2014/01/29(水) - 10:09
昨年に引き続き天候に恵まれた美ら島オキナワCenturyRun2014。前日のウェルカムイベント”サイクルパーク”に続いて、”160kmセンチュリーコース”の模様を編集部山本が実走レポートします。初めて見る沖縄の碧々とした海は抜群に美しかった!
多くの講習会やステージイベント、メーカーブースでの試乗を楽しむことができたイベント前日から一夜明けた1月19日(日)、いよいよ美ら島オキナワCenturyRun2014開催当日を迎えた。初めて沖縄を走れるとあって自然と気持ちが高ぶると同時に初めて単独実走取材を任されたため少し緊張しながら準備を進める。宿泊先のホテルからはメイン会場方面へ向かう参加者が多く見えるようになってきた。
辺りがまだ真っ暗な朝6時、スタート/ゴール地点に設定されている恩納村コミュニティーセンターに到着する。この時点での気温は14度と平年並だったが、前日から吹く強烈な北風が止むことはなく、やや肌寒い。160kmコースの参加者はウィンドブレーカーを風になびかせながらスタートを待った。
日の出前の朝7時に最長距離である160kmコースがスタート。伝統芸能である太鼓エイサーの見送りを受けながら755名のコース参加者と共に、私も沖縄の碧い海や美味しいグルメが待つリゾートライドへ走り出す。
160kmコースは恩納村を起点とした獲得標高1408mのルートが設定されている。今帰仁村(なきじんそん)や名護市、宜野座村(ぎのざそん)、金武町(きんちょう)、うるま市を巡りながらワルミ大橋と古宇利大橋、海中道路(平安座海中大橋)の3つの大きな橋を走ることが特長だ。
序盤は目立った登りこそないものの、強烈な向かい風に四苦八苦しながら東シナ海の海岸線を進む。そして、スタートから1時間程で160kmコース最初のエイドステーション(以下エイド)が設けられた名護市民会館へ到着する。CW読者の中には聞き覚えのある方も多いかもしれないが、ツール・ド・おきなわのゴール地点に設定されている場所であり、当日は全国的にも関心を集めていた名護市長選挙の投票が行なわれていた。
続いてツール・ド・おきなわにおける最後のアタックポイントであるジャスコ坂一帯を逆から登り、本部半島のつけねを縦断しながら車列は羽地内海へと進んでいく。小高い丘が連なるこの辺りは、昨年大会よりプチイベントとして開催されているヒルクライム・タイムトライアルの計測区間が設けられている。
呉我橋と嵐山展望台の間を結ぶ2.3kmの計測区間は距離こそ短いものの途中斜度が10%を超える箇所もあり、走りごたえは十分。大半の参加者はマイペースでこなしたが、ベストタイムを叩きだせば水玉模様の「ちゅら岳王ジャージ」を獲得できるとあって、残り距離など考えず本気のアタックを見せる方も。
160kmコースの中では最長距離となるヒルクライムをこなすと最高標高地点(160m)に達し、突然視界がひらける。そして辺りにはサトウキビやパインナップルの畑が、その向こうには青々とした羽地内海が広がる。
嵐山展望台からのダウンヒルに続いて細かいアップダウンをこなすと大会最初のハイライト区間、古宇利大橋に差し掛かる。屋我地島と古宇利島を一直線に繋ぐ全長1960mのこの橋の両側にはまさしく南国という様な碧い海とサンゴ礁が広がる。観光スポットやロケ地としてテレビや雑誌にも頻繁に取り上げられるそうだが、それも納得できるほどの絶景だ。この頃には雲の切れ間から太陽が顔を覗かせ、登りでは少々汗ばむ程の陽気に。
しかし、強烈な北風が吹き荒れたこの日の古宇利大橋。北上する往路は向かい風で、中には「全然景色が楽しめない…」と嘆く参加者も。昨年は橋を往復するのみに留まったが、今年は古宇利島をグルっと1周。地図上では特に目立った登りは無いものの瞬間的に10%を越える登りもあり、向い風と相まってかなりキツイ。
再び古宇利大橋に戻る手前、島のほぼ南端に位置する新名所「古宇利オーシャンタワー」で一休み。出発後は追い風を受けながら屋我地島へ。無人島である奥武島を経て、今度は東シナ海は右手に見ながら沖縄自動車道の終点である許田ICまで戻り、本島を縦断して対岸の宜野座へ。
コースの半分を少し過ぎた85km地点の海沿いに設置された「未来ぎのざ」エイドでは海ぶどうを味わうことができた。近年では日本各地の沖縄料理店でも食べることができるが、やはり産地で食べる「グリーンキャビア」のプチプチとした食感は格別で、多くの参加者が何回もおかわりしてしまうほど。
続くお昼ポイントの金武町・ネイチャー未来館では名物タコライスで腹ごしらえ。私を含めてハワイ料理だと思っていた方も少なくないだろうが、タコライスはここ金武町が発祥の地であり、2010年には総重量745kgのジャンボタコライスを完成させたことでギネス世界記録にも認定されている。そして、今大会では700人分が1枚の大きなお皿に盛りつけられており、その光景はまさに圧巻の一言。
ランチのあとは金武湾沿いに南下する。キャンプハンセンを横目に見つつ県道329号線をひた走り、しばらくすると本島と平安座島を結ぶ「海中道路」へと到着する。赤い吊り橋が途中に含まれる全長5kmのこの道路は160kmコースのみに組み込まている。ちなみに「海中」とあるが海の中に潜る区間は一切無い。
橋の両側には延々と遠浅の海が広がっており、まさに壮観のひとこと。一緒に走っていたグループの皆さんもその美しさには惚れ惚れ。ここまで100km以上の道のりで溜まってきた疲れは一気に吹き飛んだ様であった。また、午前中に走った西側の海沿いとは異なり海らしい磯の匂いが漂ってくる。
赤い吊り橋を渡った先の「海の駅あやはし館」にはコース最後の大きなエイドが設定されていた。もずくの天ぷらなど定番の沖縄料理に加え、紅芋を使用したサーターアンダギーや、水風船の中に入れられたマンゴープリンなど地元の珍しいものまでお腹いっぱいになるまで味わうことができた。恐らくエイドで頂いたグルメのカロリーが消費カロリーを上回るほどだろう。
コースは海中道路を途中で折り返し、本島へ戻るとゴール地点の恩納村へ国道58号線を北上する。高級ホテルや白砂のビーチが連なる東シナ海の海沿いを走り、夕日に包まれる中ゴール地点の恩納村コミュニティセンターへと戻って来る。近くを走っていた参加者の方と感動をわかちあいながらゴールラインに飛び込んだ。
正直なところ、風が強く吹いていたため走り切れないかも?と考えていため、これまで参加したイベントよりも大きな達成感を得ることができた。また10時間以上走っていたにも関わらず、沖縄の自然やグルメを満喫できたことに加え天気も良かったため、体力的な疲労をほとんど感じることなく走りきることができた。
そして、参加者への強力なサポート体制も疲労やストレス無しに走り切れた理由に挙げられるだろう。160kmコースではブリヂストン・アンカーの選手たちがペースメーカーに努めてくれた他、地元プロショップ沖縄輪業や大会協賛でフィニッシュラインのケミカルなどを取り扱うマルイとプロMTBライダーの池田祐樹選手(トピーク・エルゴン)によるメカニックサービスは非常に心強かった。
今大会は強風に吹かれた区間もあったが、全体的には天気に恵まれたことから難易度はほどほど。実際に「初めて100km超えに挑戦」という方やクロスバイクで参加した方でも十分完走できたほどだ。リゾートならではの景観やグルメライド顔負けの充実したエイドシュテーションしかり、初参加の私を含め多くの160kmコース参加者が「やっぱり沖縄って最高!まさにサイクリングパラダイスだ!」と感じたことだろう。
まさしく美ら島オキナワCenturyRunは沖縄とロングライドの魅力をギュッと凝縮したイベントといえよう。「センチュリーライドに挑戦してみたいけど自信がない」と考えているサイクリストや、純粋に沖縄サイクリングを思う存分楽しみたいという方は来年の160kmコースへの参加を検討してみてはいかがだろうか。きっと、沖縄ならではの碧い海と抜群の風景が完走へと背中を後押してくれるだろう。
あぁ~、レポートを書いていたらまたオキナワを走りたくなってきた…。
次編では100km古宇利島・桜コースの実走レポートをお届けします。
text:Yuya.Yamamoto
photo:Yuya.Yamamoto, Makoto.AYANO
フォトギャラリー(CW FaceBook)
多くの講習会やステージイベント、メーカーブースでの試乗を楽しむことができたイベント前日から一夜明けた1月19日(日)、いよいよ美ら島オキナワCenturyRun2014開催当日を迎えた。初めて沖縄を走れるとあって自然と気持ちが高ぶると同時に初めて単独実走取材を任されたため少し緊張しながら準備を進める。宿泊先のホテルからはメイン会場方面へ向かう参加者が多く見えるようになってきた。
辺りがまだ真っ暗な朝6時、スタート/ゴール地点に設定されている恩納村コミュニティーセンターに到着する。この時点での気温は14度と平年並だったが、前日から吹く強烈な北風が止むことはなく、やや肌寒い。160kmコースの参加者はウィンドブレーカーを風になびかせながらスタートを待った。
日の出前の朝7時に最長距離である160kmコースがスタート。伝統芸能である太鼓エイサーの見送りを受けながら755名のコース参加者と共に、私も沖縄の碧い海や美味しいグルメが待つリゾートライドへ走り出す。
160kmコースは恩納村を起点とした獲得標高1408mのルートが設定されている。今帰仁村(なきじんそん)や名護市、宜野座村(ぎのざそん)、金武町(きんちょう)、うるま市を巡りながらワルミ大橋と古宇利大橋、海中道路(平安座海中大橋)の3つの大きな橋を走ることが特長だ。
序盤は目立った登りこそないものの、強烈な向かい風に四苦八苦しながら東シナ海の海岸線を進む。そして、スタートから1時間程で160kmコース最初のエイドステーション(以下エイド)が設けられた名護市民会館へ到着する。CW読者の中には聞き覚えのある方も多いかもしれないが、ツール・ド・おきなわのゴール地点に設定されている場所であり、当日は全国的にも関心を集めていた名護市長選挙の投票が行なわれていた。
続いてツール・ド・おきなわにおける最後のアタックポイントであるジャスコ坂一帯を逆から登り、本部半島のつけねを縦断しながら車列は羽地内海へと進んでいく。小高い丘が連なるこの辺りは、昨年大会よりプチイベントとして開催されているヒルクライム・タイムトライアルの計測区間が設けられている。
呉我橋と嵐山展望台の間を結ぶ2.3kmの計測区間は距離こそ短いものの途中斜度が10%を超える箇所もあり、走りごたえは十分。大半の参加者はマイペースでこなしたが、ベストタイムを叩きだせば水玉模様の「ちゅら岳王ジャージ」を獲得できるとあって、残り距離など考えず本気のアタックを見せる方も。
160kmコースの中では最長距離となるヒルクライムをこなすと最高標高地点(160m)に達し、突然視界がひらける。そして辺りにはサトウキビやパインナップルの畑が、その向こうには青々とした羽地内海が広がる。
嵐山展望台からのダウンヒルに続いて細かいアップダウンをこなすと大会最初のハイライト区間、古宇利大橋に差し掛かる。屋我地島と古宇利島を一直線に繋ぐ全長1960mのこの橋の両側にはまさしく南国という様な碧い海とサンゴ礁が広がる。観光スポットやロケ地としてテレビや雑誌にも頻繁に取り上げられるそうだが、それも納得できるほどの絶景だ。この頃には雲の切れ間から太陽が顔を覗かせ、登りでは少々汗ばむ程の陽気に。
しかし、強烈な北風が吹き荒れたこの日の古宇利大橋。北上する往路は向かい風で、中には「全然景色が楽しめない…」と嘆く参加者も。昨年は橋を往復するのみに留まったが、今年は古宇利島をグルっと1周。地図上では特に目立った登りは無いものの瞬間的に10%を越える登りもあり、向い風と相まってかなりキツイ。
再び古宇利大橋に戻る手前、島のほぼ南端に位置する新名所「古宇利オーシャンタワー」で一休み。出発後は追い風を受けながら屋我地島へ。無人島である奥武島を経て、今度は東シナ海は右手に見ながら沖縄自動車道の終点である許田ICまで戻り、本島を縦断して対岸の宜野座へ。
コースの半分を少し過ぎた85km地点の海沿いに設置された「未来ぎのざ」エイドでは海ぶどうを味わうことができた。近年では日本各地の沖縄料理店でも食べることができるが、やはり産地で食べる「グリーンキャビア」のプチプチとした食感は格別で、多くの参加者が何回もおかわりしてしまうほど。
続くお昼ポイントの金武町・ネイチャー未来館では名物タコライスで腹ごしらえ。私を含めてハワイ料理だと思っていた方も少なくないだろうが、タコライスはここ金武町が発祥の地であり、2010年には総重量745kgのジャンボタコライスを完成させたことでギネス世界記録にも認定されている。そして、今大会では700人分が1枚の大きなお皿に盛りつけられており、その光景はまさに圧巻の一言。
ランチのあとは金武湾沿いに南下する。キャンプハンセンを横目に見つつ県道329号線をひた走り、しばらくすると本島と平安座島を結ぶ「海中道路」へと到着する。赤い吊り橋が途中に含まれる全長5kmのこの道路は160kmコースのみに組み込まている。ちなみに「海中」とあるが海の中に潜る区間は一切無い。
橋の両側には延々と遠浅の海が広がっており、まさに壮観のひとこと。一緒に走っていたグループの皆さんもその美しさには惚れ惚れ。ここまで100km以上の道のりで溜まってきた疲れは一気に吹き飛んだ様であった。また、午前中に走った西側の海沿いとは異なり海らしい磯の匂いが漂ってくる。
赤い吊り橋を渡った先の「海の駅あやはし館」にはコース最後の大きなエイドが設定されていた。もずくの天ぷらなど定番の沖縄料理に加え、紅芋を使用したサーターアンダギーや、水風船の中に入れられたマンゴープリンなど地元の珍しいものまでお腹いっぱいになるまで味わうことができた。恐らくエイドで頂いたグルメのカロリーが消費カロリーを上回るほどだろう。
コースは海中道路を途中で折り返し、本島へ戻るとゴール地点の恩納村へ国道58号線を北上する。高級ホテルや白砂のビーチが連なる東シナ海の海沿いを走り、夕日に包まれる中ゴール地点の恩納村コミュニティセンターへと戻って来る。近くを走っていた参加者の方と感動をわかちあいながらゴールラインに飛び込んだ。
正直なところ、風が強く吹いていたため走り切れないかも?と考えていため、これまで参加したイベントよりも大きな達成感を得ることができた。また10時間以上走っていたにも関わらず、沖縄の自然やグルメを満喫できたことに加え天気も良かったため、体力的な疲労をほとんど感じることなく走りきることができた。
そして、参加者への強力なサポート体制も疲労やストレス無しに走り切れた理由に挙げられるだろう。160kmコースではブリヂストン・アンカーの選手たちがペースメーカーに努めてくれた他、地元プロショップ沖縄輪業や大会協賛でフィニッシュラインのケミカルなどを取り扱うマルイとプロMTBライダーの池田祐樹選手(トピーク・エルゴン)によるメカニックサービスは非常に心強かった。
今大会は強風に吹かれた区間もあったが、全体的には天気に恵まれたことから難易度はほどほど。実際に「初めて100km超えに挑戦」という方やクロスバイクで参加した方でも十分完走できたほどだ。リゾートならではの景観やグルメライド顔負けの充実したエイドシュテーションしかり、初参加の私を含め多くの160kmコース参加者が「やっぱり沖縄って最高!まさにサイクリングパラダイスだ!」と感じたことだろう。
まさしく美ら島オキナワCenturyRunは沖縄とロングライドの魅力をギュッと凝縮したイベントといえよう。「センチュリーライドに挑戦してみたいけど自信がない」と考えているサイクリストや、純粋に沖縄サイクリングを思う存分楽しみたいという方は来年の160kmコースへの参加を検討してみてはいかがだろうか。きっと、沖縄ならではの碧い海と抜群の風景が完走へと背中を後押してくれるだろう。
あぁ~、レポートを書いていたらまたオキナワを走りたくなってきた…。
次編では100km古宇利島・桜コースの実走レポートをお届けします。
text:Yuya.Yamamoto
photo:Yuya.Yamamoto, Makoto.AYANO
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