横風が吹くナーバスな192kmで行われたエネコ・ツアー第1ステージ。ラスト1km手前で発生したハイスピードな落車を免れたスプリンターによる勝負で、アンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)が勝利した。全日本チャンピオンの別府史之(レディオシャック)はチーム内最高の13位に。

曇り空のオランダ西部を駆け抜ける曇り空のオランダ西部を駆け抜ける photo:Cor Vosオランダ西部、海に近い平野部を舞台に行われた第1ステージ。オーステルハウトからシント・ウィッレブロルトまでの192.1kmには登りが一つも登場しない。しかしオランダ特有の細くて曲がりくねったコースが選手たちを悩ます。海側から吹き付ける風が選手たちの体力を奪った。

この日は春先から果敢な走りを見せているトーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)ら6名の逃げが決まる。デヘントらは最大10分のリードを得てエスケープ。

逃げを試みたトーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)ら逃げを試みたトーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)ら photo:Cor Vosメイン集団はリーダージャージを擁するBMCレーシングチームがコントロールし、集団スプリントに興味を示すガーミン・サーヴェロやチームスカイがこれに合流。ラスト20kmでリーダージャージのテイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)がパンクしたことで一旦ペースは緩んだが、逃げグループとのタイム差は縮小の一途をたどった。

シント・ウィッレブロルトの周回コースに入ると、逃げグループから一人飛び出したジュリアン・フシャール(フランス、コフィディス)が独走に持ち込むも、結局はラスト10kmで終了。細いコースと横風を警戒してメイン集団のペースは上がる。

横風によって集団が割れる横風によって集団が割れる photo:Cor Vos横風区間で地元オランダのラボバンクがペースアップを図るとメイン集団は縦に長く伸び、集団から脱落する選手も出てくる。しかしラボバンクが集団牽引を止めると、メイン集団は途端に不安定な状態に。スキル・シマノ、チームスカイ、レオパード・トレック、クイックステップが率いるメイン集団は、歩道まで目一杯使ったポジション争いを繰り広げながらゴール地点へ。

そしてラスト1kmアーチの手前で落車が発生。集団の前から30番手前後で発生したこの落車によって20名ほどの選手が先頭に生き残り、スピードを保ったままゴールに向かう。全日本チャンピオンジャージの別府史之は先頭グループに残った。

片手を突き上げるアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)片手を突き上げるアンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット) photo:Cor Vosラスト200mで先陣を切ってスプリントを開始したのは、リーダージャージを着るフィニー。しかし向かい風によってフィニーは失速し、タイミングを待ったグライペルやデニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)、タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)がスプリントを繰り広げる。最後はグライペルが先着。太い上腕を突き上げた。別府史之は13位でゴールしている。

今シーズン7勝目を飾ったグライペルは「ラボバンクのペースアップには驚いた。でもジルベールらのサポートによって集団前方をキープした。ラスト100mの時点で12番手につけていたけど、スペースを見つけて飛び込んだんだ」とコメント。翌日もスプリント勝利を狙って行く。「今日は風が強くてまるで秋のようだった。明日も風に苦しめられることになると思う」。

リーダージャージじゃフィニーがキープ。ゴール前の落車の影響で集団はバラけてゴールしたが、ラスト3km以内の救済措置によってタイム差はつかず。7秒差でエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)、8秒差でデーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ)が続く状況に変わりはない。

レース内容は公式サイトならびにストリーミング、選手コメントはベルギーのSporzaより。

エネコ・ツアー2011第1ステージ結果
1位 アンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)      4h21'20" 
2位 デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)
3位 タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)
4位 テオ・ボス(オランダ、ラボバンク)
5位 トム・フィーラース(オランダ、スキル・シマノ)
6位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
7位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)
8位 ミルコ・セルヴァッジ(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)
9位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、クイックステップ)
10位 グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ・ISD)
13位 別府史之(日本、レディオシャック)

個人総合成績
1位 テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)     4h28'17"
2位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)       +07"
3位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ)      +08"
4位 アレックス・ラスムッセン(デンマーク、HTC・ハイロード)     +09"
5位 ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)              +10"
6位 ヨス・ファンエムデン(オランダ、ラボバンク)           +11"
7位 ジェシー・サージェント(ニュージーランド、レディオシャック)   +12"
8位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)    +15"
9位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)         +18"
10位 ロバート・ワグナー(ドイツ、レオパード・トレック)
66位 別府史之(日本、レディオシャック)                +36"

ポイント賞
テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)

新人賞
テイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)

チーム総合成績
ラボバンク

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos

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