2012/05/03(木) - 05:35
5月5日、デンマークのヘアニングで第95回ジロ・デ・イタリアが開幕する。史上初めて北欧で開幕するグランツール。デンマークで3ステージ消化後、イタリアに渡り、イタリア半島をひたすら南下する前半ステージをチェックしておこう。
5月5日(土)第1ステージ ★★★
ヘアニング(デンマーク)〜ヘアニング(デンマーク)8.7km(個人TT) →コースマップ
ジロ・デ・イタリアは歴史上初めてデンマークで開幕する。北欧でグランツールが開幕するのは史上初。首都コペンハーゲンから西に300km、ユトランド半島の中心部に位置するヘアニングで3週間の闘いが動き出す。
デンマークの中でも裕福な街として知られるヘアニングは、チームサクソバンクのビャルヌ・リース監督の生まれ故郷。初日はそんなヘアニングを駆け抜ける8.7kmの個人タイムトライアルで、街中を迷路のように縫う前半部はテクニカルコーナーが連続。コースはほぼ真っ平らで、主催者はレース優勝者の平均スピードを50km/h前後、優勝タイムを10分30秒前後と読んでいる。とにかくここで優勝すれば、栄光のマリアローザ獲得。デンマーク人選手たちは、地元で錦を飾るべく、8.7kmに全てをぶつけるだろう。
5月6日(日)第2ステージ ★
ヘアニング(デンマーク)〜ヘアニング(デンマーク)206km →コースマップ
ジロ・デ・イタリアはデンマークで3ステージを消化し、休息日を経てイタリア本国に移動する。第2ステージと第3ステージはいずれもほぼ真っ平らな平坦ステージ。大集団によるゴールスプリント勝負に持ち込まれる可能性が極めて高い。
第2ステージは、開幕地へアニングをスタートし、ユトランド半島西部の平野を206kmにわたって駆け抜け、ヘアニングに戻る。国土の大半が平野で、最高地点が標高173mしかないデンマークらしい、真っ平らなステージ。長距離にわたって海沿いを走るため、横風が集団を破壊し、落車を誘発する可能性も。レース中盤には今大会最初のカテゴリー山岳が登場するものの、標高は47mしかない。ここを先頭で通過した選手に、今年青いデザインに変更になった山岳賞ジャージ(マリアアッズーラ)が与えられる。
5月7日(月)第3ステージ ★
ホルセンス(デンマーク)〜ホルセンス(デンマーク)190km →コースマップ
ユトランド半島東部のホルセンスは、海に面した人口5万人の港町。引き続きほぼ真っ平らな平坦ステージであり、選手たちの敵は平野を吹き抜ける風である。ステージレースの序盤ステージでは落車が多発するのが通例で、思わぬ選手がイタリアの地を踏まないままレースを去ることも。慣れないデンマーク式道路に戸惑いながら、選手たちは190kmのコースを走りきる。
レース中盤には、きっと主催者が必死な思いで探し出したであろうデンマーク最高クラスの4級山岳(標高159m)が登場。ジロにしては珍しく、終盤はホルセンスの街中周回コース(14.3km)を3周する。1kmにわたる長いロングストレートで、迫力のゴールスプリントが繰り広げられるだろう。ゴール:20・12・8秒、中間スプリント:6・4・2秒というボーナスタイムによるマリアローザ交代も起こり得る。
5月8日(火)休息日
5月9日(水)第4ステージ ★★★
ヴェローナ〜ヴェローナ 33.2km(チームTT) →コースマップ
早くも1回目の休息日を消化し、ジロの舞台は本国イタリアに移る。選手たちは当然空路を利用する。しかしチームスタッフにとって、デンマークからイタリアの長距離移動は頭痛の種以外の何ものでもない。しかも第4ステージはチームの結束力が問われるチームタイムトライアル。ヴェローナの中心部をスタートし、ブドウ畑が広がる高低差70mほどの郊外を丘を越えてヴェローナに戻る。
ゴール地点は、2010年大会の終着地であるアレーナ・ディ・ヴェローナ(歌劇場)前のブラ広場。主催者の予想優勝タイムは36分〜36分30秒で、平均スピードは55km/h。5人目にゴールした選手のタイムが、チームの成績に反映される。ここでのタイム差が、後々のマリアローザ争いに大きく影響するのは間違いない。
5月10日(木)第5ステージ ★
モデナ〜ファーノ 209km →コースマップ
重要なチームタイムトライアルを終えたジロは、イタリア半島南下を開始する。第5ステージは、広大なポー平原の南端、つまりアペニン山脈の北端を横目に見ながら、モデナからファーノまでひたすら平坦路を進む。
アドリア海に面したファーノのゴール手前には、4級山岳ガビッチェ・モンテから始まる緩やかなアップダウンがある。しかしゴールの13km手前は再び真っ平ら。ゴール前に鋭いコーナーなどはなく、大集団のままファーノの中心地に突進する。例年よりスプリンター向きのステージが多いと言われる2012年のジロ。カヴェンディッシュやゴス、ファラー、キッキ、ボス、ベンナーティ、アエドらの闘いに注目したい。
5月11日(金)第6ステージ ★★★
ウルビーノ〜ポルト・サンテルピディオ 210km →コースマップ
レース開幕から1週間が経過し、ようやくジロに中級山岳ステージが登場する。2級と3級のカテゴリー山岳を合計4つ通過する210kmのコースは、まさにアップダウンの連続。しかも118km地点の2級山岳カッペッラ峠は、最大勾配15%で、4kmにわたって未舗装路が続く。このカッペッラ峠通過後、コースはマルケ州特有の丘陵地帯に入る。
ゴール33km手前の3級山岳モンテグラナーロは、チームNIPPOの選手たちが住む街。絶え間ないアップダウンと、短い平坦区間を経て、アドリア海沿いのポルト・サンテルピディオにゴールする。これまでのステージでレースを支配していたピュアスプリンターではなく、登坂力のあるクラシックライダー向きのコースレイアウト。地元出身のスカルポーニ応援団がコースを埋めるはずだ。
5月12日(土)第7ステージ ★★★
レカナーティ〜ロッカ・ディ・カンビオ 205km →コースマップ
丘の上の都市レカナーティを発ち、イタリア半島の背骨を形成するアペニン山脈へと脚を踏み入れる第7ステージ。今大会最初の頂上ゴールが登場する。第7ステージのゴール地点は、標高1392mの2級山岳ロッカ・ディ・カンビオだ。
レース前半から登りと下りを繰り返し、101km地点で3級山岳ガッルッチョ峠をクリア。2009年の地震でダメージを受けたラクイラの街を通過し、登坂距離19.1kmのロッカ・ディ・カンビオに挑む。道幅のある勾配5%ほどの斜面が続き、短い下りを経て標高1392mにゴール。勾配の緩さから決定的なタイム差は生まれないと見られているが、一日の獲得標高差は3000mを越えており、早速マリアローザ争いから脱落する選手が出てくるだろう。
5月13日(日)第8ステージ ★★★
スルモナ〜ラーゴ・ラチェーノ 229km →コースマップ
ジロ前半戦の山場であり、マリアローザ争いにアクセントを加える第7ステージと第8ステージ。229kmのロングコースの先には、標高1087mの2級山岳モレッラ峠が待っている。波打つような起伏を形成するイタリア中部を直線的に南に向かい、ラスト14km地点からモレッラ峠の登坂がスタート。中盤の数キロにかけて10%オーバーの勾配が続くモレッラ峠をクリアし、4.4km先に待つゴールを目指す。
ゴール前の数キロはフラットであり、モレッラ峠で縮小した数名もしくは小集団によるゴールスプリントの可能性が高い。1週間強にわたって南下を続けたジロは、このラーゴ・ラチェーノを南端とし、翌日から北上を開始する。
5月14日(月)第9ステージ ★
サンジョルジョ・デル・サンニオ〜フロジノーネ 166km →コースマップ
北上を開始したジロは、急ぐように、直線的に、決戦地アルプスとドロミテの山場に向かう。決戦地までのいわゆるトランジション(中継ぎ)ステージとなるのは、第13ステージまでの5ステージ。ピュアスプリンターたちはここぞとばかりに、5ステージで鼻息を荒らげる。
しかし簡単に勝たせてくれないのがジロの平坦ステージ。ゴール地点フロジノーネの手前には細かなアップダウンが詰め込まれており、登りで飛び出すアタッカーにもチャンスが与えられている。ラスト350mに登場する鋭角なコーナーを曲がり、フロジノーネに先頭でゴールするのは果たして誰か。バッソの頼れるアシストであるヴァレリオ・アニョーリの故郷はすぐ近くだ。
5月15日(火)第10ステージ ★★
チヴィタヴェッキア〜アッシジ 186km →コースマップ
ティレニア海沿いのチヴィタヴェッキアから、城壁に囲まれた聖地アッシジに至る第10ステージには、4級山岳が1つしか設定されていない。しかし山岳の少なさとその難易度の低さが、必ずしもスプリンターにチャンスがあることを意味しているわけではない。何と言っても、山の中腹にあるゴール地点アッシジこそが4級山岳。標高422mのゴールに向かって、2段階に別れた急勾配の登りが続くのだ。
ラスト4kmを切ってから最大勾配15%の登りが始まり、ラスト2.4kmで一旦コースは下りに転じる。そしてラスト1.2kmから再び登り始め、勾配10%オーバーの登りを経てゴール。ロドリゲスのようなパンチ力のある選手が優勝候補の筆頭だ。
5月16日(水)第11ステージ ★★
アッシジ〜モンテカティーニ・テルメ 255km →コースマップ
第11ステージはとにかく長い。コース全長は今大会最長の255km。ワンデークラシックならまだしも、グランツールのステージでここまで長いコースは稀だ。前日のゴール地点アッシジをスタート後、ベンナーティの故郷アレッツォや、花の都フィレンツェをかすめるように西に向かい、温泉地として名高いモンテカティーニ・テルメにゴールする。
起伏に乏しいため、集団スプリントに持ち込まれる可能性が高いが、一度ゴール地点モンテカティーニ・テルメ通過後に登場する4級山岳ヴィコでサプライズアタックが起こることも考えられる。果たして、登坂距離3.3km・平均勾配5.2%の4級山岳でスプリンターたちは集団に残れるか。仮に登りで遅れた場合も、ゴールまで11kmは下りと平坦。勝負に戻る余地は残されている。
text:Kei Tsuji
5月5日(土)第1ステージ ★★★
ヘアニング(デンマーク)〜ヘアニング(デンマーク)8.7km(個人TT) →コースマップ
ジロ・デ・イタリアは歴史上初めてデンマークで開幕する。北欧でグランツールが開幕するのは史上初。首都コペンハーゲンから西に300km、ユトランド半島の中心部に位置するヘアニングで3週間の闘いが動き出す。
デンマークの中でも裕福な街として知られるヘアニングは、チームサクソバンクのビャルヌ・リース監督の生まれ故郷。初日はそんなヘアニングを駆け抜ける8.7kmの個人タイムトライアルで、街中を迷路のように縫う前半部はテクニカルコーナーが連続。コースはほぼ真っ平らで、主催者はレース優勝者の平均スピードを50km/h前後、優勝タイムを10分30秒前後と読んでいる。とにかくここで優勝すれば、栄光のマリアローザ獲得。デンマーク人選手たちは、地元で錦を飾るべく、8.7kmに全てをぶつけるだろう。
5月6日(日)第2ステージ ★
ヘアニング(デンマーク)〜ヘアニング(デンマーク)206km →コースマップ
ジロ・デ・イタリアはデンマークで3ステージを消化し、休息日を経てイタリア本国に移動する。第2ステージと第3ステージはいずれもほぼ真っ平らな平坦ステージ。大集団によるゴールスプリント勝負に持ち込まれる可能性が極めて高い。
第2ステージは、開幕地へアニングをスタートし、ユトランド半島西部の平野を206kmにわたって駆け抜け、ヘアニングに戻る。国土の大半が平野で、最高地点が標高173mしかないデンマークらしい、真っ平らなステージ。長距離にわたって海沿いを走るため、横風が集団を破壊し、落車を誘発する可能性も。レース中盤には今大会最初のカテゴリー山岳が登場するものの、標高は47mしかない。ここを先頭で通過した選手に、今年青いデザインに変更になった山岳賞ジャージ(マリアアッズーラ)が与えられる。
5月7日(月)第3ステージ ★
ホルセンス(デンマーク)〜ホルセンス(デンマーク)190km →コースマップ
ユトランド半島東部のホルセンスは、海に面した人口5万人の港町。引き続きほぼ真っ平らな平坦ステージであり、選手たちの敵は平野を吹き抜ける風である。ステージレースの序盤ステージでは落車が多発するのが通例で、思わぬ選手がイタリアの地を踏まないままレースを去ることも。慣れないデンマーク式道路に戸惑いながら、選手たちは190kmのコースを走りきる。
レース中盤には、きっと主催者が必死な思いで探し出したであろうデンマーク最高クラスの4級山岳(標高159m)が登場。ジロにしては珍しく、終盤はホルセンスの街中周回コース(14.3km)を3周する。1kmにわたる長いロングストレートで、迫力のゴールスプリントが繰り広げられるだろう。ゴール:20・12・8秒、中間スプリント:6・4・2秒というボーナスタイムによるマリアローザ交代も起こり得る。
5月8日(火)休息日
5月9日(水)第4ステージ ★★★
ヴェローナ〜ヴェローナ 33.2km(チームTT) →コースマップ
早くも1回目の休息日を消化し、ジロの舞台は本国イタリアに移る。選手たちは当然空路を利用する。しかしチームスタッフにとって、デンマークからイタリアの長距離移動は頭痛の種以外の何ものでもない。しかも第4ステージはチームの結束力が問われるチームタイムトライアル。ヴェローナの中心部をスタートし、ブドウ畑が広がる高低差70mほどの郊外を丘を越えてヴェローナに戻る。
ゴール地点は、2010年大会の終着地であるアレーナ・ディ・ヴェローナ(歌劇場)前のブラ広場。主催者の予想優勝タイムは36分〜36分30秒で、平均スピードは55km/h。5人目にゴールした選手のタイムが、チームの成績に反映される。ここでのタイム差が、後々のマリアローザ争いに大きく影響するのは間違いない。
5月10日(木)第5ステージ ★
モデナ〜ファーノ 209km →コースマップ
重要なチームタイムトライアルを終えたジロは、イタリア半島南下を開始する。第5ステージは、広大なポー平原の南端、つまりアペニン山脈の北端を横目に見ながら、モデナからファーノまでひたすら平坦路を進む。
アドリア海に面したファーノのゴール手前には、4級山岳ガビッチェ・モンテから始まる緩やかなアップダウンがある。しかしゴールの13km手前は再び真っ平ら。ゴール前に鋭いコーナーなどはなく、大集団のままファーノの中心地に突進する。例年よりスプリンター向きのステージが多いと言われる2012年のジロ。カヴェンディッシュやゴス、ファラー、キッキ、ボス、ベンナーティ、アエドらの闘いに注目したい。
5月11日(金)第6ステージ ★★★
ウルビーノ〜ポルト・サンテルピディオ 210km →コースマップ
レース開幕から1週間が経過し、ようやくジロに中級山岳ステージが登場する。2級と3級のカテゴリー山岳を合計4つ通過する210kmのコースは、まさにアップダウンの連続。しかも118km地点の2級山岳カッペッラ峠は、最大勾配15%で、4kmにわたって未舗装路が続く。このカッペッラ峠通過後、コースはマルケ州特有の丘陵地帯に入る。
ゴール33km手前の3級山岳モンテグラナーロは、チームNIPPOの選手たちが住む街。絶え間ないアップダウンと、短い平坦区間を経て、アドリア海沿いのポルト・サンテルピディオにゴールする。これまでのステージでレースを支配していたピュアスプリンターではなく、登坂力のあるクラシックライダー向きのコースレイアウト。地元出身のスカルポーニ応援団がコースを埋めるはずだ。
5月12日(土)第7ステージ ★★★
レカナーティ〜ロッカ・ディ・カンビオ 205km →コースマップ
丘の上の都市レカナーティを発ち、イタリア半島の背骨を形成するアペニン山脈へと脚を踏み入れる第7ステージ。今大会最初の頂上ゴールが登場する。第7ステージのゴール地点は、標高1392mの2級山岳ロッカ・ディ・カンビオだ。
レース前半から登りと下りを繰り返し、101km地点で3級山岳ガッルッチョ峠をクリア。2009年の地震でダメージを受けたラクイラの街を通過し、登坂距離19.1kmのロッカ・ディ・カンビオに挑む。道幅のある勾配5%ほどの斜面が続き、短い下りを経て標高1392mにゴール。勾配の緩さから決定的なタイム差は生まれないと見られているが、一日の獲得標高差は3000mを越えており、早速マリアローザ争いから脱落する選手が出てくるだろう。
5月13日(日)第8ステージ ★★★
スルモナ〜ラーゴ・ラチェーノ 229km →コースマップ
ジロ前半戦の山場であり、マリアローザ争いにアクセントを加える第7ステージと第8ステージ。229kmのロングコースの先には、標高1087mの2級山岳モレッラ峠が待っている。波打つような起伏を形成するイタリア中部を直線的に南に向かい、ラスト14km地点からモレッラ峠の登坂がスタート。中盤の数キロにかけて10%オーバーの勾配が続くモレッラ峠をクリアし、4.4km先に待つゴールを目指す。
ゴール前の数キロはフラットであり、モレッラ峠で縮小した数名もしくは小集団によるゴールスプリントの可能性が高い。1週間強にわたって南下を続けたジロは、このラーゴ・ラチェーノを南端とし、翌日から北上を開始する。
5月14日(月)第9ステージ ★
サンジョルジョ・デル・サンニオ〜フロジノーネ 166km →コースマップ
北上を開始したジロは、急ぐように、直線的に、決戦地アルプスとドロミテの山場に向かう。決戦地までのいわゆるトランジション(中継ぎ)ステージとなるのは、第13ステージまでの5ステージ。ピュアスプリンターたちはここぞとばかりに、5ステージで鼻息を荒らげる。
しかし簡単に勝たせてくれないのがジロの平坦ステージ。ゴール地点フロジノーネの手前には細かなアップダウンが詰め込まれており、登りで飛び出すアタッカーにもチャンスが与えられている。ラスト350mに登場する鋭角なコーナーを曲がり、フロジノーネに先頭でゴールするのは果たして誰か。バッソの頼れるアシストであるヴァレリオ・アニョーリの故郷はすぐ近くだ。
5月15日(火)第10ステージ ★★
チヴィタヴェッキア〜アッシジ 186km →コースマップ
ティレニア海沿いのチヴィタヴェッキアから、城壁に囲まれた聖地アッシジに至る第10ステージには、4級山岳が1つしか設定されていない。しかし山岳の少なさとその難易度の低さが、必ずしもスプリンターにチャンスがあることを意味しているわけではない。何と言っても、山の中腹にあるゴール地点アッシジこそが4級山岳。標高422mのゴールに向かって、2段階に別れた急勾配の登りが続くのだ。
ラスト4kmを切ってから最大勾配15%の登りが始まり、ラスト2.4kmで一旦コースは下りに転じる。そしてラスト1.2kmから再び登り始め、勾配10%オーバーの登りを経てゴール。ロドリゲスのようなパンチ力のある選手が優勝候補の筆頭だ。
5月16日(水)第11ステージ ★★
アッシジ〜モンテカティーニ・テルメ 255km →コースマップ
第11ステージはとにかく長い。コース全長は今大会最長の255km。ワンデークラシックならまだしも、グランツールのステージでここまで長いコースは稀だ。前日のゴール地点アッシジをスタート後、ベンナーティの故郷アレッツォや、花の都フィレンツェをかすめるように西に向かい、温泉地として名高いモンテカティーニ・テルメにゴールする。
起伏に乏しいため、集団スプリントに持ち込まれる可能性が高いが、一度ゴール地点モンテカティーニ・テルメ通過後に登場する4級山岳ヴィコでサプライズアタックが起こることも考えられる。果たして、登坂距離3.3km・平均勾配5.2%の4級山岳でスプリンターたちは集団に残れるか。仮に登りで遅れた場合も、ゴールまで11kmは下りと平坦。勝負に戻る余地は残されている。
text:Kei Tsuji
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The Story of the Giro d'Italia: A Year-by-Year History of the Tour of Italy, Volume 1: 1909-1970
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