2015/05/22(金) - 09:13
多くのブランドが国内展開を行っているサイクルウェアのカスタムオーダーに、新たな選択肢が加わった。それはベルギーのビオレーサー、そしてイタリアのMSティナとピセイである。自転車競技の本場ヨーロッパで鍛えぬかれた3ブランドの魅力を、先日開催された展示会の様子と共に紹介しよう。
今回ビオレーサー、MSティナ、ピセイのカスタムオーダーサービスを開始するのは、欧州の実力派ウェアブランドの取り扱いに定評がある株式会社クランノート。「やっと一般のお客様向けのカスタムオーダーサービスを開始することができました」と語るのは和田智裕代表だ。
これまでもプロパー品について国内展開を行い、徐々にファンを増してきた実力派3ブランド。一方では、小売店向けにショップオリジナルジャージを作成し、カスタムオーダーのノウハウを蓄積。加えて、各ブランドとの信頼関係を築くことで、日本人ならではの細やかなオーダーにも対応してもらえる様に。そして何よりも、ユーザーからの要望が多くなってきたことが、今回カスタムオーダーサービスを開始するに至った一番のきっかけとなったという。
昨今はリーズナブルながら高品質なアジア製オーダーウェアブランドが多く存在し凌ぎを削る中で、なぜヨーロッパブランドにこだわるのだろうか。
「本場で磨かれたとあって、既存のオーダーウェアブランドとは様々な面で性能差があると感じています。納期など既存のブランドに劣る部分もありますが、レースではウェアの性能差が勝敗を分けることも少なくないですから、競技者の方には少しでも良いウェアを着て頂きたいですね。また、レースをしないという方でも、快適なウェアを着ることで日々のライドがより楽しいものになるはずです」とは和田さんの談。
また、一挙に3つのヨーロッパブランドのオーダーサービスを展開することについては、次の様に話す。「3ブランド共にレース現場で磨かれた性能があり、どれを選んでも満足して頂けると思います。ただ、その中でもTTやシクロクロス、トライアスロンと様々用途に対応できるのがビオレーサー、性能面で突出しているのがMSティナ、デザインセンスに優れるのがピセイと、それぞれのブランドに個性があります。オーダーを頂いた際には用途やイメージなどをヒアリングして、そこから最適なブランドを提案させて頂くことできます。」
それでは下記にビオレーサー、MSティナ、ピセイの魅力を紹介しよう。
ビオレーサー(ベルギー)
ビオレーサー(BioRacer)は、年間約9000チームからオーダーを受けるというヨーロッパNo1のカスタムウェアブランドであり、欧州におけるシェアは50%にも達する。本拠を構えるベルギーを筆頭にオランダ、ドイツ、ルクセンブルクと4つのナショナルチームへのサポートを行い、多くのアルカンシェル獲得に貢献してきた。
元々はフィッティングサービスやフレームの製造をルーツとしているが、現在はサイクルウェア事業に一本化。イノベーション(=革新)をブランドコンセプトに掲げ、プロ選手はもちろんのこと、大学や生地メーカーとも共同開発を行い、レースで勝つためのウェア作りを追求している。
国内取扱いアイテム数は50種類と豊富。様々な用途やニーズ、予算に対応することが可能だ。特に風洞開発によって徹底的に空気抵抗の原因を排除したTT用スキンスーツや、ハイスピードなロードレース向けのワンピースは、プロのライダーがブランドロゴを隠して使用するほどの高性能を誇る。同様にシクロクロス用ウェアも得意としており、2月に開催された世界選手権のエリート男子では優勝したオランダのマテュー・ファンデルポール以下1位~8位までを独占した。
カスタムオーダーサービスの国内展開開始にあわせて、デザインをシミュレーションすることのできるWebページが公開されている(詳細はこちらから)。ページ上で作成した大まかなデザインは、ビオレーサー本国のデザイナーによって細部が調整されるという。デザイン自体の自由度は国内のカスタムウェアブランドとほぼ同等だ。
プリントは、大手印刷機メーカーから表彰を受けるほど徹底管理された機器で行われるため、デザインとの差異が非常に少ないという。サイジングは国内向けに表記を変更しているため、国内ブランドとほぼ同等かややタイトめ。長袖の丈はヨーロッパ仕様よりも5cmほど短くしているため、袖が余ったりということは少ないとのことだ。
MSティナ(イタリア)
同郷の名門クラブチーム「ザルフ」を長年サポートし、昨年はヴィーニファンティーニNIPPOデローザに採用された実力派ブランド、MS ティナ。元フランスチャンピオンの代表と、イタリア人の婦人が興したブランドで、数多のウェアブランドがひしめき合うイタリアの中でも、特にテクニカル面で定評を集めている。
中でも同社のアイデンティティといえるのが、独自に開発した特許取得済みのパッド。欧州のウェアブランドでトレンドとなっている2次元的な平面設計をいち早く取入れ、低弾力なエラスティック素材を尾てい骨とサドルのあいだに挟み込んでいる。触った感じではゴワゴワとした印象だが、実際に乗るとパッドの存在を感じなくなるほどに快適だという。
もちろん生地にもこだわっており、独占供給の素材を使用。また単に他メーカーから買い付けるだけではなく、生地開発にアドバイスを出すこともあるという。一般的にオーダージャージはデザインの自由度を高めるために多くても5種類しか素材を使用しないのに対して、MSティナでは30種類としている。
また、欧州ブランドの冬用の防風裏起毛素材はWIND TEXが大半であるが、サポートライダーからの軽量化というリクエストに応えるべくMSティナでは新素材を採用。人間が最も効率よく運動できる体温37℃を保つための工夫が沢山みてとることができ、1着のウェアでも多くの素材を使用している。プリントは昨今主流のデジタル式ではなく、オーソドックスな版を用いた方式でおこなっており、鮮やかに色が出るとのこと。トレンドとなっているネオンカラーにも対応してくれる。
ピセイ(イタリア)
日本でもこだわりのブランドとして定着した感のあるクオーレ(ハート)マークでお馴染みピセイ。ファッション産業が盛んな北イタリアにはトスカーナ地方に開発及び生産の拠点を構えるブランドだ。サイクルウェア専業メーカーとして既に30年以上の歴史を持ち、2006年よりハイエンド商品に特化している。
ピセイの魅力は、斬新でパッション溢れるスタイリッシュなデザインにある。そのこだわりは他のイタリアンブランドからも一目置かれるほどに強く、オーダーウェアに使用できるカラーは無数というほどに多い。もっとカッコ良いジャージをというチームにはぴったりといえよう。また、ピセイの本国デザイナーにお任せでデザインを作成してもらうことも可能だ。
これまでも少数ながらオーダーサービスを展開してきたが、この春からはMSティナやビオレーサーと同様に本格的な展開が開始。また、サイクルジャージとビブショーツはお求めやすい価格に。同時により機能的なウェアレンジが加わった他、ウォーマーやサコッシュといったアクセサリーなど、ラインアップが拡充さされている。
沢山のサイクルイベントが開催されるこれからの季節はチームジャージの出番が増えてくるはず。ビオレーサー、MSティナ、ピセイの3ブランドは、もっと高性能なカスタムジャージが欲しいというレーシングチームから、オーダージャージは初めてというグループまで様々な用途や予算、ニーズに答えてくれるだろう。なお、いずれのブランドも納期は8週間を予定している。
text:Yuya.Yamamoto
今回ビオレーサー、MSティナ、ピセイのカスタムオーダーサービスを開始するのは、欧州の実力派ウェアブランドの取り扱いに定評がある株式会社クランノート。「やっと一般のお客様向けのカスタムオーダーサービスを開始することができました」と語るのは和田智裕代表だ。
これまでもプロパー品について国内展開を行い、徐々にファンを増してきた実力派3ブランド。一方では、小売店向けにショップオリジナルジャージを作成し、カスタムオーダーのノウハウを蓄積。加えて、各ブランドとの信頼関係を築くことで、日本人ならではの細やかなオーダーにも対応してもらえる様に。そして何よりも、ユーザーからの要望が多くなってきたことが、今回カスタムオーダーサービスを開始するに至った一番のきっかけとなったという。
昨今はリーズナブルながら高品質なアジア製オーダーウェアブランドが多く存在し凌ぎを削る中で、なぜヨーロッパブランドにこだわるのだろうか。
「本場で磨かれたとあって、既存のオーダーウェアブランドとは様々な面で性能差があると感じています。納期など既存のブランドに劣る部分もありますが、レースではウェアの性能差が勝敗を分けることも少なくないですから、競技者の方には少しでも良いウェアを着て頂きたいですね。また、レースをしないという方でも、快適なウェアを着ることで日々のライドがより楽しいものになるはずです」とは和田さんの談。
また、一挙に3つのヨーロッパブランドのオーダーサービスを展開することについては、次の様に話す。「3ブランド共にレース現場で磨かれた性能があり、どれを選んでも満足して頂けると思います。ただ、その中でもTTやシクロクロス、トライアスロンと様々用途に対応できるのがビオレーサー、性能面で突出しているのがMSティナ、デザインセンスに優れるのがピセイと、それぞれのブランドに個性があります。オーダーを頂いた際には用途やイメージなどをヒアリングして、そこから最適なブランドを提案させて頂くことできます。」
それでは下記にビオレーサー、MSティナ、ピセイの魅力を紹介しよう。
ビオレーサー(ベルギー)
ビオレーサー(BioRacer)は、年間約9000チームからオーダーを受けるというヨーロッパNo1のカスタムウェアブランドであり、欧州におけるシェアは50%にも達する。本拠を構えるベルギーを筆頭にオランダ、ドイツ、ルクセンブルクと4つのナショナルチームへのサポートを行い、多くのアルカンシェル獲得に貢献してきた。
元々はフィッティングサービスやフレームの製造をルーツとしているが、現在はサイクルウェア事業に一本化。イノベーション(=革新)をブランドコンセプトに掲げ、プロ選手はもちろんのこと、大学や生地メーカーとも共同開発を行い、レースで勝つためのウェア作りを追求している。
国内取扱いアイテム数は50種類と豊富。様々な用途やニーズ、予算に対応することが可能だ。特に風洞開発によって徹底的に空気抵抗の原因を排除したTT用スキンスーツや、ハイスピードなロードレース向けのワンピースは、プロのライダーがブランドロゴを隠して使用するほどの高性能を誇る。同様にシクロクロス用ウェアも得意としており、2月に開催された世界選手権のエリート男子では優勝したオランダのマテュー・ファンデルポール以下1位~8位までを独占した。
カスタムオーダーサービスの国内展開開始にあわせて、デザインをシミュレーションすることのできるWebページが公開されている(詳細はこちらから)。ページ上で作成した大まかなデザインは、ビオレーサー本国のデザイナーによって細部が調整されるという。デザイン自体の自由度は国内のカスタムウェアブランドとほぼ同等だ。
プリントは、大手印刷機メーカーから表彰を受けるほど徹底管理された機器で行われるため、デザインとの差異が非常に少ないという。サイジングは国内向けに表記を変更しているため、国内ブランドとほぼ同等かややタイトめ。長袖の丈はヨーロッパ仕様よりも5cmほど短くしているため、袖が余ったりということは少ないとのことだ。
MSティナ(イタリア)
同郷の名門クラブチーム「ザルフ」を長年サポートし、昨年はヴィーニファンティーニNIPPOデローザに採用された実力派ブランド、MS ティナ。元フランスチャンピオンの代表と、イタリア人の婦人が興したブランドで、数多のウェアブランドがひしめき合うイタリアの中でも、特にテクニカル面で定評を集めている。
中でも同社のアイデンティティといえるのが、独自に開発した特許取得済みのパッド。欧州のウェアブランドでトレンドとなっている2次元的な平面設計をいち早く取入れ、低弾力なエラスティック素材を尾てい骨とサドルのあいだに挟み込んでいる。触った感じではゴワゴワとした印象だが、実際に乗るとパッドの存在を感じなくなるほどに快適だという。
もちろん生地にもこだわっており、独占供給の素材を使用。また単に他メーカーから買い付けるだけではなく、生地開発にアドバイスを出すこともあるという。一般的にオーダージャージはデザインの自由度を高めるために多くても5種類しか素材を使用しないのに対して、MSティナでは30種類としている。
また、欧州ブランドの冬用の防風裏起毛素材はWIND TEXが大半であるが、サポートライダーからの軽量化というリクエストに応えるべくMSティナでは新素材を採用。人間が最も効率よく運動できる体温37℃を保つための工夫が沢山みてとることができ、1着のウェアでも多くの素材を使用している。プリントは昨今主流のデジタル式ではなく、オーソドックスな版を用いた方式でおこなっており、鮮やかに色が出るとのこと。トレンドとなっているネオンカラーにも対応してくれる。
ピセイ(イタリア)
日本でもこだわりのブランドとして定着した感のあるクオーレ(ハート)マークでお馴染みピセイ。ファッション産業が盛んな北イタリアにはトスカーナ地方に開発及び生産の拠点を構えるブランドだ。サイクルウェア専業メーカーとして既に30年以上の歴史を持ち、2006年よりハイエンド商品に特化している。
ピセイの魅力は、斬新でパッション溢れるスタイリッシュなデザインにある。そのこだわりは他のイタリアンブランドからも一目置かれるほどに強く、オーダーウェアに使用できるカラーは無数というほどに多い。もっとカッコ良いジャージをというチームにはぴったりといえよう。また、ピセイの本国デザイナーにお任せでデザインを作成してもらうことも可能だ。
これまでも少数ながらオーダーサービスを展開してきたが、この春からはMSティナやビオレーサーと同様に本格的な展開が開始。また、サイクルジャージとビブショーツはお求めやすい価格に。同時により機能的なウェアレンジが加わった他、ウォーマーやサコッシュといったアクセサリーなど、ラインアップが拡充さされている。
沢山のサイクルイベントが開催されるこれからの季節はチームジャージの出番が増えてくるはず。ビオレーサー、MSティナ、ピセイの3ブランドは、もっと高性能なカスタムジャージが欲しいというレーシングチームから、オーダージャージは初めてというグループまで様々な用途や予算、ニーズに答えてくれるだろう。なお、いずれのブランドも納期は8週間を予定している。
text:Yuya.Yamamoto
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