9月18日、フランス北部イズベルグでグランプリ・ディズベルグ(UCI 1.2)が開催され、このレースを世界選手権の調整として走る別府史之(日本、レディオシャック)が6位に入った。優勝は終盤に逃げに乗ったヨナス・ヨルゲンセン(デンマーク、サクソバンク)が飾っている。

GPワロニーでは果敢にアタックを見せたフミ。集団の前方に姿が見えるGPワロニーでは果敢にアタックを見せたフミ。集団の前方に姿が見える photo:Cor Vos世界選手権を1週間後に控え、多くの選手が最終的なコンディションの調整に走ったグランプリ・ディズベルグ。全日本チャンピオンで、世界選手権の出場が決まっているフミこと別府史之(日本、レディオシャック)も、この1週間でGPワロニーとフランドル選手権を走り、最終調整に北フランスへ乗り込んだ。同じく世界選手権代表に内定している新城幸也(日本、ユーロップカー)もホームでのレースで最後の調整に臨む。

優勝はヨナス・ヨルゲンセン(デンマーク、サクソバンク)写真は2010年ジャパンカップ・クリテリウム時のもの優勝はヨナス・ヨルゲンセン(デンマーク、サクソバンク)写真は2010年ジャパンカップ・クリテリウム時のもの photo:Kei Tsuji204kmで行われたレースは、途中雨もぱらつくコンディション。落車が発生する中、サクソバンク、レオパード・トレック、HTC・ハイロードが人数を揃える20名強の先頭集団が形成されたが、これは他のスプリンターチームの牽引により逃げ切りはかなわず。

レースを決定づける逃げはゴールまで40km以上を残した地点で決まり、起伏を越えてマシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード)、ヨナス・ヨルゲンセン(デンマーク、サクソバンク)、スチュアート・オグレディ(オーストラリア、レオパード・トレック)、セドリック・ピノー(フランス、FDJ)の4名が先頭に躍り出る。

この中で強さを見せたオグレディとヨルゲンセンが2人で飛び出し、残り20kmを迎える。残り15kmで集団に対し1分50秒差と快調に逃げていた2名だが、オグレディがパンクでストップ。ヨルゲンセンがオグレディを待ち、数十秒を失ったものの、再び2名でゴールを目指す。

しかしスプリンターで勝利を狙いたいチームはこの逃げる2人を捕らえることができない。残り10kmで1分35秒差を許すと、そのまま追い込みきれずに残り1kmで19秒差。勝負は2人のスプリント一騎打ちに持ち込まれる。

かつてスプリンターとして鳴らした07年パリ〜ルーベ覇者のオグレディに有利かと思われたスプリントは、先のブエルタでも積極的に逃げていた25歳のヨルゲンセンに軍配。ヨルゲンセンは昨年のジャパンカップに出場し、 大会前日のクリテリウムでフミとともに逃げに乗った選手だ。出場が決まっている母国開催の世界選手権前にキャリア最大の勝利を掴んだ。

2人を逃がしてしまった集団は8秒遅れでゴールへ。3位争いのスプリントはドイツチャンピオンのロバート・ワーグナーが獲り、レオパード・トレックは2位3位を確保。そして集団前方の好位置からスプリントを開始したフミは6位に食い込み、世界選手権へ向けて高いコンディションを見せつけた。

フミは9月14日のグランプリ・ワロニーでアタックを見せ、16日のフランドル選手権では逃げに乗るなど、コンディションを上げる走りを見せていた。「トップ10を狙った」というイズベルグでは終盤まで力を溜めてスプリントで6位に入った。

「計画通りこの3レースを終えることが出来た。GPワロニではアタックを仕掛けたりテスト走、コールスカンプでは距離と逃げで身体を追い込んで、今日のGPイズベルグではTOP10に入るために終盤に備えて走って6位。世界選前に良いコンディションで嬉しいです。ヤル気とコンディション◎」とツイートしている。平坦基調で似たレース展開が予想されるコペンハーゲンの世界選手権でも活躍が期待される。

ユキヤは55名の集団内にきっちり生き残り、34位でゴールしている。昨年世界選手権9位の爆発力を、好調のフミ、そして 今シーズン初優勝を飾り好調の宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)と共に再び見せてほしい。ロード世界選手権まではもう1週間を切っている。

グランプリ・ディズベルグ2011
1位 ヨナス・ヨルゲンセン(デンマーク、サクソバンク)           5h01'05"
2位 スチュアート・オグレディ(オーストラリア、レオパード・トレック)
3位 ロバート・ワーグナー(ドイツ、レオパード・トレック)           +08"
4位 ボルト・ボジッチ(スロヴェニア、ヴァカンソレイユ)
5位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、BMCレーシング)
6位 別府史之(日本、レディオシャック)
7位 ロメン・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ)
8位 アントニー・ラヴァール(フランス、アージェードゥーゼル)
9位 ミカエル・ドラージュ(フランス、FDJ)
10位 アレクサンドル・ポルセフ(ロシア、カチューシャ)
34位 新城幸也(日本、ユーロップカー)


text:Yufta Omata