2012/01/17(火) - 18:44
1月17日、UCIワールドツアー初戦ツアー・ダウンアンダーが開幕した。第1ステージは向かい風の中を突き進む149kmの行程。宮澤崇史(チームサクソバンク)らがラスト1kmで落車に見舞われる中、アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)が接戦のスプリント勝負を制した。
第1ステージはアデレード近郊のプロスペクトから、ワインの産地として有名なクレアまでひたすら北上する149km。コース自体は平坦基調だが、吹き付ける北風と40度を超える暑さが選手たちの力を削いでいく。
照りつける太陽、そして向かい風の中を飛び出したのは、まるで逃げる運命を背負っているようなUniSAオーストラリアの選手。
先日行なわれたオーストラリア選手権のU23ロードレースとタイムトライアルで優勝したローハン・デニス(オーストラリア)にマルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)、エドゥアルト・ヴォルガノフ(ロシア、カチューシャ)、マルチェッロ・パヴァリン(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)が加わり、早速4名による逃げが始まった。
メイン集団はこの逃げを見送ったものの、遮るもののない平坦路で落車や集団分裂が発生するなど落ち着かない。集団が落ち着きを取り戻したころには、逃げグループとのタイム差は11分まで広がっていた。
この日設定された2つのスプリントポイントはいずれもコーラーが先頭通過。そして今大会最初の山岳ポイントはパヴァリンが先頭で登りきり、山岳賞ジャージを手にしている。
ときに横風を受けながら、メイン集団は緩やかにアップダウンを繰り返しながら追走開始。グリーンエッジを中心に、チームスカイやロット・ベリソルが集団を率い、逃げグループのリードを削り取る。
ゴールまで15kmを切ると、メイン集団の気配を感じた逃げグループからデニスがアタック。しかしこの果敢な動きは吸収され、続くウィリアム・クラーク(オーストラリア、UniSAオーストラリア)のアタックも不発に終わる。
ラスト8kmで逃げを全て飲み込んだメイン集団は、ハイスピードを維持したままクレアの街に向かった。
ロット・ベリソルやレディオシャック・ニッサンが先頭でペースを上げながら、ラスト1kmのアーチを駆け抜ける大集団。すると先頭前方で走っていたヴァカンソレイユ・DCMの選手が落車し、後続の選手が次々突っ込む大規模な落車が発生する。
落車によって人数を減らした集団はチームスカイが率いてラスト200m。先ず仕掛けたのはアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)で、これにグライペルが応戦する。グライペルは一時的にペタッキに行く手を阻まれるも、ラインを変えてもう一度加速。
グライペルは抜群の加速力でヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、FDJ・ビッグマット)らの前に入り、ペタッキとともにハンドルを投げ込んでゴール。一時はペタッキの優勝が告げられるも、写真判定の結果グライペルの優勝が決まった。
ダウンアンダー・クラシックに続くスプリント連勝、そしてリーダージャージに袖を通したグライペルは「ラスト1kmを切ってからの落車で5番手から20番手ぐらいまでポジションを落とした。そこから何とか前方に復帰したんだ。ペタッキにラインを塞がれたけど、彼はそんな走りをするべきじゃない」と少し不満げに話す。「でも勝ててラッキーだったよ。それより落車したチームメイトたちが心配だ」。
ラスト1kmで発生した落車に巻き込まれたのは約20名。ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ)、ロビー・マキュアン(オーストラリア、グリーンエッジ)、ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ベリソル)、フレデリック・ゲドン(フランス、FDJ・ビッグマット)、マッテオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼル)、そして宮澤崇史(チームサクソバンク)らが被害者となった。
40歳のゲドンは股関節、ルーランズは首、そしてハウッスラーは鎖骨骨折の疑い。派手に転んだ宮澤は、砂まみれになりながら2分54秒遅れでゴール。幸い大きな怪我は免れている。ラスト3km以内の落車のため総合成績におけるタイム差はついていない。
選手の容態続報や宮澤のコメントはのちほど現地レポートでお伝えします。
ツアー・ダウンアンダー2012第1ステージ
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 4h33'40"
2位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)
3位 ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、FDJ・ビッグマット)
4位 ファビオ・サバティーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
5位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)
6位 クリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)
7位 ジョナサン・キャントウェル(オーストラリア、チームサクソバンク)
8位 シャビエル・フロレンシオ(スペイン、カチューシャ)
9位 マーク・レンショー(オーストラリア、ラボバンク)
10位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、アージェードゥーゼル)
125位 宮澤崇史(日本、チームサクソバンク)
個人総合成績
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 4h33'30"
2位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD) +04"
3位 マルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)
4位 ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、FDJ・ビッグマット) +06"
5位 ローハン・デニス(オーストラリア、UniSAオーストラリア) +07"
6位 エドゥアルト・ヴォルガノフ(ロシア、カチューシャ) +08"
7位 マルチェッロ・パヴァリン(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM) +09"
8位 ファビオ・サバティーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +10"
9位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)
10位 クリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)
117位 宮澤崇史(日本、チームサクソバンク)
山岳賞
マルチェッロ・パヴァリン(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)
ポイント賞
アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
新人賞
ローハン・デニス(オーストラリア、UniSAオーストラリア)
チーム総合成績
チームスカイ
text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
第1ステージはアデレード近郊のプロスペクトから、ワインの産地として有名なクレアまでひたすら北上する149km。コース自体は平坦基調だが、吹き付ける北風と40度を超える暑さが選手たちの力を削いでいく。
照りつける太陽、そして向かい風の中を飛び出したのは、まるで逃げる運命を背負っているようなUniSAオーストラリアの選手。
先日行なわれたオーストラリア選手権のU23ロードレースとタイムトライアルで優勝したローハン・デニス(オーストラリア)にマルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)、エドゥアルト・ヴォルガノフ(ロシア、カチューシャ)、マルチェッロ・パヴァリン(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)が加わり、早速4名による逃げが始まった。
メイン集団はこの逃げを見送ったものの、遮るもののない平坦路で落車や集団分裂が発生するなど落ち着かない。集団が落ち着きを取り戻したころには、逃げグループとのタイム差は11分まで広がっていた。
この日設定された2つのスプリントポイントはいずれもコーラーが先頭通過。そして今大会最初の山岳ポイントはパヴァリンが先頭で登りきり、山岳賞ジャージを手にしている。
ときに横風を受けながら、メイン集団は緩やかにアップダウンを繰り返しながら追走開始。グリーンエッジを中心に、チームスカイやロット・ベリソルが集団を率い、逃げグループのリードを削り取る。
ゴールまで15kmを切ると、メイン集団の気配を感じた逃げグループからデニスがアタック。しかしこの果敢な動きは吸収され、続くウィリアム・クラーク(オーストラリア、UniSAオーストラリア)のアタックも不発に終わる。
ラスト8kmで逃げを全て飲み込んだメイン集団は、ハイスピードを維持したままクレアの街に向かった。
ロット・ベリソルやレディオシャック・ニッサンが先頭でペースを上げながら、ラスト1kmのアーチを駆け抜ける大集団。すると先頭前方で走っていたヴァカンソレイユ・DCMの選手が落車し、後続の選手が次々突っ込む大規模な落車が発生する。
落車によって人数を減らした集団はチームスカイが率いてラスト200m。先ず仕掛けたのはアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)で、これにグライペルが応戦する。グライペルは一時的にペタッキに行く手を阻まれるも、ラインを変えてもう一度加速。
グライペルは抜群の加速力でヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、FDJ・ビッグマット)らの前に入り、ペタッキとともにハンドルを投げ込んでゴール。一時はペタッキの優勝が告げられるも、写真判定の結果グライペルの優勝が決まった。
ダウンアンダー・クラシックに続くスプリント連勝、そしてリーダージャージに袖を通したグライペルは「ラスト1kmを切ってからの落車で5番手から20番手ぐらいまでポジションを落とした。そこから何とか前方に復帰したんだ。ペタッキにラインを塞がれたけど、彼はそんな走りをするべきじゃない」と少し不満げに話す。「でも勝ててラッキーだったよ。それより落車したチームメイトたちが心配だ」。
ラスト1kmで発生した落車に巻き込まれたのは約20名。ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・バラクーダ)、ロビー・マキュアン(オーストラリア、グリーンエッジ)、ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、ロット・ベリソル)、フレデリック・ゲドン(フランス、FDJ・ビッグマット)、マッテオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼル)、そして宮澤崇史(チームサクソバンク)らが被害者となった。
40歳のゲドンは股関節、ルーランズは首、そしてハウッスラーは鎖骨骨折の疑い。派手に転んだ宮澤は、砂まみれになりながら2分54秒遅れでゴール。幸い大きな怪我は免れている。ラスト3km以内の落車のため総合成績におけるタイム差はついていない。
選手の容態続報や宮澤のコメントはのちほど現地レポートでお伝えします。
ツアー・ダウンアンダー2012第1ステージ
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 4h33'40"
2位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)
3位 ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、FDJ・ビッグマット)
4位 ファビオ・サバティーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
5位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)
6位 クリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)
7位 ジョナサン・キャントウェル(オーストラリア、チームサクソバンク)
8位 シャビエル・フロレンシオ(スペイン、カチューシャ)
9位 マーク・レンショー(オーストラリア、ラボバンク)
10位 マヌエル・ベレッティ(イタリア、アージェードゥーゼル)
125位 宮澤崇史(日本、チームサクソバンク)
個人総合成績
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル) 4h33'30"
2位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD) +04"
3位 マルティン・コーラー(スイス、BMCレーシングチーム)
4位 ヤウヘニ・フタロヴィッチ(ベラルーシ、FDJ・ビッグマット) +06"
5位 ローハン・デニス(オーストラリア、UniSAオーストラリア) +07"
6位 エドゥアルト・ヴォルガノフ(ロシア、カチューシャ) +08"
7位 マルチェッロ・パヴァリン(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM) +09"
8位 ファビオ・サバティーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +10"
9位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レディオシャック・ニッサン)
10位 クリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)
117位 宮澤崇史(日本、チームサクソバンク)
山岳賞
マルチェッロ・パヴァリン(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)
ポイント賞
アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ベリソル)
新人賞
ローハン・デニス(オーストラリア、UniSAオーストラリア)
チーム総合成績
チームスカイ
text&photo:Kei Tsuji in Adelaide, Australia
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