2011/09/08(木) - 23:29
今年も会場にはツール・ド・フランスの色が濃く出ていたユーロバイク。会場にはツールで活躍したバイクはもちろんフランク・シュレクも来場し、ファンの期待に応える姿が印象的。それではユーロバイク現地レポートをお届けしよう。
カデル・エヴァンスをツール総合優勝に導いたTTバイク、BMC TM01
今年のツール・ド・フランスで悲願の初優勝を手にしたカデル・エヴァンス。最後の個人TTで逆転したエバンスの勝利に、まさに貢献したのがこのTTバイク。エアロダイナミクスが重要なテーマとなる今、どんどん新しい理論で進化を続けるロードバイクの世界にあって、タイムトライアルという最も空気抵抗が重要な分野では、さらに大きな進化を遂げている。
フロントフォークはヘッド部分も一体となった独自構造。メインフレームの形状に沿うように、上側が広がったT字の形状をもつ。さらにフロントブレーキはフォークと同形状で段差を無くしたオリジナル。MTB用のVブレーキのようにブレーキの支点を下側に持ってきたデザインで、前面からの空気の乱れを防ぐ設計となる。リアブレーキはチェーンステー裏側に隠れ、見た目には判らないような位置にある。
メインフレームでは、subAと呼ばれる新たな形状理論を持ち込み、前作のTT01の翼断面形状よりも空気をスムースに後方へ流すことが可能となっている。オリジナルのハンドルステムは、スペーサーの入れ替えにより角度と突き出し量を調整可能。幅広のシートチューブを利用して、サドルポストを前後に移動することで、幅広いポジションに対応ができるデザインとなっている。
TTバイクという性質上マッチョな見た目のスタイルも、どこかBMCらしい最強の兵器といった雰囲気を醸し出すTTバイクだ。
カンパニョーロのハイブリットホイール、BULLET(バレット)
コンポと並んでホイールが人気のカンパニョーロのトピックスは、新しくラインナップに加わったBULLET(バレット)というエアロホイール・シリーズ。アルミのリム部分とエアロ形状のカーボン部分を組み合わせた、ディープ&クリンチャーのハイブリッドホイールのシリーズだ。
ハイトの違いにより50mmの「バレット」、80mmの「バレット80」、105mmの「バレット105」の3タイプ。さらにそれぞれスタンダードと軽量版のウルトラが用意される。装着できるタイヤはスタンダード版はクリンチャーのみ、ウルトラのシリーズはクリンチャーとチューブレスの両方が使える2WAY FITとなり、さらにウルトラにはセラミックベアリングのCOLTが標準で装備される。
一番軽量なバレット50ウルトラは、前後ペアで重量1,590g、バレット80ウルトラは1,770g、バレット105ウルトラは1,960gという重量となっている。なおバレット50には、ハブのシールドを強化したCX(シクロクロス)版も加わる予定だという。
完成車重量4.95kg!驚異の軽さを実現したキャノンデールSUPERSIX EVO ULTIMATE-D
信じられない数字に思わず目を疑ったのが、このキャノンデール SUPERSIX EVOULTIMATE-D。表示されるその重量は、なんと4.95kg!すでにひと足先にプレス試乗会を済ませ、その完成度の高さをシクロワイアードでもレポートしているSUPERSIX EVOではあるが、このULTIMATE-Dに関しては知っていたとしても再三の驚きを隠せない。
じつはその一番の理由を誤解を恐れずに言えば、普通過ぎる佇まい。一部の軽量だけを追い求めたバイクのように、フロントのチェーンリングが1枚だったり、あるいは実用に耐えられるのか?首を傾げるようなパーツなどは見当たらず、軽量とはいえどもスラムREDでしっかりと組まれたバイクからは、そんな不安げな雰囲気はない。
695グラムというフレーム重量は世界最軽量を誇る。ULTIMATEは塗装がないためさらに軽く、フレーム単体640gほどという超軽量ぶりだが、走りの方も抜かりないのはキャノンデールの伝統をしっかりと受け継いでいるスーパーなロードバイクだ。詳しい内容については、ぜひ こちら を参照してほしい。
SUPERSIX EVOはその先進的な設計が評価され、見事にユーロバイクアワードを受賞した。
左右比対称に加えエアロダイナミクスを追求したハイエンド、ピナレロ ドグマ2
このところ毎年のようにニューモデルにサプライズを用意するピナレロ。2012モデルでは多くのラインナップがモデルチェンジを受け、これで全てのモデルにピナレロが提唱する左右非対称デザインを盛り込んだカタチとなった。その中でも最大のニュースは、トップモデルのドグマがドグマ2としてリニューアルされたこと。
外観上は大きな変化をしていないように見えるものの、じつは全くの新型となっている。その変更の大部分はエアロダイナミクスに費やされ、得意の左右非対称設計についても更なる最適化を行っている。
最先端のエアロダイナミクスを得るために、航空機やF1マシンといった空気力学と密接な関係をもつ製品の設計に用いられる、CFD数値流体力学シミュレーションを駆使し、走行中の空気の流れを徹底的に解析された。左右非対称形状の見直しには、FEM構造解析システムによって全体のバランスを最適化するシミュレーションが繰り返され、左右非対称ドグマの第二世代となってデビューした。
会場にはドグマ2で今年のツール・ド・フランスを走った、グリーンのチームSKYモデルや、ピナレロがジロ・デ・イタリアをサポートすることで実現した、ブラックとピンクのモデルが並べられ会場を彩っていた。毎年着実に進化を見せるブランドだけに、早くも来年の動向が楽しみなイタリアンブランドだ。
ここからは、ユーロバイクならではの華やかなネタをご紹介。今回も独断で選んだ会場ネタをご紹介。
ヘルメットメーカーCASCOの2人。何やら新しいボディペイントの真っ最中。
ウエアブランドCRAFTのブースでは、フランク・シュレックが訪れてサイン会が行なわれた。黙々とサインに応える姿は、真面目そうな人柄を現していた。
前回紹介したコルナゴのTTバイクとうってかわり、コルナゴらしい美しいペイントが施されたC59。イタリア建国150周年を記念したモデル。やっぱりこういうコルナゴもいいもんだ。
コルナゴつながりでもう一点。ツール・ド・フランスで10ステージにも及ぶマイヨジョーヌをキープした、トマ・ヴォクレール(ユーロップカー)の黄色いバイクが彼のツールの写真とともに飾られていた。
広い会場を動き回り、肩が凝った来場者へマッサージのサービス。じつは一番やってもらいたいのは、思い機材を背負ってこのシーンを撮影している私だったりする。毎年見られる光景ですが、未だに受けたことがない。
まるで未来へ向けて走っていきそうなコレ。ヴェロモビルといって、オランダではちょっとは有名らしい。ちなみに駐車場のおじさんはこれで通勤してました。
ポップなカラーにコカコーラのボトルホルダー、もちろん栓抜きだって装備するシュウインのクルーザー。世の中には自転車をこんな風に楽しんでいるヤツやがいるから面白い。
photo&text : Takashi.KAYABA
カデル・エヴァンスをツール総合優勝に導いたTTバイク、BMC TM01
今年のツール・ド・フランスで悲願の初優勝を手にしたカデル・エヴァンス。最後の個人TTで逆転したエバンスの勝利に、まさに貢献したのがこのTTバイク。エアロダイナミクスが重要なテーマとなる今、どんどん新しい理論で進化を続けるロードバイクの世界にあって、タイムトライアルという最も空気抵抗が重要な分野では、さらに大きな進化を遂げている。
フロントフォークはヘッド部分も一体となった独自構造。メインフレームの形状に沿うように、上側が広がったT字の形状をもつ。さらにフロントブレーキはフォークと同形状で段差を無くしたオリジナル。MTB用のVブレーキのようにブレーキの支点を下側に持ってきたデザインで、前面からの空気の乱れを防ぐ設計となる。リアブレーキはチェーンステー裏側に隠れ、見た目には判らないような位置にある。
メインフレームでは、subAと呼ばれる新たな形状理論を持ち込み、前作のTT01の翼断面形状よりも空気をスムースに後方へ流すことが可能となっている。オリジナルのハンドルステムは、スペーサーの入れ替えにより角度と突き出し量を調整可能。幅広のシートチューブを利用して、サドルポストを前後に移動することで、幅広いポジションに対応ができるデザインとなっている。
TTバイクという性質上マッチョな見た目のスタイルも、どこかBMCらしい最強の兵器といった雰囲気を醸し出すTTバイクだ。
カンパニョーロのハイブリットホイール、BULLET(バレット)
コンポと並んでホイールが人気のカンパニョーロのトピックスは、新しくラインナップに加わったBULLET(バレット)というエアロホイール・シリーズ。アルミのリム部分とエアロ形状のカーボン部分を組み合わせた、ディープ&クリンチャーのハイブリッドホイールのシリーズだ。
ハイトの違いにより50mmの「バレット」、80mmの「バレット80」、105mmの「バレット105」の3タイプ。さらにそれぞれスタンダードと軽量版のウルトラが用意される。装着できるタイヤはスタンダード版はクリンチャーのみ、ウルトラのシリーズはクリンチャーとチューブレスの両方が使える2WAY FITとなり、さらにウルトラにはセラミックベアリングのCOLTが標準で装備される。
一番軽量なバレット50ウルトラは、前後ペアで重量1,590g、バレット80ウルトラは1,770g、バレット105ウルトラは1,960gという重量となっている。なおバレット50には、ハブのシールドを強化したCX(シクロクロス)版も加わる予定だという。
完成車重量4.95kg!驚異の軽さを実現したキャノンデールSUPERSIX EVO ULTIMATE-D
信じられない数字に思わず目を疑ったのが、このキャノンデール SUPERSIX EVOULTIMATE-D。表示されるその重量は、なんと4.95kg!すでにひと足先にプレス試乗会を済ませ、その完成度の高さをシクロワイアードでもレポートしているSUPERSIX EVOではあるが、このULTIMATE-Dに関しては知っていたとしても再三の驚きを隠せない。
じつはその一番の理由を誤解を恐れずに言えば、普通過ぎる佇まい。一部の軽量だけを追い求めたバイクのように、フロントのチェーンリングが1枚だったり、あるいは実用に耐えられるのか?首を傾げるようなパーツなどは見当たらず、軽量とはいえどもスラムREDでしっかりと組まれたバイクからは、そんな不安げな雰囲気はない。
695グラムというフレーム重量は世界最軽量を誇る。ULTIMATEは塗装がないためさらに軽く、フレーム単体640gほどという超軽量ぶりだが、走りの方も抜かりないのはキャノンデールの伝統をしっかりと受け継いでいるスーパーなロードバイクだ。詳しい内容については、ぜひ こちら を参照してほしい。
SUPERSIX EVOはその先進的な設計が評価され、見事にユーロバイクアワードを受賞した。
左右比対称に加えエアロダイナミクスを追求したハイエンド、ピナレロ ドグマ2
このところ毎年のようにニューモデルにサプライズを用意するピナレロ。2012モデルでは多くのラインナップがモデルチェンジを受け、これで全てのモデルにピナレロが提唱する左右非対称デザインを盛り込んだカタチとなった。その中でも最大のニュースは、トップモデルのドグマがドグマ2としてリニューアルされたこと。
外観上は大きな変化をしていないように見えるものの、じつは全くの新型となっている。その変更の大部分はエアロダイナミクスに費やされ、得意の左右非対称設計についても更なる最適化を行っている。
最先端のエアロダイナミクスを得るために、航空機やF1マシンといった空気力学と密接な関係をもつ製品の設計に用いられる、CFD数値流体力学シミュレーションを駆使し、走行中の空気の流れを徹底的に解析された。左右非対称形状の見直しには、FEM構造解析システムによって全体のバランスを最適化するシミュレーションが繰り返され、左右非対称ドグマの第二世代となってデビューした。
会場にはドグマ2で今年のツール・ド・フランスを走った、グリーンのチームSKYモデルや、ピナレロがジロ・デ・イタリアをサポートすることで実現した、ブラックとピンクのモデルが並べられ会場を彩っていた。毎年着実に進化を見せるブランドだけに、早くも来年の動向が楽しみなイタリアンブランドだ。
ここからは、ユーロバイクならではの華やかなネタをご紹介。今回も独断で選んだ会場ネタをご紹介。
ヘルメットメーカーCASCOの2人。何やら新しいボディペイントの真っ最中。
ウエアブランドCRAFTのブースでは、フランク・シュレックが訪れてサイン会が行なわれた。黙々とサインに応える姿は、真面目そうな人柄を現していた。
前回紹介したコルナゴのTTバイクとうってかわり、コルナゴらしい美しいペイントが施されたC59。イタリア建国150周年を記念したモデル。やっぱりこういうコルナゴもいいもんだ。
コルナゴつながりでもう一点。ツール・ド・フランスで10ステージにも及ぶマイヨジョーヌをキープした、トマ・ヴォクレール(ユーロップカー)の黄色いバイクが彼のツールの写真とともに飾られていた。
広い会場を動き回り、肩が凝った来場者へマッサージのサービス。じつは一番やってもらいたいのは、思い機材を背負ってこのシーンを撮影している私だったりする。毎年見られる光景ですが、未だに受けたことがない。
まるで未来へ向けて走っていきそうなコレ。ヴェロモビルといって、オランダではちょっとは有名らしい。ちなみに駐車場のおじさんはこれで通勤してました。
ポップなカラーにコカコーラのボトルホルダー、もちろん栓抜きだって装備するシュウインのクルーザー。世の中には自転車をこんな風に楽しんでいるヤツやがいるから面白い。
photo&text : Takashi.KAYABA
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