2014/01/08(水) - 09:13
沖縄県糸満市でマウンテンバイク大会が本格始動している。J大会としての開催も視野に、着実に歩みを進めている。ツール・ド・おきなわで大成功を収めた沖縄は、MTBでも聖地になれるか?
糸満市長杯マウンテンバイク大会が開催されたのは12月15日。糸満市観光農園を会場に開催された4回目の大会(糸満市長杯としては2回目)に取材におじゃました。本土が寒さに震える頃、沖縄は冬とはいえ天気が良ければ日中は半袖で過ごせる気候だ。
ひめゆりの塔や平和祈念公園で有名な糸満市。会場は那覇空港からレンタカーで約1時間の距離だ。Jシリーズランキング3位の門田基志選手(ジャイアント)に加え、MTBの元トップ選手、鈴木雷太さん(BIKE RANCH代表、シドニー五輪MTB XC代表&アンカーMTBチームコーチ)と宇田川聡仁さん(ブリヂストンサイクル・アンカー販売課勤務、元全日本チャンピオン)もゲストとしてやってきた。
大会は2日間。初日は子供向けの(ペダルのない)プッシュバイクレースや初心者向けマウンテンバイクの乗り方教室、そしてJMAの教本に則った自転車キッズ検定などが行われた。そして夕方4時半からは「沖縄でのMTB大会の可能性」と題したパネルディスカッション。門田選手、雷太さん、宇田川さん、ジャイアントジャパンの中村晃社長、そして糸満市長の上原裕常氏がトークセッションを行った。
「糸満市長杯」と大会名になっているとおり、糸満市の冬場のエコスポーツ拡大事業として開催されるこの大会。沖縄ではまだまだマウンテンバイクが盛んとは言えないが、今後は観光などと絡めてこのスポーツを盛んにしてきたい考えだ。その可能性や方向性を探るというのがこのトークセッションのテーマだ。
全内容は下部ウィンドウのビデオにてご覧いただくとして、MTB大会の現況やこれからについて、元選手、アンカーMTBチームの監督として、ショップ店長、スポーツ車販売担当、自転車メーカー社長、現役選手などそれぞれの立場からMTBの未来像についての興味深い意見が聞けた。
大会の運営はツール・ド・おきなわや美ら島おきなわセンチュリーライドなど、沖縄県内の人気大会を知り尽くした沖縄輪業のスタッフが中心になって行っている。ローカルイベントとして開催してまだ4年目、市長杯としては2回目のプレ大会的なイベントだが、近いうちにJシリーズのひとつになることも考えている。
まずは冬場〜春先のJ2開催のポイントが取れる大会とし、あわせて冬でも温かく、宿泊施設など受け入れ体制もバッチリな沖縄で合宿も行ってもらえたらという考えだ。2週連続開催として、出場者にはその期間に沖縄にとどまってもらうというアイデアも出た。
沖縄県が「サイクリングアイランド・沖縄」構想をもって自転車での観光やサイクリングスポーツによる地域振興をPRしているのはご存知のとおりだ。ローカル大会から本土からもサイクリストたちがやってくる全国規模の大会になりたいという願いを持って。
日が沈んで18時からは同じ会場で「いとまんピースフルイルミネーション」が開催された。「平和」への祈りをLEDによるイルミネーション(電飾)に託して世界へ発信するというこの灯りの祭典は、今年で15回目になるという。その幻想的な雰囲気にすっかり魅了されてしまった。激戦地である沖縄南部。過去を知るほどにこの光の祭典の意味するものが心に訴えかける。そして、夜はオリオンビールと泡盛で沖縄料理を楽しむのはもちろんだ。沖縄のサイクルイベントは大会前後も「オキナワ」をたっぷり楽しめるのがいい。
走りごたえたっぷりの南国トレイル
2日目の日曜日がレースのメインイベント。クラス分けはノービス(初心者) 8km、女子スポーツ8km、 エキスパート(糸満市長杯)24km、男子スポーツ16km、ジュニア高学年(4・5・6年) 4km、ジュニア低学年(1・2・3年) 2km、タイムアタック 2kmとなっている。
写真で見るコースガイド
コースは糸満市観光農園内の常設MTBコース。つまり普段から使用料500円を払えば走ることができるという。普段はレンタルMTBも用意され、本格派の人も手ぶらでMTBを存分に楽しめるようになっている。
コースを実走しての印象は、4kmと距離が充分長く、変化に富んでいる。路面にはところどころ沖縄独特の石灰岩の岩場が点在していて、植生も亜熱帯のジャングルのようなエキゾチックな雰囲気。アップダウンの多い地形を活かして、コーナーも切り返しが多く造られているかなりのテクニカルコース。バナナの木が選手を見守っているのがご愛嬌だ。
山も丘もないが、ホイール径29インチで飛ばすのに向く平坦路だけでなく、アップダウンに富んでいる。26インチの俊敏なコーナリング性能が必要なクイックターンが交じり合っているため、総合的にはその中間の27.5インチが最適なコースだった。
糸満市長杯のエキスパート24kmには鈴木雷太さん、宇田川聡仁さんも出場し、往年の走りを見せてくれた。トップ争いは門田基志選手(ジャイアント)と沖縄輪業の国富直樹選手のバトルに。国富選手は沖縄県内ナンバーワンのXC選手だが、門田選手がいとも簡単に振りきり、Jランキング3位の貫禄を見せつけた。ただしゲスト選手はオープン参加のため、国富選手が糸満市長杯を手にした。
門田選手にはこのコースを走るバイクのアドバイスももらった。「ストップ・アンド・ゴーが多くてコースの変化がめまぐるしいほどなので、27.5インチのフルサスバイクで大正解でした。コーナーを抜ける度にもたつく29インチの選手には差を付けられるし、路面の荒れも激しいのでフルサスの路面追従性が活かせます。岩肌がむき出しの箇所が多くあるのでタイヤをパンクさせないように走るのも大事だと感じました。沖縄のトレールはエキゾチックで最高に楽しかったです」。
今回の大会期間中、ゲストを交え沖縄でのMTB大会のこれからの展開方法について盛んに話し合った。糸満市長の上原氏も健康のためにMTBに乗ることを宣言した(させられた?笑)し、これからの沖縄でのMTB大会の展開を楽しみにしていいと思う。
フォトギャラリー(CW FaceBook)
photo&text:Makoto.AYANO
糸満市長杯マウンテンバイク大会が開催されたのは12月15日。糸満市観光農園を会場に開催された4回目の大会(糸満市長杯としては2回目)に取材におじゃました。本土が寒さに震える頃、沖縄は冬とはいえ天気が良ければ日中は半袖で過ごせる気候だ。
ひめゆりの塔や平和祈念公園で有名な糸満市。会場は那覇空港からレンタカーで約1時間の距離だ。Jシリーズランキング3位の門田基志選手(ジャイアント)に加え、MTBの元トップ選手、鈴木雷太さん(BIKE RANCH代表、シドニー五輪MTB XC代表&アンカーMTBチームコーチ)と宇田川聡仁さん(ブリヂストンサイクル・アンカー販売課勤務、元全日本チャンピオン)もゲストとしてやってきた。
大会は2日間。初日は子供向けの(ペダルのない)プッシュバイクレースや初心者向けマウンテンバイクの乗り方教室、そしてJMAの教本に則った自転車キッズ検定などが行われた。そして夕方4時半からは「沖縄でのMTB大会の可能性」と題したパネルディスカッション。門田選手、雷太さん、宇田川さん、ジャイアントジャパンの中村晃社長、そして糸満市長の上原裕常氏がトークセッションを行った。
「糸満市長杯」と大会名になっているとおり、糸満市の冬場のエコスポーツ拡大事業として開催されるこの大会。沖縄ではまだまだマウンテンバイクが盛んとは言えないが、今後は観光などと絡めてこのスポーツを盛んにしてきたい考えだ。その可能性や方向性を探るというのがこのトークセッションのテーマだ。
全内容は下部ウィンドウのビデオにてご覧いただくとして、MTB大会の現況やこれからについて、元選手、アンカーMTBチームの監督として、ショップ店長、スポーツ車販売担当、自転車メーカー社長、現役選手などそれぞれの立場からMTBの未来像についての興味深い意見が聞けた。
大会の運営はツール・ド・おきなわや美ら島おきなわセンチュリーライドなど、沖縄県内の人気大会を知り尽くした沖縄輪業のスタッフが中心になって行っている。ローカルイベントとして開催してまだ4年目、市長杯としては2回目のプレ大会的なイベントだが、近いうちにJシリーズのひとつになることも考えている。
まずは冬場〜春先のJ2開催のポイントが取れる大会とし、あわせて冬でも温かく、宿泊施設など受け入れ体制もバッチリな沖縄で合宿も行ってもらえたらという考えだ。2週連続開催として、出場者にはその期間に沖縄にとどまってもらうというアイデアも出た。
沖縄県が「サイクリングアイランド・沖縄」構想をもって自転車での観光やサイクリングスポーツによる地域振興をPRしているのはご存知のとおりだ。ローカル大会から本土からもサイクリストたちがやってくる全国規模の大会になりたいという願いを持って。
日が沈んで18時からは同じ会場で「いとまんピースフルイルミネーション」が開催された。「平和」への祈りをLEDによるイルミネーション(電飾)に託して世界へ発信するというこの灯りの祭典は、今年で15回目になるという。その幻想的な雰囲気にすっかり魅了されてしまった。激戦地である沖縄南部。過去を知るほどにこの光の祭典の意味するものが心に訴えかける。そして、夜はオリオンビールと泡盛で沖縄料理を楽しむのはもちろんだ。沖縄のサイクルイベントは大会前後も「オキナワ」をたっぷり楽しめるのがいい。
走りごたえたっぷりの南国トレイル
2日目の日曜日がレースのメインイベント。クラス分けはノービス(初心者) 8km、女子スポーツ8km、 エキスパート(糸満市長杯)24km、男子スポーツ16km、ジュニア高学年(4・5・6年) 4km、ジュニア低学年(1・2・3年) 2km、タイムアタック 2kmとなっている。
写真で見るコースガイド
コースは糸満市観光農園内の常設MTBコース。つまり普段から使用料500円を払えば走ることができるという。普段はレンタルMTBも用意され、本格派の人も手ぶらでMTBを存分に楽しめるようになっている。
コースを実走しての印象は、4kmと距離が充分長く、変化に富んでいる。路面にはところどころ沖縄独特の石灰岩の岩場が点在していて、植生も亜熱帯のジャングルのようなエキゾチックな雰囲気。アップダウンの多い地形を活かして、コーナーも切り返しが多く造られているかなりのテクニカルコース。バナナの木が選手を見守っているのがご愛嬌だ。
山も丘もないが、ホイール径29インチで飛ばすのに向く平坦路だけでなく、アップダウンに富んでいる。26インチの俊敏なコーナリング性能が必要なクイックターンが交じり合っているため、総合的にはその中間の27.5インチが最適なコースだった。
糸満市長杯のエキスパート24kmには鈴木雷太さん、宇田川聡仁さんも出場し、往年の走りを見せてくれた。トップ争いは門田基志選手(ジャイアント)と沖縄輪業の国富直樹選手のバトルに。国富選手は沖縄県内ナンバーワンのXC選手だが、門田選手がいとも簡単に振りきり、Jランキング3位の貫禄を見せつけた。ただしゲスト選手はオープン参加のため、国富選手が糸満市長杯を手にした。
門田選手にはこのコースを走るバイクのアドバイスももらった。「ストップ・アンド・ゴーが多くてコースの変化がめまぐるしいほどなので、27.5インチのフルサスバイクで大正解でした。コーナーを抜ける度にもたつく29インチの選手には差を付けられるし、路面の荒れも激しいのでフルサスの路面追従性が活かせます。岩肌がむき出しの箇所が多くあるのでタイヤをパンクさせないように走るのも大事だと感じました。沖縄のトレールはエキゾチックで最高に楽しかったです」。
今回の大会期間中、ゲストを交え沖縄でのMTB大会のこれからの展開方法について盛んに話し合った。糸満市長の上原氏も健康のためにMTBに乗ることを宣言した(させられた?笑)し、これからの沖縄でのMTB大会の展開を楽しみにしていいと思う。
フォトギャラリー(CW FaceBook)
photo&text:Makoto.AYANO