2011/07/04(月) - 13:50
BMCよりも、チームスカイよりも、レオパード・トレックよりも、ガーミン・サーヴェロの速さが一枚上だった。見慣れない赤玉のマイヨアポワを着て走ったトル・フースホフト(ノルウェー)が、自身3度目のマイヨジョーヌに袖を通した。
積極的にローテーションで前に出るデーヴィット・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ) photo:Makoto Ayano2011年7月3日、ツール・ド・フランス2日目、晴れ渡るヴァンデ県を舞台に、2年ぶりとなるチームタイムトライアルが開催された。
レゼサールを発着する23kmのコースは概ね平坦。緩い起伏と緩いコーナーで構成されたハイスピードコースだ。下馬評通り、英語圏のチームが上位に名を連ねる結果となった。
ステージ優勝に輝いたガーミン・サーヴェロがジョナサン・ヴォーターズGMを担ぎ上げる photo:Cor Vos前半追い風、後半向かい風というコンディションの中、ガーミン・サーヴェロは第1計測ポイント(9km地点)で59.6km/hという平均スピードをマーク。チームスカイが59.7km/hというスピードで1秒上回るタイムを叩き出したが、後半の伸びでガーミン・サーヴェロが勝った。優勝タイムは24分48秒。平均スピードは55.6km/h。
アメリカを代表するプロチームとして台頭し、グランツールで勝利を量産しているイメージのあるガーミン・サーヴェロ。5月のジロ・デ・イタリアでもデーヴィット・ミラー(イギリス)が最終日にステージ勝利。チームとして、ジロではステージ通算4勝。ブエルタ・ア・エスパーニャではステージ通算5勝。しかしツール・ド・フランスでは結果を残せずにいた。
マイヨジョーヌを獲得したトル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ) photo:Cor Vosそして今回、4回目の出場となるツールで、念願のステージ初優勝を掴んだ。しかもチーム一丸となって走るチームTTでの勝利。表彰台で選手たちに担ぎ上げられたジョナサン・ヴォーターズGMは「準備は全て整っていた。選手も戦略も、準備万端だったんだ。ナーバスになる状況だったけど、犬がコースに入ってくるようなトラブルもなく、仕事を完遂した。この勝利はチームに携わる全ての人間の勝利だ」と喜ぶ。
しかもガーミン・サーヴェロにはマイヨジョーヌが同時にやってきた。初日の第1ステージで6秒遅れのステージ3位に入っていたフースホフトがマイヨジョーヌ獲得。ステージ2位に入る健闘を見せたBMCレーシングチームのカデル・エヴァンス(オーストラリア)を僅か1秒振り切った。
トップタイムを叩き出したガーミン・サーヴェロ photo:Makoto Ayano
マイヨヴェールを着るカデル・エヴァンス(オーストラリア)率いるBMCレーシングチームは4秒遅れの2位 photo:Makoto Ayanoフースホフトのマイヨジョーヌ着用はこれが初めてではない。2004年ツールのプロローグでカンチェラーラから10秒遅れの5位で終えたフースホフトは、第2ステージで2位に入って総合首位に。翌日マイヨジョーヌを失っている。更に2006年のツールでは7.1kmのプロローグで優勝してマイヨジョーヌを獲得。翌日のステージでジョージ・ヒンカピー(アメリカ)に首位を明け渡したが、翌々日マイヨジョーヌに再び袖を通している。
今回のマイヨジョーヌ着用は3回目。今年もボーナスタイムが設定されないため、登りもある程度こなせてしまうフースホフトが1週間ほど総合首位に君臨し続ける可能性は高い。
ブラドレー・ウィギンズ(イギリス)率いるチームスカイは4秒遅れの3位 photo:Makoto Ayanoフースホフト本人も「このジャージを出来るだけ長く着続けたい。第4ステージの登りゴールが鬼門になるけどベストを尽くすよ」と語る。しばらくフースホフトのアルカンシェル姿はお預けになる。「スプリントではファラーをサポートする。自分の(ステージ優勝の)チャンスはまだ先だ。今回のツール最大の目標はマイヨヴェールではない。まずはステージ優勝を狙いたい」。
一方、1秒差でマイヨジョーヌ獲得を逃したエヴァンスは「数秒差でステージ優勝を逃し、数秒差でマイヨ・ジョーヌを逃した」と悔やむ。しかし第1ステージに続いて、総合争いにおけるライバルたちからリードを奪うことに成功している。
ファビアン・カンチェラーラ(スイス)を先頭にゴールするレオパード・トレック photo:Cor Vosチームスカイ(ウィギンズ)やレオパード・トレック(シュレク兄弟)とのタイム差は僅かに1秒だが、サクソバンク・サンガード(コンタドール)とのタイム差は24秒。2日目を終えた時点で、エヴァンスはコンタドールに対して1分41秒のリードを築いている。
ここまで最も順調にマイヨジョーヌに向けてのステップを踏んでいるのはエヴァンスだ。エヴァンスが初のツール制覇に向けてポールポジションを得ている。それに、この早い時期にマイヨジョーヌを手にすると、それだけチーム力を浪費してしまう。エヴァンスは「タイム差を稼ぐことが出来た。素晴らしい結果だ」と、チームの走りを讃えた。
マイヨジョーヌを着て走るフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) photo:Makoto Ayano優勝候補に挙げられていたHTC・ハイロードはステージ5位。平坦ハイスピード走行に長けたベルンハルト・アイゼル(オーストリア)が、スタート後すぐの第1コーナーで落車し、早々に離脱したことがタイムに響いた。
最終走者のオメガファーマ・ロットは39秒遅れの10位に。決して悪いタイムでは無いが、ジルベールのマイヨジョーヌを守るには30秒以上足らなかった。エースのユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー)は39秒遅れの総合32位につけている。
この日、タイムロスを被ったのはリクイガス・キャノンデール(バッソ)やランプレ・ISD(クネゴ)、そして最下位のエウスカルテル(サンチェス)だ。バッソとクネゴはすでに1分近いビハインド。サンチェスに至っては、総合で2分36秒も遅れている。この日のタイムが後々響くことになりそうだ。
選手コメントはレース公式サイトより。
スタートするアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード) photo:Makoto Ayano
前半にアイゼルを失ったHTC・ハイロードは5位に photo:Makoto Ayano
10秒遅れの6位に入ったレディオシャック photo:Makoto Ayano
スタートを待つラボバンク photo:Makoto Ayano
レースの模様は全チーム走行写真やTTバイクの写真を含むフォトギャラリーにて!
ツール・ド・フランス2011第2ステージ結果
1位 ガーミン・サーヴェロ 24'48"
2位 BMCレーシングチーム +04"
3位 チームスカイ +04"
4位 レオパード・トレック +05"
5位 HTC・ハイロード +05"
6位 レディオシャック +10"
7位 ラボバンク +12"
8位 サクソバンク・サンガード +28"
9位 アスタナ +32"
10位 オメガファーマ・ロット +39"
11位 FDJ +46"
12位 ユーロップカー +50"
13位 アージェードゥーゼル +53"
14位 クイックステップ +56"
15位 リクイガス・キャノンデール +57"
16位 ソール・ソジャサン +1'02"
17位 ランプレ・ISD +1'04"
18位 カチューシャ +1'04"
19位 モビスター +1'09"
20位 ヴァカンソレイユ・DCM +1'15"
21位 コフィディス +1'20"
22位 エウスカルテル・エウスカディ +1'22"
個人総合成績 マイヨ・ジョーヌ
1位 トル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ) 5h06'25"
2位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ)
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング) +01"
4位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +04"
5位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、レオパード・トレック)
6位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)
7位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)
8位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
9位 マヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシングチーム)
10位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)
12位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) +04"
14位 トニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード) +05"
20位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック) +10"
22位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック)
25位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +12"
27位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +32"
31位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +39"
47位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +57"
52位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD) +1'04"
75位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード) +1'42"
92位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +2'21"
104位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +2'36"
山岳賞 マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) 1pt
ポイント賞 マイヨ・ヴェール
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) 45pts
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) 35pts
3位 トル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ) 30pts
新人賞 マイヨ・ブラン
1位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 5h06'29"
2位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
3位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTC・ハイロード) +01"
チーム総合成績
1位 ガーミン・サーヴェロ 14h29'39"
2位 BMCレーシングチーム +01"
3位 レオパード・トレック +04"
敢闘賞
設定無し
text:Kei Tsuji
photo:Makoto Ayano, Cor Vos
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レゼサールを発着する23kmのコースは概ね平坦。緩い起伏と緩いコーナーで構成されたハイスピードコースだ。下馬評通り、英語圏のチームが上位に名を連ねる結果となった。
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アメリカを代表するプロチームとして台頭し、グランツールで勝利を量産しているイメージのあるガーミン・サーヴェロ。5月のジロ・デ・イタリアでもデーヴィット・ミラー(イギリス)が最終日にステージ勝利。チームとして、ジロではステージ通算4勝。ブエルタ・ア・エスパーニャではステージ通算5勝。しかしツール・ド・フランスでは結果を残せずにいた。
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しかもガーミン・サーヴェロにはマイヨジョーヌが同時にやってきた。初日の第1ステージで6秒遅れのステージ3位に入っていたフースホフトがマイヨジョーヌ獲得。ステージ2位に入る健闘を見せたBMCレーシングチームのカデル・エヴァンス(オーストラリア)を僅か1秒振り切った。
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今回のマイヨジョーヌ着用は3回目。今年もボーナスタイムが設定されないため、登りもある程度こなせてしまうフースホフトが1週間ほど総合首位に君臨し続ける可能性は高い。
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一方、1秒差でマイヨジョーヌ獲得を逃したエヴァンスは「数秒差でステージ優勝を逃し、数秒差でマイヨ・ジョーヌを逃した」と悔やむ。しかし第1ステージに続いて、総合争いにおけるライバルたちからリードを奪うことに成功している。
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ここまで最も順調にマイヨジョーヌに向けてのステップを踏んでいるのはエヴァンスだ。エヴァンスが初のツール制覇に向けてポールポジションを得ている。それに、この早い時期にマイヨジョーヌを手にすると、それだけチーム力を浪費してしまう。エヴァンスは「タイム差を稼ぐことが出来た。素晴らしい結果だ」と、チームの走りを讃えた。
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最終走者のオメガファーマ・ロットは39秒遅れの10位に。決して悪いタイムでは無いが、ジルベールのマイヨジョーヌを守るには30秒以上足らなかった。エースのユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー)は39秒遅れの総合32位につけている。
この日、タイムロスを被ったのはリクイガス・キャノンデール(バッソ)やランプレ・ISD(クネゴ)、そして最下位のエウスカルテル(サンチェス)だ。バッソとクネゴはすでに1分近いビハインド。サンチェスに至っては、総合で2分36秒も遅れている。この日のタイムが後々響くことになりそうだ。
選手コメントはレース公式サイトより。
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レースの模様は全チーム走行写真やTTバイクの写真を含むフォトギャラリーにて!
ツール・ド・フランス2011第2ステージ結果
1位 ガーミン・サーヴェロ 24'48"
2位 BMCレーシングチーム +04"
3位 チームスカイ +04"
4位 レオパード・トレック +05"
5位 HTC・ハイロード +05"
6位 レディオシャック +10"
7位 ラボバンク +12"
8位 サクソバンク・サンガード +28"
9位 アスタナ +32"
10位 オメガファーマ・ロット +39"
11位 FDJ +46"
12位 ユーロップカー +50"
13位 アージェードゥーゼル +53"
14位 クイックステップ +56"
15位 リクイガス・キャノンデール +57"
16位 ソール・ソジャサン +1'02"
17位 ランプレ・ISD +1'04"
18位 カチューシャ +1'04"
19位 モビスター +1'09"
20位 ヴァカンソレイユ・DCM +1'15"
21位 コフィディス +1'20"
22位 エウスカルテル・エウスカディ +1'22"
個人総合成績 マイヨ・ジョーヌ
1位 トル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ) 5h06'25"
2位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ)
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング) +01"
4位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +04"
5位 リーナス・ゲルデマン(ドイツ、レオパード・トレック)
6位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)
7位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)
8位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
9位 マヌエル・クインツィアート(イタリア、BMCレーシングチーム)
10位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)
12位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) +04"
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20位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック) +10"
22位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック)
25位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +12"
27位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +32"
31位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +39"
47位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) +57"
52位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD) +1'04"
75位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード) +1'42"
92位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) +2'21"
104位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル) +2'36"
山岳賞 マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) 1pt
ポイント賞 マイヨ・ヴェール
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) 45pts
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) 35pts
3位 トル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ) 30pts
新人賞 マイヨ・ブラン
1位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ) 5h06'29"
2位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
3位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTC・ハイロード) +01"
チーム総合成績
1位 ガーミン・サーヴェロ 14h29'39"
2位 BMCレーシングチーム +01"
3位 レオパード・トレック +04"
敢闘賞
設定無し
text:Kei Tsuji
photo:Makoto Ayano, Cor Vos
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