2015/06/09(火) - 09:08
さて、前回で白馬ジャンプ場エイドの折り返しまで辿りついたアルプスあづみのセンチュリーライド実走レポート。今年はそこから先にこの大会最高の絶景が待っていたのでした。
白馬ジャンプ場エイドを出発したあとは、帰るだけと思っていたら大間違い。そのまま安曇野方面へと向かった昨年までとは異なり、白馬エリアをぐるっと一周してから南へと向かっていくことになる。まずは白馬駅へと下っていく。駅前でサイクルトレインコースの人とお別れし、しばらく行くと松川沿いの道に。
実はここ、豊かな水量を誇る松川を左手に、前方には冠雪した白馬の山々が迫ってくる大パノラマを2km弱にわたって堪能できる絶景コースなのだ。コース監修の鈴木雷太さんが「白馬で一番景色が綺麗なロケーション」と言うのが納得できる。途中にはタリーズとコラボしたスペシャライズドオーナー限定のエイドステーションも設置されており、スペシャバイクのライダーはこの風景とコーヒーを味わうことができたよう。想像するだに、なんとも贅沢なひと時で羨ましい限り。
そこからは一路南へと向かっていく。めざすは長野オリンピックのクロスカントリースキーの競技場となったスノーハープ。ここでは、ふかふかの皮にあんこが詰められたおやき(なんと蒸したて!)が振る舞われる。昨年の取材では復路でハンガーノックになったものだけれど、今年はそんな心配は一切無用!と言わんばかりのエイド攻勢なのだ。
スノーハープエイドの後は、もう一度仁科三湖を通りすぎることに。聖地「縁川商店」に集まる参加者たちを左目に見つつ、少し遅れ気味なので先を急いでいく。木崎湖から、大町美麻エイドへ向けて、160kmのコースの中で最も本格的な登りが登場する。
とはいえ距離3km、平均斜度3.5%とかなり緩やかなので、人によってはアウターでも十分なほど。木陰の登りなので、体温も上がりづらく非常に気持ちのよいヒルクライム区間なので、疲れがたまっている後半にも関わらず快調に登っていくことができるのだ。
登り終えた先にある大町美麻エイドでは、そば粉でつくった薄焼と沢山の薬味が載った冷ややっこが待っていた。短いとはいえ、登りは登り。しかもここまで110㎞も走ってきているのだ。あっさりとしていて疲れた胃腸にも優しい味わいと、適度にお腹にたまる量なのも嬉しいポイント。
ほぼ、コース最高標高地点となる大町美麻エイドを超えると、後は下っていくだけ。信濃大町の街中を抜けて、往路でも走った見覚えのある道を走っていく。穂高川の支流、乳川沿いには今年の新設エイドである松川エイドが設置されている。絵本作家のいわさきちひろに関する展示を集めた安曇野ちひろ美術館の敷地の中に設けられたエイドは、そこはかとなくアートな雰囲気を醸し出していた。ここでは黒豆ようかんをいただいて残り30kmに力をもらう。
松川エイドの後は、川沿いの農道をはじめとした走りやすいルートを辿り、最後の安曇野エイドに向かって距離を消化していく。昨年は往路と復路ともにあずみの穂高公園内にエイドが設けられていたが、復路だとルートを外れて一度登る必要があったためスキップする参加者も多かった。しかし、今年の安曇野エイドはルート沿いにあるため、訪れやすくなっていた。
安曇野エイドでは、地元産の林檎を使った林檎ジュースとだったんクリームクランチが配られる。140kmを走ってきた身体に、甘酸っぱい果汁が沁み込んでいく。ここまで来れば残りは20kmも無い。もういちどリンゴ畑の中を走り抜けてゴール地点となる梓水苑へと駆け抜ける。疲れ気味の参加者の皆さんも、ゴールが近づくにつれてだんだん元気になっていくのが、微笑ましい。
朝、1500人を送りだしてくれたスペシャライズドのエアアーチが再びサイクリストを出迎えてくれる。ゲートを誰かがくぐるたび、MCが一人づつにねぎらいの言葉をかけてくれ、160km走り切ったことを実感させてくれる。他にも、ゴール会場には完走証の発行や完走おめでタイ焼きのふるまいなど、それぞれ完走を祝福してくれる企画が盛りだくさん。ステージには大会バックパネルを背景に完走記念写真を撮ろうと長い列が出来ていた。
他にも、全身にたまった疲労を癒してくれるスポーツアロママッサージブースも大盛況。そして、疲れをとるという点でやっぱり欠かせないのはお風呂。ロングライドイベントのゴール後に近場の温泉を探してさまよった経験はだれしもあるはず。しかし、梓水苑には日帰り入浴施設も併設されており、ゴール会場から移動することなく汗を流すこともできるのだ。まさにスタートからゴールまで、至れり尽くせりのホスピタリティに満ちた1日となった。
先着エントリーは2分で埋まるカテゴリが出るなど、押しも押されぬ人気大会となったアルプスあづみのセンチュリーライド。だが、その現状に胡坐をかいてはいなかった。新コースは、より走りやすく景色を楽しめるように進化し、エイドステーションも配置間隔やアプローチ、場内レイアウトや提供物を見直すことで、よりおいしいグルメを味わいながら安心して走ることができるようにブラッシュアップされていた。
また、「100%の安全」を掲げて開催された今大会では、参加者が一般の方と関係するような事故は一件も起きなかったという。それは、事前段階からの入念な告知や、大会当日のスタッフ配置や呼びかけといった主催者側の取り組みはもちろん、AACRに集うサイクリスト達がこの大会が無くなっては困る、という切実な思いと愛があったからではないだろうか。
最高の運営と参加者に支えられた幸せな大会として、毎年進化しつづけていくAACR。来年はどんな素晴らしい体験ができるのだろう。いまから楽しみでならない。
text:Naoki.YASUOKA
photo:Makoto.AYANO,Naoki.YASUOKA
フォトアルバム(CW FaceBook)
白馬ジャンプ場エイドを出発したあとは、帰るだけと思っていたら大間違い。そのまま安曇野方面へと向かった昨年までとは異なり、白馬エリアをぐるっと一周してから南へと向かっていくことになる。まずは白馬駅へと下っていく。駅前でサイクルトレインコースの人とお別れし、しばらく行くと松川沿いの道に。
実はここ、豊かな水量を誇る松川を左手に、前方には冠雪した白馬の山々が迫ってくる大パノラマを2km弱にわたって堪能できる絶景コースなのだ。コース監修の鈴木雷太さんが「白馬で一番景色が綺麗なロケーション」と言うのが納得できる。途中にはタリーズとコラボしたスペシャライズドオーナー限定のエイドステーションも設置されており、スペシャバイクのライダーはこの風景とコーヒーを味わうことができたよう。想像するだに、なんとも贅沢なひと時で羨ましい限り。
そこからは一路南へと向かっていく。めざすは長野オリンピックのクロスカントリースキーの競技場となったスノーハープ。ここでは、ふかふかの皮にあんこが詰められたおやき(なんと蒸したて!)が振る舞われる。昨年の取材では復路でハンガーノックになったものだけれど、今年はそんな心配は一切無用!と言わんばかりのエイド攻勢なのだ。
スノーハープエイドの後は、もう一度仁科三湖を通りすぎることに。聖地「縁川商店」に集まる参加者たちを左目に見つつ、少し遅れ気味なので先を急いでいく。木崎湖から、大町美麻エイドへ向けて、160kmのコースの中で最も本格的な登りが登場する。
とはいえ距離3km、平均斜度3.5%とかなり緩やかなので、人によってはアウターでも十分なほど。木陰の登りなので、体温も上がりづらく非常に気持ちのよいヒルクライム区間なので、疲れがたまっている後半にも関わらず快調に登っていくことができるのだ。
登り終えた先にある大町美麻エイドでは、そば粉でつくった薄焼と沢山の薬味が載った冷ややっこが待っていた。短いとはいえ、登りは登り。しかもここまで110㎞も走ってきているのだ。あっさりとしていて疲れた胃腸にも優しい味わいと、適度にお腹にたまる量なのも嬉しいポイント。
ほぼ、コース最高標高地点となる大町美麻エイドを超えると、後は下っていくだけ。信濃大町の街中を抜けて、往路でも走った見覚えのある道を走っていく。穂高川の支流、乳川沿いには今年の新設エイドである松川エイドが設置されている。絵本作家のいわさきちひろに関する展示を集めた安曇野ちひろ美術館の敷地の中に設けられたエイドは、そこはかとなくアートな雰囲気を醸し出していた。ここでは黒豆ようかんをいただいて残り30kmに力をもらう。
松川エイドの後は、川沿いの農道をはじめとした走りやすいルートを辿り、最後の安曇野エイドに向かって距離を消化していく。昨年は往路と復路ともにあずみの穂高公園内にエイドが設けられていたが、復路だとルートを外れて一度登る必要があったためスキップする参加者も多かった。しかし、今年の安曇野エイドはルート沿いにあるため、訪れやすくなっていた。
安曇野エイドでは、地元産の林檎を使った林檎ジュースとだったんクリームクランチが配られる。140kmを走ってきた身体に、甘酸っぱい果汁が沁み込んでいく。ここまで来れば残りは20kmも無い。もういちどリンゴ畑の中を走り抜けてゴール地点となる梓水苑へと駆け抜ける。疲れ気味の参加者の皆さんも、ゴールが近づくにつれてだんだん元気になっていくのが、微笑ましい。
朝、1500人を送りだしてくれたスペシャライズドのエアアーチが再びサイクリストを出迎えてくれる。ゲートを誰かがくぐるたび、MCが一人づつにねぎらいの言葉をかけてくれ、160km走り切ったことを実感させてくれる。他にも、ゴール会場には完走証の発行や完走おめでタイ焼きのふるまいなど、それぞれ完走を祝福してくれる企画が盛りだくさん。ステージには大会バックパネルを背景に完走記念写真を撮ろうと長い列が出来ていた。
他にも、全身にたまった疲労を癒してくれるスポーツアロママッサージブースも大盛況。そして、疲れをとるという点でやっぱり欠かせないのはお風呂。ロングライドイベントのゴール後に近場の温泉を探してさまよった経験はだれしもあるはず。しかし、梓水苑には日帰り入浴施設も併設されており、ゴール会場から移動することなく汗を流すこともできるのだ。まさにスタートからゴールまで、至れり尽くせりのホスピタリティに満ちた1日となった。
先着エントリーは2分で埋まるカテゴリが出るなど、押しも押されぬ人気大会となったアルプスあづみのセンチュリーライド。だが、その現状に胡坐をかいてはいなかった。新コースは、より走りやすく景色を楽しめるように進化し、エイドステーションも配置間隔やアプローチ、場内レイアウトや提供物を見直すことで、よりおいしいグルメを味わいながら安心して走ることができるようにブラッシュアップされていた。
また、「100%の安全」を掲げて開催された今大会では、参加者が一般の方と関係するような事故は一件も起きなかったという。それは、事前段階からの入念な告知や、大会当日のスタッフ配置や呼びかけといった主催者側の取り組みはもちろん、AACRに集うサイクリスト達がこの大会が無くなっては困る、という切実な思いと愛があったからではないだろうか。
最高の運営と参加者に支えられた幸せな大会として、毎年進化しつづけていくAACR。来年はどんな素晴らしい体験ができるのだろう。いまから楽しみでならない。
text:Naoki.YASUOKA
photo:Makoto.AYANO,Naoki.YASUOKA
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