2009/06/22(月) - 16:55
6月21日(日)に広島県中央森林公園で行われたJサイクルツアー第4戦西日本ロード。レースを動かしたのは鈴木真理、飯島、真鍋らベテラン勢。そして特別な日に特別な場所で優勝したのは、みずからも動いた畑中勇介(シマノレーシング)だった。
172.2kmのレース
全日本ロードが広島で行われるときの西日本ロードは、従来は調子を見ることが優先されたレースだった。ところが今年は全日本より2周少ないだけの長丁場のレース。加えて今年からの実業団新制度。レースは逃げと追走、幾度ものアタックが繰り返され、完走者はわずかに20名。激しいサバイバルなロードレースの展開になった。
136名がスタート
TRクラスは11時30分、136名でスタート。12.3kmを14周する。曇りがちで気温は25度ほどだが非常に蒸し暑く、時折激しい雨や強い日差しも照りつける、体力消耗の激しい4時間半のレースとなった。そして雨天時のこのコースはパンクが非常に多い。タイヤの選択もカギとなる。出場はシマノ、愛三、BSアンカー、マトリックス、ブリッツェンのコンチネンタルチームに、NIPPO、ラバネロ、チームマッサらほぼ全てのチームと選手が参加。
1周目の上りで福田真平(チームブリヂストン・アンカー)と涌本正樹(マトリックスパワータグ・コラテック)が抜け出して先行、このまま2周を逃げる。3周目にこの逃げが吸収されるとカウンターでアタックがかかる。特に嶌田義明(チームブリヂストン・アンカー)の強烈なアタックに伊勢直人(MASSA-FOCUS-OUTDOORPRODUCTS)が反応、そして飯島誠(チームブリヂストン・アンカー) らが合流して下りきった時点で5人の逃げができる。
真鍋、飯島、松村、伊勢が逃げる
この5人は、真鍋和幸(TEAM NIPPO-COLNAGO)、飯島誠(チームブリヂストン・アンカー)、松村光浩(愛三工業レーシングチーム)、伊勢、 金子友也(ブリヂストン・エスポワール)だ。5周目には金子が下って逃げは4人に。結局90kmにわたって逃げ続けることに。
メイン集団はシマノ勢を中心にマトリックス、そしてブリッツェンが加わってコントロール。差は最大5分まで広がる。ローテーションして逃げる4人の中で7周目に伊勢が落車するが追いつく。続く8周目、伊勢がパンクするが再び追いつき、4人のままで逃げ続ける。
鈴木真理中心に追い上げを計るメイン集団
5分差あったメイン集団も次第に差を詰めていく。おもにシマノ勢が引くが、その中心はルビーレッドジャージを着る鈴木真理(シマノレーシング)だ。広島の坂をアウターギヤでペースアップ、差は1周ごとに40秒ほど詰めていく。この影響でメイン集団も小さくなり20人ほどに。10周目には先頭から伊勢が下り逃げは3人になる。
逃げを吸収、アタック合戦に
11周目には先頭から松村も下って逃げは真鍋と飯島の2人に。そしてその後集団に吸収される。12周目(ラスト3周)、鈴木真理がアタック、一時10秒ほどリード、その後畑中、真鍋、狩野智也(シマノレーシング)、西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)、飯島、盛一大(愛三工業レーシングチーム)らがアタック。特に飯島、真鍋は90kmを逃げ続けた直後にもかかわらずアタックを連発して集団を苦しめる。これら一連のアタックでラスト2周で先頭は5人に。鈴木真理、畑中、真鍋、西谷、普久原奨(チームブリヂストン・アンカー)だ。
5人で向かえた最終周回
この5人のまま最終周回へ突入。上り区間で最後のアタック合戦に。西谷のペースアップで普久原が下がり4人に。そして最後の上り地点で鈴木真理と西谷がアタック、真鍋が下って鈴木真理、畑中、西谷の3人でゴールへ向かう。
畑中がバースデイ・ウイン
鈴木真理先頭で迎えたホームストレート。後方確認してシマノのワン・ツーを確信した鈴木真理を、畑中がパスして二人とも両手を挙げてゴール。この日が誕生日だということはチームメイトたちは知っていた。そして優勝の畑中にとって、この広島での西日本ロードは3年前にメジャーデビューした地だった。当時ノーマークに近かったBS所属の畑中は、ゴールスプリントでシマノ野寺を下して優勝したが、今回はみずからアタックを掛けリードする立場での価値ある優勝だ。
「チームで勝ててうれしい」
優勝した畑中は「チームとして、そして自分として優勝できてうれしい。このコースはジュニア時代からも得意なほう。展開では、逃げにシマノが送り込めなかったので追い上げたが、レースの中で真理さんと自分とで勝ちを狙うことを決めた。3段階くらいでアタックするメンバーを決めていた。あと、自分はパンクなど無かったことも運が良かった。チームの状態はいいけれども、自分の走りは反省点も多いので気を抜かずに来週の全日本を走りたい」と語る。
際立ったベテラン勢の走り
シマノのチームとしての強さがまず目立つレースとなった。そのなかでも鈴木真理は終盤に集団を率いながらアタックを連発、そして最終ストレートに先頭で現れるという活躍を見せ、絶好調ぶりをアピール。また、飯島、真鍋は90kmを逃げ続けたあとも、さらにアタックを繰り返すその姿は、若い選手へ強烈なインパクトを与えた。終わってみれば完走者はわずかに20名。いずれも名だたる強い選手ばかり。そのなかに数人のクラブチームや若い選手が入っており、今後に期待が持てるものだ。
全日本選手権ロードは1週間後。エリートには新城幸也や梅丹本舗が参加する。展開は大きく変わるがシマノはチームとしてうまく仕上がっていることに間違いはない。
結果
TRクラス 172.2km
1位 畑中勇介(シマノレーシング)4時間33分48秒(AVS37.73km/h)
2位 鈴木真理(シマノレーシング)+02秒
3位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)+10秒
4位 真鍋和幸(TEAM NIPPO-COLNAGO)+42秒
5位 普久原奨(チームブリヂストン・アンカー)+1分04秒
6位 野寺秀徳(シマノレーシング)+2分32秒
7位 佐野淳哉(TEAM NIPPO-COLNAGO)+2分33秒
8位 飯島誠(チームブリヂストン・アンカー) +2分40秒
9位 廣瀬敏(TEAM NIPPO-COLNAGO)+2分53秒
10位 清水良行(UTSUNOMIYA BLITZEN)+3分11秒
11位 狩野智也(シマノレーシング)+3分12秒
12位 津末浩平(MASSA-FOCUS-OUTDOORPRODUCTS)+3分27秒
13位 山根理史(Comrade Giant)
14位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)+3分32秒
15位 竹之内悠(TREK MARCOPOPLO CYCLINGTEAM TR)+4分04秒
16位 栂尾大知(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)+6分33秒
17位 鎌田圭介(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)+6分34秒
18位 永良大誠(J-mix、グランデパール播磨Hyogo)+8分55秒
19位 伊藤翼(Esperance Stage/WAVE ONE)+9分28秒
20位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)+10分04秒
以上完走者20名
第4戦終了時点個人ランキング
1位 鈴木真理(シマノレーシング) 405点
2位 野寺秀徳(シマノレーシング) 250点
3位 長沼隆行(UTSUNOMIYA BLITZEN) 241点
第4戦終了時点チームランキング
1位 シマノレーシング 750点
2位 愛三工業レーシングチーム 345点
3位 UTSUNOMIYA BLITZEN 332点
photo&text:高木秀彰
172.2kmのレース
全日本ロードが広島で行われるときの西日本ロードは、従来は調子を見ることが優先されたレースだった。ところが今年は全日本より2周少ないだけの長丁場のレース。加えて今年からの実業団新制度。レースは逃げと追走、幾度ものアタックが繰り返され、完走者はわずかに20名。激しいサバイバルなロードレースの展開になった。
136名がスタート
TRクラスは11時30分、136名でスタート。12.3kmを14周する。曇りがちで気温は25度ほどだが非常に蒸し暑く、時折激しい雨や強い日差しも照りつける、体力消耗の激しい4時間半のレースとなった。そして雨天時のこのコースはパンクが非常に多い。タイヤの選択もカギとなる。出場はシマノ、愛三、BSアンカー、マトリックス、ブリッツェンのコンチネンタルチームに、NIPPO、ラバネロ、チームマッサらほぼ全てのチームと選手が参加。
1周目の上りで福田真平(チームブリヂストン・アンカー)と涌本正樹(マトリックスパワータグ・コラテック)が抜け出して先行、このまま2周を逃げる。3周目にこの逃げが吸収されるとカウンターでアタックがかかる。特に嶌田義明(チームブリヂストン・アンカー)の強烈なアタックに伊勢直人(MASSA-FOCUS-OUTDOORPRODUCTS)が反応、そして飯島誠(チームブリヂストン・アンカー) らが合流して下りきった時点で5人の逃げができる。
真鍋、飯島、松村、伊勢が逃げる
この5人は、真鍋和幸(TEAM NIPPO-COLNAGO)、飯島誠(チームブリヂストン・アンカー)、松村光浩(愛三工業レーシングチーム)、伊勢、 金子友也(ブリヂストン・エスポワール)だ。5周目には金子が下って逃げは4人に。結局90kmにわたって逃げ続けることに。
メイン集団はシマノ勢を中心にマトリックス、そしてブリッツェンが加わってコントロール。差は最大5分まで広がる。ローテーションして逃げる4人の中で7周目に伊勢が落車するが追いつく。続く8周目、伊勢がパンクするが再び追いつき、4人のままで逃げ続ける。
鈴木真理中心に追い上げを計るメイン集団
5分差あったメイン集団も次第に差を詰めていく。おもにシマノ勢が引くが、その中心はルビーレッドジャージを着る鈴木真理(シマノレーシング)だ。広島の坂をアウターギヤでペースアップ、差は1周ごとに40秒ほど詰めていく。この影響でメイン集団も小さくなり20人ほどに。10周目には先頭から伊勢が下り逃げは3人になる。
逃げを吸収、アタック合戦に
11周目には先頭から松村も下って逃げは真鍋と飯島の2人に。そしてその後集団に吸収される。12周目(ラスト3周)、鈴木真理がアタック、一時10秒ほどリード、その後畑中、真鍋、狩野智也(シマノレーシング)、西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)、飯島、盛一大(愛三工業レーシングチーム)らがアタック。特に飯島、真鍋は90kmを逃げ続けた直後にもかかわらずアタックを連発して集団を苦しめる。これら一連のアタックでラスト2周で先頭は5人に。鈴木真理、畑中、真鍋、西谷、普久原奨(チームブリヂストン・アンカー)だ。
5人で向かえた最終周回
この5人のまま最終周回へ突入。上り区間で最後のアタック合戦に。西谷のペースアップで普久原が下がり4人に。そして最後の上り地点で鈴木真理と西谷がアタック、真鍋が下って鈴木真理、畑中、西谷の3人でゴールへ向かう。
畑中がバースデイ・ウイン
鈴木真理先頭で迎えたホームストレート。後方確認してシマノのワン・ツーを確信した鈴木真理を、畑中がパスして二人とも両手を挙げてゴール。この日が誕生日だということはチームメイトたちは知っていた。そして優勝の畑中にとって、この広島での西日本ロードは3年前にメジャーデビューした地だった。当時ノーマークに近かったBS所属の畑中は、ゴールスプリントでシマノ野寺を下して優勝したが、今回はみずからアタックを掛けリードする立場での価値ある優勝だ。
「チームで勝ててうれしい」
優勝した畑中は「チームとして、そして自分として優勝できてうれしい。このコースはジュニア時代からも得意なほう。展開では、逃げにシマノが送り込めなかったので追い上げたが、レースの中で真理さんと自分とで勝ちを狙うことを決めた。3段階くらいでアタックするメンバーを決めていた。あと、自分はパンクなど無かったことも運が良かった。チームの状態はいいけれども、自分の走りは反省点も多いので気を抜かずに来週の全日本を走りたい」と語る。
際立ったベテラン勢の走り
シマノのチームとしての強さがまず目立つレースとなった。そのなかでも鈴木真理は終盤に集団を率いながらアタックを連発、そして最終ストレートに先頭で現れるという活躍を見せ、絶好調ぶりをアピール。また、飯島、真鍋は90kmを逃げ続けたあとも、さらにアタックを繰り返すその姿は、若い選手へ強烈なインパクトを与えた。終わってみれば完走者はわずかに20名。いずれも名だたる強い選手ばかり。そのなかに数人のクラブチームや若い選手が入っており、今後に期待が持てるものだ。
全日本選手権ロードは1週間後。エリートには新城幸也や梅丹本舗が参加する。展開は大きく変わるがシマノはチームとしてうまく仕上がっていることに間違いはない。
結果
TRクラス 172.2km
1位 畑中勇介(シマノレーシング)4時間33分48秒(AVS37.73km/h)
2位 鈴木真理(シマノレーシング)+02秒
3位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)+10秒
4位 真鍋和幸(TEAM NIPPO-COLNAGO)+42秒
5位 普久原奨(チームブリヂストン・アンカー)+1分04秒
6位 野寺秀徳(シマノレーシング)+2分32秒
7位 佐野淳哉(TEAM NIPPO-COLNAGO)+2分33秒
8位 飯島誠(チームブリヂストン・アンカー) +2分40秒
9位 廣瀬敏(TEAM NIPPO-COLNAGO)+2分53秒
10位 清水良行(UTSUNOMIYA BLITZEN)+3分11秒
11位 狩野智也(シマノレーシング)+3分12秒
12位 津末浩平(MASSA-FOCUS-OUTDOORPRODUCTS)+3分27秒
13位 山根理史(Comrade Giant)
14位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)+3分32秒
15位 竹之内悠(TREK MARCOPOPLO CYCLINGTEAM TR)+4分04秒
16位 栂尾大知(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)+6分33秒
17位 鎌田圭介(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)+6分34秒
18位 永良大誠(J-mix、グランデパール播磨Hyogo)+8分55秒
19位 伊藤翼(Esperance Stage/WAVE ONE)+9分28秒
20位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)+10分04秒
以上完走者20名
第4戦終了時点個人ランキング
1位 鈴木真理(シマノレーシング) 405点
2位 野寺秀徳(シマノレーシング) 250点
3位 長沼隆行(UTSUNOMIYA BLITZEN) 241点
第4戦終了時点チームランキング
1位 シマノレーシング 750点
2位 愛三工業レーシングチーム 345点
3位 UTSUNOMIYA BLITZEN 332点
photo&text:高木秀彰
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