2011/07/01(金) - 17:19
1975年に導入されたマイヨブランは、将来のマイヨジョーヌ候補が鎬を削るもう一つの総合争い。日本では「新人賞」で通っているが、忠実に訳すならば「若手賞」。対象となるのは、プロ1年目の新人だけではなく、誕生日が1986年1月1日以降の選手、つまり25歳未満の選手だ。
新人賞対象選手が総合優勝に輝いたのは過去に3例ある。1983年にローラン・フィニョン(フランス)、1997年にヤン・ウルリッヒ(ドイツ)、2007年にアルベルト・コンタドール(スペイン)がマイヨジョーヌとマイヨブランを同時に獲得している。
3年連続新人賞を獲得したアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)は、今年から新人賞対象外(1985年6月10日生まれ)。昨年までの成績を見る限り、新人賞争いはロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)とロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)の一騎打ちに持ち込まれる可能性が高い。
マイヨジョーヌ候補にも挙げられる両者は、ともに1986年5月生まれの25歳。昨年はヘーシンクがアンディから8分52秒遅れの新人賞2位(総合6位)、クロイツィゲルが11分15秒遅れの新人賞3位(総合9位)に入った。
ラボバンクの絶対的なエースを務めるヘーシンクは、元来山岳を得意とするクライマー系オールラウンダーだ。しかし近年はタイムトライアル能力を向上させ、グランツールで総合上位に絡む実力を見せている。2009年のブエルタ・ア・エスパーニャでも総合6位という好成績。同じく総合力のあるチームメイトのバウク・モレマ(オランダ)も新人賞対象選手だ。
対するクロイツィゲルは、ヴィノクロフのアシストとしての位置づけだ。2008年にツール・ド・スイス、2009年にツール・ド・ロマンディで総合優勝を飾っており、同い年のヘーシンクよりもステージレースの経験は豊富。ツールでは2年連続総合9位という安定した成績を残す。
今年クロイツィゲルは中野喜文マッサーとともにアスタナに移籍。リーダーとして挑んだジロでは、総合6位に入り、自身初めてグランツールで新人賞を獲得した。
若手オールラウンダーとしては、ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTC・ハイロード)にも注目したい。ヴァンガーデレンは2月のヴォルタ・アン・アルガルヴェで、チームメイトのトニ・マルティン(ドイツ)に次ぐ総合2位。母国アメリカのツアー・オブ・カリフォルニアでは総合5位&新人賞1位という成績を残している。ツールでは再びマルティンとともに総合上位を目指す。
長らく総合上位から遠ざかっているフランス勢は、若いジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン)に期待を込める。2006年から2年連続ロード世界選手権のU23タイムトライアルで銅メダルを獲得しているコッペルは、ここ数年で山岳力を身につけた。3月のブエルタ・ア・ムルシアでコンタドールに次いで総合2位に。直前のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネでは新人賞に輝いている。
中級ステージレースで総合上位入賞を繰り返すレイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)やルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)、そしてパリ〜ニースで果敢に動いてマイヨジョーヌを着たトーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)も新人賞対象選手だ。
ちなみに今大会に出場する最年少の選手は、ソール・ソジャサンのアントニー・ドゥラプラス(フランス)で、1989年9月11日生まれの21歳。
2010年ツールの新人賞ランキング(チーム名は当時の所属チーム)
1位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) 91h59'27"
2位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +8'52"
3位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス・ドイモ) +11'15"
4位 ジュリアン・エルファレ(フランス、コフィディス) +52'43"
5位 シリル・ゴティエ(フランス、Bboxブイグテレコム) +1h24'33"
6位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、サクソバンク) +1h37'53"
7位 ラファエル・バルス(スペイン、フットオン・セルヴェット) +1h41'48"
8位 ピエール・ロラン(フランス、Bboxブイグテレコム) +1h46'03"
9位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +1h59'26"
10位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ) +2h01'19"
歴代のマイヨブラン獲得者
2010年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク) 総合2位
2009年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク) 総合2位
2008年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク) 総合12位
2007年 アルベルト・コンタドール(スペイン) 総合1位
2006年 ダミアーノ・クネゴ(イタリア) 総合12位
2005年 ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ) 総合12位
2004年 ウラディミール・カルペツ(ロシア) 総合13位
2003年 デニス・メンショフ(ロシア) 総合11位
2002年 イヴァン・バッソ(イタリア) 総合11位
2001年 オスカル・セビリャ(スペイン) 総合7位
2000年 フランシスコ・マンセーボ(スペイン) 総合9位
1999年 ブノワ・サルモン(フランス) 総合16位
1998年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ) 総合2位
1997年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ) 総合1位
1996年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ) 総合2位
1995年 マルコ・パンターニ(イタリア) 総合13位
1994年 マルコ・パンターニ(イタリア) 総合3位
1993年 アントニオ・マルティン・ベラスコ(スペイン) 総合12位
1992年 エディ・ボウマンス(オランダ) 総合14位
1991年 アルバロ・メヒア(コロンビア) 総合19位
1990年 ジル・ドリオン(フランス) 総合15位
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
新人賞対象選手が総合優勝に輝いたのは過去に3例ある。1983年にローラン・フィニョン(フランス)、1997年にヤン・ウルリッヒ(ドイツ)、2007年にアルベルト・コンタドール(スペイン)がマイヨジョーヌとマイヨブランを同時に獲得している。
3年連続新人賞を獲得したアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)は、今年から新人賞対象外(1985年6月10日生まれ)。昨年までの成績を見る限り、新人賞争いはロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)とロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)の一騎打ちに持ち込まれる可能性が高い。
マイヨジョーヌ候補にも挙げられる両者は、ともに1986年5月生まれの25歳。昨年はヘーシンクがアンディから8分52秒遅れの新人賞2位(総合6位)、クロイツィゲルが11分15秒遅れの新人賞3位(総合9位)に入った。
ラボバンクの絶対的なエースを務めるヘーシンクは、元来山岳を得意とするクライマー系オールラウンダーだ。しかし近年はタイムトライアル能力を向上させ、グランツールで総合上位に絡む実力を見せている。2009年のブエルタ・ア・エスパーニャでも総合6位という好成績。同じく総合力のあるチームメイトのバウク・モレマ(オランダ)も新人賞対象選手だ。
対するクロイツィゲルは、ヴィノクロフのアシストとしての位置づけだ。2008年にツール・ド・スイス、2009年にツール・ド・ロマンディで総合優勝を飾っており、同い年のヘーシンクよりもステージレースの経験は豊富。ツールでは2年連続総合9位という安定した成績を残す。
今年クロイツィゲルは中野喜文マッサーとともにアスタナに移籍。リーダーとして挑んだジロでは、総合6位に入り、自身初めてグランツールで新人賞を獲得した。
若手オールラウンダーとしては、ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTC・ハイロード)にも注目したい。ヴァンガーデレンは2月のヴォルタ・アン・アルガルヴェで、チームメイトのトニ・マルティン(ドイツ)に次ぐ総合2位。母国アメリカのツアー・オブ・カリフォルニアでは総合5位&新人賞1位という成績を残している。ツールでは再びマルティンとともに総合上位を目指す。
長らく総合上位から遠ざかっているフランス勢は、若いジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン)に期待を込める。2006年から2年連続ロード世界選手権のU23タイムトライアルで銅メダルを獲得しているコッペルは、ここ数年で山岳力を身につけた。3月のブエルタ・ア・ムルシアでコンタドールに次いで総合2位に。直前のクリテリウム・ドゥ・ドーフィネでは新人賞に輝いている。
中級ステージレースで総合上位入賞を繰り返すレイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)やルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)、そしてパリ〜ニースで果敢に動いてマイヨジョーヌを着たトーマス・デヘント(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)も新人賞対象選手だ。
ちなみに今大会に出場する最年少の選手は、ソール・ソジャサンのアントニー・ドゥラプラス(フランス)で、1989年9月11日生まれの21歳。
2010年ツールの新人賞ランキング(チーム名は当時の所属チーム)
1位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク) 91h59'27"
2位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +8'52"
3位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、リクイガス・ドイモ) +11'15"
4位 ジュリアン・エルファレ(フランス、コフィディス) +52'43"
5位 シリル・ゴティエ(フランス、Bboxブイグテレコム) +1h24'33"
6位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、サクソバンク) +1h37'53"
7位 ラファエル・バルス(スペイン、フットオン・セルヴェット) +1h41'48"
8位 ピエール・ロラン(フランス、Bboxブイグテレコム) +1h46'03"
9位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ) +1h59'26"
10位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、ケースデパーニュ) +2h01'19"
歴代のマイヨブラン獲得者
2010年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク) 総合2位
2009年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク) 総合2位
2008年 アンディ・シュレク(ルクセンブルク) 総合12位
2007年 アルベルト・コンタドール(スペイン) 総合1位
2006年 ダミアーノ・クネゴ(イタリア) 総合12位
2005年 ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ) 総合12位
2004年 ウラディミール・カルペツ(ロシア) 総合13位
2003年 デニス・メンショフ(ロシア) 総合11位
2002年 イヴァン・バッソ(イタリア) 総合11位
2001年 オスカル・セビリャ(スペイン) 総合7位
2000年 フランシスコ・マンセーボ(スペイン) 総合9位
1999年 ブノワ・サルモン(フランス) 総合16位
1998年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ) 総合2位
1997年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ) 総合1位
1996年 ヤン・ウルリッヒ(ドイツ) 総合2位
1995年 マルコ・パンターニ(イタリア) 総合13位
1994年 マルコ・パンターニ(イタリア) 総合3位
1993年 アントニオ・マルティン・ベラスコ(スペイン) 総合12位
1992年 エディ・ボウマンス(オランダ) 総合14位
1991年 アルバロ・メヒア(コロンビア) 総合19位
1990年 ジル・ドリオン(フランス) 総合15位
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos