2012/03/06(火) - 16:01
10日間の長いレースも残すところ、あと2ステージ。終わりが見えてきた第9ステージはスタート直後から叩きつけるような強い雨に見舞われた。
※第9ステージの現地レポートです。編集部のミスにより掲載が遅くなりました。お詫びいたします。
楽しそうな雰囲気の総合リーダー、ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ) (c)Sonoko.Tanaka
出走サインをする福島晋一(トレンガヌプロアジア) (c)Sonoko.Tanaka
降りしきる雨のなかでの高速レース
スタートはいつもと同じ午前10時。イエロージャージを着るホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)は、ペンギンのモチーフのサングラスをかけて、サイン台に登場した。
「最終日まで何が起こるかわからない」と話すが、強力なチームメイトをもってして、もはや祝勝モードを匂わせる。
スポンサーのマレーシア航空のキャビンアテンダントが会場に (c)Sonoko.Tanaka
記念撮影に応えるアンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ) (c)Sonoko.Tanaka
スタートの約1時間前に選手や関係者は会場に到着するが、クルマのドアを開けてみると、連日の暑さから一転、少し湿った涼しい風が吹いていた。レースの進行方向の空は暗い。
レインジャケットを着込んでコースに出ると、瞬く間に大粒の雨が降り始めた。これまでスコールのような雨には何度か見舞われていたが、今回ばかりは本降り。スタートして数十分で道路は冠水状態となった。
激しい雨のなか開催された第9ステージ (c)Sonoko.Tanaka
あたり一面に大きな水たまりが広がる (c)Sonoko.Tanaka
ロードレースの鉄則として、雨の日の逃げは決まりやすい。これまで勝ち星がないチームにとっても、残り2ステージとなった今日は狙い所。そのため、悪天候下にも関わらず集団の前方では次から次へとアタックがかかり、レースは序盤からハイペースで進行した。
「Ready for the world」
よく会場のポスターなどで目にする今回のツール・ド・ランカウイのキャッチフレーズ「Ready for the world」。これには2つの大きな意味があり、1つは近い将来、UCIワールドカレンダー入りをめざしてのものだと言う。
ツール・ド・ランカウイの歴史を紐解いていくと、当初はヨーロッパ人を含む主催者たちが開催していたが、今から5年前の2007年に、マレーシア人たちによる独立した主催へと体制が大きく変わり、以前に比べるとやや規模が縮小されているというが、それ以後も主催者は国際的に非常に高い評価を得ながらアジアツアーのオークラス(超級)のステージレースとして開催されている。
自転車ロードレースのグローバル化を推し進めるUCIとしては、ツール・ド・北京に次ぐ、アジア2つ目のUCIワールドカレンダーレースとして開催したい意図がある。また主催者たちもそれをチャンスと見ている。現状では、予算などの問題もあり「今すぐに」というわけではないが、近い将来、ワールドカレンダーに組み込まれる可能性は高いという。つまり、いつランクアップしてもいいように、その準備をしよう、というものだ。
アタックしてはすぐに吸収される (c)Sonoko.Tanaka
アジアで世界トップに挑む貴重なチャンス
もう1つは選手目線で「アジアから世界に挑んでいこう」という意図。今年は開催17回目にして、アスタナとガーミン・バラクーダ、2つのUCIプロチームを始め、UCIプロツアーとプロコンチネンタル、全40チーム中9チームが参戦している。この数はこれまでで最多。しかし主催者は世界トップクラスのチームをどれだけ呼んだか、ということよりも、彼らと一緒にアジアのチームが戦うという環境を重要視している。
トレンガヌの州旗をかざして応援する (c)Sonoko.Tanakaアジアにいながら参戦できるトップクラスのレースは、選手だけでなく、すべてのアジア人たちにとってチャンスを秘めているもの。そこで見いだされれば、世界に羽ばたくステップになるからだ。
また世界トップクラスのレースを経験することで競技レベルの向上に繋がる。当初、マレーシア人選手は「ただ参戦するだけ」という状況が続いたと言うが、今ではトレンガヌ州にチームが誕生し、国内屈指のスプリンター、アヌアル・マナンはアジア初のプロコンチネンタルチーム、チャンピオンシステムに加入した。つまり、ツール・ド・ランカウイとともに競技レベルがあがり、自転車ロードレースが国内の人気スポーツとして定着している現状がある。そして、第8ステージでは、トレンガヌプロアジアのハリフ・サレーがスプリントで2位に入った。
落車で後退した愛三工業レーシング
ステージ通算10勝目を飾ったアンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ) photo:Sonoko Tanaka雨のレースは、有力な逃げが決まったものの、リーダーチームのアンドローニ・ジョカトリやアンドレア・グアルディーニ擁するファルネーゼヴィーニのコントロールにより集団スプリントに持ち込まれた。そしてラスト3kmで大きな落車が発生するも、必勝態勢のグアルディーニがこの日も勝つ星を1つ積み上げ、今大会5勝目、通算成績10勝目となり、歴代最多のステージ勝者となった。
スプリント5勝目を喜ぶアンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)とチームメイト (c)Sonoko.Tanaka是が非でも1勝がほしい愛三工業レーシングは落車により後退。勝負に絡むことができず、悔しさやもどかしさを胸にホテルへと向かった。エーススプリンター西谷泰治も落車したが、幸いにしてケガは軽傷とのこと。残りはいよいよ1ステージ。
ポイント賞がグアルディーニとヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)が第9ステージを終えて同点であり、かつ114.8kmと短いステージのため、明日は激しいスプリントが繰り広げられると考えられるが、チームで団結してチャンスを掴みにいく。
photo&text:Sonoko.Tanaka
※第9ステージの現地レポートです。編集部のミスにより掲載が遅くなりました。お詫びいたします。
![楽しそうな雰囲気の総合リーダー、ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/03/06/Langkawi2012_9-3482.jpg)
![出走サインをする福島晋一(トレンガヌプロアジア)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/03/06/Langkawi2012_9-6004.jpg)
降りしきる雨のなかでの高速レース
スタートはいつもと同じ午前10時。イエロージャージを着るホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトリ)は、ペンギンのモチーフのサングラスをかけて、サイン台に登場した。
「最終日まで何が起こるかわからない」と話すが、強力なチームメイトをもってして、もはや祝勝モードを匂わせる。
![スポンサーのマレーシア航空のキャビンアテンダントが会場に](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/03/06/Langkawi2012_9-6800.jpg)
![記念撮影に応えるアンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/03/06/Langkawi2012_9-3532.jpg)
スタートの約1時間前に選手や関係者は会場に到着するが、クルマのドアを開けてみると、連日の暑さから一転、少し湿った涼しい風が吹いていた。レースの進行方向の空は暗い。
レインジャケットを着込んでコースに出ると、瞬く間に大粒の雨が降り始めた。これまでスコールのような雨には何度か見舞われていたが、今回ばかりは本降り。スタートして数十分で道路は冠水状態となった。
![激しい雨のなか開催された第9ステージ](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/03/06/Langkawi2012_9-3671.jpg)
![あたり一面に大きな水たまりが広がる](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/03/06/Langkawi2012_9-4057.jpg)
ロードレースの鉄則として、雨の日の逃げは決まりやすい。これまで勝ち星がないチームにとっても、残り2ステージとなった今日は狙い所。そのため、悪天候下にも関わらず集団の前方では次から次へとアタックがかかり、レースは序盤からハイペースで進行した。
「Ready for the world」
よく会場のポスターなどで目にする今回のツール・ド・ランカウイのキャッチフレーズ「Ready for the world」。これには2つの大きな意味があり、1つは近い将来、UCIワールドカレンダー入りをめざしてのものだと言う。
ツール・ド・ランカウイの歴史を紐解いていくと、当初はヨーロッパ人を含む主催者たちが開催していたが、今から5年前の2007年に、マレーシア人たちによる独立した主催へと体制が大きく変わり、以前に比べるとやや規模が縮小されているというが、それ以後も主催者は国際的に非常に高い評価を得ながらアジアツアーのオークラス(超級)のステージレースとして開催されている。
自転車ロードレースのグローバル化を推し進めるUCIとしては、ツール・ド・北京に次ぐ、アジア2つ目のUCIワールドカレンダーレースとして開催したい意図がある。また主催者たちもそれをチャンスと見ている。現状では、予算などの問題もあり「今すぐに」というわけではないが、近い将来、ワールドカレンダーに組み込まれる可能性は高いという。つまり、いつランクアップしてもいいように、その準備をしよう、というものだ。
![アタックしてはすぐに吸収される](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/03/06/Langkawi2012_9-4205.jpg)
アジアで世界トップに挑む貴重なチャンス
もう1つは選手目線で「アジアから世界に挑んでいこう」という意図。今年は開催17回目にして、アスタナとガーミン・バラクーダ、2つのUCIプロチームを始め、UCIプロツアーとプロコンチネンタル、全40チーム中9チームが参戦している。この数はこれまでで最多。しかし主催者は世界トップクラスのチームをどれだけ呼んだか、ということよりも、彼らと一緒にアジアのチームが戦うという環境を重要視している。
![トレンガヌの州旗をかざして応援する](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/03/06/Langkawi2012_9-4524.jpg)
また世界トップクラスのレースを経験することで競技レベルの向上に繋がる。当初、マレーシア人選手は「ただ参戦するだけ」という状況が続いたと言うが、今ではトレンガヌ州にチームが誕生し、国内屈指のスプリンター、アヌアル・マナンはアジア初のプロコンチネンタルチーム、チャンピオンシステムに加入した。つまり、ツール・ド・ランカウイとともに競技レベルがあがり、自転車ロードレースが国内の人気スポーツとして定着している現状がある。そして、第8ステージでは、トレンガヌプロアジアのハリフ・サレーがスプリントで2位に入った。
落車で後退した愛三工業レーシング
![ステージ通算10勝目を飾ったアンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/03/03/Langkawi2012_9-4617.jpg)
![スプリント5勝目を喜ぶアンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)とチームメイト](http://axwkc.cyclowired.jp/sites/default/files/images/2012/03/06/Langkawi2012_9-6661.jpg)
ポイント賞がグアルディーニとヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)が第9ステージを終えて同点であり、かつ114.8kmと短いステージのため、明日は激しいスプリントが繰り広げられると考えられるが、チームで団結してチャンスを掴みにいく。
photo&text:Sonoko.Tanaka
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