2012/03/10(土) - 08:37
3月9日、パリ~ニース第6ステージはシューズ・ラ・ルッス~シストロンの178.5km。7人の逃げからイェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・ニッサン)とともに抜けだしたルイスレオン・サンチェス(スペイン・ラボバンク)が2人のマッチスプリントを制し、パリニースでの自身4度目のステージ優勝を挙げた。
難易度の低いカテゴリー山岳が5つ設定された第6ステージは、逃げ切りが決まりやすいレイアウト。ゴール12.5km手前には3級山岳があり、絞られた小集団によるゴールスプリントに持ち込まれる可能性が高いと予想されていた。
この朝スタートしなかったのは次の5名。
ディミトリ・フォフォノフ(ロシア、アスタナ)、レミ・ポリオル(フランス、FDJ)、グスタフエリック・ラーション(スウェーデン、ヴァカンソレイユDCM)、クラース・ロデウィック(ベルギー、BMC)、マルテン・ネイエンス(ベルギー、ロット・ベリソル)。
レースは地中海が近づき、南仏らしい景色へと入ってく。この地域特有の強いミストラルが吹きつけ、スタート4kmで集団分裂が発生した。
中切れによって総合リーダーのブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)と2位のリエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)、3位のリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、オメガファーマ・クイックステップ)らを含む28人の集団が先行した。有力スプリンターも含むこの集団は逃げる可能性さえ見せる。
これに入れず後方に取り残されてしまったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)を擁するモビスターらがエシュロンを形成して懸命に追走した。
しかし15.5km地点で集団はまとまりをみせ、この日最初の山岳ポイントへ。山岳賞ジャージを着たフレデリック・フェヘレン(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)が先行して意欲を見せる。プロトンはモンヴァントゥーの麓へ差し掛かる。
2つ目の山岳ポイント、パ・ド・ヴァントゥー峠でフェヘレンはイェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・ニッサン)とともにアタック。これにルイスレオン・サンチェス(スペイン・ラボバンク)、サイモン・ゲシュケ(ドイツ、・プロジェクト1t4i)、アントニー・ジェランとミカエル・シェレル(ともにフランス、アージェードゥーゼル)が追走し、50km地点で2人に追いついた。
65km地点ではダニエル・ナバーロ(スペイン、サクソバンク)が追いつき、逃げグループは66.5km地点の3級山岳オーレル峠の頂上で集団に4分15秒差をつけて逃げ続ける。
120.5km地点のモウレス峠でもフェヘレンが山岳ポイント追加。さらに山岳賞を確実にした。後方メイン集団はペースを上げ続けるが、タイム差は3分。このペースについていけなくなったイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)が周回コースの1度目のゴール地点を通過する際にバイクを降り、リタイアした。7人の逃げ集団とメイン集団の差は約1分10秒に。
レース最後の山岳ポイント、ゴールまで12.5kmのマルキーズ峠で逃げ集団も分裂。シェレルとフェヘレンが力尽きて遅れ、先頭ではサンチェスとフォイクトの2人が抜け出す。勝負はシストロンのゴールまで残り9kmに。
2人は協調して力強く逃げ続ける。メイン集団はトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)を中心とした組織的な追走を見せるが、逃げる二人はそれさえ寄せ付けなかった。ラスト1kmでタイム差はまだ1分弱のまま。
ラスト1kmのフラムルージュを越え、ゴールが近づいてくると2人は牽制をはじめる。500mでフォイクト先行のままスプリント態勢に入る。前に出ていた40歳フォイクトはラスト200mから強力な先行を見せた。バイクを投げ合うふたり。ゴール前でかろうじてサンチェスがかわし、親指を加えるおなじみのポーズでゴールした。
14秒遅れのまとまった集団によるスプリントを制したハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ)が3位に。総合次上位勢には変動なし。
2009年パリ~ニース覇者ルイスレオン・サンチェスは、この勝利が自身4勝目となるパリ~ニースでのステージ優勝となる。
サンチェス「苦しい一日だった。集団も速いペースだったが、このステージはどうしても勝ちたかった。逃げることは走る前から決めていた。(2006年に事故死した)弟のためにこの日のステージの勝利を捧げようと決めていたんだ。
このパリ~ニースでの最初の目標は総合成績だった。しかし第2ステージの横風で後方に取り残されてしまいタイムを失った。それからはステージ優勝することを考えていたんだ。イェンス(フォイクト)には申し訳ないね。彼は今日賞賛されるべき選手だ」。
パリ~ニース2012第6ステージ結果
1位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン・ラボバンク)4h 07' 58"
2位 イェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・ニッサン)00' 00"
3位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ)00' 14"
4位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)00' 14"
5位 グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレISD)00' 14"
6位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、BMC)00' 14"
7位 サムエル・ドゥムラン(フランス、コフィディス)00' 14"
8位 ロメン・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ・DCM)00' 14"
9位 クーン・デコルト (オランダ・プロジェクト1t4i)00' 14"
10位 ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、アスタナ)00' 14"
個人総合成績
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)22h 31' 52"
2位 リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)00' 06"
3位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、オメガファーマ・クイックステップ)00' 10"
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)00' 18"
5位 サイモン・スピラック(スロベニア、アスタナ)00' 37"
6位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)00' 39"
7位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レディオシャック・ニッサン)00' 46"
8位 アルノー・ジャネソン(フランス、FDJ)01' 06"
9位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)01' 16"
10位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、アスタナ)01' 21"
46位 新城幸也(日本、ユーロップカー) 09' 22"
ポイント賞
アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
山岳賞
フレデリック・フェヘレン(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)
新人賞
ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)
チーム総合成績
オメガファーマ・クイックステップ
text:Makoto.AYANO
photo:Cor Vos,A.S.O
難易度の低いカテゴリー山岳が5つ設定された第6ステージは、逃げ切りが決まりやすいレイアウト。ゴール12.5km手前には3級山岳があり、絞られた小集団によるゴールスプリントに持ち込まれる可能性が高いと予想されていた。
この朝スタートしなかったのは次の5名。
ディミトリ・フォフォノフ(ロシア、アスタナ)、レミ・ポリオル(フランス、FDJ)、グスタフエリック・ラーション(スウェーデン、ヴァカンソレイユDCM)、クラース・ロデウィック(ベルギー、BMC)、マルテン・ネイエンス(ベルギー、ロット・ベリソル)。
レースは地中海が近づき、南仏らしい景色へと入ってく。この地域特有の強いミストラルが吹きつけ、スタート4kmで集団分裂が発生した。
中切れによって総合リーダーのブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)と2位のリエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)、3位のリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、オメガファーマ・クイックステップ)らを含む28人の集団が先行した。有力スプリンターも含むこの集団は逃げる可能性さえ見せる。
これに入れず後方に取り残されてしまったアレハンドロ・バルベルデ(スペイン)を擁するモビスターらがエシュロンを形成して懸命に追走した。
しかし15.5km地点で集団はまとまりをみせ、この日最初の山岳ポイントへ。山岳賞ジャージを着たフレデリック・フェヘレン(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)が先行して意欲を見せる。プロトンはモンヴァントゥーの麓へ差し掛かる。
2つ目の山岳ポイント、パ・ド・ヴァントゥー峠でフェヘレンはイェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・ニッサン)とともにアタック。これにルイスレオン・サンチェス(スペイン・ラボバンク)、サイモン・ゲシュケ(ドイツ、・プロジェクト1t4i)、アントニー・ジェランとミカエル・シェレル(ともにフランス、アージェードゥーゼル)が追走し、50km地点で2人に追いついた。
65km地点ではダニエル・ナバーロ(スペイン、サクソバンク)が追いつき、逃げグループは66.5km地点の3級山岳オーレル峠の頂上で集団に4分15秒差をつけて逃げ続ける。
120.5km地点のモウレス峠でもフェヘレンが山岳ポイント追加。さらに山岳賞を確実にした。後方メイン集団はペースを上げ続けるが、タイム差は3分。このペースについていけなくなったイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)が周回コースの1度目のゴール地点を通過する際にバイクを降り、リタイアした。7人の逃げ集団とメイン集団の差は約1分10秒に。
レース最後の山岳ポイント、ゴールまで12.5kmのマルキーズ峠で逃げ集団も分裂。シェレルとフェヘレンが力尽きて遅れ、先頭ではサンチェスとフォイクトの2人が抜け出す。勝負はシストロンのゴールまで残り9kmに。
2人は協調して力強く逃げ続ける。メイン集団はトニ・マルティン(ドイツ、オメガファーマ・クイックステップ)を中心とした組織的な追走を見せるが、逃げる二人はそれさえ寄せ付けなかった。ラスト1kmでタイム差はまだ1分弱のまま。
ラスト1kmのフラムルージュを越え、ゴールが近づいてくると2人は牽制をはじめる。500mでフォイクト先行のままスプリント態勢に入る。前に出ていた40歳フォイクトはラスト200mから強力な先行を見せた。バイクを投げ合うふたり。ゴール前でかろうじてサンチェスがかわし、親指を加えるおなじみのポーズでゴールした。
14秒遅れのまとまった集団によるスプリントを制したハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ)が3位に。総合次上位勢には変動なし。
2009年パリ~ニース覇者ルイスレオン・サンチェスは、この勝利が自身4勝目となるパリ~ニースでのステージ優勝となる。
サンチェス「苦しい一日だった。集団も速いペースだったが、このステージはどうしても勝ちたかった。逃げることは走る前から決めていた。(2006年に事故死した)弟のためにこの日のステージの勝利を捧げようと決めていたんだ。
このパリ~ニースでの最初の目標は総合成績だった。しかし第2ステージの横風で後方に取り残されてしまいタイムを失った。それからはステージ優勝することを考えていたんだ。イェンス(フォイクト)には申し訳ないね。彼は今日賞賛されるべき選手だ」。
パリ~ニース2012第6ステージ結果
1位 ルイスレオン・サンチェス(スペイン・ラボバンク)4h 07' 58"
2位 イェンス・フォイクト(ドイツ、レディオシャック・ニッサン)00' 00"
3位 ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ)00' 14"
4位 エリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)00' 14"
5位 グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレISD)00' 14"
6位 アレクサンダー・クリストフ(ノルウェー、BMC)00' 14"
7位 サムエル・ドゥムラン(フランス、コフィディス)00' 14"
8位 ロメン・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ・DCM)00' 14"
9位 クーン・デコルト (オランダ・プロジェクト1t4i)00' 14"
10位 ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、アスタナ)00' 14"
個人総合成績
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)22h 31' 52"
2位 リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)00' 06"
3位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、オメガファーマ・クイックステップ)00' 10"
4位 アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)00' 18"
5位 サイモン・スピラック(スロベニア、アスタナ)00' 37"
6位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)00' 39"
7位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レディオシャック・ニッサン)00' 46"
8位 アルノー・ジャネソン(フランス、FDJ)01' 06"
9位 シルヴァン・シャヴァネル(フランス、オメガファーマ・クイックステップ)01' 16"
10位 ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、アスタナ)01' 21"
46位 新城幸也(日本、ユーロップカー) 09' 22"
ポイント賞
アレハンドロ・バルベルデ(スペイン、モビスター)
山岳賞
フレデリック・フェヘレン(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)
新人賞
ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、BMCレーシングチーム)
チーム総合成績
オメガファーマ・クイックステップ
text:Makoto.AYANO
photo:Cor Vos,A.S.O
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