2011/09/25(日) - 03:30
U23に続いてジュニアレースもフランス勢が制す。ロード世界選手権ジュニア男子ロードレース。終盤にフランス/ベルギー/オランダによる強力な逃げが決まり、スプリントでピエールアンリ・ルキュイジニエ(フランス)が勝利した。日本勢は西村大輝(昭和第一学園高校)の54位が最高位だった。
デンマーク・コペンハーゲンで開催されているロード世界選手権の6日目、1993年・1994年生まれの若手を対象としたジュニア男子のロードレースが行なわれた。コースは各カテゴリー共通の14km。ジュニア男子は9周する126km。
レース序盤から目立ったのは、U23でワンツー勝利を飾って勢いに乗るフランスチーム。1周目から積極的にアタックを仕掛け、13名の逃げグループに4名もの選手を送り込むことに成功。やがてその中から飛び出したアレクシー・グジェール(フランス)とダーン・ミンガー(ベルギー)の2人が逃げる展開となった。
イタリアやドイツが率いるメイン集団に対し、1分近いリードを得て逃げるグジェールとミンガー。ゴールまで3周を切ると、徐々にメイン集団のスピードは上がる。日本代表の清水太己(ブリヂストン・エスポワール)は最終コーナーで落車し、メイン集団から脱落した。
「ペースが上がり、集団内の位置取りが激しくなるゴールまで3周を残した最終コーナーで落車してしまった。すぐにシマノのニュートラルサービスを受けて再スタートしたけど、バイクの調子が戻らず、しかも別の落車で道が塞がれていて、集団に復帰できずにそこで終わってしまった」(清水)
結局逃げは7周目で吸収され、そこから更なるアタック合戦が始まる。一時的に30名近い逃げが形成され、最終的に6名の逃げが8周目に先行。フランス、ベルギー、オランダの3国が2名ずつを送り込む絶好の展開に持ち込んだ。
メイン集団はイタリアが総力を挙げて率いたが、最終周回での落車の影響で追いきれず。逃げグループがメイン集団を振り切ったまま最終ストレートに突入した。
後方から大集団が迫る中でのスプリント勝負。ラスト150mからスプリントを開始したルキュイジニエが、マルティン・デグレーブ(ベルギー)とステフェン・ラメルティンク(オランダ)を振り切って優勝。顔を覆い、ガッツポーズでゴールを駆け抜けた。
U23とジュニアを制したフランスチーム。優勝したルキュイジニエは、4日前のタイムトライアルで9位。トラック競技やシクロクロスでも成績を残している18歳。「自分の勝利に捧げてくれたフランスチームに感謝したい。素晴らしい一日だ」。フランスチームは再び世界チャンピオンを表彰台で担ぎ上げた。
日本チームは西村大輝(昭和第一学園高校)の54位が最高位。唯一メイン集団内でゴールした西村は、ゴール後、ヨーロッパレースの“違い”に驚く。「集団内の位置取りやレーススピードが(日本と)全く違う。レース前半からいっぱいいっぱいの状態で、アタックに反応するような状況ではなかった。最終周回はかなりいい位置につけていたのに、落車の影響でストップ。そこで脚がつって、番手を落としてしまった」。
しかし初めての世界選手権で掴んだものも多い。「脚力をつけて、集団の位置取りをしっかりして、当たりにもビビらずに対応すれば、もっと上の成績を狙えるとも思った」。全日本ジュニアチャンピオンは来年の世界選手権を見る。
タイムトライアルとロードに出場した内野直也(湘南ベルマーレ)は29秒遅れの97位。「全く力が及びませんでした、悔しい」と表情を曇らす。同世代の日本人選手の中では抜群のTT能力を誇る内野だが、世界との差を痛感した様子。「もう少し何かできると思っていた。実際は勝負どうのこうのの問題ではなくて、それ以前に全然力が足りませんでした。今回の世界選手権は確実に良い経験になりましたが、やはり悔しいです」。
落車で遅れ、先頭から13分遅れて一人ゴールした清水も厳しい表情を見せる。「ジュニア最後の年なので気合いを入れて挑んだだけに、落車で遅れる結果になってしまって残念です。消化不良というか、これでは話にならない。来年からはU23なので、ギアの制限もなくなるし、今まで以上に実力の差が現れる。真剣に自転車に向かっている選手たちの集まりなので、そこでどこまで通用するのか、楽しみ半分、不安半分です」。
ロード世界選手権コペンハーゲン大会は残すところ1日。最終日はエリート男子ロードレース。世界一を決めるレースに、日本から新城幸也(ユーロップカー)、別府史之(レディオシャック)、宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ)の3名が出場する。
ロード世界選手権2011ジュニア男子ロードレース
1位 ピエールアンリ・ルキュイジニエ(フランス) 2h48'58"
2位 マルティン・デグレーブ(ベルギー)
3位 ステフェン・ラメルティンク(オランダ)
4位 フロリアン・セネシャル(フランス) +03"
5位 リック・ツァベル(ドイツ)
6位 ロマン・イブレフ(ロシア)
7位 ダニエル・ホエルガールド(ノルウェー)
8位 ニコラス・マリーニ(イタリア)
9位 スタン・ゴドリエ(オランダ)
10位 フレデリック・プレスナー(デンマーク)
54位 西村大輝(昭和第一学園高校)
97位 内野直也(湘南ベルマーレ) +29"
141位 清水太己(ブリヂストン・エスポワール) +13'01"
text&photo:Kei Tsuji in Copenhagen, Denmark
デンマーク・コペンハーゲンで開催されているロード世界選手権の6日目、1993年・1994年生まれの若手を対象としたジュニア男子のロードレースが行なわれた。コースは各カテゴリー共通の14km。ジュニア男子は9周する126km。
レース序盤から目立ったのは、U23でワンツー勝利を飾って勢いに乗るフランスチーム。1周目から積極的にアタックを仕掛け、13名の逃げグループに4名もの選手を送り込むことに成功。やがてその中から飛び出したアレクシー・グジェール(フランス)とダーン・ミンガー(ベルギー)の2人が逃げる展開となった。
イタリアやドイツが率いるメイン集団に対し、1分近いリードを得て逃げるグジェールとミンガー。ゴールまで3周を切ると、徐々にメイン集団のスピードは上がる。日本代表の清水太己(ブリヂストン・エスポワール)は最終コーナーで落車し、メイン集団から脱落した。
「ペースが上がり、集団内の位置取りが激しくなるゴールまで3周を残した最終コーナーで落車してしまった。すぐにシマノのニュートラルサービスを受けて再スタートしたけど、バイクの調子が戻らず、しかも別の落車で道が塞がれていて、集団に復帰できずにそこで終わってしまった」(清水)
結局逃げは7周目で吸収され、そこから更なるアタック合戦が始まる。一時的に30名近い逃げが形成され、最終的に6名の逃げが8周目に先行。フランス、ベルギー、オランダの3国が2名ずつを送り込む絶好の展開に持ち込んだ。
メイン集団はイタリアが総力を挙げて率いたが、最終周回での落車の影響で追いきれず。逃げグループがメイン集団を振り切ったまま最終ストレートに突入した。
後方から大集団が迫る中でのスプリント勝負。ラスト150mからスプリントを開始したルキュイジニエが、マルティン・デグレーブ(ベルギー)とステフェン・ラメルティンク(オランダ)を振り切って優勝。顔を覆い、ガッツポーズでゴールを駆け抜けた。
U23とジュニアを制したフランスチーム。優勝したルキュイジニエは、4日前のタイムトライアルで9位。トラック競技やシクロクロスでも成績を残している18歳。「自分の勝利に捧げてくれたフランスチームに感謝したい。素晴らしい一日だ」。フランスチームは再び世界チャンピオンを表彰台で担ぎ上げた。
日本チームは西村大輝(昭和第一学園高校)の54位が最高位。唯一メイン集団内でゴールした西村は、ゴール後、ヨーロッパレースの“違い”に驚く。「集団内の位置取りやレーススピードが(日本と)全く違う。レース前半からいっぱいいっぱいの状態で、アタックに反応するような状況ではなかった。最終周回はかなりいい位置につけていたのに、落車の影響でストップ。そこで脚がつって、番手を落としてしまった」。
しかし初めての世界選手権で掴んだものも多い。「脚力をつけて、集団の位置取りをしっかりして、当たりにもビビらずに対応すれば、もっと上の成績を狙えるとも思った」。全日本ジュニアチャンピオンは来年の世界選手権を見る。
タイムトライアルとロードに出場した内野直也(湘南ベルマーレ)は29秒遅れの97位。「全く力が及びませんでした、悔しい」と表情を曇らす。同世代の日本人選手の中では抜群のTT能力を誇る内野だが、世界との差を痛感した様子。「もう少し何かできると思っていた。実際は勝負どうのこうのの問題ではなくて、それ以前に全然力が足りませんでした。今回の世界選手権は確実に良い経験になりましたが、やはり悔しいです」。
落車で遅れ、先頭から13分遅れて一人ゴールした清水も厳しい表情を見せる。「ジュニア最後の年なので気合いを入れて挑んだだけに、落車で遅れる結果になってしまって残念です。消化不良というか、これでは話にならない。来年からはU23なので、ギアの制限もなくなるし、今まで以上に実力の差が現れる。真剣に自転車に向かっている選手たちの集まりなので、そこでどこまで通用するのか、楽しみ半分、不安半分です」。
ロード世界選手権コペンハーゲン大会は残すところ1日。最終日はエリート男子ロードレース。世界一を決めるレースに、日本から新城幸也(ユーロップカー)、別府史之(レディオシャック)、宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ)の3名が出場する。
ロード世界選手権2011ジュニア男子ロードレース
1位 ピエールアンリ・ルキュイジニエ(フランス) 2h48'58"
2位 マルティン・デグレーブ(ベルギー)
3位 ステフェン・ラメルティンク(オランダ)
4位 フロリアン・セネシャル(フランス) +03"
5位 リック・ツァベル(ドイツ)
6位 ロマン・イブレフ(ロシア)
7位 ダニエル・ホエルガールド(ノルウェー)
8位 ニコラス・マリーニ(イタリア)
9位 スタン・ゴドリエ(オランダ)
10位 フレデリック・プレスナー(デンマーク)
54位 西村大輝(昭和第一学園高校)
97位 内野直也(湘南ベルマーレ) +29"
141位 清水太己(ブリヂストン・エスポワール) +13'01"
text&photo:Kei Tsuji in Copenhagen, Denmark
フォトギャラリー
Amazon.co.jp