2012/05/03(木) - 05:56
マッターホルンを望むチェルヴィニアにゴールする第14ステージ、ドロミテの峠を連続して越える第17ステージ、パンペアーゴ峠を2回登る第19ステージ、そして「チーマコッピ」ステルヴィオ峠にゴールする第20ステージ。第95回大会も、ジロ・デ・イタリアらしい山岳コースの連続だ。
5月17日(木)第12ステージ ★★★
セラヴェッツァ〜セストリ・レヴァンテ 155km →コースマップ
紺碧のティレニア海とせり出した山々が作り出す、美しいリグーリア海岸。第12ステージは、バカンスシーズンに観光客が集まる同海岸に沿って155kmを北上する。
海岸と内陸を蛇行しながら4つのカテゴリー山岳をクリアし、ゴール地点セストリ・レヴァンテへ。当初は世界遺産に指定されている風光明媚なチンクエテッレを通過する予定だったが、コース上の土砂崩れによって、内陸を迂回するコースに変更されている。急峻な地形を縫うように走るコースはワインディングの繰り返しであり、最後の3級山岳はゴールの僅か11km手前。テクニカルなコースは総合変動の可能性を秘めている。
5月18日(金)第13ステージ ★
サヴォーナ〜チェルヴェレ 121km →コースマップ
長い北上の旅を終え、第13ステージでジロは北イタリアの内陸に入る。レース前半に標高734mの4級山岳モンテゼモロを越えると、そこはアルプスの山々を遠くに望むピエモンテ州。121kmと極端に短い第13ステージは、ピュアスプリンターにおあつらえ向きの平坦コースだ。
ラスト2400mのロータリーを抜けると、チェルヴェレのゴール地点に向かって長い長い直線路が続く。スプリンターチームがトレインを成し、エーススプリンターをラスト数百メートルで発射する。スプリンターに残されたチャンスはこの第13ステージと第18ステージのみ。今大会最短ステージは、レース時間が3時間に満たないハイスピードな展開に持ち込まれるだろう。
5月19日(土)第14ステージ ★★★★★
ケラスコ〜チェルヴィニア 206km →コースマップ
第95回大会のマリアローザ争いは、この第14ステージから本格的に動き出す。コースの前半137kmはほぼフラットで、後半の69kmが登りと下りのみ。まずは登坂距離22.4km・平均勾配5.6%の1級山岳ジュー峠(標高1640m)を駆け上がり、一気に標高520mまでダウンヒル。そこからゴール地点の1級山岳チェルヴィニアまでひたすら登る。
スキーリゾート地として知られるチェルヴィニアに至る登りは、登坂距離27km・平均勾配5.5%という難易度を誇る。標高2001mの頂上で、総合成績にシャッフルがかけられる。ちなみに、アルプス山脈の稜線に沿うスイス国境は、ゴール地点チェルヴィニアから約5kmの距離。街の頭上には、世界的に有名な標高4478mのマッターホルン(イタリア名:チェルヴィーノ)がある。
5月20日(日)第15ステージ ★★★★
ブスト・アルシツィオ〜レッコ/ピアン・デイ・レジネッリ 169km →コースマップ
チェルヴィニアの闘いを終え、長い長い第2週はミラノ北部のレッコで完結。広大なロンバルディア平原の北に広がる(アルプスにもドロミテにも属さない)山岳地帯を駆け巡る。レース中盤から1級、3級、2級のカテゴリー山岳が連続し、最後は標高1280mの2級山岳ピアン・デイ・レジネッリを駆け上がってゴールする。
2級山岳ピアン・デイ・レジネッリは、昨年からジロ・ディ・ロンバルディアの新たなゴール地点となったレッコを見下ろす山の上にある。前日のチェルヴィニアほどの破壊力は無いが、前半から10%近い勾配が続くためアタックが決まりやすい。ここまで2週間を闘い、疲労がたまった脚が悲鳴を上げる。翌日は待ちに待った2回目の休息日だ。
5月21日(月)休息日
5月22日(火)第16ステージ ★★★
リモーネ・スル・ガルダ〜ファルツェス 173km →コースマップ
カテゴリー山岳が1つも設定されていないにも関わらず、コースの難易度は3つ星。その秘密はゴール前にある。ガルダ湖の畔をスタートし、渓谷に沿って173kmを北上する一日。イタリア国内でありながら、ドイツ語が話されているチロル地方に脚を踏み入れる。
イタリア語名ファルツェス、ドイツ語名ファルツェンと呼ばれる山間の街に向かって、カテゴリー未設定の急勾配の登りが数キロにわたって続く。石畳が敷かれた最大12%の登りを終えると、ゴールまでの2kmはフラット。2004年大会に登場した際には、マリアローザを着るクネゴが優勝を飾っている。
5月23日(水)第17ステージ ★★★★★
ファルツェス〜コルティーナ・ダンペッツォ 186km →コースマップ
第17ステージには、ドロミテの魅力が詰め込まれている。登場する峠は4つ。2級山岳ヴァルパローラ峠、1級山岳ドゥラン峠、2級山岳フォルチェッラ・スタウランツァ、そして1級山岳ジャウ峠…。1956年の冬季オリンピックが開催された、美しい山々を望むコルティーナ・ダンペッツォにゴールする。
中でも注目したいのが、ゴールの18km手前でピークを迎える1級山岳ジャウ峠だ。昨年大会にもジャウ峠が登場しているが、今年は逆側からの登坂。平均勾配6.5%の東側に対し、今回の西側登坂は平均勾配が9.3%に達する。集団が破壊されるのは間違いないだろう。そしてコルティーナ・ダンペッツォに向かうテクニカルなダウンヒルにも注目。頂上ゴールだけが山岳の華ではない。
5月24日(木)第18ステージ ★
サンヴィート・ディ・カドーレ〜ヴェデラーゴ 149km →コースマップ
前日までとは打って変わって、第18ステージは平野に至る平坦コース。2連続山岳ステージと最終個人タイムトライアルを前に、この第18ステージがスプリンターにとってラストチャンスとなる。
しかしすでにスプリンターの多くがレースを去っている可能性が高く、残っていたとしても山岳でダメージを受けているはず。スプリンターチームの統率力にも疑問が残る。標高974mのスタート地点から、標高45mのヴェデラーゴに向けて緩やかに下るコースで、逃げ切りを懸けたアタック合戦は熾烈を極めるだろう。ゴール手前の5.5kmはほぼ一直線の平坦路だ。
5月25日(金)第19ステージ ★★★★★
トレヴィーゾ〜アルペ・ディ・パンペアーゴ 198km →コースマップ
マリアローザ争いは難関山岳の頂上ゴールが設定された第19ステージと第20ステージ、そして最終個人タイムトライアルで決する。標高15mのトレヴィーゾをスタートし、5つのカテゴリー山岳を越える第19ステージ。198kmコースの獲得標高差は驚きの5000mオーバー。登坂距離20.5km・平均勾配7.4%の1級山岳マンゲン峠(標高2047m)を越えた後、何を思ったか1級山岳パンペアーゴ峠を2回登るのだ。
標高2006mの峠に向かって斜面を直線的に駆け上がる1級山岳パンペアーゴ峠は、登坂距離10.5km・平均勾配9.8%という難易度を誇る。このパンペアーゴ峠を登り、下り、2級山岳ラヴァーゼ峠を登り、そして再びパンペアーゴ峠へ。最大勾配が16%に達するジロの名物峠で、マリアローザを巡る死闘が繰り広げられる。
5月26日(土)第20ステージ ★★★★★
カルデス〜パッソ・デッロ・ステルヴィオ 219km →コースマップ
大会最高地点を意味する「チーマコッピ」の冠は、最終日前日のゴール地点ステルヴィオ峠が授かった。標高は2757m、イタリア国内における車両通行峠の中で最標高を誇るステルヴィオ峠。昨年のツール・ド・フランスで「史上最標高ゴール」として話題を振りまいたガリビエ峠(2645m)より更に高い。
しかもそのステルヴィオ峠に至る道のりは長く険しい。2級山岳トナーレ峠の登りに始まり、レース中盤には登坂距離11.4km・平均勾配10.5%・最大勾配22%というモンスター級の1級山岳モルティローロを越える。そして最後は登坂距離22.4kmのステルヴィオ峠。平均勾配は6.9%だが、空気の薄さが行く手を阻む。「チーマコッピ」の頂上には、1956年大会で初めてこの峠を先頭通過した英雄ファウスト・コッピの記念碑が建つ。
5月27日(日)第21ステージ ★★★
ミラノ〜ミラノ 31.5km(個人TT) →コースマップ
3週間の闘いを終えんとする選手たちが遂にミラノに到着。しかしまだマリアローザ争いは終わっていない。ミラノ中心部を舞台にした30.1kmの個人タイムトライアルが待っている。
市街地のメイン通りを繋いで行くコースはほぼ真っ平ら。コーナーが連続し、トラムの線路がコースを横切り、使い古された石畳が点在する。昨年同様、ゴール地点は荘厳な教会に見下ろされたドゥオーモ広場。前日までの激しい山岳バトルで酷使した脚は、果たしてドゥオーモまでもってくれるのか。3503.9kmにおよぶ闘いの先に待つのは。ピンクの紙吹雪が舞う中、95代チャンピオンがマリアローザに袖を通す。
text:Kei Tsuji
5月17日(木)第12ステージ ★★★
セラヴェッツァ〜セストリ・レヴァンテ 155km →コースマップ
紺碧のティレニア海とせり出した山々が作り出す、美しいリグーリア海岸。第12ステージは、バカンスシーズンに観光客が集まる同海岸に沿って155kmを北上する。
海岸と内陸を蛇行しながら4つのカテゴリー山岳をクリアし、ゴール地点セストリ・レヴァンテへ。当初は世界遺産に指定されている風光明媚なチンクエテッレを通過する予定だったが、コース上の土砂崩れによって、内陸を迂回するコースに変更されている。急峻な地形を縫うように走るコースはワインディングの繰り返しであり、最後の3級山岳はゴールの僅か11km手前。テクニカルなコースは総合変動の可能性を秘めている。
5月18日(金)第13ステージ ★
サヴォーナ〜チェルヴェレ 121km →コースマップ
長い北上の旅を終え、第13ステージでジロは北イタリアの内陸に入る。レース前半に標高734mの4級山岳モンテゼモロを越えると、そこはアルプスの山々を遠くに望むピエモンテ州。121kmと極端に短い第13ステージは、ピュアスプリンターにおあつらえ向きの平坦コースだ。
ラスト2400mのロータリーを抜けると、チェルヴェレのゴール地点に向かって長い長い直線路が続く。スプリンターチームがトレインを成し、エーススプリンターをラスト数百メートルで発射する。スプリンターに残されたチャンスはこの第13ステージと第18ステージのみ。今大会最短ステージは、レース時間が3時間に満たないハイスピードな展開に持ち込まれるだろう。
5月19日(土)第14ステージ ★★★★★
ケラスコ〜チェルヴィニア 206km →コースマップ
第95回大会のマリアローザ争いは、この第14ステージから本格的に動き出す。コースの前半137kmはほぼフラットで、後半の69kmが登りと下りのみ。まずは登坂距離22.4km・平均勾配5.6%の1級山岳ジュー峠(標高1640m)を駆け上がり、一気に標高520mまでダウンヒル。そこからゴール地点の1級山岳チェルヴィニアまでひたすら登る。
スキーリゾート地として知られるチェルヴィニアに至る登りは、登坂距離27km・平均勾配5.5%という難易度を誇る。標高2001mの頂上で、総合成績にシャッフルがかけられる。ちなみに、アルプス山脈の稜線に沿うスイス国境は、ゴール地点チェルヴィニアから約5kmの距離。街の頭上には、世界的に有名な標高4478mのマッターホルン(イタリア名:チェルヴィーノ)がある。
5月20日(日)第15ステージ ★★★★
ブスト・アルシツィオ〜レッコ/ピアン・デイ・レジネッリ 169km →コースマップ
チェルヴィニアの闘いを終え、長い長い第2週はミラノ北部のレッコで完結。広大なロンバルディア平原の北に広がる(アルプスにもドロミテにも属さない)山岳地帯を駆け巡る。レース中盤から1級、3級、2級のカテゴリー山岳が連続し、最後は標高1280mの2級山岳ピアン・デイ・レジネッリを駆け上がってゴールする。
2級山岳ピアン・デイ・レジネッリは、昨年からジロ・ディ・ロンバルディアの新たなゴール地点となったレッコを見下ろす山の上にある。前日のチェルヴィニアほどの破壊力は無いが、前半から10%近い勾配が続くためアタックが決まりやすい。ここまで2週間を闘い、疲労がたまった脚が悲鳴を上げる。翌日は待ちに待った2回目の休息日だ。
5月21日(月)休息日
5月22日(火)第16ステージ ★★★
リモーネ・スル・ガルダ〜ファルツェス 173km →コースマップ
カテゴリー山岳が1つも設定されていないにも関わらず、コースの難易度は3つ星。その秘密はゴール前にある。ガルダ湖の畔をスタートし、渓谷に沿って173kmを北上する一日。イタリア国内でありながら、ドイツ語が話されているチロル地方に脚を踏み入れる。
イタリア語名ファルツェス、ドイツ語名ファルツェンと呼ばれる山間の街に向かって、カテゴリー未設定の急勾配の登りが数キロにわたって続く。石畳が敷かれた最大12%の登りを終えると、ゴールまでの2kmはフラット。2004年大会に登場した際には、マリアローザを着るクネゴが優勝を飾っている。
5月23日(水)第17ステージ ★★★★★
ファルツェス〜コルティーナ・ダンペッツォ 186km →コースマップ
第17ステージには、ドロミテの魅力が詰め込まれている。登場する峠は4つ。2級山岳ヴァルパローラ峠、1級山岳ドゥラン峠、2級山岳フォルチェッラ・スタウランツァ、そして1級山岳ジャウ峠…。1956年の冬季オリンピックが開催された、美しい山々を望むコルティーナ・ダンペッツォにゴールする。
中でも注目したいのが、ゴールの18km手前でピークを迎える1級山岳ジャウ峠だ。昨年大会にもジャウ峠が登場しているが、今年は逆側からの登坂。平均勾配6.5%の東側に対し、今回の西側登坂は平均勾配が9.3%に達する。集団が破壊されるのは間違いないだろう。そしてコルティーナ・ダンペッツォに向かうテクニカルなダウンヒルにも注目。頂上ゴールだけが山岳の華ではない。
5月24日(木)第18ステージ ★
サンヴィート・ディ・カドーレ〜ヴェデラーゴ 149km →コースマップ
前日までとは打って変わって、第18ステージは平野に至る平坦コース。2連続山岳ステージと最終個人タイムトライアルを前に、この第18ステージがスプリンターにとってラストチャンスとなる。
しかしすでにスプリンターの多くがレースを去っている可能性が高く、残っていたとしても山岳でダメージを受けているはず。スプリンターチームの統率力にも疑問が残る。標高974mのスタート地点から、標高45mのヴェデラーゴに向けて緩やかに下るコースで、逃げ切りを懸けたアタック合戦は熾烈を極めるだろう。ゴール手前の5.5kmはほぼ一直線の平坦路だ。
5月25日(金)第19ステージ ★★★★★
トレヴィーゾ〜アルペ・ディ・パンペアーゴ 198km →コースマップ
マリアローザ争いは難関山岳の頂上ゴールが設定された第19ステージと第20ステージ、そして最終個人タイムトライアルで決する。標高15mのトレヴィーゾをスタートし、5つのカテゴリー山岳を越える第19ステージ。198kmコースの獲得標高差は驚きの5000mオーバー。登坂距離20.5km・平均勾配7.4%の1級山岳マンゲン峠(標高2047m)を越えた後、何を思ったか1級山岳パンペアーゴ峠を2回登るのだ。
標高2006mの峠に向かって斜面を直線的に駆け上がる1級山岳パンペアーゴ峠は、登坂距離10.5km・平均勾配9.8%という難易度を誇る。このパンペアーゴ峠を登り、下り、2級山岳ラヴァーゼ峠を登り、そして再びパンペアーゴ峠へ。最大勾配が16%に達するジロの名物峠で、マリアローザを巡る死闘が繰り広げられる。
5月26日(土)第20ステージ ★★★★★
カルデス〜パッソ・デッロ・ステルヴィオ 219km →コースマップ
大会最高地点を意味する「チーマコッピ」の冠は、最終日前日のゴール地点ステルヴィオ峠が授かった。標高は2757m、イタリア国内における車両通行峠の中で最標高を誇るステルヴィオ峠。昨年のツール・ド・フランスで「史上最標高ゴール」として話題を振りまいたガリビエ峠(2645m)より更に高い。
しかもそのステルヴィオ峠に至る道のりは長く険しい。2級山岳トナーレ峠の登りに始まり、レース中盤には登坂距離11.4km・平均勾配10.5%・最大勾配22%というモンスター級の1級山岳モルティローロを越える。そして最後は登坂距離22.4kmのステルヴィオ峠。平均勾配は6.9%だが、空気の薄さが行く手を阻む。「チーマコッピ」の頂上には、1956年大会で初めてこの峠を先頭通過した英雄ファウスト・コッピの記念碑が建つ。
5月27日(日)第21ステージ ★★★
ミラノ〜ミラノ 31.5km(個人TT) →コースマップ
3週間の闘いを終えんとする選手たちが遂にミラノに到着。しかしまだマリアローザ争いは終わっていない。ミラノ中心部を舞台にした30.1kmの個人タイムトライアルが待っている。
市街地のメイン通りを繋いで行くコースはほぼ真っ平ら。コーナーが連続し、トラムの線路がコースを横切り、使い古された石畳が点在する。昨年同様、ゴール地点は荘厳な教会に見下ろされたドゥオーモ広場。前日までの激しい山岳バトルで酷使した脚は、果たしてドゥオーモまでもってくれるのか。3503.9kmにおよぶ闘いの先に待つのは。ピンクの紙吹雪が舞う中、95代チャンピオンがマリアローザに袖を通す。
text:Kei Tsuji