2014/07/23(水) - 13:08
国内のMTBイベントとしては最大級の規模を誇るシマノバイカーズフェスティバル。24回目を迎えた今年もMTBerの聖地・長野県富士見パノラマスキー場を舞台に数多くの競技やツーリングイベントが行われた。ビギナーから上級者まで幅広い層のライダーが楽しんだ「MTB夏の祭典」の模様をレポート。
国内におけるMTBの黎明期より開催され、今年で24回目を迎えたシマノ バイカーズフェスティバルの舞台となったのは長野県南部の富士見パノラマリゾート。八ヶ岳などを臨む南アルプス山脈の北端入笠山の東斜面に面したゲレンデは、夏はDHコースを常設することからMTBerの聖地として知られる場所だ。しかしながら、直滑降の下りのみならず、ジープロードやシングルトラックまで様々なロケーションを有し、DH以外にクロスカントリーやツーリングなど様々な種目を開催できるキャパシティーを持っている。
今年の開催日は7月19日・20日の2日間で、小中高学校の夏休みが始まる7月の3連休というのは例年通り。奇しくも修善寺の日本CSCで行われるMTB全日本選手権と日程が重なってしまったことから参加者を2分してしまったが、それでも富士見パノラマには多くの親子連れを含む2,153人が集結した。
取材当日の天気は曇り時々小雨。標高1,000m以上とあって早朝はやや肌寒かったものの、気温は終始25°以下であったことに加え、日差しが無かった分過ごしやすく、良好のコンディションの中イベントは進行していった。
そんな今大会のコンセプトは「楽しさ新次元」。競技種目には欧米のMTBシーンでは人気急上昇中のDHエンデューロが取入れられ、年々参加者が増えているツーリングに新コースが追加されるなど更にパワーアップしている。それでは大会の模様を競技種目ごとにレポートしていこう(ツーリングはこの後公開の記事で紹介します)。
オープニングから熱いバトル 60分XCマラソン
今年のバイカーズフェスティバルのオープニングレースとなったのは、昨年に引き続き「60分XCマラソン」。中学生~39才までのMEN-1、40才以上のMEN-2、WOMANの3クラスで争われ、いずれも強豪ホビーレーサーたちがしのぎを削る白熱のレースとなった。
舞台となったのは、国内の最高峰のJシリーズ富士見パノラマ大会とも一部重複する1周2.3kmのシマノバイカーズ特設コース。テクニックが差を生む森の中のシングルトラック、高低差30mを一気に下る九十九折の芝のゲレンデ、ホームストレート前の幅の広いジープロードなどがバランス良く組み合わせられている。
レースは、関西シクロクロスではスクール水着でお馴染み(?)の川村誠選手(Team Vassago Japan)と、現役のMTBオリエンテーリング日本代表である羽鳥和重選手(サイクルクラブ3UP)がカテゴリー違いながら終盤までデットヒートを展開。ゴール手前のジープロードの最終コーナーで先頭に踊りでた羽鳥選手がそのままトップでゴールラインを切った。女子はMTBのみならず様々な競技でトップカテゴリーを走る齋藤磨実(TEAM MASA+/BOMA)選手が制している。
ゴール後は各選手とも呼吸を乱しながらも、一緒に競い合った選手と互いに健闘を讃えあったり、レース展開を振り返ったりするシーンが多く見られ、会場はとても清々しい雰囲気となった。ロードイベントには少ない参加者同士の距離の近さはMTBイベントならではのものだろう。
将来有望なMTBライダーが集結 キッズXC
この日2つ目のレースとなったキッズXC。元気いっぱいな小学生が対象となり、低学年のBOYS1とGILRS1は平坦基調な1周400mのショートコースで、高学年のBOYS2とGILRS2はジープロードの登りとゲレンデの下りを組み合わせた1周600mミドルコースで争われた。
まだまだ背丈は小さいといえども、その気合の入り方や走り姿は大人顔負けといったキッズが実に多く、それは国内のMTBシーンの盛り上がりを予感させるほど。そして、選手達以上に熱くなっていたのはパパやママ達で、沿道からは傍から見ていて少々恐い(笑)ほど気合入りまくりの声援が飛ぶ。
一方で今回のシマノバイカーズがレースデビューという子も少なくなく、うまく走れず泣き出してしまったりと微笑ましい光景もあちらコチラで。レース終了後は競いあったライバルと仲良くなって遊びまわったり、愛車を自慢しあったり、一緒のパパやママのレースを応援したりと楽しく時間が過ぎていった。夏休みに入ったばかりだが、きっと最高の思い出ができたはず。
機材選択が面白い 初開催のDHエンデューロ
今大会から採用されたDHエンデューロは本格的なDHよりもやや緩やかな下りに、短いながらもテクニカルな上りを加えたコースで争われる、海外のMTBシーンでは人気急上昇中の比較的新しい種目だ。本場では10kmのコースで行われることが多いが、今回は富士見パノラマの常設DHコースの一部やシングルトラックを組み合わせ、バイカーズ流にアレンジした全長約3kmのコースを使用した。
レースのポイントとなったのは機材選択。初開催ということに加えて試走が行われなかったため、どんなバイクが適しているのか大きな注目を集めた。参加者を見回すと、XC系やオールマウンテン系のバイクで出走したライダーが多く、フルフェイスのヘルメットにDHマシンという下り重視のライダーは少数派。中にはファットバイクの姿も。
しかし、ベストタイムが刻々と塗り替えられるも機材の傾向は今ひとつ見えてこず。最終的に優勝したのはバイカーズで過去4勝をマークし、大会の公式レポートにも「リジットの神様」として紹介されている西田岳選手(Seven Arrows)。下り系種目でDHバイク勢を蹴散らしてきたリアリジットの26inchプレイバイクを駆り、2位に20秒差をつけての圧勝であった。なお、西田選手のバイクは後日公開予定の「あなたの自転車見せて下さい」で詳しく紹介します。
以下2位は26インチのフルサスXCで走った大石善功選手、3位は29erのリアリジットXCバイクで走った川村孝広選手(岐阜 シズテック) で、機材選択に以上にテクニックが問われるレースとなった模様。来年以降も大いに盛り上がりそうだ。
まだまだ盛りだくさんのシマノ バイカーズフェスティバル2014。レポートはVol.2に続きます。
text&photo:Yuya.Yamamoto
国内におけるMTBの黎明期より開催され、今年で24回目を迎えたシマノ バイカーズフェスティバルの舞台となったのは長野県南部の富士見パノラマリゾート。八ヶ岳などを臨む南アルプス山脈の北端入笠山の東斜面に面したゲレンデは、夏はDHコースを常設することからMTBerの聖地として知られる場所だ。しかしながら、直滑降の下りのみならず、ジープロードやシングルトラックまで様々なロケーションを有し、DH以外にクロスカントリーやツーリングなど様々な種目を開催できるキャパシティーを持っている。
今年の開催日は7月19日・20日の2日間で、小中高学校の夏休みが始まる7月の3連休というのは例年通り。奇しくも修善寺の日本CSCで行われるMTB全日本選手権と日程が重なってしまったことから参加者を2分してしまったが、それでも富士見パノラマには多くの親子連れを含む2,153人が集結した。
取材当日の天気は曇り時々小雨。標高1,000m以上とあって早朝はやや肌寒かったものの、気温は終始25°以下であったことに加え、日差しが無かった分過ごしやすく、良好のコンディションの中イベントは進行していった。
そんな今大会のコンセプトは「楽しさ新次元」。競技種目には欧米のMTBシーンでは人気急上昇中のDHエンデューロが取入れられ、年々参加者が増えているツーリングに新コースが追加されるなど更にパワーアップしている。それでは大会の模様を競技種目ごとにレポートしていこう(ツーリングはこの後公開の記事で紹介します)。
オープニングから熱いバトル 60分XCマラソン
今年のバイカーズフェスティバルのオープニングレースとなったのは、昨年に引き続き「60分XCマラソン」。中学生~39才までのMEN-1、40才以上のMEN-2、WOMANの3クラスで争われ、いずれも強豪ホビーレーサーたちがしのぎを削る白熱のレースとなった。
舞台となったのは、国内の最高峰のJシリーズ富士見パノラマ大会とも一部重複する1周2.3kmのシマノバイカーズ特設コース。テクニックが差を生む森の中のシングルトラック、高低差30mを一気に下る九十九折の芝のゲレンデ、ホームストレート前の幅の広いジープロードなどがバランス良く組み合わせられている。
レースは、関西シクロクロスではスクール水着でお馴染み(?)の川村誠選手(Team Vassago Japan)と、現役のMTBオリエンテーリング日本代表である羽鳥和重選手(サイクルクラブ3UP)がカテゴリー違いながら終盤までデットヒートを展開。ゴール手前のジープロードの最終コーナーで先頭に踊りでた羽鳥選手がそのままトップでゴールラインを切った。女子はMTBのみならず様々な競技でトップカテゴリーを走る齋藤磨実(TEAM MASA+/BOMA)選手が制している。
ゴール後は各選手とも呼吸を乱しながらも、一緒に競い合った選手と互いに健闘を讃えあったり、レース展開を振り返ったりするシーンが多く見られ、会場はとても清々しい雰囲気となった。ロードイベントには少ない参加者同士の距離の近さはMTBイベントならではのものだろう。
将来有望なMTBライダーが集結 キッズXC
この日2つ目のレースとなったキッズXC。元気いっぱいな小学生が対象となり、低学年のBOYS1とGILRS1は平坦基調な1周400mのショートコースで、高学年のBOYS2とGILRS2はジープロードの登りとゲレンデの下りを組み合わせた1周600mミドルコースで争われた。
まだまだ背丈は小さいといえども、その気合の入り方や走り姿は大人顔負けといったキッズが実に多く、それは国内のMTBシーンの盛り上がりを予感させるほど。そして、選手達以上に熱くなっていたのはパパやママ達で、沿道からは傍から見ていて少々恐い(笑)ほど気合入りまくりの声援が飛ぶ。
一方で今回のシマノバイカーズがレースデビューという子も少なくなく、うまく走れず泣き出してしまったりと微笑ましい光景もあちらコチラで。レース終了後は競いあったライバルと仲良くなって遊びまわったり、愛車を自慢しあったり、一緒のパパやママのレースを応援したりと楽しく時間が過ぎていった。夏休みに入ったばかりだが、きっと最高の思い出ができたはず。
機材選択が面白い 初開催のDHエンデューロ
今大会から採用されたDHエンデューロは本格的なDHよりもやや緩やかな下りに、短いながらもテクニカルな上りを加えたコースで争われる、海外のMTBシーンでは人気急上昇中の比較的新しい種目だ。本場では10kmのコースで行われることが多いが、今回は富士見パノラマの常設DHコースの一部やシングルトラックを組み合わせ、バイカーズ流にアレンジした全長約3kmのコースを使用した。
レースのポイントとなったのは機材選択。初開催ということに加えて試走が行われなかったため、どんなバイクが適しているのか大きな注目を集めた。参加者を見回すと、XC系やオールマウンテン系のバイクで出走したライダーが多く、フルフェイスのヘルメットにDHマシンという下り重視のライダーは少数派。中にはファットバイクの姿も。
しかし、ベストタイムが刻々と塗り替えられるも機材の傾向は今ひとつ見えてこず。最終的に優勝したのはバイカーズで過去4勝をマークし、大会の公式レポートにも「リジットの神様」として紹介されている西田岳選手(Seven Arrows)。下り系種目でDHバイク勢を蹴散らしてきたリアリジットの26inchプレイバイクを駆り、2位に20秒差をつけての圧勝であった。なお、西田選手のバイクは後日公開予定の「あなたの自転車見せて下さい」で詳しく紹介します。
以下2位は26インチのフルサスXCで走った大石善功選手、3位は29erのリアリジットXCバイクで走った川村孝広選手(岐阜 シズテック) で、機材選択に以上にテクニックが問われるレースとなった模様。来年以降も大いに盛り上がりそうだ。
まだまだ盛りだくさんのシマノ バイカーズフェスティバル2014。レポートはVol.2に続きます。
text&photo:Yuya.Yamamoto
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