東日本大震災から2年。自転車乗りができる東北支援、それはレースで最高のパフォーマンスを発揮すること。その思いで始まったメモリアルクロスも2回目。それぞれの方法で支援する仲間が集まった。

みんなが笑顔。応援バナーを囲んでみんなが笑顔。応援バナーを囲んで photo:Hideaki TAKAGI
東日本大震災への支援の方法はたくさんある。いっぽうで支援をしたいけれど具体的に何をどうしたらいいか迷う人も多い。寄付金を出すこともそのひとつだけれど、もっと何かをしたい。そう思う人は多いはず。

60分耐久ソロスタート前 いつもと同様にグリッドも区切られる60分耐久ソロスタート前 いつもと同様にグリッドも区切られる photo:Hideaki TAKAGI
ならば自転車関係者は何をしたらいいのか、何ができるのか。そのひとつが、主催者はレースを開催すること、競技者はそれに参加すること。その思いで開催されたのが3.11メモリアルシクロクロス。「3.11を忘れない関西クロスの仲間たち」が集まって開催して今年で2回目。

3月10日(日)、滋賀県東近江市ふれあい運動公園での第2回メモリアルクロス。主催は「3.11を忘れない関西クロスの仲間たち」、協賛はRapha Japan、タベルナエスキーナ。滋賀県中央部の、愛知川(えちがわ)の琵琶湖への河口部に近いフラットな場所が会場。

「自転車乗りの自己表現はペダルをこぐこと」佐野光宏実行委員長

実行委員長の佐野光宏氏の呼びかけで始まったイベント。右は関西シクロクロスオルガナイザーの矢野淳氏実行委員長の佐野光宏氏の呼びかけで始まったイベント。右は関西シクロクロスオルガナイザーの矢野淳氏 photo:Hideaki TAKAGIこのメモリアルクロスは、いまや参加者700名を越える規模にまで大きくなった、関西シクロクロスの参加者有志によって開催されている。実行委員長は佐野光宏氏。メンバーは関西シクロクロスのスタッフや参加クラブチームの選手たち。

佐野光宏実行委員長は語る。
「今年で2回目、趣旨が伝わりみんなが集まったことが嬉しいです。自転車乗りの自己表現はペダルをこぐこと、思い起こすことがメモリアルと思うし、それが支援に繋がるのではと考えています。楽しく走って苦しめて、このようなイベントを毎年この時期に続けたいですね」

「実行委員長の肩書きをいただいていますが僕はそんなに頑張っていません。矢野さんはじめみんなが作り上げ支えているものです。今日は参加した人たちみんなにありがとうございましたと言いたいです」と続ける。

「今日の皆さんの気持ちを必ず東北へ伝えます」東北CXスタッフの西野匡持さん

東北シクロクロスプロジェクトスタッフの西野匡持さん東北シクロクロスプロジェクトスタッフの西野匡持さん photo:Hideaki TAKAGI「昨年に引き続き皆さんの温かいご支援に感謝します。本当にありがたいことと思います。おかげさまで東北ではレースを5戦開催できました。自分達東北シクロクロスプロジェクトが皆さんの支援先でいいのか恐縮しています。東北も皆さんに感謝したい気持ちがあり、それで菅田さんとバナーを考えました」

「寄せ書きしていただいたこのバナーは、来シーズンの東北シクロクロス会場に掲示します。皆さんが東日本大震災の被災地のことを思っていただいていることは心温かく素晴らしいことと思います。3.11を忘れない関西クロスの仲間たちの皆さんは日本人の誇りです。私たちは東北を盛り立てます。そして今日の皆さんの気持ちを必ず東北へ伝えます」

60分耐久ソロスタート60分耐久ソロスタート photo:Hideaki TAKAGIシングルスピードスタート。マリオが先頭!シングルスピードスタート。マリオが先頭! photo:Hideaki TAKAGI

エントリーは300人以上!

耐久レースが中心のこのイベント。60分耐久ソロからこの日のレースがスタート。ふだんのC1やCM1と同じく強豪選手たちが前列に陣取りコールを受ける。緊張感は本戦と全く変わらない。
96人が一斉にスタート、5人が先頭グループを作り後続を1分以上引き離す。ラップは6分から6分10秒。ゴール前の直線勝負で順位が決まり、ベテランの久保伸次(岩井商会RACING)が優勝。

60分耐久ソロ 表彰60分耐久ソロ 表彰 photo:Hideaki TAKAGIシングルスピード表彰シングルスピード表彰 photo:Hideaki TAKAGI
この頃に天候が急変、朝の受付時には暖かかった会場だが風雨が強まる。シングルスピードは30分の予定を3周に減らしスタート。60分耐久よりも速い5分40秒ほどのラップで先頭が争われ、60分では惜しくも2位だった川村誠(京都大学サイクリング部)が優勝。

続くキッズは15分の予定を1周(ショートコース)に変更、14人の子どもたち全員が強まる風雨のなか完走。こののちレースは主催者判断で中止に。強い風が今後も続くと判断されてのこと。120分チーム耐久は次回のお楽しみに。

西宮市役所から南三陸町へ派遣されていた前田哲也さんがレポート。ロンドンオリンピック出場の前田佳代乃選手の父。住民から逆に「ありがとう」と言われたという西宮市役所から南三陸町へ派遣されていた前田哲也さんがレポート。ロンドンオリンピック出場の前田佳代乃選手の父。住民から逆に「ありがとう」と言われたという photo:Hideaki TAKAGIおいしい!タベルナエスキーナさんのじゃがバター。ここにもレースが繋いだ仲間たちがおいしい!タベルナエスキーナさんのじゃがバター。ここにもレースが繋いだ仲間たちが photo:Hideaki TAKAGI

「タマココロ」ブランドでサイクルキャップを販売した久保田さん。材料費を除いた金額が実行委員会へ東北支援のため寄付。素晴らしい出来栄え「タマココロ」ブランドでサイクルキャップを販売した久保田さん。材料費を除いた金額が実行委員会へ東北支援のため寄付。素晴らしい出来栄え photo:Hideaki TAKAGIシクロクロスは主催者と選手の関係がとても近いレース。関西シクロクロスはレースごとにその地に近いクラブチームが主管するので、選手の多くが主催の側にも回る。もちろん参加するだけの人も大歓迎。そのオープンな雰囲気がこのメモリアルクロスを作り上げた。

表彰式そして抽選会では、実行委員会が購入した東北産品の数々も。もちろんラファのウェアも。今後も毎年3月11日に近い日曜日に東北支援シクロクロスを開催する。来年は3月9日(日)が予定されている。


結果
60分耐久ソロ
1位 久保伸次(岩井商会RACING)1時間01分10秒
2位 川村誠(京都大学サイクリング部)+01秒
3位 矢部周作(equipe1960+18)+02秒
4位 伊澤広大(俺たち日野育ち)
5位 村田憲治 +03秒
6位 国吉正紀(BRIDLER)+1分26秒
60分耐久ソロ 矢部周作さんのジャージにはRIDE FOR TOHOKUのロゴが60分耐久ソロ 矢部周作さんのジャージにはRIDE FOR TOHOKUのロゴが photo:Hideaki TAKAGI7位 梶田晋(Euro-Works Racing)+1分52秒
8位 福田透 +1分54秒
9位 船岡洋(tacurino.net)+1分56秒
10位 落合友樹(HunterSimworks)+2分03秒

シングルスピード
 3周
1位 川村誠(京都大学サイクリング部)17分03秒
2位 渡辺佑樹 +12秒
3位 薮内靖弘(京都大学サイクリング部)+53秒
4位 鬼頭拓也(クラブシルベスト)+1分00秒
5位 片岡昭智(Team Green Road)+1分03秒
6位 佐野光宏(ストラーダR)+1分50秒


キッズクラスを3歳で完走した柿本圭治郎君のストライダー。父の哲治さん手作りの復興支援シールがキッズクラスを3歳で完走した柿本圭治郎君のストライダー。父の哲治さん手作りの復興支援シールが photo:Hideaki TAKAGI今度こそ「まった来年~!」今度こそ「まった来年~!」 photo:Hideaki TAKAGI

photo&text:高木秀彰