2014/04/10(木) - 08:56
瀬戸内海の温暖な気候と、世界的にも珍しい多島美が魅力的な瀬戸内しまなみ地域。「ONOMICHI U2」が開業し、両岸にジャイアントストアが居を構えるなど、本州側と四国側ともにサイクリストを歓迎する機運が高まっている。「サイクリストの聖地」を名乗る地域は数あれど、もっとも早くから本腰を入れていたしまなみ海道の魅力をレポートしていこう。
日本でも珍しい地中海性気候の地域である瀬戸内海。その中でも、多くの島が点在するしまなみ地域は、複雑な潮流によって育つ魚介類と、温暖な気候を生かしたかんきつ類の産地として全国的にも有名な地域だ。
1995年に開通した島々を繋ぐ橋にはサイクリングロードが併設されており、しまなみ海道をめぐるサイクリングの根源的な魅力となっている。現在は、自転車も橋ごとに50円から200円の通行料金が必要なしまなみ海道であるが、自転車の通行料金無料化に向けての取組みが進められている。
サイクリストの聖地を掲げるだけあって、しまなみ海道ではたくさんのイベントが開催されている。コンペティティブなものでは学連選手がしのぎを削るツールドいくちじま、ホビーライドではグラン・ツール・せとうちや瀬戸内しまなみ海道サイクリング、しまなみ縦走といったイベントだ。中でも、地域の自転車にかける熱意を感じさせるのが、昨年プレ大会を開催し、今年は8000人を集める予定の「サイクリングしまなみ」。供用中の高速道路を封鎖し、自転車に開放するという日本初の試みを成功させている。
そんな、地域総出で自転車を歓迎してくれているしまなみ海道。尾道~今治間は、路肩の白線に並ぶ形で推奨ルート沿いに「ブルーライン」がペイントされており、迷う心配もない。今回は「ONOMICHI U2」から出発し、今治へと向かう本州→四国ルート。その中でも、最短距離ではなく、少し寄り道しながらしまなみ海道の魅力を味わえる全長92kmのコースを辿った。
向島 (0km~8km/92km)
朝、ONOMICHI U2内のジャイアントストアでバイクをレンタルし海沿いにウッドデッキを進んでいくと、向島への渡船乗り場が現れる。ここが、本州側からしまなみ海道をサイクリングするスタート地点。実はしまなみ海道の橋のなかで、尾道大橋のみがサイクリングロードがなく、交通量も多いため船で島に渡ることとなる。
どうやって自転車を乗せるの?チケットは先に買うの?というように、船と聞くと少しハードルが高く感じる人もいるかもしれない。しかし、そんな心配はご無用。自転車に乗る格好のまま、船着き場に行き、渡し船が到着ば乗り込んで、中で係員さんにお金を払えばOK。地元の学生なども通学で利用しているほど、渡船は生活の中に溶け込んでいる。
5分ほどで対岸に到着、誘導に従って船から降りればしまなみ海道最初の島、向島だ。尾道からも非常に近く、人の交流も盛んな向島は市街地もあり少し交通量もあるため、最初の方は少し気をつかう必要があるが、直ぐに島らしい風景が待っている。海沿いに8kmほど走れば、因島大橋が見えてくる。因島大橋は、他の橋と異なり、2層構造になっていて自動車道の下をサイクリングロードが通る形になっているのが特徴だ。
因島 (8km~22km/92km)
因島大橋を渡れば、しまなみ海道中最大の人口を持つ因島に到着。自転車道のスロープを下りてしばらく進むと、恐竜の模型が目を引くしまなみビーチが右手に見える。しまなみビーチ手前の交差点を左折すればはっさく大福で有名な「因島はっさく屋」が登場。因島が発祥の八朔を白あんと餅でくるんだはっさく大福は日に2000個も売れるという人気ぶりで、地元のサイクリストは事前に電話で在庫確認してから訪れるほど。
また、因島にはマンチェスターユナイテッドとも関わりのある、万田発酵の本社がある。健康食品や肥・飼料を扱う同社は、サイクリングにも強い関心を示しており、サイクリング向けの商品を開発したり、4月19~20日開催のグラン・ツール・せとうちのメインスポンサーになるなど、サイクリストの間にも認知が広まっている。万田発酵の酵素を使って育てられた、巨大な大根やひまわりが迎えてくれるまんだびっくりファームは一度訪れてみる価値はあるかもしれない。
見どころたくさんの因島も、万田発酵前を過ぎて市街地に入ると交通量が多くなるため、安全に気をつけながら走行しよう。市街地をを抜けると、生口橋へのアプローチが始まる。下ってくるサイクリストや原付に気をつけて登って行けば、生口橋が一望できる展望スポットがあるので、カメラを持っている人は止まってみるのもいいだろう。
生口島 (22km~37km/92km)
レモンの産地として名高い生口島は、しまなみ海道の広島側最後の島だ。サイクリストの間では、ツールドいくちじまの開催地として認知したという方も多いだろう。急峻な山をもつ生口島はロードレースを開催するのにぴったりの地形であり、今では大学の自転車部が合宿に訪れたりもするという。
絶品のジェラートが有名な「ドルチェ」は、地元の人も通い詰めるほどの人気店舖。もちろんバイクラックが設置されており、サイクリストにもフレンドリーだ。他にも、平山郁夫美術館や美術館そばの商店街にある「岡哲商店」のコロッケなど、グルメやアートの島が生口島。アーティスティックなオブジェが島中に点在し、ブルーライン沿いでもいくつか見かけることができるのは、「島ごと美術館」という企画。全17点のオブジェを探すサイクリングというのも面白いだろう。
北岸のサンセットビーチからは、ひょっこりひょうたん島のモデルともなったともいわれる瓢箪島が見える。もう少し進めば、しまなみ海道で2番目に長い橋である多々羅大橋の生口島側の入り口が見えてくる。他の橋同様、ゆるやかに登っていくが、料金所手前に休憩できる公園があり、そこで景色を眺めながら一息つくのもいいだろう。
ここまでが、広島県側のしまなみ海道。次回は、多々羅大橋を渡って愛媛県側の大三島、伯方島、大島の魅力を紹介し、今治まで向かう予定。ぜひお楽しみに。
text:Naoki.YASUOKA
photo:So.Isobe,Naoki.YASUOKA
日本でも珍しい地中海性気候の地域である瀬戸内海。その中でも、多くの島が点在するしまなみ地域は、複雑な潮流によって育つ魚介類と、温暖な気候を生かしたかんきつ類の産地として全国的にも有名な地域だ。
1995年に開通した島々を繋ぐ橋にはサイクリングロードが併設されており、しまなみ海道をめぐるサイクリングの根源的な魅力となっている。現在は、自転車も橋ごとに50円から200円の通行料金が必要なしまなみ海道であるが、自転車の通行料金無料化に向けての取組みが進められている。
サイクリストの聖地を掲げるだけあって、しまなみ海道ではたくさんのイベントが開催されている。コンペティティブなものでは学連選手がしのぎを削るツールドいくちじま、ホビーライドではグラン・ツール・せとうちや瀬戸内しまなみ海道サイクリング、しまなみ縦走といったイベントだ。中でも、地域の自転車にかける熱意を感じさせるのが、昨年プレ大会を開催し、今年は8000人を集める予定の「サイクリングしまなみ」。供用中の高速道路を封鎖し、自転車に開放するという日本初の試みを成功させている。
そんな、地域総出で自転車を歓迎してくれているしまなみ海道。尾道~今治間は、路肩の白線に並ぶ形で推奨ルート沿いに「ブルーライン」がペイントされており、迷う心配もない。今回は「ONOMICHI U2」から出発し、今治へと向かう本州→四国ルート。その中でも、最短距離ではなく、少し寄り道しながらしまなみ海道の魅力を味わえる全長92kmのコースを辿った。
向島 (0km~8km/92km)
朝、ONOMICHI U2内のジャイアントストアでバイクをレンタルし海沿いにウッドデッキを進んでいくと、向島への渡船乗り場が現れる。ここが、本州側からしまなみ海道をサイクリングするスタート地点。実はしまなみ海道の橋のなかで、尾道大橋のみがサイクリングロードがなく、交通量も多いため船で島に渡ることとなる。
どうやって自転車を乗せるの?チケットは先に買うの?というように、船と聞くと少しハードルが高く感じる人もいるかもしれない。しかし、そんな心配はご無用。自転車に乗る格好のまま、船着き場に行き、渡し船が到着ば乗り込んで、中で係員さんにお金を払えばOK。地元の学生なども通学で利用しているほど、渡船は生活の中に溶け込んでいる。
5分ほどで対岸に到着、誘導に従って船から降りればしまなみ海道最初の島、向島だ。尾道からも非常に近く、人の交流も盛んな向島は市街地もあり少し交通量もあるため、最初の方は少し気をつかう必要があるが、直ぐに島らしい風景が待っている。海沿いに8kmほど走れば、因島大橋が見えてくる。因島大橋は、他の橋と異なり、2層構造になっていて自動車道の下をサイクリングロードが通る形になっているのが特徴だ。
因島 (8km~22km/92km)
因島大橋を渡れば、しまなみ海道中最大の人口を持つ因島に到着。自転車道のスロープを下りてしばらく進むと、恐竜の模型が目を引くしまなみビーチが右手に見える。しまなみビーチ手前の交差点を左折すればはっさく大福で有名な「因島はっさく屋」が登場。因島が発祥の八朔を白あんと餅でくるんだはっさく大福は日に2000個も売れるという人気ぶりで、地元のサイクリストは事前に電話で在庫確認してから訪れるほど。
また、因島にはマンチェスターユナイテッドとも関わりのある、万田発酵の本社がある。健康食品や肥・飼料を扱う同社は、サイクリングにも強い関心を示しており、サイクリング向けの商品を開発したり、4月19~20日開催のグラン・ツール・せとうちのメインスポンサーになるなど、サイクリストの間にも認知が広まっている。万田発酵の酵素を使って育てられた、巨大な大根やひまわりが迎えてくれるまんだびっくりファームは一度訪れてみる価値はあるかもしれない。
見どころたくさんの因島も、万田発酵前を過ぎて市街地に入ると交通量が多くなるため、安全に気をつけながら走行しよう。市街地をを抜けると、生口橋へのアプローチが始まる。下ってくるサイクリストや原付に気をつけて登って行けば、生口橋が一望できる展望スポットがあるので、カメラを持っている人は止まってみるのもいいだろう。
生口島 (22km~37km/92km)
レモンの産地として名高い生口島は、しまなみ海道の広島側最後の島だ。サイクリストの間では、ツールドいくちじまの開催地として認知したという方も多いだろう。急峻な山をもつ生口島はロードレースを開催するのにぴったりの地形であり、今では大学の自転車部が合宿に訪れたりもするという。
絶品のジェラートが有名な「ドルチェ」は、地元の人も通い詰めるほどの人気店舖。もちろんバイクラックが設置されており、サイクリストにもフレンドリーだ。他にも、平山郁夫美術館や美術館そばの商店街にある「岡哲商店」のコロッケなど、グルメやアートの島が生口島。アーティスティックなオブジェが島中に点在し、ブルーライン沿いでもいくつか見かけることができるのは、「島ごと美術館」という企画。全17点のオブジェを探すサイクリングというのも面白いだろう。
北岸のサンセットビーチからは、ひょっこりひょうたん島のモデルともなったともいわれる瓢箪島が見える。もう少し進めば、しまなみ海道で2番目に長い橋である多々羅大橋の生口島側の入り口が見えてくる。他の橋同様、ゆるやかに登っていくが、料金所手前に休憩できる公園があり、そこで景色を眺めながら一息つくのもいいだろう。
ここまでが、広島県側のしまなみ海道。次回は、多々羅大橋を渡って愛媛県側の大三島、伯方島、大島の魅力を紹介し、今治まで向かう予定。ぜひお楽しみに。
text:Naoki.YASUOKA
photo:So.Isobe,Naoki.YASUOKA
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