2012/11/01(木) - 21:19
ジャパンカップの翌日、東京都内で可能になったリクイガス・キャノンデールの3人の選手へのインタビュー。イヴァン・バッソ、増田成幸、ペーター・サガンそしてパオロ・スロンゴ監督とのセッションから。
インタビュー聞き手:綾野 真 通訳:中野喜文
―まずはジャパンカップ優勝おめでとうございます。チームはどのような体制でジャパンカップに臨みましたか?
バッソ: チームの作戦としては、土曜日はペーター・サガンを中心としたチーム編成で、そして日曜日は僕を単独エースとしてレースに臨んだんだ。土曜日のクリテリウムではサガンが良い位置でスプリントできず勝つことができなかったが、日曜日はエースとして結果を残す事ができて嬉しく思っているよ。
―あなたは4年前のジャパンカップでレースに復帰し、その思い出のレースであるジャパンカップで優勝を挙げました。その気持を教えて下さい。
バッソ: 2008年に初出場した時からジャパンカップは常に僕の中では特別なレースなんだ。特にファンの盛り上がりや熱狂が凄くて、それが僕に力を与えてくれるし、それをとても強く感じているんだ。世界のレースにはそれぞれカテゴリー分けがされているけれど、僕はプロ選手ならば出場する全てのレースで全力を尽くすことが当然だと思っている。
ジャパンカップに関して言えば、シーズン最後のレース。シーズンを締めくくるレースとして重要だと捉えているんだ。チームとして全力で取り組み、その結果最良の結果を得ることができて嬉しく思っているよ。
―レースを終わってすぐ、自らステージに立ってファンへ向けてメッセージを語りましたね。とても印象的で、私自身感動したシーンです。何があなたを突き動かしたのでしょうか。
バッソ: 特別な勝利だったということ。さっき言ったこととも通じるけれど、本当に勝ちたかったんだ。その気持ちが現れたということだね。
―東日本大震災の後からずっと、あなたはTwitterを通じて日本の人たちを励ますような暖かいメッセージを、しかも日本語で発信してくれました。その言葉に励まされた人が多かったはずです。だからあのバッソコールが沸き起こった。
日本の文化が好き。日本の人たちの素晴らしさに尊敬の念を抱いているんだ。−バッソ
バッソ: そう。それはつまり、僕は日本が、日本の文化が好きってことなんだ。その中でやはり礼儀正しい所、自分以外の人のことを思いやるところ、他人が嫌と思うことをしないこと...日本人の持っているそういったことはとても素晴らしいと思っているし、世界中を回ってもなかなかこんな文化には出逢えることが無いから尊敬しているんだ。そういうことがあるから日本が好きなんだよ。
―ありがとう。ところで、シーズンが終わってようやくリラックスできますね。レース後にホテルに向かう車の中でポテトチップスを食べましたね?(笑)
バッソ: あっ、知っているの? なんでだろう??。
―友人のカズ(山本和弘選手)の奥さんの写真付きツィートで知りました(笑)。もうジャンクフードを食べてもいいんですか?(笑)
バッソ: 昨日はつい悪いものを食べてしまったよ(笑)。でも今晩は大好物のスシ(寿司)!。フルガス(全力)で食べるんだ(笑)。
―今回の来日で印象に残ったことは? なにかいつもと違う新しい発見はあった?
バッソ: 印象に残ることといえばもちろんジャパンカップで優勝できたことだね。そのことに間違いは無いけれど、とにかく日本の文化や人々に触れることができるということは、いつも日本に来て嬉しいことなんだ。
―ロンバルディアから1ヶ月近く空き、調整が難しかったのでは?
=トレーニングコーチでもあるスロンゴ監督が語る= それはやはり簡単なことではありませんでした。シーズン終わりのレースであるロンバルディアから1ヶ月という期間で、コンディションを維持するこのが非常に難しかったのは間違いありません。ロンバルディアの後、ジャパンカップに向けてのトレーニングメニューをイヴァンに課しました。それはかなりキツく、本人も辛かったとは思います。
イヴァンはロンバルディアでのコンディションが非常に良く、このままシーズンを終わらせるのは勿体ないと言いました。だから厳しいトレーニングプログラムを作成したのですが、彼がそれをこなした裏には、彼自身が
特別なモチベーションを持っていたからなのです。
それは、まずイヴァンが今シーズン1勝もしていなかったこと。そして次に、リクイガスとして走る最後のレースだったということ。そして終わりであると同時に、来季全く新しい体制でスタートするチームのオープニングでもあること。チームリーダーでもあるイヴァンは特別なモチベーションをジャパンカップに向けて抱いていたのです。
―イヴァン、あなたはチームリーダーとして、来季のチームでどんなことを考えていますか?
バッソ: まず第一に、新しく発足するチームの一員となれることを嬉しく思っているよ。チームはより活動を大きくし、ご存知の通り日本をはじめ世界中からライダーが加入してくる。
僕はライダーだからチームの方針などは決めることができないけれど、スタッフの決定は僕達にとってプラスとなることだ。
僕は増田選手をチームに迎えることができて嬉しく思うよ。新しい文化や精神をチームにもたらしてくれると思うし、良い意味でチームの国際化を担う存在だ。将来に向かっていろいろな文化が交じり合って、新しく、良いものがチームの中に生まれてくると思う。
キャノンデールプロサイクリングが目指すのは国際化したチーム
−スロンゴ監督
―(スロンゴ監督に聞く)ネオプロの増田選手に何を期待し、どういった走らせ方をしますか?
バッソ: 毎日10時間のトレーニングだね!(笑)
スロンゴ監督: まだ彼について細く考えてはいないのですが、まずは11月にチームへ合流してもらい、顔合わせをします。そのままイタリアに残ってもらい、12月にはイタリアで行われる15日間のチーム合宿に参加します。そこで来年の目標がはっきり出てくるでしょう。
年が明けた1月の10日から15日に掛けてはアメリカのロサンゼルスにてチームプレゼンテーションを行います。そして彼はそのままアルゼンチンに移動して、ツアー・オブ・サンルイスにてレースデビューとなります。そこにはペーター・サガンも一緒に出場する予定となっています。今のところはそんな所でしょうか。その後のことはまだ決めていません。
―メインスポンサーがアメリカの会社であるキャノンデールとなり、チームとしても北米での活動が多くなるのでしょうか?
スロンゴ監督: それはスポンサー次第ですね。しかし活動拠点は今までと変わらずイタリアに置きます。今までは純イタリアチームでしたが、今後目指すのはは「アメリカ寄り」ということではなく、「国際化」なのです。チームの構成を見てもアメリカ人、ドイツ人、オーストラリア人など、約30名の選手の半分がイタリア以外出身の選手となる予定です。
(チームの公用語はイタリア語から英語へとシフトしていく。バッソもこの日、苦手だったはずの英語で進んで喋ろうとしていた)
まずはアシストとして求められる選手になること ー増田成幸
―イヴァン、キャプテンとして増田選手にアドバイスをお願いします。
バッソ: 誰にも言えることだけど、良い教育を受けている選手に僕が言うことは無いよ。それこそが「良いアドバイス」なんだ。それが真理だと思う。グッドラック! ようこそチームへ!
―増田選手、ジャパンカップの間の短い期間ですが、新しくチームメイトとなる仲間たちと一緒に過ごして、レースを走って、どう感じましたか?
増田: 率直な所、僕がいつもテレビで観ていたような選手たちとチームメイトになれたことは嬉しく思っています。プロの世界ですので、強くなければレースで使ってもらうことができません。一生懸命チームのために走り、アシストとして認められるように頑張って行きたいと思います。
―昨日のレースを一緒に走って、彼らに感じたことは?
増田:イヴァンは、鼻歌を歌うような雰囲気で登っていましたね(笑)。チームの雰囲気も素晴らしいです。
今シーズンが終わって、まずはゆっくり休みですね。
増田: 輪島ロードを走るので休みはそれからですね。僕の場合、転んで怪我をしないようにしないと!
―そうですよ! また繰り返さないように!笑
―ペーター、土曜日のクリテリウムでの走りについて教えて下さい
サガン: ジャパンカップはイヴァンの単独エースと決められていて、僕とのダブルエース体制というのは最初から無かったんだ。特にラスト2周からは強力な逃げグループができ、チームとしては(ダミアーノ)カルーゾをその逃げに乗せたけれど、そこでその逃げを行かせるか、振り出しに戻すかという判断が必要になったんだ。
結局一旦その逃げを潰すという選択になって、僕はイヴァンを連れて前を追った。前に追いついたところで僕の役目は終わって後ろに下がったんだけれど、結果エースの勝利につながったから良かったよ。
クリテリウムはラスト200mでミスを犯してしまい、思うようなスプリント体制に持って行くことができなかったんだ。ポジションを誤った(落車したネイサン・ハースの影響を受けてブレーキを掛けてしまった)。
でもカルーゾのサドル下にカメラが付いていたのは気づいていたよ。ポーズを取ったけど、見てくれた?(笑)
日本のレースはファンが多くてツール・ド・フランスみたいだった ー サガン
―カメラに向かってピースサインをしていましたね(笑)。最後の2周のペースアップは素晴らしかったです。
初の来日でしたが、なにか思うところはありましたか?
サガン: 今回来日することができていろいろなことを感じたよ。異文化に触れるのには興味がある。来ることができて良かったと思う。
日本では全くヨーロッパとは違う生活をしていることに、普段と違う文化の中にいるということを実感したんだ。
そしてレースに関してはとても驚いたね。最初は日本の小さなレースを走るだけという印象でいたんだけれど、実際に来てみたらたくさんのファンがいて、さながらツール・ド・フランスで走っているみたいな感覚があったんだ。とても驚いたし、嬉しかったね。
そして今東京に来てみて、また宇都宮とは違うと感じた。スーツをきたサラリーマンがたくさん急ぎ足で歩いていて、繁雑だね。また新たな発見があったよ。見るのはいいけど、住むのは厳しんじゃないかな(笑)
―あなたはスロバキアのジリナという街の出身ですね。そこはいったいどんなところですか?
サガン: スロバキア北部の山の多い地方だよ。イタリア国境の地にタートリ峠というのがあって、そこまでは大体100kmぐらい。そこに行くまでも小さな丘がたくさんあって良い練習環境があるんだ。
―来シーズンはどんな走りをしたいと思っていますか?
サガン: 今年のオリンピックと世界選は自分には合わないコースだったんだ。来年はミラノ〜サンレモから始まって、ベルギーのクラシックレースを走る。特にツール・ド・フランドル(ロンド・ファン・フラーンデレン)を狙っているよ。
それで休息をはさんでから、ツール・ド・フランスに向けてコンディションを整えていく。2012年シーズンはベルギーのクラシックレースだけに照準を当てていたんだけれど、ツールに出場して、他とは全く違う特別なレースだと感じたんだ。2013年はツールもベルギークラシックと同じくらい重要なレースと捉えて、またマイヨヴェールの獲得を目指していくよ。
自分でも自分の限界がわからないから、自分を見守ってゆきたい ー サガン
―あなたはスプリントもアタックも、タイムトライアルもこなせるマルチな能力を持っていますね。マウンテンバイク出身だから、オフロードの走行能力が問われるパリ〜ルーベやフランドルも当然得意分野だと思います。
今後、自分をどのように伸ばしていきたいと思っていますか?
サガン: 今シーズンもそうだったけれど、与えられた目標に対して着実に結果を出していきたいと思っているんだ。なぜかと言うと、まだ僕自身の限界が自分でも分からない。これから自分がどうなっていくかを良く見ていかないといけないと思っているんだ。だから今は自分に与えられた事を一つ一つクリアしていきたいと思っているよ。
―今日はありがとうございました。来季に期待しています。
interview: Makoto.AYANO
photo:So.ISOBE
インタビュー聞き手:綾野 真 通訳:中野喜文
―まずはジャパンカップ優勝おめでとうございます。チームはどのような体制でジャパンカップに臨みましたか?
バッソ: チームの作戦としては、土曜日はペーター・サガンを中心としたチーム編成で、そして日曜日は僕を単独エースとしてレースに臨んだんだ。土曜日のクリテリウムではサガンが良い位置でスプリントできず勝つことができなかったが、日曜日はエースとして結果を残す事ができて嬉しく思っているよ。
―あなたは4年前のジャパンカップでレースに復帰し、その思い出のレースであるジャパンカップで優勝を挙げました。その気持を教えて下さい。
バッソ: 2008年に初出場した時からジャパンカップは常に僕の中では特別なレースなんだ。特にファンの盛り上がりや熱狂が凄くて、それが僕に力を与えてくれるし、それをとても強く感じているんだ。世界のレースにはそれぞれカテゴリー分けがされているけれど、僕はプロ選手ならば出場する全てのレースで全力を尽くすことが当然だと思っている。
ジャパンカップに関して言えば、シーズン最後のレース。シーズンを締めくくるレースとして重要だと捉えているんだ。チームとして全力で取り組み、その結果最良の結果を得ることができて嬉しく思っているよ。
―レースを終わってすぐ、自らステージに立ってファンへ向けてメッセージを語りましたね。とても印象的で、私自身感動したシーンです。何があなたを突き動かしたのでしょうか。
バッソ: 特別な勝利だったということ。さっき言ったこととも通じるけれど、本当に勝ちたかったんだ。その気持ちが現れたということだね。
―東日本大震災の後からずっと、あなたはTwitterを通じて日本の人たちを励ますような暖かいメッセージを、しかも日本語で発信してくれました。その言葉に励まされた人が多かったはずです。だからあのバッソコールが沸き起こった。
日本の文化が好き。日本の人たちの素晴らしさに尊敬の念を抱いているんだ。−バッソ
バッソ: そう。それはつまり、僕は日本が、日本の文化が好きってことなんだ。その中でやはり礼儀正しい所、自分以外の人のことを思いやるところ、他人が嫌と思うことをしないこと...日本人の持っているそういったことはとても素晴らしいと思っているし、世界中を回ってもなかなかこんな文化には出逢えることが無いから尊敬しているんだ。そういうことがあるから日本が好きなんだよ。
―ありがとう。ところで、シーズンが終わってようやくリラックスできますね。レース後にホテルに向かう車の中でポテトチップスを食べましたね?(笑)
バッソ: あっ、知っているの? なんでだろう??。
―友人のカズ(山本和弘選手)の奥さんの写真付きツィートで知りました(笑)。もうジャンクフードを食べてもいいんですか?(笑)
バッソ: 昨日はつい悪いものを食べてしまったよ(笑)。でも今晩は大好物のスシ(寿司)!。フルガス(全力)で食べるんだ(笑)。
―今回の来日で印象に残ったことは? なにかいつもと違う新しい発見はあった?
バッソ: 印象に残ることといえばもちろんジャパンカップで優勝できたことだね。そのことに間違いは無いけれど、とにかく日本の文化や人々に触れることができるということは、いつも日本に来て嬉しいことなんだ。
―ロンバルディアから1ヶ月近く空き、調整が難しかったのでは?
=トレーニングコーチでもあるスロンゴ監督が語る= それはやはり簡単なことではありませんでした。シーズン終わりのレースであるロンバルディアから1ヶ月という期間で、コンディションを維持するこのが非常に難しかったのは間違いありません。ロンバルディアの後、ジャパンカップに向けてのトレーニングメニューをイヴァンに課しました。それはかなりキツく、本人も辛かったとは思います。
イヴァンはロンバルディアでのコンディションが非常に良く、このままシーズンを終わらせるのは勿体ないと言いました。だから厳しいトレーニングプログラムを作成したのですが、彼がそれをこなした裏には、彼自身が
特別なモチベーションを持っていたからなのです。
それは、まずイヴァンが今シーズン1勝もしていなかったこと。そして次に、リクイガスとして走る最後のレースだったということ。そして終わりであると同時に、来季全く新しい体制でスタートするチームのオープニングでもあること。チームリーダーでもあるイヴァンは特別なモチベーションをジャパンカップに向けて抱いていたのです。
―イヴァン、あなたはチームリーダーとして、来季のチームでどんなことを考えていますか?
バッソ: まず第一に、新しく発足するチームの一員となれることを嬉しく思っているよ。チームはより活動を大きくし、ご存知の通り日本をはじめ世界中からライダーが加入してくる。
僕はライダーだからチームの方針などは決めることができないけれど、スタッフの決定は僕達にとってプラスとなることだ。
僕は増田選手をチームに迎えることができて嬉しく思うよ。新しい文化や精神をチームにもたらしてくれると思うし、良い意味でチームの国際化を担う存在だ。将来に向かっていろいろな文化が交じり合って、新しく、良いものがチームの中に生まれてくると思う。
キャノンデールプロサイクリングが目指すのは国際化したチーム
−スロンゴ監督
―(スロンゴ監督に聞く)ネオプロの増田選手に何を期待し、どういった走らせ方をしますか?
バッソ: 毎日10時間のトレーニングだね!(笑)
スロンゴ監督: まだ彼について細く考えてはいないのですが、まずは11月にチームへ合流してもらい、顔合わせをします。そのままイタリアに残ってもらい、12月にはイタリアで行われる15日間のチーム合宿に参加します。そこで来年の目標がはっきり出てくるでしょう。
年が明けた1月の10日から15日に掛けてはアメリカのロサンゼルスにてチームプレゼンテーションを行います。そして彼はそのままアルゼンチンに移動して、ツアー・オブ・サンルイスにてレースデビューとなります。そこにはペーター・サガンも一緒に出場する予定となっています。今のところはそんな所でしょうか。その後のことはまだ決めていません。
―メインスポンサーがアメリカの会社であるキャノンデールとなり、チームとしても北米での活動が多くなるのでしょうか?
スロンゴ監督: それはスポンサー次第ですね。しかし活動拠点は今までと変わらずイタリアに置きます。今までは純イタリアチームでしたが、今後目指すのはは「アメリカ寄り」ということではなく、「国際化」なのです。チームの構成を見てもアメリカ人、ドイツ人、オーストラリア人など、約30名の選手の半分がイタリア以外出身の選手となる予定です。
(チームの公用語はイタリア語から英語へとシフトしていく。バッソもこの日、苦手だったはずの英語で進んで喋ろうとしていた)
まずはアシストとして求められる選手になること ー増田成幸
―イヴァン、キャプテンとして増田選手にアドバイスをお願いします。
バッソ: 誰にも言えることだけど、良い教育を受けている選手に僕が言うことは無いよ。それこそが「良いアドバイス」なんだ。それが真理だと思う。グッドラック! ようこそチームへ!
―増田選手、ジャパンカップの間の短い期間ですが、新しくチームメイトとなる仲間たちと一緒に過ごして、レースを走って、どう感じましたか?
増田: 率直な所、僕がいつもテレビで観ていたような選手たちとチームメイトになれたことは嬉しく思っています。プロの世界ですので、強くなければレースで使ってもらうことができません。一生懸命チームのために走り、アシストとして認められるように頑張って行きたいと思います。
―昨日のレースを一緒に走って、彼らに感じたことは?
増田:イヴァンは、鼻歌を歌うような雰囲気で登っていましたね(笑)。チームの雰囲気も素晴らしいです。
今シーズンが終わって、まずはゆっくり休みですね。
増田: 輪島ロードを走るので休みはそれからですね。僕の場合、転んで怪我をしないようにしないと!
―そうですよ! また繰り返さないように!笑
―ペーター、土曜日のクリテリウムでの走りについて教えて下さい
サガン: ジャパンカップはイヴァンの単独エースと決められていて、僕とのダブルエース体制というのは最初から無かったんだ。特にラスト2周からは強力な逃げグループができ、チームとしては(ダミアーノ)カルーゾをその逃げに乗せたけれど、そこでその逃げを行かせるか、振り出しに戻すかという判断が必要になったんだ。
結局一旦その逃げを潰すという選択になって、僕はイヴァンを連れて前を追った。前に追いついたところで僕の役目は終わって後ろに下がったんだけれど、結果エースの勝利につながったから良かったよ。
クリテリウムはラスト200mでミスを犯してしまい、思うようなスプリント体制に持って行くことができなかったんだ。ポジションを誤った(落車したネイサン・ハースの影響を受けてブレーキを掛けてしまった)。
でもカルーゾのサドル下にカメラが付いていたのは気づいていたよ。ポーズを取ったけど、見てくれた?(笑)
日本のレースはファンが多くてツール・ド・フランスみたいだった ー サガン
―カメラに向かってピースサインをしていましたね(笑)。最後の2周のペースアップは素晴らしかったです。
初の来日でしたが、なにか思うところはありましたか?
サガン: 今回来日することができていろいろなことを感じたよ。異文化に触れるのには興味がある。来ることができて良かったと思う。
日本では全くヨーロッパとは違う生活をしていることに、普段と違う文化の中にいるということを実感したんだ。
そしてレースに関してはとても驚いたね。最初は日本の小さなレースを走るだけという印象でいたんだけれど、実際に来てみたらたくさんのファンがいて、さながらツール・ド・フランスで走っているみたいな感覚があったんだ。とても驚いたし、嬉しかったね。
そして今東京に来てみて、また宇都宮とは違うと感じた。スーツをきたサラリーマンがたくさん急ぎ足で歩いていて、繁雑だね。また新たな発見があったよ。見るのはいいけど、住むのは厳しんじゃないかな(笑)
―あなたはスロバキアのジリナという街の出身ですね。そこはいったいどんなところですか?
サガン: スロバキア北部の山の多い地方だよ。イタリア国境の地にタートリ峠というのがあって、そこまでは大体100kmぐらい。そこに行くまでも小さな丘がたくさんあって良い練習環境があるんだ。
―来シーズンはどんな走りをしたいと思っていますか?
サガン: 今年のオリンピックと世界選は自分には合わないコースだったんだ。来年はミラノ〜サンレモから始まって、ベルギーのクラシックレースを走る。特にツール・ド・フランドル(ロンド・ファン・フラーンデレン)を狙っているよ。
それで休息をはさんでから、ツール・ド・フランスに向けてコンディションを整えていく。2012年シーズンはベルギーのクラシックレースだけに照準を当てていたんだけれど、ツールに出場して、他とは全く違う特別なレースだと感じたんだ。2013年はツールもベルギークラシックと同じくらい重要なレースと捉えて、またマイヨヴェールの獲得を目指していくよ。
自分でも自分の限界がわからないから、自分を見守ってゆきたい ー サガン
―あなたはスプリントもアタックも、タイムトライアルもこなせるマルチな能力を持っていますね。マウンテンバイク出身だから、オフロードの走行能力が問われるパリ〜ルーベやフランドルも当然得意分野だと思います。
今後、自分をどのように伸ばしていきたいと思っていますか?
サガン: 今シーズンもそうだったけれど、与えられた目標に対して着実に結果を出していきたいと思っているんだ。なぜかと言うと、まだ僕自身の限界が自分でも分からない。これから自分がどうなっていくかを良く見ていかないといけないと思っているんだ。だから今は自分に与えられた事を一つ一つクリアしていきたいと思っているよ。
―今日はありがとうございました。来季に期待しています。
interview: Makoto.AYANO
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