2009/06/06(土) - 18:13
ツール・ド・フランス前哨戦として知られる第61回クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ・リベレ(UCIプロツアー)が6月7日に開幕する。モンヴァントゥーが登場する7日間のステージレースに、アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)を始めとしたマイヨジョーヌ候補が集う。新城幸也(Bboxブイグテレコム)は初出場だ。
アルプスで決着する山岳レース
ドーフィネ・リベレ2009コース全体図 photo:criterium.ledauphine.com1947年に第1回大会が開催されたドーフィネ・リベレは、これまでドーフィネ地方(現在のイゼール県、ドローム県、オート=アルプ県)でのみ行なわれていた。今年はそんなドーフィネ地方を飛び出し、フランス北部ロレーヌ地方のナンシーをスタートする。
初日は12.1kmの個人タイムトライアル。高低差150mの峠を越えるコースで、初日から総合狙いの選手はフルスロットルでの走行を強いられる。総合争いが活発化するのは第4ステージからで、序盤の第2・3ステージはスプリンター向きの比較的平坦なコースだ。
個人タイムトライアルや超級山岳ステージ、頂上ゴールが登場するレースは、主催者の思惑通り、さながら縮小版のツール・ド・フランス。第4ステージは距離42.4kmの長距離個人タイムトライアルで、高低差は276m。ここでのタイムはドーフィネの総合争いだけでなく、ツールに向けての仕上がりを見るいい指標になるだろう。
第5ステージから最終日の第8ステージまで、ドーフィネは総合狙いの選手に休む暇を与えない。4連続山岳コースの始まりを告げるのは、今年度のツールに登場することで話題を集める超級山岳モンヴァントゥー(標高1909m)の頂上ゴール。長さ22.7km、高低差1622m、平均勾配7.1%の禿げ山が、総合争いに鉄槌を振り落とす。
アルプスに分け入る第6ステージは、ラスト20km地点で超級山岳イゾアール峠(標高2360m)をクリア。最後にはブリアンソンの街に向かう短い上りが待ち構えており、ここでもクライマーがステージ優勝&リーダージャージを狙って飛び出すだろう。
今大会最難関の第7ステージは、ガリビエ峠(標高2556m)とクロワ・ド・フェール峠(標高2067m)の二大山岳が登場する。いずれもカテゴリーは超級で、平均勾配は4〜5%程度だが、登坂距離は30kmオーバー。そして最後はマドレーヌ峠の中腹に位置する1級山岳サンフランソワ・ロンシャン(標高1630m)にゴールする。この日の獲得標高差は4000mを超える。
ドーフィネの中心都市グルノーブルに帰着する第8ステージも気が抜けない。ラスト27km地点で平均勾配が8%に達する1級山岳サン・ベルナール・ドゥ・トゥベ峠が登場し、最後までクライマーに逆転の可能性を残す。ラスト4日間のアルプス山岳決戦は見どころたっぷりだ。
各チームの精鋭がコンタドールに挑む
ドーフィネ初出場の新城幸也(Bboxブイグテレコム) photo:Hitoshi.OMAEこれまで数々のチャンピオンを輩出したドーフィネ・リベレ。今年は例年にも増して豪華な面々が揃った。総合優勝者に与えられるブルーラインの入ったマイヨジョーヌ(イエロージャージ)を狙って、精鋭オールラウンダーがナンシーに集う。
今年は新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)の出場が決定し、その活躍に注目が集まるばかり。総合争い以上に声援を送りたいのが、この新城の闘いだ。新城はツールのメンバーリストに片足を踏み入れており、ここで結果を出せばツール出場の可能性がグンと上がる。
全グランツール覇者のアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ) photo:Cor Vos総合優勝候補の筆頭はアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)。チームは財政危機を乗り越えており、コンタドールはレースに集中出来る環境が整った。ベストメンバーでは無いものの、ツール2勝目に完全に照準を合わすコンタドールのコンディションにはハズレがないだろう。
昨年ドーフィネでバルベルデに破れ、ツールではコンタドールに苦杯を喫したのがカデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)。南半球出身者初のツール制覇に闘志を燃やすエヴァンスは、得意のタイムトライアルでリードを広げることが出来るか。合計54.5kmの“時間との闘い”または“自分との闘い”がエヴァンスの総合争いの行方を左右する。
ツールに向けて勢いをつけたいカデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット) photo:Cor VosCONI(イタリア五輪委員会)から出場停止処分を受けている昨年大会覇者のアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ)もスタートラインに立つ。直前のボルタ・ア・カタルーニャで総合優勝を果たしていることからも、精神的な影響の心配は無さそうだが。
グランツール復帰戦として挑んだジロ・デ・イタリアで総合5位に終わったイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)は、ツール組のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)を従えての出場だ。イタリアで不発に終わった山岳アタックが、アルプスで再び火を噴く。バッソはツールに出場しない。
大会連覇を狙うアレハンドロ・バルベルデ(スペイン、ケースデパーニュ) photo:Cor Vos若手としてはニーバリの他にも、山岳系オールラウンダーで、メンショフの流れを継承したいロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)や、新生ミルラムを率いるリーナス・ゲルデマン(ドイツ)、バスクの若頭イゴール・アントン(スペイン、エウスカルテル)らにも注目。いずれもツールを狙う選手であり、その仕上がりに世界的な注目が集まる。
序盤の平坦ステージで注目したいのは、トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)とヘルト・ステーグマン(ベルギー、カチューシャ)の因縁の元チームメイト対決。昨年までクイックステップでともに闘い、ときにエースのボーネンを差し置いて勝利を狙ったステーグマン。このところ身辺が慌ただしいボーネンは、ここで実力を見せつけることが出来るだろうか。
text:Kei Tsuji
アルプスで決着する山岳レース
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初日は12.1kmの個人タイムトライアル。高低差150mの峠を越えるコースで、初日から総合狙いの選手はフルスロットルでの走行を強いられる。総合争いが活発化するのは第4ステージからで、序盤の第2・3ステージはスプリンター向きの比較的平坦なコースだ。
個人タイムトライアルや超級山岳ステージ、頂上ゴールが登場するレースは、主催者の思惑通り、さながら縮小版のツール・ド・フランス。第4ステージは距離42.4kmの長距離個人タイムトライアルで、高低差は276m。ここでのタイムはドーフィネの総合争いだけでなく、ツールに向けての仕上がりを見るいい指標になるだろう。
第5ステージから最終日の第8ステージまで、ドーフィネは総合狙いの選手に休む暇を与えない。4連続山岳コースの始まりを告げるのは、今年度のツールに登場することで話題を集める超級山岳モンヴァントゥー(標高1909m)の頂上ゴール。長さ22.7km、高低差1622m、平均勾配7.1%の禿げ山が、総合争いに鉄槌を振り落とす。
アルプスに分け入る第6ステージは、ラスト20km地点で超級山岳イゾアール峠(標高2360m)をクリア。最後にはブリアンソンの街に向かう短い上りが待ち構えており、ここでもクライマーがステージ優勝&リーダージャージを狙って飛び出すだろう。
今大会最難関の第7ステージは、ガリビエ峠(標高2556m)とクロワ・ド・フェール峠(標高2067m)の二大山岳が登場する。いずれもカテゴリーは超級で、平均勾配は4〜5%程度だが、登坂距離は30kmオーバー。そして最後はマドレーヌ峠の中腹に位置する1級山岳サンフランソワ・ロンシャン(標高1630m)にゴールする。この日の獲得標高差は4000mを超える。
ドーフィネの中心都市グルノーブルに帰着する第8ステージも気が抜けない。ラスト27km地点で平均勾配が8%に達する1級山岳サン・ベルナール・ドゥ・トゥベ峠が登場し、最後までクライマーに逆転の可能性を残す。ラスト4日間のアルプス山岳決戦は見どころたっぷりだ。
各チームの精鋭がコンタドールに挑む
今年は新城幸也(日本、Bboxブイグテレコム)の出場が決定し、その活躍に注目が集まるばかり。総合争い以上に声援を送りたいのが、この新城の闘いだ。新城はツールのメンバーリストに片足を踏み入れており、ここで結果を出せばツール出場の可能性がグンと上がる。
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昨年ドーフィネでバルベルデに破れ、ツールではコンタドールに苦杯を喫したのがカデル・エヴァンス(オーストラリア、サイレンス・ロット)。南半球出身者初のツール制覇に闘志を燃やすエヴァンスは、得意のタイムトライアルでリードを広げることが出来るか。合計54.5kmの“時間との闘い”または“自分との闘い”がエヴァンスの総合争いの行方を左右する。
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グランツール復帰戦として挑んだジロ・デ・イタリアで総合5位に終わったイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)は、ツール組のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)を従えての出場だ。イタリアで不発に終わった山岳アタックが、アルプスで再び火を噴く。バッソはツールに出場しない。
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序盤の平坦ステージで注目したいのは、トム・ボーネン(ベルギー、クイックステップ)とヘルト・ステーグマン(ベルギー、カチューシャ)の因縁の元チームメイト対決。昨年までクイックステップでともに闘い、ときにエースのボーネンを差し置いて勝利を狙ったステーグマン。このところ身辺が慌ただしいボーネンは、ここで実力を見せつけることが出来るだろうか。
text:Kei Tsuji