2009年5月9日、100周年記念大会となるジロ・デ・イタリアが開幕した。リード・ディ・ヴェネツィアのフラットかつ直線基調の20.5kmのコースで行われた第1ステージ・チームタイムトライアルは、出場22チームのうち最初にスタートしたチームコロンビアが制した。今大会初のマリアローザは、先頭でゴールラインを越えたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス)の手に渡った。

21分50秒のトップタイムを叩き出したチームコロンビア21分50秒のトップタイムを叩き出したチームコロンビア photo:Kei TsujiチームTTの舞台となったのは水上都市ヴェネツィアの南に浮かぶ細長い島、リード・ディ・ヴェネツィア。島の全長は11km。その長さを最大限に活かしたコースはまっ平らだ。単純な折り返し往復の直線コースは、個々の平坦独走力とチームワークがそのまま試される。

まず最初にスタートしたのはチームコロンビア。チームコロンビアは、個人タイムトライアル世界選手権で3連覇を果たしたマイケル・ロジャース(オーストラリア)を始め、ノルウェーTTチャンプのエドヴァルド・ボアッソン、イタリアTTチャンプのマルコ・ピノッティ、そしてマン島出身のスプリンター、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)ら、平坦独走力には定評のある選手が顔を揃えており、今ステージの優勝候補に挙げられていた。
ステージ2位・6秒遅れのガーミン・スリップストリームステージ2位・6秒遅れのガーミン・スリップストリーム photo:Kei Tsujiチームコロンビアは平均速度56.335km/hという驚異のスピードで走り抜け、21分50秒というタイムを叩き出した。

ステージ3位・13秒遅れのアスタナステージ3位・13秒遅れのアスタナ photo:Kei Tsujiチームコロンビアと並んで優勝候補に挙げられていたのが、昨年のジロ・デ・イタリアのチームタイムトライアルで優勝を飾ったガーミン・スリップストリームだ。
下馬評通りチームタイムトライアルを制したチームコロンビア下馬評通りチームタイムトライアルを制したチームコロンビア photo:Kei Tsujiデーヴィッド・ミラー(イギリス)、ブラドレー・ウィギンズ(イギリス)、デーヴィッド・ザブリスキー(アメリカ)らTTスペシャリストが顔を揃えたガーミンだが、デーヴィッド・ミラーはパリ~ニースで落車して骨折し、ようやくレースに復帰したばかりだ。昨年と比べると多少の戦力ダウンは否めず、序盤からスピードを上げ、ラストは5名になるまで追い込むも、チームコロンビアには6秒及ばず、2位の座に甘んじた。

表彰台で計3本のシャンパンを開けたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア)表彰台で計3本のシャンパンを開けたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、チームコロンビア) photo:Kei Tsujiそしてもう1つの注目株は、3年のブランクを経て現役に復帰したランス・アームストロングを擁するアスタナだ。今大会、アスタナはランス・アームストロングとリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ)を中心に、ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア)、ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ)ら強力な布陣でジロ・デ・イタリアに臨んだ。
22チーム中最後にスタートしたアスタナは、時間が経つにつれ強くなる風に苦しめられながらも、チームコロンビアから13秒遅れの3位でフィニッシュした。

個人総合を狙う選手のタイムという意味では、ダニーロ・ディルーカ(イタリア)を擁するLPRブレークスはトップから22秒遅れの4位、デニス・メンショフ(ロシア)を擁するラボバンクは38秒遅れの7位、イヴァン・バッソ(イタリア)を擁するリクイガスは40秒遅れの8位、ダミアーノ・クネゴ(イタリア)を擁するランプレは42秒遅れの9位、カルロス・サストレ(スペイン)を擁するサーヴェロ・テストチームは49秒遅れの11位。このあたりは大崩れせず、比較的無難にまとめたといってもいいだろう。
逆に1分以上の差をつけられてしまったのが、ジルベルト・シモーニ(ディキジョヴァンニ、イタリア)とステファノ・ガルゼッリ(アックアエ・サポーネ、イタリア)だ。ディキジョヴァンニは1分6秒、アックア・エ・サポーネは1分22秒、それぞれトップのチームコロンビアより遅れて入っている。
とはいえレースは第1ステージを終えたのみ。山岳ステージの首尾如何では容易にひっくり返ることもありうる。

一番最初にスタートし、ステージ最速のタイムでゴールしたチームコロンビア。スプリンターのマーク・カヴェンディッシュは、マリアローザを着用し、第2ステージを走ることになる。
イェーゾロ~トリエステまでの156kmで争われる第2ステージは、おおむねフラットなピュアスプリンター向けのステージだ。下り基調のゴールスプリントを制するのはどの選手か、マリアローザを着たカヴェンディッシュが勝利を飾れるのか。
また、トリエステの周回コース中盤にはカテゴリー3級の山岳ポイントが設定されており、2回目の通過時に山岳ポイントが与えられる。山岳賞ジャージ「マリアヴェルデ」を狙う選手のアタックも見られるだろう。

カヴェンディッシュの記者会見でのコメント


「続く数日はボクとチームにピッタリのスプリントだ。今日勝ったおかげでプレッシャー無く臨めるけど、もっと勝つよ。このマリアローザを着ることは問題ない。できるだけ長く守るつもりだ。明日ボクはチーム全体を代表してマリアローザを着るんだ」。

タイムトライアルのスタート前、「我々のレースは明日始まる」というガーミン・スリップストリームのジョナサン・ヴォーターズ監督の言葉に対してカヴェンディッシュは「僕らチームコロンビアは1月からレースで結果を残している。明日始まるというのは明日終わるということだ」と口撃したことがメディアの間で物議をかもしていた。カヴェンディッシュは最後にそのことに一言触れた。

「昨日言った言葉を払拭する機会が欲しかった。それはチームに対して要った言葉じゃなくて、単なる監督のコメントに対して言った言葉に過ぎない。僕はたぶん選手たちに対しては後悔していたんだ。選手たちは皆本当にいいヤツばかりなんだ。多くの人はボクが彼らをあざ笑っていると思ったに違いないから」。


ジロ・デ・イタリア2009第1ステージ結果
1位 チームコロンビア 21'50"
2位 ガーミン・スリップストリーム +6"
3位 アスタナ +13"
4位 LPRブレークス +22"
5位 ISD +27"
6位 カチューシャ+35"
7位 ラボバンク +38"
8位 リクイガス +40"
9位 ランプレ +42"
10位 ミルラム  +49"
11位 サーヴェロ・テストチーム +49"
12位 バルロワールド  +54"
13位 サクソバンク +55"
14位 ケースデパーニュ +58"
15位 Bboxブイグテレコム +1'1"
16位 ディキジョヴァンニ +1'6"
17位 クイックステップ +1'14"
18位 シャコベオ・ガリシア +1'19"
19位 アックア・エ・サポーネ +1'21"
20位 サイレンス・ロット +1'22"
21位 アージェードゥーゼル +1'35"
22位 フジ・セルヴェット +1'37"

個人総合成績
1位 マーク・カヴェンディッシュ(チームコロンビア、イギリス) 21'50"
2位 マルコ・ピノッティ(チームコロンビア、イタリア) +0"
3位 イドヴァルド・ボアッソン(チームコロンビア、ノルウェー) +0"
4位 マイケル・ロジャース(チームコロンビア、オーストラリア) +0"
5位 トーマス・ロヴクヴィスト(チームコロンビア、スウェーデン) +0"
6位 マーク・レンショー(チームコロンビア、オーストラリア) +0"
7位 カンスタンティン・シウトソウ(チームコロンビア、ベラルーシ) +0"
8位 モーリス・ポッソーニ(チームコロンビア、イタリア) +0"
9位 マイケル・バリー(チームコロンビア、カナダ) +0"
10位 デーヴィッド・ザブリスキー(ガーミン・スリップストリーム、アメリカ) +6"

新人賞
マーク・カヴェンディッシュ(チームコロンビア、イギリス)

チーム総合成績
チームコロンビア

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