2009/05/10(日) - 19:09
ジロでのスプリント王の証、"マリアチクラミーノ"を争う選手たちを挙げてみよう。ちなみにチクラミーノとはシクラメンのこと。紫のジャージはジロのポイント王の証だ。
ワンデイクラシックのスプリントと違い、グランツールにおけるポイント賞とは、コース途中の中間スプリントポイントでの順位も加算されること、また3週間を最後まで走りきらなければ表彰対象とならないことなど、タフさも求められるのが特徴だ。
まずはジロ2009においてスプリンターが狙えるステージを以下に挙げておこう。
第2ステージ 5月10日(日)イェーゾロ~トリエステ 156km
第3ステージ 5月11日(月)グラード~ヴァルドッビアーデネ 198km
第7ステージ 5月15日(金)インスブルック(オーストリア)~キアヴェンナ 244km
第8ステージ 5月16日(土)モルベーニョ~ベルガモ 209km
第9ステージ 5月17日(日)ミラノショー100 163km
第11ステージ 5月20日(水)トリノ~アレンツァーノ 214km
第13ステージ 5月22日(金)リード・ディ・カマイオーレ~フィレンツェ 176km
第18ステージ 5月28日(木)スルモーナ~ベネヴェント 182km
第20ステージ 5月30日(土)ナポリ~アナーニ 203km
ここに挙げた9ステージはスプリンターおよび登りスプリントが得意なオールラウンダータイプのスプリンターにとって可能性が少しでもあるステージだ。詳細なコース分析は前編と後編を再度チェックしていただくとして、マリアチクラミーノを狙うには上記のステージのゴールスプリントで上位を獲得してポイントを大量獲得することがまず第一に重要。さらに山岳ゴールのステージであっても中間地点に用意された中間スプリントポイントを細かく獲得する動きが必要になってくる。
山岳に偏向したジロの傾向としてオールラウンダータイプの選手に有利な点もあるが、まずここでは平坦ゴールで激しく火花を散らすピュアスプリンターたちを紹介していこう。
"マン島超特急"や"キャノンボール"の異名をとる23歳のスプリンターは、今年ツアー・オブカタールでステージ2勝、ツアー・オブ・カリフォルニアでステージ2勝、ミラノ~サンレモで勝利を挙げるなど、その勢いはとどまる所を知らない。昨2008年ジロでは第4、第13ステージに勝っている。
今まで「登りに難あり」と言われていたが、ミラノ~サンレモではポッジオの丘を先頭集団でクリアし、スプリント勝利。短距離に強いトラック選手上がりのイメージを払拭しつつある。その能力開花はこのジロで勝利の量産を可能にしそうだ。
第2ステージ以降でマリアローザを着てのスプリント勝利は、絵に描いたように美しいシーンに違いない。チームコロンビアの狙いはまずそこにある。
イタリアンスプリンターの代表格と言えばこの人。ジロ・デ・イタリア2004ではスプリント賞を獲得したほか、9勝ステージで勝利し、ジロのステージ最多勝記録も保持している。
2007年はステージ5勝とポイント賞を獲得。しかし後に持病の気管支喘息の治療薬であるサルブタモールの過剰摂取が判明し、ツール出場を不意にするなど、不遇の時期が続いた。2007年のジロの勝利は取り消されている。
ダニーロ・ディルーカ擁するLPRブレークスと2年半の契約を結んだのは2008年9月。心機一転の挑戦だが、今季はすでにシュヘルデプライス・フラーンデレン2009での勝利と、ジロ開幕6日前のジロ・ディ・トスカーナを制して調整は順調だ。チームはディルーカの総合を狙うためゴール前の列車体制が十分でないのが気がかりな点だ。
南アフリカが生んだオールラウンドタイプのハンターは軽い登りも得意とするため、難しいジロのスプリントに向いている点は多い。今季はジロ・デル・トレンティーノ2009第3ステージの上りスプリント勝負でガルゼッリやディルーカを破り、ジロに向けて万全の脚を見せ付けた。
ツール・ド・フランスとブエルタ・ア・エスパーニャではステージ優勝経験のあるハンターだが、ジロではまだ未勝利だ。「今年のジロでは好成績を残せると思う」と、自信を覗かせている。
1月、地元オーストラリアで開催されたツアー・ダウンアンダー2009でステージ3勝と総合優勝を獲得したアラン・デーヴィスは、今季開花したスプリンターのひとり。小柄ながらスピードとスタミナがあり、上りが厳しくても集団に残るタイプのためジロ向きの選手であるといえるだろう。
ミラノ~サンレモも4位で終えており、これからのグランツールに活躍が期待される。ボーネンの不祥事によりチーム内でのスプリンターとしての重要度が増しそうだ。
タイラー・ファラーはティレーノ~アドリアティコ2009第3ステージでカヴェンディッシュを打倒した経験をもつ24歳。カヴェンディッシュ同様にトラック競技で鍛えた経験をもつ。ヘルスネットやコフィディスを経て、2008年からガーミンに所属している。
ジロの傾向として、総合争い上位に食い込む選手に多くポイント賞のチャンスがあるの特徴だ。とくに上りとスプリントの両方が得意で、総合上位が狙えるダニーロ・ディルーカやステファノ・ガルゼッリ、ダミアーノ・クネゴなども候補に挙げられる。また、イヴァン・バッソやリーヴァイ・ライプハイマーなど、複数の山岳ステージで優勝できる総合優勝の有力候補がそのままポイント賞の最有力候補でもある。
ちなみにジロ・デ・イタリア2008のチクラミーノはダニエーレ・ベンナーティが獲得。ポイント通算2位はエマヌエーレ・セッラ、3位はリカルド・リッコでともにCERA要請で現在出場停止中。4位にはマーク・カヴェンディッシュがつけていた。ベンナーティは今年怪我が完治せず欠場することになった。つまりジロ2008のトップ3が不在となっている。
text:MakotoAYANO
photo:Makoto.AYANO,Kei.TSUJI,CorVos,Mark.Gunrter
ワンデイクラシックのスプリントと違い、グランツールにおけるポイント賞とは、コース途中の中間スプリントポイントでの順位も加算されること、また3週間を最後まで走りきらなければ表彰対象とならないことなど、タフさも求められるのが特徴だ。
まずはジロ2009においてスプリンターが狙えるステージを以下に挙げておこう。
第2ステージ 5月10日(日)イェーゾロ~トリエステ 156km
第3ステージ 5月11日(月)グラード~ヴァルドッビアーデネ 198km
第7ステージ 5月15日(金)インスブルック(オーストリア)~キアヴェンナ 244km
第8ステージ 5月16日(土)モルベーニョ~ベルガモ 209km
第9ステージ 5月17日(日)ミラノショー100 163km
第11ステージ 5月20日(水)トリノ~アレンツァーノ 214km
第13ステージ 5月22日(金)リード・ディ・カマイオーレ~フィレンツェ 176km
第18ステージ 5月28日(木)スルモーナ~ベネヴェント 182km
第20ステージ 5月30日(土)ナポリ~アナーニ 203km
ここに挙げた9ステージはスプリンターおよび登りスプリントが得意なオールラウンダータイプのスプリンターにとって可能性が少しでもあるステージだ。詳細なコース分析は前編と後編を再度チェックしていただくとして、マリアチクラミーノを狙うには上記のステージのゴールスプリントで上位を獲得してポイントを大量獲得することがまず第一に重要。さらに山岳ゴールのステージであっても中間地点に用意された中間スプリントポイントを細かく獲得する動きが必要になってくる。
山岳に偏向したジロの傾向としてオールラウンダータイプの選手に有利な点もあるが、まずここでは平坦ゴールで激しく火花を散らすピュアスプリンターたちを紹介していこう。
マーク・カヴェンディッシュ
"マン島超特急"や"キャノンボール"の異名をとる23歳のスプリンターは、今年ツアー・オブカタールでステージ2勝、ツアー・オブ・カリフォルニアでステージ2勝、ミラノ~サンレモで勝利を挙げるなど、その勢いはとどまる所を知らない。昨2008年ジロでは第4、第13ステージに勝っている。
今まで「登りに難あり」と言われていたが、ミラノ~サンレモではポッジオの丘を先頭集団でクリアし、スプリント勝利。短距離に強いトラック選手上がりのイメージを払拭しつつある。その能力開花はこのジロで勝利の量産を可能にしそうだ。
第2ステージ以降でマリアローザを着てのスプリント勝利は、絵に描いたように美しいシーンに違いない。チームコロンビアの狙いはまずそこにある。
アレッサンドロ・ペタッキ
イタリアンスプリンターの代表格と言えばこの人。ジロ・デ・イタリア2004ではスプリント賞を獲得したほか、9勝ステージで勝利し、ジロのステージ最多勝記録も保持している。
2007年はステージ5勝とポイント賞を獲得。しかし後に持病の気管支喘息の治療薬であるサルブタモールの過剰摂取が判明し、ツール出場を不意にするなど、不遇の時期が続いた。2007年のジロの勝利は取り消されている。
ダニーロ・ディルーカ擁するLPRブレークスと2年半の契約を結んだのは2008年9月。心機一転の挑戦だが、今季はすでにシュヘルデプライス・フラーンデレン2009での勝利と、ジロ開幕6日前のジロ・ディ・トスカーナを制して調整は順調だ。チームはディルーカの総合を狙うためゴール前の列車体制が十分でないのが気がかりな点だ。
ロバート・ハンター
南アフリカが生んだオールラウンドタイプのハンターは軽い登りも得意とするため、難しいジロのスプリントに向いている点は多い。今季はジロ・デル・トレンティーノ2009第3ステージの上りスプリント勝負でガルゼッリやディルーカを破り、ジロに向けて万全の脚を見せ付けた。
ツール・ド・フランスとブエルタ・ア・エスパーニャではステージ優勝経験のあるハンターだが、ジロではまだ未勝利だ。「今年のジロでは好成績を残せると思う」と、自信を覗かせている。
アラン・デーヴィス(クイックステップ)
1月、地元オーストラリアで開催されたツアー・ダウンアンダー2009でステージ3勝と総合優勝を獲得したアラン・デーヴィスは、今季開花したスプリンターのひとり。小柄ながらスピードとスタミナがあり、上りが厳しくても集団に残るタイプのためジロ向きの選手であるといえるだろう。
ミラノ~サンレモも4位で終えており、これからのグランツールに活躍が期待される。ボーネンの不祥事によりチーム内でのスプリンターとしての重要度が増しそうだ。
タイラー・ファラー(アメリカ、ガーミン・スリップストリーム)
タイラー・ファラーはティレーノ~アドリアティコ2009第3ステージでカヴェンディッシュを打倒した経験をもつ24歳。カヴェンディッシュ同様にトラック競技で鍛えた経験をもつ。ヘルスネットやコフィディスを経て、2008年からガーミンに所属している。
総合優勝狙いの選手たちも有力候補
ジロの傾向として、総合争い上位に食い込む選手に多くポイント賞のチャンスがあるの特徴だ。とくに上りとスプリントの両方が得意で、総合上位が狙えるダニーロ・ディルーカやステファノ・ガルゼッリ、ダミアーノ・クネゴなども候補に挙げられる。また、イヴァン・バッソやリーヴァイ・ライプハイマーなど、複数の山岳ステージで優勝できる総合優勝の有力候補がそのままポイント賞の最有力候補でもある。
08ジロのポイント賞トップ3は不在
ちなみにジロ・デ・イタリア2008のチクラミーノはダニエーレ・ベンナーティが獲得。ポイント通算2位はエマヌエーレ・セッラ、3位はリカルド・リッコでともにCERA要請で現在出場停止中。4位にはマーク・カヴェンディッシュがつけていた。ベンナーティは今年怪我が完治せず欠場することになった。つまりジロ2008のトップ3が不在となっている。
text:MakotoAYANO
photo:Makoto.AYANO,Kei.TSUJI,CorVos,Mark.Gunrter