2011/08/12(金) - 09:06
ベルギーチャンピオンジャージを着るフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)が貫禄の勝利。起伏に富んだアップダウンコースでアタックを成功させ、独走に持ち込んだジルベールがステージ優勝を飾るとともに、総合首位に躍り出た。
ベルギー内陸部、ヘールスからアンダンヌまでの191.2kmで行われたエネコ・ツアー第3ステージ。いわゆるアルデンヌ地方と呼ばれる丘陵地帯が舞台であり、地理的にはフレーシュ・ワロンヌのレイアウトに近い。名物の「ユイの壁」もレース中盤に登場する。
レース序盤の平坦区間で飛び出したのはアレックス・ラスムッセン(デンマーク、HTC・ハイロード)、トム・フィーラース(オランダ、スキル・シマノ)、ジュリアン・フシャール(フランス、コフィディス)、ステファン・ファンダイク(オランダ、ベランダスヴィレムス)の4名。
逃げたラスムッセンはリーダージャージのテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)から総合で僅か9秒遅れであり、すぐさまバーチャルリーダーとなる。先頭4名のリードはレース中盤に5分まで広がった。
メイン集団をコントロールするBMCレーシングチームに協力したのは、チームスカイ、オメガファーマ・ロット、ガーミン・サーヴェロ。4つのカテゴリー山岳を含む60kmの周回コースに入ると、タイム差は見る見るうちに縮まって行く。
やがて先頭からはラスムッセンとフシャールがラスト27kmで脱落し、残ったフィーラースとファンダイクもラスト17kmで吸収される。ステージ2連勝を飾ったスプリンターのアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)もアシストとして集団牽引に加わった。
その後も登りで単発的なアタックがかかるが、決定的な動きにはならない。ゴール14km手前のスプリントポイントは総合2位のエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)が先頭通過し、ボーナスタイム3秒を獲得してフィニーに並ぶ。フィニーは集団に残っていたが、スプリントに絡む脚は残っていなかった。
ラスト8kmから始まるラ・フリーム(登坂距離2400m・平均勾配5.6%)の登りに差し掛かると、ツール・ド・フランスの山岳ステージで優勝を飾ったイェーレ・ファネンデルト(ベルギー、オメガファーマ・ロット)のペースアップが始まる。このファネンデルトの引きによってメイン集団は縦一列に伸び、ここからジルベールがアタック。ベルギーチャンピオンジャージのアタックに反応できる選手はいなかった。
ラスト7kmから独走に持ち込んだジルベールは、ボアッソンやデーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ)を含む17名の追走グループから最大20秒のリードを得てゴールに向かう。ゴールが近づくに連れてリードは縮小したが、逃げ切るには十分なタイム差。後続を8秒振り切り、アンダンヌのゴールに飛び込んだ。
8秒遅れの追走グループはグレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ・ISD)を先頭にゴール。ボアッソンやミラーはこの追走グループ内。リーダージャージのフィニーと全日本チャンピオンジャージの別府史之(レディオシャック)は37秒遅れの集団でゴールした。
今シーズン勝ちまくっているジルベールが、アタックでライバルを引き離す圧倒的な走りで勝利した。「UCIワールドツアーのエネコ・ツアーでのステージ優勝は素晴らしい結果」。ジルベールはこれが今シーズン15勝目。その中にはアルデンヌ・クラシックの3連勝やベルギー選手権、ツール開幕ステージ、クラシカ・サンセバスティアンなどが含まれる。オメガファーマ・ロットとしてはステージ3連勝だ。
ボアッソンから5秒、ミラーから13秒のリードを得てリーダージャージを獲得したジルベール。しかし翌日は14.7kmの個人タイムトライアル。ボアッソンやミラーに有利な展開だ。ジルベールは「総合リーダーの座につけたことはボーナスのようなもの。明日の個人タイムトライアルを終えた時点で、僕がリーダージャージをキープしているとは思わない。ミラーやボアッソンが総合優勝候補であり、彼らから1km毎に2〜3秒失うと思う」と明かす。しかし一方で「タイム差をできる限り抑えられるように、もちろん全力で走る。日曜日はハードなステージだ。そこでタイムを挽回したい」と、最終的な総合優勝へのモチベーションも見せた。
レース内容と選手コメントは公式サイトならびにストリーミングより。
エネコ・ツアー2011第3ステージ結果
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) 4h54'53"
2位 グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ・ISD) +08"
3位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、レディオシャック)
4位 クーン・デコルト(オランダ、スキル・シマノ)
5位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、レオパード・トレック)
6位 ゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップ)
7位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップ)
8位 ラルスイティング・バク(デンマーク、HTC・ハイロード)
9位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
10位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)
41位 別府史之(日本、レディオシャック) +37"
個人総合成績
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) 13h30'34"
2位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) +05"
3位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ) +13"
4位 ドミニク・コルニュ(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン) +23"
5位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、レディオシャック) +25"
6位 グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ・ISD) +32"
7位 ラルスイティング・バク(デンマーク、HTC・ハイロード) +34"
8位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)
9位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップ) +35"
10位 ヨースト・ファンレイエン(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) +36"
36位 別府史之(日本、レディオシャック) +1'10"
ポイント賞
エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
新人賞
エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
チーム総合成績
チームスカイ
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
ベルギー内陸部、ヘールスからアンダンヌまでの191.2kmで行われたエネコ・ツアー第3ステージ。いわゆるアルデンヌ地方と呼ばれる丘陵地帯が舞台であり、地理的にはフレーシュ・ワロンヌのレイアウトに近い。名物の「ユイの壁」もレース中盤に登場する。
レース序盤の平坦区間で飛び出したのはアレックス・ラスムッセン(デンマーク、HTC・ハイロード)、トム・フィーラース(オランダ、スキル・シマノ)、ジュリアン・フシャール(フランス、コフィディス)、ステファン・ファンダイク(オランダ、ベランダスヴィレムス)の4名。
逃げたラスムッセンはリーダージャージのテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)から総合で僅か9秒遅れであり、すぐさまバーチャルリーダーとなる。先頭4名のリードはレース中盤に5分まで広がった。
メイン集団をコントロールするBMCレーシングチームに協力したのは、チームスカイ、オメガファーマ・ロット、ガーミン・サーヴェロ。4つのカテゴリー山岳を含む60kmの周回コースに入ると、タイム差は見る見るうちに縮まって行く。
やがて先頭からはラスムッセンとフシャールがラスト27kmで脱落し、残ったフィーラースとファンダイクもラスト17kmで吸収される。ステージ2連勝を飾ったスプリンターのアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)もアシストとして集団牽引に加わった。
その後も登りで単発的なアタックがかかるが、決定的な動きにはならない。ゴール14km手前のスプリントポイントは総合2位のエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)が先頭通過し、ボーナスタイム3秒を獲得してフィニーに並ぶ。フィニーは集団に残っていたが、スプリントに絡む脚は残っていなかった。
ラスト8kmから始まるラ・フリーム(登坂距離2400m・平均勾配5.6%)の登りに差し掛かると、ツール・ド・フランスの山岳ステージで優勝を飾ったイェーレ・ファネンデルト(ベルギー、オメガファーマ・ロット)のペースアップが始まる。このファネンデルトの引きによってメイン集団は縦一列に伸び、ここからジルベールがアタック。ベルギーチャンピオンジャージのアタックに反応できる選手はいなかった。
ラスト7kmから独走に持ち込んだジルベールは、ボアッソンやデーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ)を含む17名の追走グループから最大20秒のリードを得てゴールに向かう。ゴールが近づくに連れてリードは縮小したが、逃げ切るには十分なタイム差。後続を8秒振り切り、アンダンヌのゴールに飛び込んだ。
8秒遅れの追走グループはグレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ・ISD)を先頭にゴール。ボアッソンやミラーはこの追走グループ内。リーダージャージのフィニーと全日本チャンピオンジャージの別府史之(レディオシャック)は37秒遅れの集団でゴールした。
今シーズン勝ちまくっているジルベールが、アタックでライバルを引き離す圧倒的な走りで勝利した。「UCIワールドツアーのエネコ・ツアーでのステージ優勝は素晴らしい結果」。ジルベールはこれが今シーズン15勝目。その中にはアルデンヌ・クラシックの3連勝やベルギー選手権、ツール開幕ステージ、クラシカ・サンセバスティアンなどが含まれる。オメガファーマ・ロットとしてはステージ3連勝だ。
ボアッソンから5秒、ミラーから13秒のリードを得てリーダージャージを獲得したジルベール。しかし翌日は14.7kmの個人タイムトライアル。ボアッソンやミラーに有利な展開だ。ジルベールは「総合リーダーの座につけたことはボーナスのようなもの。明日の個人タイムトライアルを終えた時点で、僕がリーダージャージをキープしているとは思わない。ミラーやボアッソンが総合優勝候補であり、彼らから1km毎に2〜3秒失うと思う」と明かす。しかし一方で「タイム差をできる限り抑えられるように、もちろん全力で走る。日曜日はハードなステージだ。そこでタイムを挽回したい」と、最終的な総合優勝へのモチベーションも見せた。
レース内容と選手コメントは公式サイトならびにストリーミングより。
エネコ・ツアー2011第3ステージ結果
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) 4h54'53"
2位 グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ・ISD) +08"
3位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、レディオシャック)
4位 クーン・デコルト(オランダ、スキル・シマノ)
5位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、レオパード・トレック)
6位 ゼネク・スティバル(チェコ、クイックステップ)
7位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップ)
8位 ラルスイティング・バク(デンマーク、HTC・ハイロード)
9位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
10位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)
41位 別府史之(日本、レディオシャック) +37"
個人総合成績
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) 13h30'34"
2位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) +05"
3位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ) +13"
4位 ドミニク・コルニュ(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン) +23"
5位 ベン・ヘルマンス(ベルギー、レディオシャック) +25"
6位 グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ・ISD) +32"
7位 ラルスイティング・バク(デンマーク、HTC・ハイロード) +34"
8位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)
9位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップ) +35"
10位 ヨースト・ファンレイエン(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) +36"
36位 別府史之(日本、レディオシャック) +1'10"
ポイント賞
エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
新人賞
エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
チーム総合成績
チームスカイ
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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