2012/03/24(土) - 09:19
3月23日、第55回E3プライス・フラーンデレンが開催された。石畳の急坂を含む難コースの末、フレイレを退けて集団スプリントを制したのはトム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)だった。
いよいよ目前に迫ったパリ~ルーベとロンド・ファン・フラーンデレン。その2大北のクラシックを占う上で重要となる、ベルギーはフランドル地方で行われるセミクラシックがE3プライス・フラーンデレンだ。今季1.HCからワールドツアーへと昇格したこのレースのコースは、ハーレルベーケを発着する203kmで、フランドルのクラシックでお馴染みの「オウデ・クワレモント」や「パテルベルグ」などの急坂が多数組み込まれる。
石畳の激坂が連続するコースは、ロンドに似るもの。選手には石畳を乗るテクニックと同時に、激坂を越えるパワーも要求される。北のセミクラシックらしいタフなコースレイアウト。日本からは新城幸也(ユーロップカー)が出場した。
レースは序盤からアタックと吸収を繰り返すハイスピードな展開で幕開けた。ようやく64km地点で決まった逃げグループにはオスカル・ガット(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)やヘバルト・ドックス(ベルギー、ロット・ベリソル)など9名が入り、順調にローテーションを回しながらメイン集団との差を開いていく。タイム差は最大6分45秒まで広がった。
レースは中盤から始まる急坂セクションに向けて徐々に動き出す。メイン集団はオメガファーマ・クイックステップやチームスカイがペースアップを開始し、逃げ集団とのタイム差を徐々に詰めていく。集団ではペースアップや、道幅などの条件も重なりパンクや落車が多発。新城幸也も落車に巻き込まれ、リタイヤを喫することとなった。
ゴールまで50kmほどを残す「ターインベルグ」で、4回の優勝経験を誇るトム・ボーネンが動く。素早いチェックを見せたのは今シーズン好調を見せるセプ・ファンマルク(ベルギー、ガーミン・バラクーダ)。後続から選手たちが合流し、メイン集団は約50名ほどに絞られた。
メイングループではアタックが頻発する展開となり、急坂を超えるたびに集団の人数は増減を繰り返す。調子の上がらないフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)はこのペースアップの中でバイクを降りた。
人数を減らしていた先頭グループからは、残り40kmを切った地点の「パテルベルグ」でガットがアタック。単独で抜け出すと、最大勾配11%の「オウデ・クワレモント」へと先頭で突入した。
約50秒遅れでクワレモントへと入ったメイン集団からは、昨年2連勝を果たしたファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)がペースアップ。ファンマルク、ボーネン、フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)らがこれに続く。
しかし残り33km地点、カンチェラーラがバイクトラブルで後退。クワレモントを抜けた先の左コーナーで停車していたところに他の選手が追突してしまう。昨年覇者に不運が続く。先を急ぐ集団とは距離がついてしまったものの、カンチェラーラは再び乗車し、チームの助けを借りてメイン集団を猛追した。
メイン集団からはシルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)とサイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)、デミトリ・ムラフエフ(カザフスタン、アスタナ)が抜け出し、3人で先頭のガットを追走し、残り26km地点で吸収する。
やがて先頭からスピラックが脱落し、先頭は2人。20秒前後の間隔を持って追走する後続集団には、その後ろから猛烈な勢いで追い上げを図っていたカンチェラーラが合流。その後も選手が次々に合流し、人数は50名ほどとなる。
ここからメイン集団では激しいアタック合戦が勃発。ポッツァートやペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)、ニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)、ステイン・デヴォルデル(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)らが飛び出しを図るものの成功せず。この動きの中で、先頭2人は残り7kmを残して吸収された。
アタックが決まらないまま、グループは1つ。徐々にスプリント体勢へと移行していく集団は、サクソバンク先頭で残り1kmのアーチをくぐった。最後はチームメイトによるアシストを受けたボーネンが、背後から伸びるオスカル・フレイレ(スペイン、カチューシャ)を僅差で破りゴール。力強いガッツポーズを繰り出した。
「今日は『良いレースをしよう』と思っていたんだ。結果にこだわることだけではなく、上りでの調子を確かめるのも今日は重要なことだった。アタックを繰り返したのはそのためなんだ。」「実はスプリントで勝つのに十分な力は残っていなかったんだけど、誰もがそうだったように思う。最終盤は全ての機運がボクに向いたんだ。スプリントに全力を注いだよ。勝つことができてとても嬉しい。」
ボーネンは、このレースで2004年から2007年に達成した4連勝につづく5勝目。自身の目標とするロンド・ファン・フラーンデレン、そしてパリ~ルーベに向けての好調をアピールする結果となった。
落車した新城幸也は、ツィッターで次のように無事を報告している。「本日落車しましたが無事です。両肘を擦り剥きましたが、幸い軽傷ですみました。あの落車で5人が病院行きになったそうです。下りで60km/hぐらいは出ていたかと、目の前で転んだ選手に突っ込んだら、前輪大破。なす術無しに前転。。。なので両肘に擦過傷」。
レース展開はライブストリーミング映像、選手コメントはオメガファーマ・クイックステップ公式サイトより。
E3プライス・フラーンデレン2012結果
1位 トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
2位 オスカル・フレイレ(スペイン、カチューシャ)
3位 ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、チームスカイ)
4位 レオナルド・ドゥケ(フランス、コフィディス)
5位 セプ・ファンマルク(ベルギー、ガーミン・バラクーダ)
6位 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、1t4i)
7位 マテュー・ラダニュ(フランス、FDJ・ビッグマット)
8位 アレクサンドル・ピショ(フランス、ユーロップカー)
9位 アレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)
10位 セバスティアン・テュルゴー(フランス、ユーロップカー)
text:So.Isobe
photo:Cor Vos,Riccardo.Scanferla
いよいよ目前に迫ったパリ~ルーベとロンド・ファン・フラーンデレン。その2大北のクラシックを占う上で重要となる、ベルギーはフランドル地方で行われるセミクラシックがE3プライス・フラーンデレンだ。今季1.HCからワールドツアーへと昇格したこのレースのコースは、ハーレルベーケを発着する203kmで、フランドルのクラシックでお馴染みの「オウデ・クワレモント」や「パテルベルグ」などの急坂が多数組み込まれる。
石畳の激坂が連続するコースは、ロンドに似るもの。選手には石畳を乗るテクニックと同時に、激坂を越えるパワーも要求される。北のセミクラシックらしいタフなコースレイアウト。日本からは新城幸也(ユーロップカー)が出場した。
レースは序盤からアタックと吸収を繰り返すハイスピードな展開で幕開けた。ようやく64km地点で決まった逃げグループにはオスカル・ガット(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)やヘバルト・ドックス(ベルギー、ロット・ベリソル)など9名が入り、順調にローテーションを回しながらメイン集団との差を開いていく。タイム差は最大6分45秒まで広がった。
レースは中盤から始まる急坂セクションに向けて徐々に動き出す。メイン集団はオメガファーマ・クイックステップやチームスカイがペースアップを開始し、逃げ集団とのタイム差を徐々に詰めていく。集団ではペースアップや、道幅などの条件も重なりパンクや落車が多発。新城幸也も落車に巻き込まれ、リタイヤを喫することとなった。
ゴールまで50kmほどを残す「ターインベルグ」で、4回の優勝経験を誇るトム・ボーネンが動く。素早いチェックを見せたのは今シーズン好調を見せるセプ・ファンマルク(ベルギー、ガーミン・バラクーダ)。後続から選手たちが合流し、メイン集団は約50名ほどに絞られた。
メイングループではアタックが頻発する展開となり、急坂を超えるたびに集団の人数は増減を繰り返す。調子の上がらないフィリップ・ジルベール(ベルギー、BMCレーシングチーム)はこのペースアップの中でバイクを降りた。
人数を減らしていた先頭グループからは、残り40kmを切った地点の「パテルベルグ」でガットがアタック。単独で抜け出すと、最大勾配11%の「オウデ・クワレモント」へと先頭で突入した。
約50秒遅れでクワレモントへと入ったメイン集団からは、昨年2連勝を果たしたファビアン・カンチェラーラ(スイス、レディオシャック・ニッサン)がペースアップ。ファンマルク、ボーネン、フィリッポ・ポッツァート(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)らがこれに続く。
しかし残り33km地点、カンチェラーラがバイクトラブルで後退。クワレモントを抜けた先の左コーナーで停車していたところに他の選手が追突してしまう。昨年覇者に不運が続く。先を急ぐ集団とは距離がついてしまったものの、カンチェラーラは再び乗車し、チームの助けを借りてメイン集団を猛追した。
メイン集団からはシルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)とサイモン・スピラック(スロベニア、カチューシャ)、デミトリ・ムラフエフ(カザフスタン、アスタナ)が抜け出し、3人で先頭のガットを追走し、残り26km地点で吸収する。
やがて先頭からスピラックが脱落し、先頭は2人。20秒前後の間隔を持って追走する後続集団には、その後ろから猛烈な勢いで追い上げを図っていたカンチェラーラが合流。その後も選手が次々に合流し、人数は50名ほどとなる。
ここからメイン集団では激しいアタック合戦が勃発。ポッツァートやペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)、ニキ・テルプストラ(オランダ、オメガファーマ・クイックステップ)、ステイン・デヴォルデル(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)らが飛び出しを図るものの成功せず。この動きの中で、先頭2人は残り7kmを残して吸収された。
アタックが決まらないまま、グループは1つ。徐々にスプリント体勢へと移行していく集団は、サクソバンク先頭で残り1kmのアーチをくぐった。最後はチームメイトによるアシストを受けたボーネンが、背後から伸びるオスカル・フレイレ(スペイン、カチューシャ)を僅差で破りゴール。力強いガッツポーズを繰り出した。
「今日は『良いレースをしよう』と思っていたんだ。結果にこだわることだけではなく、上りでの調子を確かめるのも今日は重要なことだった。アタックを繰り返したのはそのためなんだ。」「実はスプリントで勝つのに十分な力は残っていなかったんだけど、誰もがそうだったように思う。最終盤は全ての機運がボクに向いたんだ。スプリントに全力を注いだよ。勝つことができてとても嬉しい。」
ボーネンは、このレースで2004年から2007年に達成した4連勝につづく5勝目。自身の目標とするロンド・ファン・フラーンデレン、そしてパリ~ルーベに向けての好調をアピールする結果となった。
落車した新城幸也は、ツィッターで次のように無事を報告している。「本日落車しましたが無事です。両肘を擦り剥きましたが、幸い軽傷ですみました。あの落車で5人が病院行きになったそうです。下りで60km/hぐらいは出ていたかと、目の前で転んだ選手に突っ込んだら、前輪大破。なす術無しに前転。。。なので両肘に擦過傷」。
レース展開はライブストリーミング映像、選手コメントはオメガファーマ・クイックステップ公式サイトより。
E3プライス・フラーンデレン2012結果
1位 トム・ボーネン(ベルギー、オメガファーマ・クイックステップ)
2位 オスカル・フレイレ(スペイン、カチューシャ)
3位 ベルンハルト・アイゼル(オーストリア、チームスカイ)
4位 レオナルド・ドゥケ(フランス、コフィディス)
5位 セプ・ファンマルク(ベルギー、ガーミン・バラクーダ)
6位 ジョン・デゲンコルプ(ドイツ、1t4i)
7位 マテュー・ラダニュ(フランス、FDJ・ビッグマット)
8位 アレクサンドル・ピショ(フランス、ユーロップカー)
9位 アレッサンドロ・バッラン(イタリア、BMCレーシングチーム)
10位 セバスティアン・テュルゴー(フランス、ユーロップカー)
text:So.Isobe
photo:Cor Vos,Riccardo.Scanferla
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