連日のチームコロンビア逃げ切りショー。元U23世界チャンピオンのカンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、チームコロンビア)がベルガモの街にたった一人で飛び込んできた。

キラキラ輝く水面、美しいコモ湖畔を進む

地元の楽団がスタート地点で演奏地元の楽団がスタート地点で演奏 photo:Kei Tsuji昨日宿泊した激安ホテルはネット環境が皆無で、ここぞとばかりに早めに就寝。降り続いていた冷たい雨は朝までに上がり、暖かな太陽が濡れた路面を照らしつけた。

この日のスタート地点はモルベーニョ。2007年のジャパンカップ3位のフランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ)の出身地であり、当然街中は地元が生んだプロツアーライダーを大々的に盛り上げる。

モルベーニョ出身のフランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ)を大々的に応援モルベーニョ出身のフランチェスコ・ガヴァッツィ(イタリア、ランプレ)を大々的に応援 photo:Kei Tsujiモルベーニョがジロを迎えるのは1991年ぶりで、当時はトリノスタートのステージをフランコ・バッレリーニ(イタリア)が制している。そう、現イタリアナショナルチーム監督を務めるバッレリーニだ。

スタート前に出発し、コモ湖畔に撮影ポイントを見つけるとエリック・ツァベル(ドイツ)がご機嫌な表情で走ってきた。呼び止めることが出来ずに見送ったが、連日のチームコロンビアの活躍を見て思わず走りたくなったのだろう。真っ黒なジャージは見るからに暑そうだったが。

晴れ渡るコモ湖畔を駆け抜ける晴れ渡るコモ湖畔を駆け抜ける photo:Kei Tsuji選手たちを待つ間、相変わらずラジオツール(レース競技無線)は慌ただしい戦況を伝えていた。この日のゴール地点ベルガモ出身マルコ・ピノッティ(イタリア)のアタックに胸が沸くが、しばらくして吸収のご報告。アタックの止まない集団は、高速でコモ湖畔を駆け抜けた。

選手たちが山岳へと進む中、こちらはコースを離れて先回り。ゴール地点のベルガモ付近に着いた時、ラジオツールがペドロ・オリッリョ(スペイン、ラボバンク)クラッシュの一報を伝えた。

他のカメラマンに聞いたところ、コムーネ・ディ・サンピエトロの山岳ポイント通過後、下りのコーナーでオリッリョは崖下に滑落。ヘリコプターで吊り上げられて救出されたという。幸い命に別状はないものの重体。すぐさま近隣の病院へと搬送され、集中治療を受けている。


ベルガモ旧市街に向かって悪路を駆け上がる

ベルガモ旧市街に至る上りは路面が悪すぎる!ベルガモ旧市街に至る上りは路面が悪すぎる! photo:Kei Tsuji2007年のジロ・デ・イタリアでもレース終盤に登場したベルガモ旧市街。当時はステファノ・ガルゼッリ(イタリア)がジルベルト・シモーニ(イタリア)を下して優勝を飾った。今年も当時と同じコースレイアウト。ラスト5kmのアーチを抜けると、頭上に佇む旧市街に向かって急坂が伸びていた。

玉石が敷き詰められたガタガタ道を進み、門をくぐって旧市街に入ると、まだまだ目の前に上りが続く。頂上からゴールまで距離がないため、この激坂がピュアスプリンターの進入を拒むのは明らかだった。

最大勾配14%の上りで蛇行する一般サイクリストにヒヤヒヤしながらドコドコと“エンストせずに”上りきると、滑らかな路面の下りでゴールまでまっしぐら。これまで6回ジロのゴールを迎えているベルガモは観客で溢れる。溢れすぎてゴールに着くまでかなりの時間を食ってしまった。

マッスルジャージの活躍が止まらない

逃げ切りを達成したカンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、チームコロンビア)逃げ切りを達成したカンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、チームコロンビア) photo:Kei Tsujiゴールラインに着くと、スクリーンにダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ)やリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、アスタナ)を含む逃げ集団が映し出されていた。「今日はクネゴだ!」と自信満々に語るおじさんの期待をよそに、大集団が逃げを飲み込む。続いて飛び出したのがシウトソウだ。

「追え!追うんだ!」と興奮するおじさんの熱望をよそに、シウトソウは集団を引き離した。タイム差が20秒、30秒、38秒まで広がっても「どうせ最後の上りで息絶えるさ」。しかし元U23世界チャンピオンのシウトソウは粘った。結果的にメイン集団を21秒引き離してゴールラインにやってきた。

マリアローザに袖を通すダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス)を見つめるポディウムガールマリアローザに袖を通すダニーロ・ディルーカ(イタリア、LPRブレークス)を見つめるポディウムガール photo:Kei Tsuji2004年にU23世界チャンピオンに輝いたシウトソウは、昨年ツール・ド・ジョージアでアメリカ勢を蹴散らして総合優勝。ツール・ド・フランスで昨年総合17位に入るほどの総合力の持ち主だ。チームコロンビアはステージ3勝目&2連勝で、翌日のミラノではカヴェンディッシュの初勝利を狙う。

この日はオリッリョの大クラッシュを重く見て、華やかな音楽やシャンパンファイトは無し。レース後のRAI番組にはベルガモ郊外出身のパオロ・サヴォルデッリ(イタリア)が出演したが、地元で重傷者が出た影響か、かつてのダウンヒルスペシャリストの表情は硬かった。

休息日前に行なわれる翌第9ステージはミラノショー。1909年5月13日に記念すべきジロ第1ステージが行なわれた大都市ミラノを大々的に交通規制し、主催者は15.4kmの周回コースを作り出した。大集団のスプリント勝負に盛り上がること間違いなしのビッグショーになるだろう。

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