2014/09/07(日) - 09:55
夏休み最後の週末に開催されたシマノ鈴鹿ロードレース。のべ1万5千人が参加する、世界最大規模のロードレースイベントとして不動の地位を誇る巨大イベントだ。悪天候に翻弄された2日間の模様を編集部員の取材記でお伝えしよう。
午前中は快晴だったシマノ鈴鹿ロードレース1日目
さて、今年のシマノ鈴鹿の取材に送りこまれたのは、新人の「ヘタレ」ことフジワラと私・安岡の二人。例年取材に来ている編集長は、別件での用事があったため来れず、他の編集部員もユーロバイクへの渡航準備などで忙しかったこともあり、我々二人に白羽の矢が立ったのだ。
まさかの事態である。そもそも入社して半年程度、右も左もわからない「若けぇの」2名に務まる取材なのか。なんてったって日本最大規模のレースイベントである。格式としては、全日本選手権やジャパンカップの様な公式レースには及ばなくても、ホビーレースとしては最も注目度の高いイベントであるし、それこそ国際ロードは出場する選手のレベルでいえば、公式レース同様のハイレベルなもの。
そうはいっても、無い袖は振れないし、いない人はいないのだ。人生は今ある手札でどうにかするしかないのである。金曜日の午後10時、覚悟を決めた2人を乗せたシクロワイアード号(ハイエース)が東京から鈴鹿へと旅立っていく。圏央道の相模原愛川IC~高尾山ICの開通もあり、予想以上の速さで鈴鹿へと到着。まだ3時過ぎというのに、すでにたくさんの車が列をなしている。さすが日本最大のイベント、参加者からして気合いの入り方が違う。
そんな中に飛び込んでしまった新人コンビ。はたして取材はどうなってしまうのか!?という不安と、夜通しの運転の疲労がないまぜになって、猛烈な睡魔が襲ってくる。とりあえず取材に備えて、2時間ばかりハイエースで仮眠をとる取材班。
会場へと続々と集まる参加者たち
たくさんの参加者が受付に列をなす
計測チップを取り付ける
試走へと向かう参加者たち
起きてみると、会場にはあふれんばかりのサイクリストの姿が。広く見えたサーキットのパドックは参加者で埋め尽くされており、受付には100人以上の列が形成されている。道理で3時過ぎから並ぶ人たちがいるわけである。ここでの場所取りは一日快適に過ごせるかどうかがかかっているわけで、みなさんの努力にも納得である。
さて、シマノ鈴鹿は一般的なイベントと違って、いくつものレースが開催される。スケジュールも1分刻みで動いている上、レース以外にも走り方講座やセミナー、たくさんのメーカーブースなどがあり、あっちへこっちへと忙しい。2日間をフルに使ってなんとか取材できるかな、といったところ。
1万5千人が集ったシマノ鈴鹿ロードレース (c)CW編集部
ホームストレートを駆け上がる
午前中のレースから参加者たちは真剣勝負だ
試走が終了し開会式が終われば、最初の種目となるのが5ステージ・スズカの第1ステージ。2日間にわたって、5つの異なるコースのレースを戦うという種目。毎年、チームぐるみの熱い戦いが繰り広げられる種目だ。その2分後にはオープン2の参加選手たちが続々とスタートを切っていく。
快晴のもと、気持ちよく走っていく選手たち。その後は、多くの参加者が走った1時間サイクルマラソンや、小学生のユースや個人TTの予選などが順調に行われていく。2日目にも開催される種目もあるため、出展ブースの取材を始めたときに、「それ」はやってきた。
はーい、ここでストップー
タイムトライアルの整列は壮観
1時間エンデューロは後ろが見えないほどの参加者
西コースに向かっていくい時間なエンデューロの集団
子どもたちも真剣勝負
暑いので、クールダウンも必要です
「うわあああ!!」という声とともに、西側からすごい勢いで参加者が走ってくるのが見えた。なんだなんだ?と見ていると、逃げる人達の後ろに迫ってくる濡れた路面。気付けば会場はいつの間にか黒い雲に包まれていた。と思った次の瞬間、バケツをひっくり返したような雨がブースを襲った。
場内では、ちょうど行われていた競技の一時中断がアナウンスされ、建物内への避難が呼び掛けられる。私たちも少し弱まった雨の合間で一旦車に戻り、カメラを濡れないように保護する。少し雨足が弱まったときに再召集がかかったものの、もう一度豪雨が会場を襲い、再度中断。しばらくは動きがないため一旦昼食を摂ろうと、食堂でお昼を食べていると大会中止のアナウンスが流れてきた。
スタート直前に振られた女子のレース (c)Masanao TOMITA
雨の境界線がはっきりわかります (c)Masanao TOMITA
大会中断を告げるメインモニター
まさかの事態その2である。前職でイベント運営を経験していた私からすると、天候によるイベントの中止というのは相当に覚悟のいる決断だ。参加者の安全と、中止することによって発生する不満。その両方と天気の変化を考慮にいれて、最終的に判断を下す瞬間は非常に緊張するものだ。
その判断の速さに感服していると、フジワラが声をかけてくる。「取材どうしましょうか?」その問いかけに、今は編集部員であるわが身を思い出し、背筋が凍る。そう、今日消化する予定だった分の仕事は半分ほどしか進んでいないのだ。そうはいっても大会は中止、参加者は帰り支度を進めているし、出展ブースも次々に撤収を始めている。もはややれることはほとんどない。
中止になった以上、帰るより他にはなかった
豪雨が会場を襲った
ブースも雨で大変です
「ここにいてもやれることもないし、早めに宿に帰って、明日の作戦を練り直そう」そうフジワラに伝え、シクロワイアード号に戻る。全ては明日の動きに掛かっている。不安に苛まれながら、宿へ向けてハンドルを切った。
~つづく~
text:Naoki.YASUOKA
photo:Naoki.YASUOKA Masanao.TOMITA
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さて、今年のシマノ鈴鹿の取材に送りこまれたのは、新人の「ヘタレ」ことフジワラと私・安岡の二人。例年取材に来ている編集長は、別件での用事があったため来れず、他の編集部員もユーロバイクへの渡航準備などで忙しかったこともあり、我々二人に白羽の矢が立ったのだ。
まさかの事態である。そもそも入社して半年程度、右も左もわからない「若けぇの」2名に務まる取材なのか。なんてったって日本最大規模のレースイベントである。格式としては、全日本選手権やジャパンカップの様な公式レースには及ばなくても、ホビーレースとしては最も注目度の高いイベントであるし、それこそ国際ロードは出場する選手のレベルでいえば、公式レース同様のハイレベルなもの。
そうはいっても、無い袖は振れないし、いない人はいないのだ。人生は今ある手札でどうにかするしかないのである。金曜日の午後10時、覚悟を決めた2人を乗せたシクロワイアード号(ハイエース)が東京から鈴鹿へと旅立っていく。圏央道の相模原愛川IC~高尾山ICの開通もあり、予想以上の速さで鈴鹿へと到着。まだ3時過ぎというのに、すでにたくさんの車が列をなしている。さすが日本最大のイベント、参加者からして気合いの入り方が違う。
そんな中に飛び込んでしまった新人コンビ。はたして取材はどうなってしまうのか!?という不安と、夜通しの運転の疲労がないまぜになって、猛烈な睡魔が襲ってくる。とりあえず取材に備えて、2時間ばかりハイエースで仮眠をとる取材班。
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さて、シマノ鈴鹿は一般的なイベントと違って、いくつものレースが開催される。スケジュールも1分刻みで動いている上、レース以外にも走り方講座やセミナー、たくさんのメーカーブースなどがあり、あっちへこっちへと忙しい。2日間をフルに使ってなんとか取材できるかな、といったところ。
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快晴のもと、気持ちよく走っていく選手たち。その後は、多くの参加者が走った1時間サイクルマラソンや、小学生のユースや個人TTの予選などが順調に行われていく。2日目にも開催される種目もあるため、出展ブースの取材を始めたときに、「それ」はやってきた。
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「うわあああ!!」という声とともに、西側からすごい勢いで参加者が走ってくるのが見えた。なんだなんだ?と見ていると、逃げる人達の後ろに迫ってくる濡れた路面。気付けば会場はいつの間にか黒い雲に包まれていた。と思った次の瞬間、バケツをひっくり返したような雨がブースを襲った。
場内では、ちょうど行われていた競技の一時中断がアナウンスされ、建物内への避難が呼び掛けられる。私たちも少し弱まった雨の合間で一旦車に戻り、カメラを濡れないように保護する。少し雨足が弱まったときに再召集がかかったものの、もう一度豪雨が会場を襲い、再度中断。しばらくは動きがないため一旦昼食を摂ろうと、食堂でお昼を食べていると大会中止のアナウンスが流れてきた。
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まさかの事態その2である。前職でイベント運営を経験していた私からすると、天候によるイベントの中止というのは相当に覚悟のいる決断だ。参加者の安全と、中止することによって発生する不満。その両方と天気の変化を考慮にいれて、最終的に判断を下す瞬間は非常に緊張するものだ。
その判断の速さに感服していると、フジワラが声をかけてくる。「取材どうしましょうか?」その問いかけに、今は編集部員であるわが身を思い出し、背筋が凍る。そう、今日消化する予定だった分の仕事は半分ほどしか進んでいないのだ。そうはいっても大会は中止、参加者は帰り支度を進めているし、出展ブースも次々に撤収を始めている。もはややれることはほとんどない。
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「ここにいてもやれることもないし、早めに宿に帰って、明日の作戦を練り直そう」そうフジワラに伝え、シクロワイアード号に戻る。全ては明日の動きに掛かっている。不安に苛まれながら、宿へ向けてハンドルを切った。
~つづく~
text:Naoki.YASUOKA
photo:Naoki.YASUOKA Masanao.TOMITA
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