2012/05/14(月) - 08:53
ジロ・デ・イタリア8ステージはゴール前約5kmのモレッラ峠で抜けだしたドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)が逃げ切り、故郷でジロ初勝利を挙げた。
マリアローザはライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ)がキープした。
スルモナ〜ラーゴ・ラチェーノの229kmで争われたジロ第8ステージ。平坦基調の229kmのロングコースはゴール前のラスト14km地点から始まる標高1087mの2級山岳モレッラ峠の登坂が大きなポイントだ。
終盤までは軽いアップダウンで波打つような起伏を形成するイタリア中部を直線的に南に向かう。勝負どころのモレッラ峠は中盤の数キロにかけて10%オーバーの勾配が続き、頂上からゴールまでは4.4km。モレッラ峠をどうクリアするかが大きな鍵を握った。
この日スタートしなかったのはダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)。発熱してのDNSだ。
レースは今日もスタートからアタックが決まり、4人が抜け出す。
アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)、ジュリアン・ベラール(フランス、アージェードゥーゼル)、トマシュ・マルチンスキー(ポーランド、ヴァカンソレイユ・DCM)、ミゲル・ミンゲス(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)がアタックすると、集団はそれを黙認。すぐに差は8分、そして最大11分差へと開いた。
グループの中ではアマドールが1分16秒差の総合26位につける。
変わらないフォーメーションのままレースは淡々と距離を消化する。しかしタイム差は残り70kmで5分、60kmで3分50秒と、後半に向け着実に縮小していく。
先頭4人の協調体制はローテーションがうまく回らないことに業を煮やしたマルチンスキー(ヴァカンソレイユ)の突然のアタックで崩れた。結果、先頭はアマドール(モビスター)とマルチンスキーの2人に。
メイン集団ではカチューシャがペースを上げはじめ、2人と集団の差は残り35kmになると急速に縮まる。残り30kmでは2分20秒に。メイン集団はペースアップに2つに分裂。カヴェンディッシュらが後方グループに取り残された。
峠が迫ろうというタイミングでリーダージャージのヘジダルにメカトラブルが発生。チームメイトのリアホイールをもらい、しばらく単独で追走する。これにチームメイトのジャック・バウアー(ニュージーランド)が合流し、2人でメイン集団を追う。
先頭ではアマドールがアタック。そしてモレッラ峠の上りが始まった。メイン集団先頭にはアスタナが集結し、ペースアップ。リクイガス、ランプレが続き、人数が絞られていく。総合狙いのエースたちにとってアタックする峠ではないが、遅れることは許されないポイントだ。
バッソ、スカルポーニ、ルハノ、シュレク、ロドリゲスらが集団前方に位置し、ペースは上がり続ける。新人賞ジャージのピーター・ステティーナ(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)はここで遅れてしまう。リーダージャージのヘジダルは追いつくのに脚を使ったため、この集団に喰らいつくも苦しむ。そしてクネゴも苦しんでいた。
頂上まで約2kmでドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)がアタックすると、誰も追わず、見る間に差が開く。ポッツォヴィーボは淡々とペースを刻み、峠を単独通過。後方集団から飛び出したベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)が27秒差で追う。
峠を下ってラスト4.4kmは平坦路。ポッツォヴィーヴォは小柄な身体ながら重いギアを踏みしめ、ペースを保ってゴールに単身飛び込む。インチャウスティは23秒差遅れでフィニッシュした。
集団は27秒遅れでゴールし、その先頭はスプリントでホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)がとり、ボーナスタイム8秒を獲得、総合を2位に挙げることに成功した。
勝利したポッツォヴィーヴォは身長165cmの小柄なイタリアンクライマー。今年はジロ・デル・トレンティーノ第3ステージで優勝し、総合優勝も飾っている。ジロは2008年に総合9位で終えている実力者で、今季の好調ぶりは大きな飛躍の年を予感させる。ジロ初勝利。ゴール近くに家があり、嬉しい勝利だ。
勝利したドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)のコメント
夢のようだ。果たせることがないと思っていたジロでの初の勝利は格別。
ゴールまで2km長かったら走りきれなかった。でも今日は調子が良かったからいい日になると思っていた。そしてやったんだ。
今日はアタックした峠で僕のファンが沿道にたくさん集まっていた。今日の勝利は僕の家に近かったから、心に響いたよ。本当の所、僕の得意な厳しい登りはとても短くて、ゴールまでの平坦路が長かったから、それほど僕向きのコースじゃなかった。
マリアローザをキープしたライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ)のコメント
今日はタフだった。集中してチームは前半コントロールしてマリアローザに集中した。ボーナスタイムもあってティラロンゴ、ロドリゲスがアタックしたけどジャージは守れた。マリアローザを毎日着られるのは幸せだね。着続けられるように頑張りたい。
ジロ・デ・イタリア2012第8ステージ結果
1位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)6h06'05"
2位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)+23"
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)+27"
4位 トーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)
5位 ダリオ・カタルド(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
7位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
8位 バルトス・フザルスキー(ポーランド、チームネットアップ)
9位 ホセ・ルハノ(ベネズエラ、アンドローニ・ジョカトリ)
10位 ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル)
78位 別府史之(グリーンエッジ)+9’53”
個人総合成績
1位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ)32h23’25”
2位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)+09’
3位 パオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ) +15’
4位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +35’
5位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)+35"
6位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)+40’
7位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ)+45’
8位 ダリオ・カタルド(イタリア) +46’
9位 フランク・シュレク(ルクセンブルグ、レディオシャック・ニッサン)+48’
10位 エロス・カペッキ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)+52’
ポイント賞 マリアロッサ・パッシオーネ
マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
山岳賞 マリアアッズーラ
ミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)
新人賞 マリアビアンカ
ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ)
チーム総合成績
リクイガス・キャノンデール
text:Makoto.AYANO
photo:Kei.TSUJI,CorVos,Riccardo Scanferla
マリアローザはライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ)がキープした。
スルモナ〜ラーゴ・ラチェーノの229kmで争われたジロ第8ステージ。平坦基調の229kmのロングコースはゴール前のラスト14km地点から始まる標高1087mの2級山岳モレッラ峠の登坂が大きなポイントだ。
終盤までは軽いアップダウンで波打つような起伏を形成するイタリア中部を直線的に南に向かう。勝負どころのモレッラ峠は中盤の数キロにかけて10%オーバーの勾配が続き、頂上からゴールまでは4.4km。モレッラ峠をどうクリアするかが大きな鍵を握った。
この日スタートしなかったのはダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)。発熱してのDNSだ。
レースは今日もスタートからアタックが決まり、4人が抜け出す。
アンドレイ・アマドール(コスタリカ、モビスター)、ジュリアン・ベラール(フランス、アージェードゥーゼル)、トマシュ・マルチンスキー(ポーランド、ヴァカンソレイユ・DCM)、ミゲル・ミンゲス(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)がアタックすると、集団はそれを黙認。すぐに差は8分、そして最大11分差へと開いた。
グループの中ではアマドールが1分16秒差の総合26位につける。
変わらないフォーメーションのままレースは淡々と距離を消化する。しかしタイム差は残り70kmで5分、60kmで3分50秒と、後半に向け着実に縮小していく。
先頭4人の協調体制はローテーションがうまく回らないことに業を煮やしたマルチンスキー(ヴァカンソレイユ)の突然のアタックで崩れた。結果、先頭はアマドール(モビスター)とマルチンスキーの2人に。
メイン集団ではカチューシャがペースを上げはじめ、2人と集団の差は残り35kmになると急速に縮まる。残り30kmでは2分20秒に。メイン集団はペースアップに2つに分裂。カヴェンディッシュらが後方グループに取り残された。
峠が迫ろうというタイミングでリーダージャージのヘジダルにメカトラブルが発生。チームメイトのリアホイールをもらい、しばらく単独で追走する。これにチームメイトのジャック・バウアー(ニュージーランド)が合流し、2人でメイン集団を追う。
先頭ではアマドールがアタック。そしてモレッラ峠の上りが始まった。メイン集団先頭にはアスタナが集結し、ペースアップ。リクイガス、ランプレが続き、人数が絞られていく。総合狙いのエースたちにとってアタックする峠ではないが、遅れることは許されないポイントだ。
バッソ、スカルポーニ、ルハノ、シュレク、ロドリゲスらが集団前方に位置し、ペースは上がり続ける。新人賞ジャージのピーター・ステティーナ(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)はここで遅れてしまう。リーダージャージのヘジダルは追いつくのに脚を使ったため、この集団に喰らいつくも苦しむ。そしてクネゴも苦しんでいた。
頂上まで約2kmでドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)がアタックすると、誰も追わず、見る間に差が開く。ポッツォヴィーボは淡々とペースを刻み、峠を単独通過。後方集団から飛び出したベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)が27秒差で追う。
峠を下ってラスト4.4kmは平坦路。ポッツォヴィーヴォは小柄な身体ながら重いギアを踏みしめ、ペースを保ってゴールに単身飛び込む。インチャウスティは23秒差遅れでフィニッシュした。
集団は27秒遅れでゴールし、その先頭はスプリントでホアキン・ロドリゲス(カチューシャ)がとり、ボーナスタイム8秒を獲得、総合を2位に挙げることに成功した。
勝利したポッツォヴィーヴォは身長165cmの小柄なイタリアンクライマー。今年はジロ・デル・トレンティーノ第3ステージで優勝し、総合優勝も飾っている。ジロは2008年に総合9位で終えている実力者で、今季の好調ぶりは大きな飛躍の年を予感させる。ジロ初勝利。ゴール近くに家があり、嬉しい勝利だ。
勝利したドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)のコメント
夢のようだ。果たせることがないと思っていたジロでの初の勝利は格別。
ゴールまで2km長かったら走りきれなかった。でも今日は調子が良かったからいい日になると思っていた。そしてやったんだ。
今日はアタックした峠で僕のファンが沿道にたくさん集まっていた。今日の勝利は僕の家に近かったから、心に響いたよ。本当の所、僕の得意な厳しい登りはとても短くて、ゴールまでの平坦路が長かったから、それほど僕向きのコースじゃなかった。
マリアローザをキープしたライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ)のコメント
今日はタフだった。集中してチームは前半コントロールしてマリアローザに集中した。ボーナスタイムもあってティラロンゴ、ロドリゲスがアタックしたけどジャージは守れた。マリアローザを毎日着られるのは幸せだね。着続けられるように頑張りたい。
ジロ・デ・イタリア2012第8ステージ結果
1位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)6h06'05"
2位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)+23"
3位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)+27"
4位 トーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)
5位 ダリオ・カタルド(イタリア、オメガファーマ・クイックステップ)
6位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
7位 ジャンルーカ・ブランビッラ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
8位 バルトス・フザルスキー(ポーランド、チームネットアップ)
9位 ホセ・ルハノ(ベネズエラ、アンドローニ・ジョカトリ)
10位 ジョン・ガドレ(フランス、アージェードゥーゼル)
78位 別府史之(グリーンエッジ)+9’53”
個人総合成績
1位 ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・バラクーダ)32h23’25”
2位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)+09’
3位 パオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ) +15’
4位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +35’
5位 ベナト・インチャウスティ(スペイン、モビスター)+35"
6位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)+40’
7位 ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ)+45’
8位 ダリオ・カタルド(イタリア) +46’
9位 フランク・シュレク(ルクセンブルグ、レディオシャック・ニッサン)+48’
10位 エロス・カペッキ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)+52’
ポイント賞 マリアロッサ・パッシオーネ
マシュー・ゴス(オーストラリア、オリカ・グリーンエッジ)
山岳賞 マリアアッズーラ
ミゲルアンヘル・ルビアーノ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)
新人賞 マリアビアンカ
ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ)
チーム総合成績
リクイガス・キャノンデール
text:Makoto.AYANO
photo:Kei.TSUJI,CorVos,Riccardo Scanferla
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