2011/10/27(木) - 13:01
集団スプリントに持ち込まれたツアー・オブ・ハイナン第7ステージ。昨年、同ステージで優勝を取り消されているケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ)がリベンジウィンを飾った。愛三工業の盛一大は6位でフィニッシュしている。
ディオン・ロックが果敢な走りでレースを作る
大会最長距離となる196kmで開催されたツアー・オブ・ハイナン第7ステージ。距離が長いだけでなく、途中に2つの3級山岳と2級山岳が含まれる難関ステージは、総合順位、山岳賞の逆転のチャンスを含んでいるため、翌第8ステージともに、大会のハイライトとなるだろうステージだ。
スタート直後に決定的な逃げができる。5人のアタックに、第4ステージで逃げ切り優勝を挙げているディオン・ロック(オーストラリア、チャンピオンシステム)が追いつく形で6人の先頭グループが作られた。そして最初の山岳を過ぎると1選手が脱落したため、先頭は5人となり、集団とのタイム差を最大で8分近く広げた。
最後のスプリントポイントを通過し、140km地点で2選手が集団に戻り、先頭はディオン・ロック、ファルスコール・マーテン(オランダ、タイプ1)、マーティン・ウェスマン(南アフリカ、MTNキュベカ)の3人となる。そこからディオン・ロックが単独アタックをかけた。来季はチャンピオンシステムから移籍してしまうというが、彼の気迫溢れるアグレッシブルな走りは引き続きアジアのサーキットを沸かせてくれるだろう。
そして集団から中国ナショナルチームの2選手が追い上げマーテンら2選手と合流、ロックと4人の追走グループという展開になるも、ゴールスプリントを狙うスキル・シマノやアスタナがコントロールするメイン集団にゴール前7kmですべての選手が吸収された。
糖尿病を抱えるファルスコール・マーテン チームタイプ1の挑戦
チームタイプ1は、糖尿病を患う選手が立ち上げたプロコンチネンタルチームで、糖尿病理解の普及をチームの活動主旨の1つとし、第7ステージで逃げたファルスコール・マーテンも1型糖尿病を抱えながらレース活動をしている選手だ。彼の右腕には常に血糖値を測定する装置が貼られ、レース中に1度インシュリンの自己注射をしているという。彼らの活躍は、多くの糖尿病患者の希望となっている。
スプリントを制したファンヒュメル
そして迎えたゴールスプリントを制したのは、ポイント賞ジャージを着るケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ)。昨ステージに続く大会2勝目を挙げた。2位にチャンジャ・ジャン(韓国、トレンガヌ)、3位にダニエーレ・コッリ(イタリア、ジェオックス・TMC)が続いた。盛一大(愛三工業レーシングチーム)は6位でフィニッシュ。
ファンヒュメルは昨年、ほぼ同じコースで開催されたツアー・オブ・ハイナン第8ステージで、ゴールスプリントを制しながらも、チームカーの後ろに付いたとするペナルティにより、優勝取り消しとなる処分を受けている。「走りながら去年のことを思い出していたんだ。今でも納得がいかないけど、今日の勝利はその意味でも特別なものだね」とコメントした。
総合順位に大きな変動はなく、ジャスタン・ジュル(フランス、ラポム・マルセイユ)がイエロージャージをキープ。逆転のチャンスは翌第8ステージに凝縮される形となった。コンチネンタルチームに負けられないプロチームを始めとした強豪チームの攻撃を楽しみにしたい。
フレッシュな選手に期待を寄せる愛三工業レーシングチーム
新しい形でスプリントに挑みたいと話している愛三工業レーシングチーム。盛一大が6位、綾部勇成が10位でステージを終えた。表彰台には届かなかったが、UCIポイントを獲得できた。
盛は「残り500から300メートルの位置取りがうまくいかず、昨日と同じでスプリントを掛けるタイミングが遅くなってしまいました。脚を使いきらずゴールした状態で悔しいですね。しかし、トレインをうまく組むことができ、スプリントへのもっていき方は良かった。若い選手の動きや連係は日に日に良くなっています」と振り返り、トレインの先頭を必死で牽引した木守望と握手を交わした。
2回目の国際レースとなる、プロ1年目の木守望選手は「最初のステージで遅れてしまったので、今は上位選手の負担を少なくするために、何ができるか?ということを考えて、できるだけ前の方で走っています。毎回、与えられる役割があるので、それをこなす責任感も感じています。最近、少しずつ、チームをしての走り方やゴールスプリントが見えてきた気がしています。もっと勝負に絡む仕事をこなせる選手になりたいと思います」と話す。
同じくプロ1年目の伊藤雅和は「学生の頃よりも自転車のことや自分のコンディションについて考える時間が増えました。もっと自分の長所を伸ばして、チームに貢献できるようになりたいです」と話す。今回、福田真平がリタイアしたことで、2人の1年生ライダーへは多くの仕事ともに、大きな期待が寄せられている。明日からのステージでも彼らの動きがキーとなるだろう。
別府匠監督のコメント
「逃げに乗れたら良かったと当然思いますが、選手たちが精一杯やったうえでの結果です。しかし、スプリントで6位に入れたことは良かったと思います。ほかの選手がボーナスタイムを稼いでいくので、盛選手の総合順位が日に日に落ちてしまっていますが、明日からもできるかぎりのことをして、ボーナスタイムを獲得したいですね。精一杯やるだけです!」
ツアー・オブ・ハイナン2011 第7ステージ結果
1位 ケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ) 4h36'52"
2位 チャンジャ・ジャン(韓国、トレンガヌ)
3位 ダニエーレ・コッリ(イタリア、ジェオックス・TMC)
4位 ジャスタン・ジュル(フランス、ラポム・マルセイユ)
5位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)
6位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)
7位 アヌアル・マナン(マレーシア、トレンガヌ)
8位 カミル・ゼリンスキー(ポーランド、CCC・ポルサット)
9位 ハレ・サリフ(マレーシア、トレンガヌ)
10位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)
77位 中島康晴(愛三工業レーシングチーム)
81位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)
100位 木守望(愛三工業レーシングチーム)+1'24"
個人総合成績
1位 ジャスタン・ジュル(フランス、ラポム・マルセイユ)27h33'39"
2位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)+6"
3位 アレクサンドル・シュミット(ドイツ、エディ・メルクス)+7"
4位 ウラディミール・エフィムキン(ロシア、タイプ1)+9"
5位 ワン・メイリン(中国、中国ナショナル)+10"
6位 マチィアス・ベルトリング(ドイツ、エディ・メルクス)
7位 レイノルド・ランスブルグ(南アフリカ、MTNキュベカ)+11"
8位 アダム・フェラン(オーストラリア、ドラパック)+12"
9位 アレクサンドル・ディアチェンコ(カザフスタン、アスタナ)+13"
10位 ジュリアン・アントマルシュ(フランス、ラポム・マルセイユ)
13位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)+15"
33位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)+29"
41位 中島康晴(愛三工業レーシングチーム)+2'19"
48位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)+3'53"
69位 木守望(愛三工業レーシングチーム)+7'04 "
山岳賞
マウリツィオ・ゴラト(イタリア、ジェオックス・TMC)
ポイント賞
ケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ)
アジアンリーダー
ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)
チーム総合成績
ジェオックス・TMC
photo&text:Sonoko.Tanaka
ディオン・ロックが果敢な走りでレースを作る
大会最長距離となる196kmで開催されたツアー・オブ・ハイナン第7ステージ。距離が長いだけでなく、途中に2つの3級山岳と2級山岳が含まれる難関ステージは、総合順位、山岳賞の逆転のチャンスを含んでいるため、翌第8ステージともに、大会のハイライトとなるだろうステージだ。
スタート直後に決定的な逃げができる。5人のアタックに、第4ステージで逃げ切り優勝を挙げているディオン・ロック(オーストラリア、チャンピオンシステム)が追いつく形で6人の先頭グループが作られた。そして最初の山岳を過ぎると1選手が脱落したため、先頭は5人となり、集団とのタイム差を最大で8分近く広げた。
最後のスプリントポイントを通過し、140km地点で2選手が集団に戻り、先頭はディオン・ロック、ファルスコール・マーテン(オランダ、タイプ1)、マーティン・ウェスマン(南アフリカ、MTNキュベカ)の3人となる。そこからディオン・ロックが単独アタックをかけた。来季はチャンピオンシステムから移籍してしまうというが、彼の気迫溢れるアグレッシブルな走りは引き続きアジアのサーキットを沸かせてくれるだろう。
そして集団から中国ナショナルチームの2選手が追い上げマーテンら2選手と合流、ロックと4人の追走グループという展開になるも、ゴールスプリントを狙うスキル・シマノやアスタナがコントロールするメイン集団にゴール前7kmですべての選手が吸収された。
糖尿病を抱えるファルスコール・マーテン チームタイプ1の挑戦
チームタイプ1は、糖尿病を患う選手が立ち上げたプロコンチネンタルチームで、糖尿病理解の普及をチームの活動主旨の1つとし、第7ステージで逃げたファルスコール・マーテンも1型糖尿病を抱えながらレース活動をしている選手だ。彼の右腕には常に血糖値を測定する装置が貼られ、レース中に1度インシュリンの自己注射をしているという。彼らの活躍は、多くの糖尿病患者の希望となっている。
スプリントを制したファンヒュメル
そして迎えたゴールスプリントを制したのは、ポイント賞ジャージを着るケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ)。昨ステージに続く大会2勝目を挙げた。2位にチャンジャ・ジャン(韓国、トレンガヌ)、3位にダニエーレ・コッリ(イタリア、ジェオックス・TMC)が続いた。盛一大(愛三工業レーシングチーム)は6位でフィニッシュ。
ファンヒュメルは昨年、ほぼ同じコースで開催されたツアー・オブ・ハイナン第8ステージで、ゴールスプリントを制しながらも、チームカーの後ろに付いたとするペナルティにより、優勝取り消しとなる処分を受けている。「走りながら去年のことを思い出していたんだ。今でも納得がいかないけど、今日の勝利はその意味でも特別なものだね」とコメントした。
総合順位に大きな変動はなく、ジャスタン・ジュル(フランス、ラポム・マルセイユ)がイエロージャージをキープ。逆転のチャンスは翌第8ステージに凝縮される形となった。コンチネンタルチームに負けられないプロチームを始めとした強豪チームの攻撃を楽しみにしたい。
フレッシュな選手に期待を寄せる愛三工業レーシングチーム
新しい形でスプリントに挑みたいと話している愛三工業レーシングチーム。盛一大が6位、綾部勇成が10位でステージを終えた。表彰台には届かなかったが、UCIポイントを獲得できた。
盛は「残り500から300メートルの位置取りがうまくいかず、昨日と同じでスプリントを掛けるタイミングが遅くなってしまいました。脚を使いきらずゴールした状態で悔しいですね。しかし、トレインをうまく組むことができ、スプリントへのもっていき方は良かった。若い選手の動きや連係は日に日に良くなっています」と振り返り、トレインの先頭を必死で牽引した木守望と握手を交わした。
2回目の国際レースとなる、プロ1年目の木守望選手は「最初のステージで遅れてしまったので、今は上位選手の負担を少なくするために、何ができるか?ということを考えて、できるだけ前の方で走っています。毎回、与えられる役割があるので、それをこなす責任感も感じています。最近、少しずつ、チームをしての走り方やゴールスプリントが見えてきた気がしています。もっと勝負に絡む仕事をこなせる選手になりたいと思います」と話す。
同じくプロ1年目の伊藤雅和は「学生の頃よりも自転車のことや自分のコンディションについて考える時間が増えました。もっと自分の長所を伸ばして、チームに貢献できるようになりたいです」と話す。今回、福田真平がリタイアしたことで、2人の1年生ライダーへは多くの仕事ともに、大きな期待が寄せられている。明日からのステージでも彼らの動きがキーとなるだろう。
別府匠監督のコメント
「逃げに乗れたら良かったと当然思いますが、選手たちが精一杯やったうえでの結果です。しかし、スプリントで6位に入れたことは良かったと思います。ほかの選手がボーナスタイムを稼いでいくので、盛選手の総合順位が日に日に落ちてしまっていますが、明日からもできるかぎりのことをして、ボーナスタイムを獲得したいですね。精一杯やるだけです!」
ツアー・オブ・ハイナン2011 第7ステージ結果
1位 ケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ) 4h36'52"
2位 チャンジャ・ジャン(韓国、トレンガヌ)
3位 ダニエーレ・コッリ(イタリア、ジェオックス・TMC)
4位 ジャスタン・ジュル(フランス、ラポム・マルセイユ)
5位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)
6位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)
7位 アヌアル・マナン(マレーシア、トレンガヌ)
8位 カミル・ゼリンスキー(ポーランド、CCC・ポルサット)
9位 ハレ・サリフ(マレーシア、トレンガヌ)
10位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)
77位 中島康晴(愛三工業レーシングチーム)
81位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)
100位 木守望(愛三工業レーシングチーム)+1'24"
個人総合成績
1位 ジャスタン・ジュル(フランス、ラポム・マルセイユ)27h33'39"
2位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)+6"
3位 アレクサンドル・シュミット(ドイツ、エディ・メルクス)+7"
4位 ウラディミール・エフィムキン(ロシア、タイプ1)+9"
5位 ワン・メイリン(中国、中国ナショナル)+10"
6位 マチィアス・ベルトリング(ドイツ、エディ・メルクス)
7位 レイノルド・ランスブルグ(南アフリカ、MTNキュベカ)+11"
8位 アダム・フェラン(オーストラリア、ドラパック)+12"
9位 アレクサンドル・ディアチェンコ(カザフスタン、アスタナ)+13"
10位 ジュリアン・アントマルシュ(フランス、ラポム・マルセイユ)
13位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)+15"
33位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)+29"
41位 中島康晴(愛三工業レーシングチーム)+2'19"
48位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)+3'53"
69位 木守望(愛三工業レーシングチーム)+7'04 "
山岳賞
マウリツィオ・ゴラト(イタリア、ジェオックス・TMC)
ポイント賞
ケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ)
アジアンリーダー
ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)
チーム総合成績
ジェオックス・TMC
photo&text:Sonoko.Tanaka
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