2015/05/25(月) - 09:25
今年で20周年を迎える人気のマウンテンバイク大会、アキグリーンカップが5月16・17日に開催された。初心者から上級者まで、盛りだくさんの種目で誰もが満足。2日間のイベントの模様をフルダイジェストでお届けします。
アキコーポレーションが主催する「AKI GREEN CUP Festival」は、マウンテンバイカーには定番のイベントとして高い人気を誇っている。「初心者から上級者、ファミリーや仲間で楽しめる1年に一度のスポーツサイクル運動会」というテーマで、幅広い種目を用意。
クロスカントリーに耐久レース、下り系の新種目エンデューロにMTBロングライド、ツーリングイベント、トレールランニングにシクロクロスと、オフロード系の多くの種目を取り揃え、上級者からビギナー、ベテランからキッズまで幅広い層のMTBライダーが思う存分楽しむことができるというコンセプト。メイン会場は標高1,250mの富士見高原リゾート。
主催者のアキコーポレーションはガノーやコナをはじめ多くのブランドの輸入代理店をつとめている。XC系からDH、下り系MTBにロード、クロスバイク、シクロクロスバイクまで幅広い取り扱い車種やアパレル、アクセサリーを取り扱っているだけあって、それらの車種すべてで遊べるソフトを提供しようという想いからか、アキグリーンカップにはとにかく参加種目が豊富に用意してあって選ぶのに迷うほどだ。
多くの参加者は2日間でダブル、トリプル、あるいはそれ以上の複数エントリーで2日間をフルに楽しむ。今回の取材では多くの種目を紹介できるように取材を行った。
2ステージの下り系レース 新種目 「エンデューロ」
少し涼しい気候で開幕した初日。まずは新種目エンデューロからプログラムはスタート。下り基調の「ステージ」と呼ばれる2つのコースをタイム計測し、合計タイムにより順位を決定する下り系の新種目だ(ちなみにこの種目の登場で従来のエンデューロは「耐久レース」に名を変えた)。
雨上がりすぐの状態のコースは木の根や滑りやすいポイントも多く、やや慎重に下る選手たち。本格的なエンデューロスタイルを先取りしている人、あるいはXCスタイルの流用で楽しむ人などそれぞれ。流行りの新種目のルールを緩和しての開催ということで、エンデューロ入門としてもバッチリだ。
エクストリームトレイルランニング 耐久
会場の回りの雑木林につけられた1周2.5キロのショートコースで、90分内に何周できるかを競うトレイルランニング。スキーゲレンデから見渡せるコースは「カモシカなどの動物が良く出てくる」というほど自然の雰囲気たっぷりの雑木林だ。
ちなみに参加者に混じってコースを数周してみるも、その高低差の厳しさはナカナカのもの。スキーリフト下の下りから、手を使ってよじ登る箇所も。時間は90分と長いため、歩いてしまう人も多いが、それでもたっぷり楽しめる変化に富んだコースだ。
2人の周回数の合計で順位が決定される「ペア」も用意され、親子で一緒に走る参加者も。トレラン入門としては最適で、専用のトレランシューズがあれば最高だが、バイクウェアにランシューズでも十分始められるので、気になる人はまずチャレンジしてみよう。ゴール後すぐに近くの温泉「鹿の湯」に運んでくれるシャトルバスサービスもあるのも嬉しい。
井手川直樹選手がガイドするMTBツアー
今季よりアキファクトリーチームに加入した井手川直樹選手プロデュースによるMTBツアー。主には初心者と子供たちが対象で、午前の部は8時間耐久で使用されるコース、午後の部はエンデューロで使用したシングルトラックを巡る。アップダウンの多いテクニカルコースだが、トップダウンヒラーの井手川選手はキッズスクール開催にも熱心な「教えるプロ」。
チームメイトの永田隼也選手と加藤将来選手も参加してくれて、ゆっくりと自然を楽しみながら、ときどきテクニックを教えてもらいながらのプチMTBツアーだった。ちなみに井手川選手は今年、プロ生活20周年でグリーンカップと同じとは奇遇だ。おめでとうございます!
カメラと楽しむ「フォトサイクリングツアー」
「カメラで風景を撮影しながらポタリングしたい」といった人にピッタリの企画がこのツアーだ。先導役&講師をつとめるのはかつてBICYCLE MAGAZINEの編集長などもつとめ、2014年には新雑誌、その名もズバリ「Bicycle Photo magazine」を立ち上げた石川望(イシカワノゾム)さん。
自転車に乗りながらの撮影をライフワークにする石川さんが、自転車に乗っってツーリングの先導をしながら撮影テクニックを伝授してくれるというもの。参加者は皆デジカメ持参で集まり、レース会場から外へと散走していった。レポーターの私も自転車で帯同しながら取材させてもらった。
ウォームアップにカメラの設定などの簡単なレクチャーを済ませると、石川さんが撮影地に選んだのは会場から6kmほど離れた河原。清流と唐松林のフィールドで、しばし撮影&講習タイム。液晶画面を見ながら撮影テクニックを基礎からたっぷり伝授してくれました。
初登場にしてグリーンカップ史上最高の「MTB8時間耐久レース」
アキグリーンカップ史上最長の8時間で開催される耐久レース。アキグリーンカップで常に最大の参加者数を集めるメインイベントの一つ。チームで、仲間で参加するお楽しみ種目だ。
ソロ〜チームで8時間でコースを何周できるかを競う。4時間耐久も用意され、8時間はお昼12時にスタートして20時まで。4時間の部は16時にスタートして合流して、夜20時のゴールは皆が一緒だ。「20周年だから20時ゴールで!」ということで企画が決まったということだが、なんでも企画段階では20時間耐久という話も出たらしい(笑)。
夜のゴールということで17時30以降はライトの点灯が義務付けられた。ゲレンデは照明があるものの、雑木林のトレールは暗くて、2灯式などの光量の十分なライトは必須だったようだ。お昼に始まったレースの、真っ暗闇のレース終盤は会場全体がヒートアップ!
三浦恭資、大竹雅一、原宣功の3人のレジェンドが参加!
MTB会の黎明期を知るお父さん方が泣いて喜ぶほどの大きなトピックスは、三浦恭資さん、大竹雅一さん、原宣功さんの3人のレジェンドが4時間耐久にチームを組んで参加したこと。チーム名は「シマノ・オールドスクール」。
かつてシマノレーシングに所属してMTBコンポーネントの開発をともにした3人。全日本MTBチャンプ、3度のアジアチャンプ、五輪代表経験者のキングこと三浦さん、そしてかつてから現在までXTRの開発を担当する「ミスターXTR」の原さん、初代全日本MTBチャンプ&日本のMTBの始祖的存在で、今はMTBショップオオタケの店主の大竹さんがトリオで出場。最近、フェイスブックなどで連絡をとりあい、このレースの出場を決めたとか。そしてチームクラスで3位の表彰台ゲットはさすがです。
表彰式が終わると9時。会場近くには温泉「鹿の湯」があり、耐久レース参加者でキャンプ申込者には特別配慮として閉館後の9時半まで入浴が可能なサービスが行われた。会場の駐車場が夜はオートキャンプ場になり、ここで仲間たちとキャンプを楽しむ人も多い。南アルプスの夜空の星はとても綺麗だ。
2日目
タフでアドベンチャーな MTBロングライドレース 20・40・60・80km
2日目のメインディッシュ的な朝イチイベントは、今年から新企画された「MTBロングライド」。富士見高原スキー場から創造の森、国有林を経て大会会場の富士見高原スキー場へ戻る1周20キロのコースを走行するロングライドレースだ。この初イベントを取材するべく、私もMTBに乗ってコースを一周することに。
ゲレンデを飛び出した一行は美しい白樺林の間をジグザグに縫う舗装路をで延々と登る。とにかく40分、登りが続くのだ。上り詰めると突然展望が開け、冠雪の南アルプスと富士山の大パノラマが広がる絶景ポイントへと出る。思わずペダルを止めて写真を撮る人もチラホラ。そして少しの下り区間に入って、また20分登る。合計1時間の登りのあとは、ジープロードの下りだ。
標高1,340mのスタート地点から出発する20kmのコースの内訳は、ジープロード85%、アスファルト10%、シングルトラック10%で、最高標高地点は1,950m。多くの区間が自然林の中を行くため夏日でも涼しく、風景が堪能できる。国立公園のため普段は走ることができないエリアと林道を地元の協力により開放してくれている。
ダイナミックなコースは「SDA王滝よりもコンパクトで密度が高い」という声も。とにかく1周するだけで素晴らしい体験。それを複数回周る人は真のチャレンジャーだ。水とエナジーゼリーの補給は大会側でもスタート/ゴール地点で用意してくれるが、パンク等のセルフリペア能力も必要。王滝の予行演習などにも絶好のイベントだと感じた。
子供たちの熱き戦い キッズ&ジュニアクロスカントリー
会場ではXCレースがメインメニューに。キッズやジュニアに手厚いグリーンカップ。ブースエリアでは補助輪つきのバイクから楽しめるミルキーレースが続き、井手川さんらによるサポート付きのスクールが開催される。駄菓子のプレゼントにスーパーボールすくいなども用意され、子供たちを飽きさせない。
そしてゲレンデのコースでは小学校低学年(Lo)、高学年(Hi)、中学1〜3年(Jr)と3つにクラス分けされたクロスカントリーレースが開催。どのクラスも逆転と接戦の熱い勝負が繰り広げられ、大人たち(つまりパパさんママさん)を興奮と感動のるつぼに(笑)。
キッズのクラスは従来無料だったが、今年から参加費500円に(それでも格安!)。そしてそれらの収益は緑の基金に寄付され、会場に桜の苗木を植える植樹セレモニーが行われた。子供たち自身の手によって行われた植樹。子供たちの成長にあわせて伸びる木を、毎年参加することでコースの脇に見続けることができるとは、ちょっと素敵な話だ。
「ちょっと暑かった!?」新種目のシクロクロス
人気のシクロクロスが新メニューとして加わった。クラスは20・30・60分の3つ。コースクリエイターには東北CXプロジェクト&チームCHAINRING代表の菅田純也さん。起伏の大きな会場周辺に、シクロクロスにぴったりのコースが設定された。ビギナー向けの20分。そして60分がカテゴリー1相当として設定されたが、当日の気候は夏日。負荷が高過ぎるとして60分に申し込んだ参加者の同意を得て30分に短縮して行われた。
レースはカテ1選手の伊澤一嘉選手(Tonic CX)とマスターズの雄・浅井秀樹(cycleclub 3up)のバトルに。伊澤は昨日の8時間耐久にチームで出場、浅井は午前のMTBロングレースの40kmの部を走って、ともに疲労の残る状態。レースを制したのは浅井。華麗なジャンプを見せてファンサービスにつとめた伊澤が2位フィニッシュ(だがクラス優勝)。参加者はサマークロスならではの暑さに苦しめられたようだ。
豪華賞品たっぷりで参加者・入賞者も大満足
表彰式では何台も自転車が商品として提供された。そしてイベントの締めくくりはじゃんけん大会と自転車の争奪駆けっこ。これらの豪華賞品・商品の提供っぷりはさすがアキコーポレーションと唸らせてくれる充実ぶり。とくに今年は20周年記念とあって協賛メーカーからも提供賞品が多かったようだ。
2日間を通して感じたのは、アットホームで暖かい雰囲気と、初心者・入門者にやさしいイベント種目の数々。さりとて本格派も満足な種目もたっぷり用意され、複数エントリーで体力の限界に挑戦できるほどフル参戦することも可能だ。とくに新イベントのロングライドなどはさながら「プチ王滝」とも言えそうな冒険ライドで、自然を走破するMTBの醍醐味をたっぷりと味あわせてくれる。
また、「初心者から上級者、ファミリーや仲間で楽しめる1年に一度のスポーツサイクル運動会」というテーマどうりの種目設定。さらにイベント自体が参加者や会場となる自然への還元を考えていることを思わせる配慮が随所にうかがえ、自然を相手に楽しむMTBの精神としっくりくるのが嬉しい。
20周年おめでとうございます。どうかこの先もこのイベントが末永く続きますように!
2日間のイベントの模様は写真たっぷり、タグ付け可能な以下のアルバムでお楽しみください。参加したあなたは写っていますか?
フォトギャラリー(CW FaceBook)
photo&text:Makoto.AYANO
アキコーポレーションが主催する「AKI GREEN CUP Festival」は、マウンテンバイカーには定番のイベントとして高い人気を誇っている。「初心者から上級者、ファミリーや仲間で楽しめる1年に一度のスポーツサイクル運動会」というテーマで、幅広い種目を用意。
クロスカントリーに耐久レース、下り系の新種目エンデューロにMTBロングライド、ツーリングイベント、トレールランニングにシクロクロスと、オフロード系の多くの種目を取り揃え、上級者からビギナー、ベテランからキッズまで幅広い層のMTBライダーが思う存分楽しむことができるというコンセプト。メイン会場は標高1,250mの富士見高原リゾート。
主催者のアキコーポレーションはガノーやコナをはじめ多くのブランドの輸入代理店をつとめている。XC系からDH、下り系MTBにロード、クロスバイク、シクロクロスバイクまで幅広い取り扱い車種やアパレル、アクセサリーを取り扱っているだけあって、それらの車種すべてで遊べるソフトを提供しようという想いからか、アキグリーンカップにはとにかく参加種目が豊富に用意してあって選ぶのに迷うほどだ。
多くの参加者は2日間でダブル、トリプル、あるいはそれ以上の複数エントリーで2日間をフルに楽しむ。今回の取材では多くの種目を紹介できるように取材を行った。
2ステージの下り系レース 新種目 「エンデューロ」
少し涼しい気候で開幕した初日。まずは新種目エンデューロからプログラムはスタート。下り基調の「ステージ」と呼ばれる2つのコースをタイム計測し、合計タイムにより順位を決定する下り系の新種目だ(ちなみにこの種目の登場で従来のエンデューロは「耐久レース」に名を変えた)。
雨上がりすぐの状態のコースは木の根や滑りやすいポイントも多く、やや慎重に下る選手たち。本格的なエンデューロスタイルを先取りしている人、あるいはXCスタイルの流用で楽しむ人などそれぞれ。流行りの新種目のルールを緩和しての開催ということで、エンデューロ入門としてもバッチリだ。
エクストリームトレイルランニング 耐久
会場の回りの雑木林につけられた1周2.5キロのショートコースで、90分内に何周できるかを競うトレイルランニング。スキーゲレンデから見渡せるコースは「カモシカなどの動物が良く出てくる」というほど自然の雰囲気たっぷりの雑木林だ。
ちなみに参加者に混じってコースを数周してみるも、その高低差の厳しさはナカナカのもの。スキーリフト下の下りから、手を使ってよじ登る箇所も。時間は90分と長いため、歩いてしまう人も多いが、それでもたっぷり楽しめる変化に富んだコースだ。
2人の周回数の合計で順位が決定される「ペア」も用意され、親子で一緒に走る参加者も。トレラン入門としては最適で、専用のトレランシューズがあれば最高だが、バイクウェアにランシューズでも十分始められるので、気になる人はまずチャレンジしてみよう。ゴール後すぐに近くの温泉「鹿の湯」に運んでくれるシャトルバスサービスもあるのも嬉しい。
井手川直樹選手がガイドするMTBツアー
今季よりアキファクトリーチームに加入した井手川直樹選手プロデュースによるMTBツアー。主には初心者と子供たちが対象で、午前の部は8時間耐久で使用されるコース、午後の部はエンデューロで使用したシングルトラックを巡る。アップダウンの多いテクニカルコースだが、トップダウンヒラーの井手川選手はキッズスクール開催にも熱心な「教えるプロ」。
チームメイトの永田隼也選手と加藤将来選手も参加してくれて、ゆっくりと自然を楽しみながら、ときどきテクニックを教えてもらいながらのプチMTBツアーだった。ちなみに井手川選手は今年、プロ生活20周年でグリーンカップと同じとは奇遇だ。おめでとうございます!
カメラと楽しむ「フォトサイクリングツアー」
「カメラで風景を撮影しながらポタリングしたい」といった人にピッタリの企画がこのツアーだ。先導役&講師をつとめるのはかつてBICYCLE MAGAZINEの編集長などもつとめ、2014年には新雑誌、その名もズバリ「Bicycle Photo magazine」を立ち上げた石川望(イシカワノゾム)さん。
自転車に乗りながらの撮影をライフワークにする石川さんが、自転車に乗っってツーリングの先導をしながら撮影テクニックを伝授してくれるというもの。参加者は皆デジカメ持参で集まり、レース会場から外へと散走していった。レポーターの私も自転車で帯同しながら取材させてもらった。
ウォームアップにカメラの設定などの簡単なレクチャーを済ませると、石川さんが撮影地に選んだのは会場から6kmほど離れた河原。清流と唐松林のフィールドで、しばし撮影&講習タイム。液晶画面を見ながら撮影テクニックを基礎からたっぷり伝授してくれました。
初登場にしてグリーンカップ史上最高の「MTB8時間耐久レース」
アキグリーンカップ史上最長の8時間で開催される耐久レース。アキグリーンカップで常に最大の参加者数を集めるメインイベントの一つ。チームで、仲間で参加するお楽しみ種目だ。
ソロ〜チームで8時間でコースを何周できるかを競う。4時間耐久も用意され、8時間はお昼12時にスタートして20時まで。4時間の部は16時にスタートして合流して、夜20時のゴールは皆が一緒だ。「20周年だから20時ゴールで!」ということで企画が決まったということだが、なんでも企画段階では20時間耐久という話も出たらしい(笑)。
夜のゴールということで17時30以降はライトの点灯が義務付けられた。ゲレンデは照明があるものの、雑木林のトレールは暗くて、2灯式などの光量の十分なライトは必須だったようだ。お昼に始まったレースの、真っ暗闇のレース終盤は会場全体がヒートアップ!
三浦恭資、大竹雅一、原宣功の3人のレジェンドが参加!
MTB会の黎明期を知るお父さん方が泣いて喜ぶほどの大きなトピックスは、三浦恭資さん、大竹雅一さん、原宣功さんの3人のレジェンドが4時間耐久にチームを組んで参加したこと。チーム名は「シマノ・オールドスクール」。
かつてシマノレーシングに所属してMTBコンポーネントの開発をともにした3人。全日本MTBチャンプ、3度のアジアチャンプ、五輪代表経験者のキングこと三浦さん、そしてかつてから現在までXTRの開発を担当する「ミスターXTR」の原さん、初代全日本MTBチャンプ&日本のMTBの始祖的存在で、今はMTBショップオオタケの店主の大竹さんがトリオで出場。最近、フェイスブックなどで連絡をとりあい、このレースの出場を決めたとか。そしてチームクラスで3位の表彰台ゲットはさすがです。
表彰式が終わると9時。会場近くには温泉「鹿の湯」があり、耐久レース参加者でキャンプ申込者には特別配慮として閉館後の9時半まで入浴が可能なサービスが行われた。会場の駐車場が夜はオートキャンプ場になり、ここで仲間たちとキャンプを楽しむ人も多い。南アルプスの夜空の星はとても綺麗だ。
2日目
タフでアドベンチャーな MTBロングライドレース 20・40・60・80km
2日目のメインディッシュ的な朝イチイベントは、今年から新企画された「MTBロングライド」。富士見高原スキー場から創造の森、国有林を経て大会会場の富士見高原スキー場へ戻る1周20キロのコースを走行するロングライドレースだ。この初イベントを取材するべく、私もMTBに乗ってコースを一周することに。
ゲレンデを飛び出した一行は美しい白樺林の間をジグザグに縫う舗装路をで延々と登る。とにかく40分、登りが続くのだ。上り詰めると突然展望が開け、冠雪の南アルプスと富士山の大パノラマが広がる絶景ポイントへと出る。思わずペダルを止めて写真を撮る人もチラホラ。そして少しの下り区間に入って、また20分登る。合計1時間の登りのあとは、ジープロードの下りだ。
標高1,340mのスタート地点から出発する20kmのコースの内訳は、ジープロード85%、アスファルト10%、シングルトラック10%で、最高標高地点は1,950m。多くの区間が自然林の中を行くため夏日でも涼しく、風景が堪能できる。国立公園のため普段は走ることができないエリアと林道を地元の協力により開放してくれている。
ダイナミックなコースは「SDA王滝よりもコンパクトで密度が高い」という声も。とにかく1周するだけで素晴らしい体験。それを複数回周る人は真のチャレンジャーだ。水とエナジーゼリーの補給は大会側でもスタート/ゴール地点で用意してくれるが、パンク等のセルフリペア能力も必要。王滝の予行演習などにも絶好のイベントだと感じた。
子供たちの熱き戦い キッズ&ジュニアクロスカントリー
会場ではXCレースがメインメニューに。キッズやジュニアに手厚いグリーンカップ。ブースエリアでは補助輪つきのバイクから楽しめるミルキーレースが続き、井手川さんらによるサポート付きのスクールが開催される。駄菓子のプレゼントにスーパーボールすくいなども用意され、子供たちを飽きさせない。
そしてゲレンデのコースでは小学校低学年(Lo)、高学年(Hi)、中学1〜3年(Jr)と3つにクラス分けされたクロスカントリーレースが開催。どのクラスも逆転と接戦の熱い勝負が繰り広げられ、大人たち(つまりパパさんママさん)を興奮と感動のるつぼに(笑)。
キッズのクラスは従来無料だったが、今年から参加費500円に(それでも格安!)。そしてそれらの収益は緑の基金に寄付され、会場に桜の苗木を植える植樹セレモニーが行われた。子供たち自身の手によって行われた植樹。子供たちの成長にあわせて伸びる木を、毎年参加することでコースの脇に見続けることができるとは、ちょっと素敵な話だ。
「ちょっと暑かった!?」新種目のシクロクロス
人気のシクロクロスが新メニューとして加わった。クラスは20・30・60分の3つ。コースクリエイターには東北CXプロジェクト&チームCHAINRING代表の菅田純也さん。起伏の大きな会場周辺に、シクロクロスにぴったりのコースが設定された。ビギナー向けの20分。そして60分がカテゴリー1相当として設定されたが、当日の気候は夏日。負荷が高過ぎるとして60分に申し込んだ参加者の同意を得て30分に短縮して行われた。
レースはカテ1選手の伊澤一嘉選手(Tonic CX)とマスターズの雄・浅井秀樹(cycleclub 3up)のバトルに。伊澤は昨日の8時間耐久にチームで出場、浅井は午前のMTBロングレースの40kmの部を走って、ともに疲労の残る状態。レースを制したのは浅井。華麗なジャンプを見せてファンサービスにつとめた伊澤が2位フィニッシュ(だがクラス優勝)。参加者はサマークロスならではの暑さに苦しめられたようだ。
豪華賞品たっぷりで参加者・入賞者も大満足
表彰式では何台も自転車が商品として提供された。そしてイベントの締めくくりはじゃんけん大会と自転車の争奪駆けっこ。これらの豪華賞品・商品の提供っぷりはさすがアキコーポレーションと唸らせてくれる充実ぶり。とくに今年は20周年記念とあって協賛メーカーからも提供賞品が多かったようだ。
2日間を通して感じたのは、アットホームで暖かい雰囲気と、初心者・入門者にやさしいイベント種目の数々。さりとて本格派も満足な種目もたっぷり用意され、複数エントリーで体力の限界に挑戦できるほどフル参戦することも可能だ。とくに新イベントのロングライドなどはさながら「プチ王滝」とも言えそうな冒険ライドで、自然を走破するMTBの醍醐味をたっぷりと味あわせてくれる。
また、「初心者から上級者、ファミリーや仲間で楽しめる1年に一度のスポーツサイクル運動会」というテーマどうりの種目設定。さらにイベント自体が参加者や会場となる自然への還元を考えていることを思わせる配慮が随所にうかがえ、自然を相手に楽しむMTBの精神としっくりくるのが嬉しい。
20周年おめでとうございます。どうかこの先もこのイベントが末永く続きますように!
2日間のイベントの模様は写真たっぷり、タグ付け可能な以下のアルバムでお楽しみください。参加したあなたは写っていますか?
フォトギャラリー(CW FaceBook)
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