2012/09/15(土) - 15:08
9月16日のチームタイムトライアルを皮切りに、2012年のロード世界選手権がスタートする。オランダ南部の丘陵地帯を舞台に繰り広げられるのは、男女全カテゴリー合わせて12レース。開幕前に、レーススケジュールやコースの特徴をチェックしておこう。
史上最多5回目の開催 起伏に富んだコースレイアウト
大会の舞台となるのはオランダ・リンブルフ州。ベルギーやドイツの国境が近く、起伏に富んだ地形が特徴で、いわゆる真っ平らな「オランダ」のイメージからはほど遠い。
一帯は春先の「アルデンヌ・クラシック」の開催地として知られる。特にオランダ最大のワンデーレースであるアムステル・ゴールドレースのコースと重複している部分も多く、大会のオーガナイザーは同レースとほぼ共通(チームやプレスの登録場所はアムステル・ゴールドレース記念館)。
レースの中心地となるのはファルケンブルフ。アムステル・ゴールドレース最大の山場である「カウベルグ」の麓にある街で、世界選手権を迎えるのはこれが史上5回目(コペンハーゲンに並ぶ最多タイ)。
世界選手権のフィニッシュ地点は名物坂「カウベルグ」の頂上から1700m先に進んだ場所に置かれている。フィニッシュ地点は全カテゴリー共通で、スタート地点がカテゴリーによって異なるのが特徴だ。
ロードレースは共通してファルケンブルフを中心とした16.1kmの周回コースが使用される。「カウベルグ(登坂距離1200m・平均勾配5.8%)」と「ベメレルベルグ(登坂距離900m・平均勾配5%)」の2つの登りが含まれており、1998年のロード世界選手権で使用された周回コースとほぼ同じだ。
エリート男子ロードレースは、リンブルフ州の州都マーストリヒトをスタート。マーストリヒトから周回コースまでの行程には7つの坂が組み込まれており、前半部はアムステル・ゴールドレースと全く一緒だ。
106km地点でフィニッシュラインを通過し、そこから16.1kmの周回コースを10周。つまり「カウベルグ」と「ベメレルベルグ」を10回ずつ登る。登場する坂の数は27カ所。全長267kmは起伏に富んでいる。
前述の通り、フィニッシュ地点は「カウベルグ」頂上の1700m先にある。頂上を越えてから緩い下りを経て、真っすぐな平坦路でフィニッシュを迎える。前回ファルケンブルフで開催された1998年大会や、2006年のツール・ド・フランス第3ステージでも同じフィニッシュが採用されており、いずれも「カウベルグ」で飛び出した選手による逃げ切りが決まっている。
ロード世界選手権2012スケジュール
9月16日(日)エリート男子/エリート女子チームタイムトライアル
9月17日(月)U23男子/ジュニア男子タイムトライアル
9月18日(火)ジュニア女子/エリート女子タイムトライアル
9月19日(水)エリート男子タイムトライアル
9月21日(金)ジュニア女子ロードレース
9月22日(土)U23男子/エリート女子ロードレース
9月23日(日)ジュニア男子/エリート男子ロードレース
カテゴリー別レースプレビュー
エリート男子/エリート女子チームタイムトライアル 9月16日(日)
世界選手権はいわゆる国対抗戦。どの選手もナショナルジャージを着て出場するのが通例だが、チームタイムトライアルに限り、出場権を得たUCIチームによるチーム戦。通常のチームジャージを着用して争われる。長年開催されていなかったが、今年18年の時を経て復活。1994年大会以来の開催となる。
UCIプロチームの他、各UCIコンチネンタルサーキットの上位チームが出場権を得た。エリート男子チームタイムトライアルに出場を表明しているのは33チーム。日本の愛三工業レーシングチームとチームNIPPOも出場権を得ていたが、スタートリストには入っていない。
各チーム6名ずつの出場で、エリート男子は53.2km、エリート女子は34.2kmを駆ける。グランツールのチームタイムトライアルで好成績を収めているガーミン・シャープやオリカ・グリーンエッジ、チームスカイが優勝候補に挙げられる。
エリート男子タイムトライアル 9月19日(水)
1967年世界選手権の開催地ヘールレンを発ち、ファルケンブルフにゴールする45.7kmで行なわれる世界最速ライダー決定戦。登場する3つの坂のうち最も厳しいのは1つ目の「シント・レミジウストラート」で、登坂距離1000m・平均勾配7.7%。最後は「カウベルグ」を登って平坦路にゴールする。
過去に4回優勝し、昨年大会3位のファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)は、骨折した右鎖骨からピンを除去する手術を受けるために欠場。昨年大会2位で、ロンドン五輪タイムトライアル金メダリストのブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)も欠場することを決めている。
優勝候補はディフェンディングチャンピオンのトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)。ここにテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)やルイスレオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク)が絡んでくると予想される。
U23男子ロードレース 9月22日(土)
対象となるのは1990〜1993年生まれの選手。過去の優勝者リストには、現在トップレースで活躍するビッグネームの名前が並ぶ。なお、UCIプロチーム所属選手は、23歳以下の選手であってもエリートレースへの出場となる。日本からは木下智裕(エカーズ)、平井栄一、寺崎武郎、椿大志(ともにブリヂストンアンカー・エスポワール)が出場。U23タイムトライアル全日本チャンピオンの椿大志は、9月17日のタイムトライアルにもエントリーしている。
エリート女子ロードレース 9月22日(土)
全日本代表チームの中で紅一点、萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング)がエリート女子ロードレースに出場。地元オランダ勢を筆頭に、大会4連覇が懸かったイタリアやイギリスがレースを動かしてくるだろう。過去5大会連続で2位に入ったマリアンヌ・フォス(オランダ)は、ロンドン五輪ロードレースで優勝している。
ジュニア男子ロードレース 9月23日(日)
1994年と1995年生まれの若手を対象にしたジュニアロードレース。日本からは西村大輝(昭和第一学園高校)、小橋勇利(ボンシャンス飯田)、徳田優(北桑田高校)、横山航太(篠ノ井高校)の4名が出場する。アジアジュニアチャンピオンの西村大輝は9月17日のタイムトライアルにもエントリーしている。
エリート男子ロードレース 9月23日(日)
UCIアジアツアーの国別ランキングで上位につけている日本は6人の出場枠を獲得。2010年大会で9位に入った新城幸也(ユーロップカー)、別府史之(オリカ・グリーンエッジ)、宮澤崇史(サクソバンク・ティンコフバンク)、土井雪広(アルゴス・シマノ)、福島晋一(トレンガヌ・プロサイクリング)、畑中勇介(シマノレーシング)が出場する。
コース的にはフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)やペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)向きというのが下馬評。エリート男子レースのレースプレビューは、現地の様子を含めて後日お伝えします。
text&photo:Kei Tsuji in Limburg, Netherlands
史上最多5回目の開催 起伏に富んだコースレイアウト
大会の舞台となるのはオランダ・リンブルフ州。ベルギーやドイツの国境が近く、起伏に富んだ地形が特徴で、いわゆる真っ平らな「オランダ」のイメージからはほど遠い。
一帯は春先の「アルデンヌ・クラシック」の開催地として知られる。特にオランダ最大のワンデーレースであるアムステル・ゴールドレースのコースと重複している部分も多く、大会のオーガナイザーは同レースとほぼ共通(チームやプレスの登録場所はアムステル・ゴールドレース記念館)。
レースの中心地となるのはファルケンブルフ。アムステル・ゴールドレース最大の山場である「カウベルグ」の麓にある街で、世界選手権を迎えるのはこれが史上5回目(コペンハーゲンに並ぶ最多タイ)。
世界選手権のフィニッシュ地点は名物坂「カウベルグ」の頂上から1700m先に進んだ場所に置かれている。フィニッシュ地点は全カテゴリー共通で、スタート地点がカテゴリーによって異なるのが特徴だ。
ロードレースは共通してファルケンブルフを中心とした16.1kmの周回コースが使用される。「カウベルグ(登坂距離1200m・平均勾配5.8%)」と「ベメレルベルグ(登坂距離900m・平均勾配5%)」の2つの登りが含まれており、1998年のロード世界選手権で使用された周回コースとほぼ同じだ。
エリート男子ロードレースは、リンブルフ州の州都マーストリヒトをスタート。マーストリヒトから周回コースまでの行程には7つの坂が組み込まれており、前半部はアムステル・ゴールドレースと全く一緒だ。
106km地点でフィニッシュラインを通過し、そこから16.1kmの周回コースを10周。つまり「カウベルグ」と「ベメレルベルグ」を10回ずつ登る。登場する坂の数は27カ所。全長267kmは起伏に富んでいる。
前述の通り、フィニッシュ地点は「カウベルグ」頂上の1700m先にある。頂上を越えてから緩い下りを経て、真っすぐな平坦路でフィニッシュを迎える。前回ファルケンブルフで開催された1998年大会や、2006年のツール・ド・フランス第3ステージでも同じフィニッシュが採用されており、いずれも「カウベルグ」で飛び出した選手による逃げ切りが決まっている。
ロード世界選手権2012スケジュール
9月16日(日)エリート男子/エリート女子チームタイムトライアル
9月17日(月)U23男子/ジュニア男子タイムトライアル
9月18日(火)ジュニア女子/エリート女子タイムトライアル
9月19日(水)エリート男子タイムトライアル
9月21日(金)ジュニア女子ロードレース
9月22日(土)U23男子/エリート女子ロードレース
9月23日(日)ジュニア男子/エリート男子ロードレース
カテゴリー別レースプレビュー
エリート男子/エリート女子チームタイムトライアル 9月16日(日)
世界選手権はいわゆる国対抗戦。どの選手もナショナルジャージを着て出場するのが通例だが、チームタイムトライアルに限り、出場権を得たUCIチームによるチーム戦。通常のチームジャージを着用して争われる。長年開催されていなかったが、今年18年の時を経て復活。1994年大会以来の開催となる。
UCIプロチームの他、各UCIコンチネンタルサーキットの上位チームが出場権を得た。エリート男子チームタイムトライアルに出場を表明しているのは33チーム。日本の愛三工業レーシングチームとチームNIPPOも出場権を得ていたが、スタートリストには入っていない。
各チーム6名ずつの出場で、エリート男子は53.2km、エリート女子は34.2kmを駆ける。グランツールのチームタイムトライアルで好成績を収めているガーミン・シャープやオリカ・グリーンエッジ、チームスカイが優勝候補に挙げられる。
エリート男子タイムトライアル 9月19日(水)
1967年世界選手権の開催地ヘールレンを発ち、ファルケンブルフにゴールする45.7kmで行なわれる世界最速ライダー決定戦。登場する3つの坂のうち最も厳しいのは1つ目の「シント・レミジウストラート」で、登坂距離1000m・平均勾配7.7%。最後は「カウベルグ」を登って平坦路にゴールする。
過去に4回優勝し、昨年大会3位のファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)は、骨折した右鎖骨からピンを除去する手術を受けるために欠場。昨年大会2位で、ロンドン五輪タイムトライアル金メダリストのブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)も欠場することを決めている。
優勝候補はディフェンディングチャンピオンのトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)。ここにテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)やルイスレオン・サンチェス(スペイン、ラボバンク)が絡んでくると予想される。
U23男子ロードレース 9月22日(土)
対象となるのは1990〜1993年生まれの選手。過去の優勝者リストには、現在トップレースで活躍するビッグネームの名前が並ぶ。なお、UCIプロチーム所属選手は、23歳以下の選手であってもエリートレースへの出場となる。日本からは木下智裕(エカーズ)、平井栄一、寺崎武郎、椿大志(ともにブリヂストンアンカー・エスポワール)が出場。U23タイムトライアル全日本チャンピオンの椿大志は、9月17日のタイムトライアルにもエントリーしている。
エリート女子ロードレース 9月22日(土)
全日本代表チームの中で紅一点、萩原麻由子(サイクルベースあさひレーシング)がエリート女子ロードレースに出場。地元オランダ勢を筆頭に、大会4連覇が懸かったイタリアやイギリスがレースを動かしてくるだろう。過去5大会連続で2位に入ったマリアンヌ・フォス(オランダ)は、ロンドン五輪ロードレースで優勝している。
ジュニア男子ロードレース 9月23日(日)
1994年と1995年生まれの若手を対象にしたジュニアロードレース。日本からは西村大輝(昭和第一学園高校)、小橋勇利(ボンシャンス飯田)、徳田優(北桑田高校)、横山航太(篠ノ井高校)の4名が出場する。アジアジュニアチャンピオンの西村大輝は9月17日のタイムトライアルにもエントリーしている。
エリート男子ロードレース 9月23日(日)
UCIアジアツアーの国別ランキングで上位につけている日本は6人の出場枠を獲得。2010年大会で9位に入った新城幸也(ユーロップカー)、別府史之(オリカ・グリーンエッジ)、宮澤崇史(サクソバンク・ティンコフバンク)、土井雪広(アルゴス・シマノ)、福島晋一(トレンガヌ・プロサイクリング)、畑中勇介(シマノレーシング)が出場する。
コース的にはフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)やペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)、アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)向きというのが下馬評。エリート男子レースのレースプレビューは、現地の様子を含めて後日お伝えします。
text&photo:Kei Tsuji in Limburg, Netherlands
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