、勘弁してくれよ……と思ってしまう様な距離の登りであるが、みなさんかなり楽々と登っていく。
そこにカズさんがすかさず、「サスをロックアウトするともっと軽く登れますよ!」と話しかける。レフティの肩に設置されたボタンを押しこむと、ロックモードになるのだ。カズさんのアドバイスを受けてモードを切り替えると、「ギアが軽くなったみたい!」という声が上がる。ロードバイクにも負けない軽快な走りを堪能していると、あっというまにお楽しみのトレイルの入り口に辿りついた。
幅広のジープロードはきちんと整備されておりグラベルロードでも楽しめそう。でも、SLATEならもっと余裕をもって遊べる。ロードバイクではありえない、42cのタイヤのエアボリュームが安心感のある走りに繋がっているし、なにより乗り心地が良いのだ。
激坂だって、もうちょっとで登れそうだから、もう一回チャレンジさせて!という人も現れ、みんなで応援すればそれもまた楽しいライドの一場面だ。自転車任せになりすぎず、自分のテクニックも問われやすいSLATEなら、そういった楽しみ方もできるということ。
もう一本トレイルを下れば楽しかったライドも終わりである。会場まではまた舗装路を戻っていくが、ついついどこかに寄り道できそうなオフロードへの入り口は無いのかな?とキョロキョロしてしまうほどに、SLATEでのツーリングは楽しいひと時であった。
参加者のみなさんもSLATEの魅力にやられてしまったよう。帰ってきてからも、カズさんをはじめとしたキャノンデールのスタッフに色々な話を聞いている方もいれば、細部をためつすがめつしている人も。そんな参加者のみなさんに感想を聞いてみました。
茨城から来られたという広田さんは25年の自転車歴を持つベテランサイクリスト。ロード、MTB、シクロクロスと幅広く自転車を楽しんでいる。以前はレースに積極的に参加されていたが、今は少し離れているとのことで、より長く楽しめるバイクが欲しくなった時にSLATEが発表され、乗ることが出来る機会を待ち望んでいたんだとか。
「SLATEを見た瞬間に、今自分が欲しいバイクはこれだ!と分かったんですよね。実際に乗ってみたら、もう最高に楽しいバイクで、ずっと笑いが止まらないほど愉快なひと時を過ごせました。レースに出ないのであればこの一台で自転車の楽しみ方をほとんどカバーできると思います。」とSLATEを本当に気に入った様子。実際、ライド中も一番エンジョイされていました。
一方、三宅さんと板垣さんはオフロード未経験のお二人。普段はトライアスロンバイクに乗る三宅さんとクロスバイクに乗る板垣さんは、通勤をはじめとした普段使いが出来るバイクを探しているときにSLATEが目にとまったという。「TTバイクに普段から乗っていると、ドロップハンドルというだけでかなり楽なんですが、その上タイヤも太くて、サスもついているということで最高に乗りやすいバイクでした。オフロードも初めてで少し怖かったですけど、バイクが思っている以上に安定していて、凄く楽しかったです。」とは三宅さん。
板垣さんは「カーボンロードだと扱いに気を使いますし、MTBだと舗装路ではやっぱり走りが重いので、その間のような、頑丈ながらも軽快感があって乗り心地も良いというようなバイクを探していたんですが、SLATEは絶妙なバランスでとても気に入りました。トレイルライドも初めてでしたが、楽しく走れたのはSLATEのおかげもあったと思います。」とのことでした。
そして、今回のSLATEライドのゲストとして、その魅力を最大限に伝えてくれたカズさん。SLATEが発表されて以来、その世界観にどっぷり浸かり、どんなライドに行く時も常にSLATEを使っているというカズさんが感じたSLATEのエッセンス、そしてカズさん自身のSLATEでの遊び方を語ってもらいました。
「レースを引退してから、誰かと争うために速さを求めて自転車に乗るということが無くなりました。今自転車に乗っているのは純粋に楽しいからで、そんな今の自分のバイクライフスタイルにぴったりフィットしているのがSLATEなんです。競技以外のあらゆる自転車の楽しみ方を詰め込まれていて、乗れば乗るだけ新しい発見があって、どんどん好きになっていく。そんなバイクなんですよ。
本当に万能なバイクで、どこでも走れちゃう。そういうとなんだか帯に短したすきに長し、みたいな中途半端なバイクなんじゃない?って思う人もいると思うんです。でもそうじゃなくて、オンロードならオンロードで、オフロードならオフロードで本気で遊ぶことが出来るのがSLATEの魅力であり、これまでのバイクに無かったユニークさなんです。
実際、仲間と一緒にロングライドに行く時もトレイルライドに行く時も、僕はSLATEで参加しているんです。ロードバイクの仲間に混ざって一緒に何百キロも走ってきましたし、MTBの仲間と同じトレイルで山遊びを楽しんできました。それぞれのフィールドにおいてロードやMTBよりも『速いか、遅いか』を比べるのであれば、SLATEを中途半端なバイクだと評価することはできるかもしれない。でも、『楽しく走れるか否か』という見方であれば、それぞれの分野のバイクに勝るとも劣りません。ロードバイクとMTB、それぞれの楽しさを1とするなら、SLATEは2、あるいはそれ以上の遊び方を提案してくれます。
そして、今この分野のバイクはSLATEしかないけれど、5年後にはこのスタイルが当たり前になっているはず。このバイクの持つ世界観と可能性をもっともっと広げていきたいですし、色んな人に知ってもらいたい。サスが何mmストロークで、タイヤは何mm幅で、フレームは何gでといったスぺックシートだけでは伝えきれない『楽しさ』こそがこのバイクの真髄で、それは実際に乗って遊ばないと分からない。多分、みなさんが想像しているよりもずっと楽しい世界が待っています。それを伝えるために、こういった試乗ライドやSLATE向けの林道コースなどを紹介していく予定なので、ぜひ一度乗りに来てほしいですね!」
text:Naoki.YASUOKA
photo:Makoto.AYANO,Naoki.YASUOKA
ドロップハンドルに30mmトラベルのサスペンションを組み合わせ、650Bのホイールに42cのスリックタイヤに油圧ディスクブレーキを装備した、これまでどのバイクブランドもラインアップしてこなかった全く新しいスタイルのバイクが、キャノンデールのSLATEである。(以前のレビュー記事はこちら)
その特徴的なルックス、そしてユニークさで多くのサイクリストの記憶にその存在を刻みつける一方で、果たしてどういった使い方をすればいいの?という疑問を抱いた方も決して少なくは無いはず。興味はあれど、具体的なシチュエーションが思い浮かばないという人も多いだろう。そこで、ロードバイクでも、MTBでも、シクロクロスバイクでもない、「SLATE」の遊び方を知りたいという人へ向けた、試乗ライドが開催されたのである。
この試乗会を主催するのは、全国的なスポーツバイクチェーンであるワイズロード。そして、このツーリングでSLATEの魅力を余すところなく伝えるために講師役を務めてくれたのは「カズ」こと山本和弘さん。MTB、シクロクロス、ロードレースで12年間の競技人生をキャノンデールと共に過ごし、選手を引退した現在はキャノンデール・ジャパンに勤務する、まさにキャノンデールバイクを知り尽くしたカズさんが同行し、SLATEの遊び方をレクチャーしてくれた。
SLATEツーリングの舞台となったのは、東京西部にあるトレイル。アプローチまでは舗装路を走り、道幅も広く整備されたジープロードを経由し、いくつかのトレイルを走るというコースだ。今回、この試乗会に集まったのは、普段ロードからMTBまで幅広く自転車を楽しんでいるベテランサイクリストから、普段はクロスバイクに乗っているという街乗り派まで、非常に幅広い層のみなさん。それぞれ、自転車に求めるものは違う方たちが、このユニークな自転車に引きつけられてきたのだ。
ずらりと並んだ試乗車を見て、「タイヤ太いなあ」とか「けっこうサスペンションもしっかりしてるんだね」といった感想を話す皆さん。顔合わせを済ませれば、早速ライドへと出発だ。トレイルの入り口までは4%程度の登り坂が現れる。ブロックタイヤのMTBであれば、勘弁してくれよ……と思ってしまう様な距離の登りであるが、みなさんかなり楽々と登っていく。
そこにカズさんがすかさず、「サスをロックアウトするともっと軽く登れますよ!」と話しかける。レフティの肩に設置されたボタンを押しこむと、ロックモードになるのだ。カズさんのアドバイスを受けてモードを切り替えると、「ギアが軽くなったみたい!」という声が上がる。ロードバイクにも負けない軽快な走りを堪能していると、あっというまにお楽しみのトレイルの入り口に辿りついた。
幅広のジープロードはきちんと整備されておりグラベルロードでも楽しめそう。でも、SLATEならもっと余裕をもって遊べる。ロードバイクではありえない、42cのタイヤのエアボリュームが安心感のある走りに繋がっているし、なにより乗り心地が良いのだ。
激坂だって、もうちょっとで登れそうだから、もう一回チャレンジさせて!という人も現れ、みんなで応援すればそれもまた楽しいライドの一場面だ。自転車任せになりすぎず、自分のテクニックも問われやすいSLATEなら、そういった楽しみ方もできるということ。
もう一本トレイルを下れば楽しかったライドも終わりである。会場まではまた舗装路を戻っていくが、ついついどこかに寄り道できそうなオフロードへの入り口は無いのかな?とキョロキョロしてしまうほどに、SLATEでのツーリングは楽しいひと時であった。
参加者のみなさんもSLATEの魅力にやられてしまったよう。帰ってきてからも、カズさんをはじめとしたキャノンデールのスタッフに色々な話を聞いている方もいれば、細部をためつすがめつしている人も。そんな参加者のみなさんに感想を聞いてみました。
茨城から来られたという広田さんは25年の自転車歴を持つベテランサイクリスト。ロード、MTB、シクロクロスと幅広く自転車を楽しんでいる。以前はレースに積極的に参加されていたが、今は少し離れているとのことで、より長く楽しめるバイクが欲しくなった時にSLATEが発表され、乗ることが出来る機会を待ち望んでいたんだとか。
「SLATEを見た瞬間に、今自分が欲しいバイクはこれだ!と分かったんですよね。実際に乗ってみたら、もう最高に楽しいバイクで、ずっと笑いが止まらないほど愉快なひと時を過ごせました。レースに出ないのであればこの一台で自転車の楽しみ方をほとんどカバーできると思います。」とSLATEを本当に気に入った様子。実際、ライド中も一番エンジョイされていました。
一方、三宅さんと板垣さんはオフロード未経験のお二人。普段はトライアスロンバイクに乗る三宅さんとクロスバイクに乗る板垣さんは、通勤をはじめとした普段使いが出来るバイクを探しているときにSLATEが目にとまったという。「TTバイクに普段から乗っていると、ドロップハンドルというだけでかなり楽なんですが、その上タイヤも太くて、サスもついているということで最高に乗りやすいバイクでした。オフロードも初めてで少し怖かったですけど、バイクが思っている以上に安定していて、凄く楽しかったです。」とは三宅さん。
板垣さんは「カーボンロードだと扱いに気を使いますし、MTBだと舗装路ではやっぱり走りが重いので、その間のような、頑丈ながらも軽快感があって乗り心地も良いというようなバイクを探していたんですが、SLATEは絶妙なバランスでとても気に入りました。トレイルライドも初めてでしたが、楽しく走れたのはSLATEのおかげもあったと思います。」とのことでした。
そして、今回のSLATEライドのゲストとして、その魅力を最大限に伝えてくれたカズさん。SLATEが発表されて以来、その世界観にどっぷり浸かり、どんなライドに行く時も常にSLATEを使っているというカズさんが感じたSLATEのエッセンス、そしてカズさん自身のSLATEでの遊び方を語ってもらいました。
「レースを引退してから、誰かと争うために速さを求めて自転車に乗るということが無くなりました。今自転車に乗っているのは純粋に楽しいからで、そんな今の自分のバイクライフスタイルにぴったりフィットしているのがSLATEなんです。競技以外のあらゆる自転車の楽しみ方を詰め込まれていて、乗れば乗るだけ新しい発見があって、どんどん好きになっていく。そんなバイクなんですよ。
本当に万能なバイクで、どこでも走れちゃう。そういうとなんだか帯に短したすきに長し、みたいな中途半端なバイクなんじゃない?って思う人もいると思うんです。でもそうじゃなくて、オンロードならオンロードで、オフロードならオフロードで本気で遊ぶことが出来るのがSLATEの魅力であり、これまでのバイクに無かったユニークさなんです。
実際、仲間と一緒にロングライドに行く時もトレイルライドに行く時も、僕はSLATEで参加しているんです。ロードバイクの仲間に混ざって一緒に何百キロも走ってきましたし、MTBの仲間と同じトレイルで山遊びを楽しんできました。それぞれのフィールドにおいてロードやMTBよりも『速いか、遅いか』を比べるのであれば、SLATEを中途半端なバイクだと評価することはできるかもしれない。でも、『楽しく走れるか否か』という見方であれば、それぞれの分野のバイクに勝るとも劣りません。ロードバイクとMTB、それぞれの楽しさを1とするなら、SLATEは2、あるいはそれ以上の遊び方を提案してくれます。
そして、今この分野のバイクはSLATEしかないけれど、5年後にはこのスタイルが当たり前になっているはず。このバイクの持つ世界観と可能性をもっともっと広げていきたいですし、色んな人に知ってもらいたい。サスが何mmストロークで、タイヤは何mm幅で、フレームは何gでといったスぺックシートだけでは伝えきれない『楽しさ』こそがこのバイクの真髄で、それは実際に乗って遊ばないと分からない。多分、みなさんが想像しているよりもずっと楽しい世界が待っています。それを伝えるために、こういった試乗ライドやSLATE向けの林道コースなどを紹介していく予定なので、ぜひ一度乗りに来てほしいですね!」
text:Naoki.YASUOKA
photo:Makoto.AYANO,Naoki.YASUOKA
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