2009/06/12(金) - 13:38
ツール・ド・フランス前哨戦として開催中のドーフィネ・リベレと肩を並べるのが、6月13日から21日までスイスで開催されるツール・ド・スイス(UCIプロツアー)だ。マイヨジョーヌ狙いのオールラウンダーからマイヨヴェール狙いのスプリンターまで、豪華な面々がスイスで闘いを繰り広げる。
スイスの山岳を駆け抜ける9日間の闘い
1933年に第1回大会が開催されたツール・ド・スイスは今年で開催73回目。開催61回目(1947年スタート)のドーフィネ・リベレより歴史は古く、しかも1日長い9日間のステージレースだ。
スイスの山岳地帯で開催されるだけに、山岳の比率が高いステージレースとして知られ、過去にはランス・アームストロング(アメリカ)やヤン・ウルリッヒ(ドイツ)を総合優勝者として輩出。70年代まで遡ればエディ・メルクス(ベルギー)、40年代まで遡ればジーノ・バルタリ(イタリア)らが総合優勝者として名を連ねている。
初日は7.8kmの個人タイムトライアルでスタート。レースは2日目から早速山岳地帯に分け入り、第2ステージはラスト20km地点で1級山岳、ラスト11km地点で3級山岳を越える。頂上ゴールほどの破壊力は無いが、早速総合優勝候補は絞り込まれるだろう。
続く第3・4ステージは超級山岳や1級山岳が登場するものの、後半にかけてフラット。上りでの遅れを挽回したスプリンターの闘いに持ち込まれるか。第5ステージはラスト7km地点で1級山岳、ラスト3km地点に3級山岳が設定された少し変則的な山岳コースで、山岳通過後も上り続けることから実質的な大会最初の頂上ゴールだ。
比較的平坦な第6ステージを終えると、残りの3日間はいずれも総合争いにおける重要なステージが続く。2級山岳バロルベにゴールする第7ステージ、1級山岳クラン・モンタナにゴールする第8ステージ、そして最終日はベルンで行なわれる38.5kmの個人タイムトライアルで締めくくられる。このスイスが終わると、ツール開幕までちょうど2週間だ。
連覇を狙うクロイツィゲル、立ちはだかるシュレク兄弟
先立って開催中のドーフィネと同じく、ツール・ド・スイスにはツールに照準を合わす選手が大挙して出場する。チームの戦略の違いにより、出場する有力選手がちょうどドーフィネと二分された形になる。スタートリストはこちら。
昨年ブレイクし、スイス総合優勝を掴んだのは当時22歳のロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)。山岳もTTもこなすこの新鋭は、ツール・ド・ロマンディでの総合優勝後、イタリアドロミテ山岳でのチームキャンプをこなし、このスイスで実戦復帰する。そんなクロイツィゲルの目標はあくまでもツール。1ヶ月前に「スイスは連覇狙い?」と訊くと「いや、あくまでもツールが最優先」と語っていた。成長したクロイツィゲルの調子は如何に。
若手として忘れてはいけないのが、2007年のジロで総合2位に入り、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュを制したアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)だ。クロイツィゲルの1歳年上のAシュレクは、ツール・ド・ルクセンブルク覇者の兄フランク・シュレクとともにルクセンブルク人初のスイス制覇を目指す。Fシュレクといえば、昨年大会の第5ステージで派手に崖下に転落し、奇跡的に無傷の生還を果たした。
サクソバンクからは昨年ステージ2勝を飾った地元の英雄ファビアン・カンチェラーラ(スイス)も出場。2つの個人タイムトライアルでの走りに注目だ。
2007年大会の個人TTで躍進し、総合優勝に輝いたのは大柄なウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)。エースとしてツールに挑む予定のカルペツは、ツール・ド・ロマンディで総合2位。ロシア人エースとしてロシアチームを率い、大会2勝目を目指す。
昨年総合2位に入ったアスタナの伏兵アンドレアス・クレーデン(ドイツ)や、昨年クロイツィゲルと総合争いに敗れ、リベンジに燃えるキム・キルシェン(ルクセンブルク、チームコロンビア)らも総合争いに絡んでくるだろう。
他にもシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)やトーマス・デッケル(オランダ、サイレンス・ロット)、ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)といった中級ステージレースを得意とする選手たちも出場。ジロ・デ・イタリアで落車したクリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン)はツールに向けて何とかスイスに出場を間に合わせた。
ドーフィネと比べて、スイスには豪華なスプリンターの顔ぶれが集う。中でもジロ・デ・イタリアでステージ3勝を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)は、ツールに向けてこのスイスで最終調整。山で無理をせずにステージ優勝を狙ってくだろう。ゴール前は“カヴェンディッシュvs他のスプリンターたち”という様相を呈す。
昨年ステージ2勝したロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ)は、ツアー・オブ・ベルギーで膝のじん帯を損傷。復帰まで時間がかかると見られ、ツール出場も絶望的な状態だ。
2年連続マイヨヴェール(ポイント賞ジャージ)獲得を目指すオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)や、カヴェンディッシュの元チームメイトのゲラルド・チオレック(ドイツ、ミルラム)らも出場し、膝の故障で戦線を離脱していたダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)もこのスイスで復帰。
そしてシーズン序盤からジロまで安定した成績を残すサーヴェロからは、トル・フースホフト(ノルウェー)とハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ)のゴールデンコンビが登場。今年のマイヨヴェール候補たちが早くもスイスで激突する。
スイスの山岳を駆け抜ける9日間の闘い
1933年に第1回大会が開催されたツール・ド・スイスは今年で開催73回目。開催61回目(1947年スタート)のドーフィネ・リベレより歴史は古く、しかも1日長い9日間のステージレースだ。
スイスの山岳地帯で開催されるだけに、山岳の比率が高いステージレースとして知られ、過去にはランス・アームストロング(アメリカ)やヤン・ウルリッヒ(ドイツ)を総合優勝者として輩出。70年代まで遡ればエディ・メルクス(ベルギー)、40年代まで遡ればジーノ・バルタリ(イタリア)らが総合優勝者として名を連ねている。
初日は7.8kmの個人タイムトライアルでスタート。レースは2日目から早速山岳地帯に分け入り、第2ステージはラスト20km地点で1級山岳、ラスト11km地点で3級山岳を越える。頂上ゴールほどの破壊力は無いが、早速総合優勝候補は絞り込まれるだろう。
続く第3・4ステージは超級山岳や1級山岳が登場するものの、後半にかけてフラット。上りでの遅れを挽回したスプリンターの闘いに持ち込まれるか。第5ステージはラスト7km地点で1級山岳、ラスト3km地点に3級山岳が設定された少し変則的な山岳コースで、山岳通過後も上り続けることから実質的な大会最初の頂上ゴールだ。
比較的平坦な第6ステージを終えると、残りの3日間はいずれも総合争いにおける重要なステージが続く。2級山岳バロルベにゴールする第7ステージ、1級山岳クラン・モンタナにゴールする第8ステージ、そして最終日はベルンで行なわれる38.5kmの個人タイムトライアルで締めくくられる。このスイスが終わると、ツール開幕までちょうど2週間だ。
連覇を狙うクロイツィゲル、立ちはだかるシュレク兄弟
先立って開催中のドーフィネと同じく、ツール・ド・スイスにはツールに照準を合わす選手が大挙して出場する。チームの戦略の違いにより、出場する有力選手がちょうどドーフィネと二分された形になる。スタートリストはこちら。
昨年ブレイクし、スイス総合優勝を掴んだのは当時22歳のロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス)。山岳もTTもこなすこの新鋭は、ツール・ド・ロマンディでの総合優勝後、イタリアドロミテ山岳でのチームキャンプをこなし、このスイスで実戦復帰する。そんなクロイツィゲルの目標はあくまでもツール。1ヶ月前に「スイスは連覇狙い?」と訊くと「いや、あくまでもツールが最優先」と語っていた。成長したクロイツィゲルの調子は如何に。
若手として忘れてはいけないのが、2007年のジロで総合2位に入り、リエージュ〜バストーニュ〜リエージュを制したアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)だ。クロイツィゲルの1歳年上のAシュレクは、ツール・ド・ルクセンブルク覇者の兄フランク・シュレクとともにルクセンブルク人初のスイス制覇を目指す。Fシュレクといえば、昨年大会の第5ステージで派手に崖下に転落し、奇跡的に無傷の生還を果たした。
サクソバンクからは昨年ステージ2勝を飾った地元の英雄ファビアン・カンチェラーラ(スイス)も出場。2つの個人タイムトライアルでの走りに注目だ。
2007年大会の個人TTで躍進し、総合優勝に輝いたのは大柄なウラディミール・カルペツ(ロシア、カチューシャ)。エースとしてツールに挑む予定のカルペツは、ツール・ド・ロマンディで総合2位。ロシア人エースとしてロシアチームを率い、大会2勝目を目指す。
昨年総合2位に入ったアスタナの伏兵アンドレアス・クレーデン(ドイツ)や、昨年クロイツィゲルと総合争いに敗れ、リベンジに燃えるキム・キルシェン(ルクセンブルク、チームコロンビア)らも総合争いに絡んでくるだろう。
他にもシルヴァン・シャヴァネル(フランス、クイックステップ)やトーマス・デッケル(オランダ、サイレンス・ロット)、ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)といった中級ステージレースを得意とする選手たちも出場。ジロ・デ・イタリアで落車したクリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン)はツールに向けて何とかスイスに出場を間に合わせた。
ドーフィネと比べて、スイスには豪華なスプリンターの顔ぶれが集う。中でもジロ・デ・イタリアでステージ3勝を飾ったマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)は、ツールに向けてこのスイスで最終調整。山で無理をせずにステージ優勝を狙ってくだろう。ゴール前は“カヴェンディッシュvs他のスプリンターたち”という様相を呈す。
昨年ステージ2勝したロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ)は、ツアー・オブ・ベルギーで膝のじん帯を損傷。復帰まで時間がかかると見られ、ツール出場も絶望的な状態だ。
2年連続マイヨヴェール(ポイント賞ジャージ)獲得を目指すオスカル・フレイレ(スペイン、ラボバンク)や、カヴェンディッシュの元チームメイトのゲラルド・チオレック(ドイツ、ミルラム)らも出場し、膝の故障で戦線を離脱していたダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、リクイガス)もこのスイスで復帰。
そしてシーズン序盤からジロまで安定した成績を残すサーヴェロからは、トル・フースホフト(ノルウェー)とハインリッヒ・ハウッスラー(ドイツ)のゴールデンコンビが登場。今年のマイヨヴェール候補たちが早くもスイスで激突する。
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