2011/09/16(金) - 01:21
ツアー・オブ・チャイナ、第5ステージ。集団スプリントのすえ、ポイント賞ジャージを着るボリス・シュピレフスキ(ロシア、タブリーズ・ペトロケミカル)がステージ2勝目を獲得。西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)が僅差の2位でフィニッシュした。
シュピレフスキが圧倒的なスプリント力で2勝目をマーク
遂寧から広安まで143.8kmで開催されたツアー・オブ・チャイナ、第5ステージ。狭く曲がりくねった起伏のある道でのレースだった。この日も逃げて、リーダージャージ獲得を狙うべく、序盤からアタックが連続するステージだった。
40kmを過ぎて、5人の逃げができる。ロシェ・ディオン(オーストラリア、チャンピオンシステム)、ピルミン・ラング(スイス、アトラスパーソナル・ジャクロー)、アレクサンドル・セロフ(ロシア、ロシアナショナル)、コワ・ホーチン(香港、香港ナショナル)、ダーレン・ロルフ(オーストラリア、Vオーストラリア)の比較的脚の揃ったメンバーだ。
2級山岳が64km、99kmに設定されていたが、どちらもロシェ・ディオン(オーストラリア、チャンピオンシステム)がトップ通過。この日だけで山岳ポイントを14ポイント荒稼ぎし、一躍山岳賞トップに踊り立った。
後続を引き離した先頭グループだったが、スプリントに持ち込みたいチームの追走で、ゴール前10km地点で吸収される。レースは一度振り出しに戻ったが、そこからまたアタックが続き、愛三工業レーシングチームは綾部勇成が追走し、逃げを潰した。そして集団でのスプリントとなり、左側のラインからポイント賞ジャージを着るボリス・シュピレフスキ(ロシア、タブリーズ・ペトロケミカル)が伸び、昨日に引き続きステージ2勝目を挙げた。
スプリント2位に悔しさが残る西谷泰治
綾部を逃げを吸収する仕事で失ってしまった愛三工業のトレイン。盛一大が1人で西谷泰治を牽引する形でスプリントに向かった。結果はボリスに次ぐステージ2位でフィニッシュ。表彰台圏内だが、勝利と2位には大きな違いがある。そのことをよく知っているチームには悔しさが滲んだ。
西谷は「残り300mを切り、加速するタイミングが、横にいたボリスと完全に重なってしまった。いい形ではないので、一度ボリスの後ろに付いたら、彼が一瞬脚を止め、その際に減速してしまったのが反省点。そこから踏んでも間に合わなかった。彼の後ろに付くべきではなかったと思う」とレースを振り返る。
しかし、第5ステージにして表彰台に上ることができた愛三工業レーシングチーム。スタート前に「充分な練習ができていないのでスロースタートになる」と語ってくれていたチーム。チームの雰囲気も良く、いい流れがやってきているように感じる。別府匠監督も「悔しさを味わう分だけ、強くなります」と語る。残るステージ数は4つ。チームの活躍を期待したい。
翌第6ステージは重慶壁山城市内でのクリテリウム。12.6kmの周回コースを8週回する100.8kmで開催される。
負担の大きい長距離移動が連続する
そして第5ステージ、第6ステージはレース後にまとまった距離の移動区間が設けられている。第5ステージ後には180km、第6ステージ後には350km陸路で移動する。ステージレースの疲労が溜まる選手だけでなく、スムースにいかない移動方法に翻弄されるスタッフへの負担も大きい。
もっとも第8ステージ後の飛行機移動にしても、自転車を一度輪行し、第9ステージだけのために組み立て直し、その日中にまた輪行するというメカニック泣かせなスケジュールになっている。規模の大きさを誇るレースだが、中のきめ細かさ、いかに選手やスタッフへの負担を減らして、システマチックに動くか……などという点で、改善点が目立ってきている。
台湾のメディアがオフィシャル国際メディアとして入っているが、彼らには「レースの悪いところを報告する」という使命もあるのだとか。一生懸命スタッフが動いているのは事実。ここに集まったすべての関係者で問題点を解決していけたらいいと思う。
ツアー・オブ・チャイナ第5ステージ結果
1位 ボリス・シュピレフスキ(ロシア、タブリーズ・ペトロケミカル) 3h15'55"
2位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)
3位 ロジャース・リコ(ニュージーランド、ジャイアント・ケンダ)
4位 ミッシェルパスカル・ジュール(フランス、ラポム・マルセイユ)
5位 ステファン・ラドフラ(ドイツ、ニュートリション)
6位 コンスタンティン・フェルシュコール(オランダ、TT1)
7位 セバスシャン・フォルケ(ドイツ、ニュートリション)
8位 ダニエルホルム・ホーダー(デンマーク、グラッド&マーストランドLPO)
9位 イワン・コヴァレフ(ロシア、ロシアナショナル)
10位 セバスチャン・コルバール(ドイツ、ニュトリキシオン)
34位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)
59位 鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム)
73位 中島康晴(愛三工業レーシングチーム)
78位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)
110位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)+11"
個人総合成績(イエロージャージ)
1位 ムラディヤン・ハルムラトフ(ウズベキスタン、ジャイアント・ケンダ)17h03'08"
2位 イワン・コヴァレフ(ロシア、ロシアナショナル)+3'25"
3位 ジャン・スンジェ(韓国、韓国ナショナル)+3'26"
4位 アレクサンドル・セロフ(ロシア、ロシアナショナル)+3'28"
5位 パブロ・ルシュガ(スペイン、アンダルシア・カハグラナダ)+3'31"
6位 マテイ・ムジェルリ(スロベニア、プルティニナ)+3'33"
7位 クリスター・レイク(ノルウェー、ジョーカー・メリダ)
8位 ピルミン・ラング(スイス、アトラスパーソナル・ジャクロー)+3'35"
9位 ベルナールド・スルズベガー(オーストラリア、Vオーストラリア)
10位 ウラディミール・エフィムキン(ロシア、タイプ1)
42位 鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム)+3'49"
52位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)+7'54"
62位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)+8'
72位 中島康晴(愛三工業レーシングチーム)
92位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)+8'15"
100位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)+10'39"
ポイント賞(ブルージャージ)
ボリス・シュピレフスキ(ロシア、タブリーズ・ペトロケミカル)
山岳賞(ポルカドットジャージ)
ロシェ・ディオン(オーストラリア、チャンピオンシステム)
チーム総合成績
ジョーカー・メリダ
photo&text:Sonoko.Tanaka
シュピレフスキが圧倒的なスプリント力で2勝目をマーク
遂寧から広安まで143.8kmで開催されたツアー・オブ・チャイナ、第5ステージ。狭く曲がりくねった起伏のある道でのレースだった。この日も逃げて、リーダージャージ獲得を狙うべく、序盤からアタックが連続するステージだった。
40kmを過ぎて、5人の逃げができる。ロシェ・ディオン(オーストラリア、チャンピオンシステム)、ピルミン・ラング(スイス、アトラスパーソナル・ジャクロー)、アレクサンドル・セロフ(ロシア、ロシアナショナル)、コワ・ホーチン(香港、香港ナショナル)、ダーレン・ロルフ(オーストラリア、Vオーストラリア)の比較的脚の揃ったメンバーだ。
2級山岳が64km、99kmに設定されていたが、どちらもロシェ・ディオン(オーストラリア、チャンピオンシステム)がトップ通過。この日だけで山岳ポイントを14ポイント荒稼ぎし、一躍山岳賞トップに踊り立った。
後続を引き離した先頭グループだったが、スプリントに持ち込みたいチームの追走で、ゴール前10km地点で吸収される。レースは一度振り出しに戻ったが、そこからまたアタックが続き、愛三工業レーシングチームは綾部勇成が追走し、逃げを潰した。そして集団でのスプリントとなり、左側のラインからポイント賞ジャージを着るボリス・シュピレフスキ(ロシア、タブリーズ・ペトロケミカル)が伸び、昨日に引き続きステージ2勝目を挙げた。
スプリント2位に悔しさが残る西谷泰治
綾部を逃げを吸収する仕事で失ってしまった愛三工業のトレイン。盛一大が1人で西谷泰治を牽引する形でスプリントに向かった。結果はボリスに次ぐステージ2位でフィニッシュ。表彰台圏内だが、勝利と2位には大きな違いがある。そのことをよく知っているチームには悔しさが滲んだ。
西谷は「残り300mを切り、加速するタイミングが、横にいたボリスと完全に重なってしまった。いい形ではないので、一度ボリスの後ろに付いたら、彼が一瞬脚を止め、その際に減速してしまったのが反省点。そこから踏んでも間に合わなかった。彼の後ろに付くべきではなかったと思う」とレースを振り返る。
しかし、第5ステージにして表彰台に上ることができた愛三工業レーシングチーム。スタート前に「充分な練習ができていないのでスロースタートになる」と語ってくれていたチーム。チームの雰囲気も良く、いい流れがやってきているように感じる。別府匠監督も「悔しさを味わう分だけ、強くなります」と語る。残るステージ数は4つ。チームの活躍を期待したい。
翌第6ステージは重慶壁山城市内でのクリテリウム。12.6kmの周回コースを8週回する100.8kmで開催される。
負担の大きい長距離移動が連続する
そして第5ステージ、第6ステージはレース後にまとまった距離の移動区間が設けられている。第5ステージ後には180km、第6ステージ後には350km陸路で移動する。ステージレースの疲労が溜まる選手だけでなく、スムースにいかない移動方法に翻弄されるスタッフへの負担も大きい。
もっとも第8ステージ後の飛行機移動にしても、自転車を一度輪行し、第9ステージだけのために組み立て直し、その日中にまた輪行するというメカニック泣かせなスケジュールになっている。規模の大きさを誇るレースだが、中のきめ細かさ、いかに選手やスタッフへの負担を減らして、システマチックに動くか……などという点で、改善点が目立ってきている。
台湾のメディアがオフィシャル国際メディアとして入っているが、彼らには「レースの悪いところを報告する」という使命もあるのだとか。一生懸命スタッフが動いているのは事実。ここに集まったすべての関係者で問題点を解決していけたらいいと思う。
ツアー・オブ・チャイナ第5ステージ結果
1位 ボリス・シュピレフスキ(ロシア、タブリーズ・ペトロケミカル) 3h15'55"
2位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)
3位 ロジャース・リコ(ニュージーランド、ジャイアント・ケンダ)
4位 ミッシェルパスカル・ジュール(フランス、ラポム・マルセイユ)
5位 ステファン・ラドフラ(ドイツ、ニュートリション)
6位 コンスタンティン・フェルシュコール(オランダ、TT1)
7位 セバスシャン・フォルケ(ドイツ、ニュートリション)
8位 ダニエルホルム・ホーダー(デンマーク、グラッド&マーストランドLPO)
9位 イワン・コヴァレフ(ロシア、ロシアナショナル)
10位 セバスチャン・コルバール(ドイツ、ニュトリキシオン)
34位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)
59位 鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム)
73位 中島康晴(愛三工業レーシングチーム)
78位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)
110位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)+11"
個人総合成績(イエロージャージ)
1位 ムラディヤン・ハルムラトフ(ウズベキスタン、ジャイアント・ケンダ)17h03'08"
2位 イワン・コヴァレフ(ロシア、ロシアナショナル)+3'25"
3位 ジャン・スンジェ(韓国、韓国ナショナル)+3'26"
4位 アレクサンドル・セロフ(ロシア、ロシアナショナル)+3'28"
5位 パブロ・ルシュガ(スペイン、アンダルシア・カハグラナダ)+3'31"
6位 マテイ・ムジェルリ(スロベニア、プルティニナ)+3'33"
7位 クリスター・レイク(ノルウェー、ジョーカー・メリダ)
8位 ピルミン・ラング(スイス、アトラスパーソナル・ジャクロー)+3'35"
9位 ベルナールド・スルズベガー(オーストラリア、Vオーストラリア)
10位 ウラディミール・エフィムキン(ロシア、タイプ1)
42位 鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム)+3'49"
52位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)+7'54"
62位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)+8'
72位 中島康晴(愛三工業レーシングチーム)
92位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)+8'15"
100位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)+10'39"
ポイント賞(ブルージャージ)
ボリス・シュピレフスキ(ロシア、タブリーズ・ペトロケミカル)
山岳賞(ポルカドットジャージ)
ロシェ・ディオン(オーストラリア、チャンピオンシステム)
チーム総合成績
ジョーカー・メリダ
photo&text:Sonoko.Tanaka
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