2011/06/14(火) - 11:33
雨に見舞われたスイスの山岳地帯を貫く108kmで行なわれたツール・ド・スイス第3ステージ。序盤に形成された先頭グループがゴールまで逃げ切り、ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)が勝利。終盤の超級山岳でメイン集団を抜け出したダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)が総合首位に立った。
ツール・ド・スイス第3ステージは距離が108kmと短い。しかし標高のある1級山岳グリンゼル峠と超級山岳グロッセシャイデックが登場する。最後は11kmのダウンヒル区間を経て標高1034mのグリンデルヴァルトにゴール。緑豊かな山岳地帯は前半から雨に見舞われた。
レースは1級山岳グリンゼル峠へのアプローチで早速大きく動く。総合逆転を懸け、ビッグネームを含む26名の逃げグループが形成された。
攻撃に出たのはアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)やクリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)、ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)、フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)ら。
1級山岳グリンゼル峠に向けた登坂距離12kmの長い登りで先頭グループは分裂し、ワウテル・ポエルス(オランダ、 ヴァカンソレイユ・DCM)を先頭に、霧と雨に覆われた頂上をクリアする。この時点でメイン集団とのタイム差は3分。
25kmに渡る長いダウンヒル区間で人数を増やした先頭グループからは、ヤン・バケランツ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)がアタックして独走開始。一方のメイン集団は、イエロージャージ擁するモビスターとランプレ・ISDが牽引する。
先頭バケランツは独走のまま超級山岳グロッセシャイデックに突入。逃げグループはヤコブ・フグルサング(デンマーク、レオパード・トレック)のためにアンディが引き続け、登りでバケランツのリードを削っていく。結局バケランツは頂上まで8kmを残して吸収。この時点で逃げグループは9名に絞り込まれていた。
勾配が刻々と変わる道の細い超級山岳グロッセシャイデックを進む逃げグループとメイン集団。しかしアンディが献身的に逃げグループを牽引したため、タイム差は縮まらない。メイン集団はダニーロ・ディルーカ(イタリア、カチューシャ)のアタックを切っ掛けに活性化し、頂上まで距離を残してクネゴが集団から抜け出す。
総合で16秒遅れのクネゴは快調に超級山岳グロッセシャイデックを登り、抜群の登坂力で2分差を埋め、頂上手前で先頭グループをキャッチ。イエロージャージのマウリシオ・ソレール(コロンビア、モビスター)は追走を試みたが、先頭グループには届かない。
先頭グループの選手たちを抜き去ったクネゴは、晴れ間の覗く超級山岳グロッセシャイデックを先頭で通過。イエロージャージのソレールは、フランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)らにマークされながら、43秒遅れでグロッセシャイデック頂上を通過した。
ステージ優勝と総合ジャンプアップを目指して、道の狭いテクニカルなダウンヒルコーナーを攻めるクネゴ。後方からはシクロクロスとMTBの経験が豊かなサガンが挽回し、ゴールの2.5km手前でクネゴを捉える。総合タイム差を考えて前を引き続けるクネゴの後ろから、ラスト200mmで飛び出したサガンが勝利。曇り空のグリンデルヴァルトに片手を突き上げた。
後続のフグルサングとテンダムは21秒遅れでゴール。イエロージャージのソレールは1分04秒遅れでゴールしたため、クネゴが総合首位に浮上した。
「最後の下りで誰が追いついてきたと思う?サガンだ!一緒にゴール勝負したくない選手の筆頭がサガンだった。彼の安定した走りとスプリント力を賞賛したい」。イエロージャージに袖を通したクネゴは笑顔で語る。
しかし狙いはあくまでもステージ優勝だったと言う。「昨日のステージで調子の良さを実感していたので、今日はステージ優勝狙いだった。グロッセシャイデックの後半が自分の脚質に合っていると知っていたのでアタックした。脚も回っていたし、下りでもタイム差を稼ぐことができた。ステージ優勝は逃したけど、このリーダージャージで報われたよ」。
2004年のジロ・デ・イタリアで総合優勝を飾り、一気にブレイクしたクネゴ。オールラウンダーとして注目を集めたが、その後のグランツールでは低迷を続ける。近年はワンデークラシックに特化し、短いステージレースでも成績を残す。ツール・ド・スイスでは2008年に総合4位、2009年総合6位という成績を残している。
「ツール・ド・フランスに向けてコンディションが上がっているので、これからもステージ優勝を狙いたい」。クネゴは同じくスイスで行なわれた4月のツール・ド・ロマンディでステージ優勝を飾っている。相性の良いスイスレースで更なる活躍を誓う。
クネゴをスプリントで敗ったサガンはシーズン5勝目をマーク。昨年頭角を現し、底知れないポテンシャルを秘める21歳は、ロード選手として着実にステップアップしている。「自分のコンディションには自信があった。序盤に逃げグループが形成され始めたとき、本能で集団から飛び出した。力を浪費することなく山岳をクリアできたのは、同じ逃げに乗ったチームメイトのサレルノのおかげだよ」。オールラウンダーが苦しむほどの山岳で逃げグループに残り、そして得意のスプリントで勝利した。総合ではすでに遅れているため、今後のステージでも優勝を狙って動くだろう。
選手コメントは各チーム公式サイトより。
ツール・ド・スイス2011第3ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 3h09'47"
2位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)
3位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レオパード・トレック) +21"
4位 ローレンス・テンダム(オランダ、ラボバンク)
5位 ジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ) +48"
6位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTC・ハイロード) +1'04"
7位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)
8位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)
9位 マウリシオ・ソレール(コロンビア、モビスター)
10位 フランシス・デグレーフ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
個人総合成績
1位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD) 7h43'16"
2位 マウリシオ・ソレール(コロンビア、モビスター) +54"
3位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク) +1'16"
4位 ローレンス・テンダム(オランダ、ラボバンク) +1'19"
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTC・ハイロード) +1'21"
6位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック) +1'25"
7位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レオパード・トレック) +1'32"
8位 ダニーロ・ディルーカ(イタリア、カチューシャ) +1'53"
9位 ステフェン・クルイスウィック(オランダ、ラボバンク) +2'00"
10位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック) +2'10"
ポイント賞
ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTC・ハイロード)
山岳賞
ローレンス・テンダム(オランダ、ラボバンク)
中間スプリント賞
ロイド・モンドリー(フランス、アージェードゥーゼル)
チーム総合成績
ラボバンク
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
ツール・ド・スイス第3ステージは距離が108kmと短い。しかし標高のある1級山岳グリンゼル峠と超級山岳グロッセシャイデックが登場する。最後は11kmのダウンヒル区間を経て標高1034mのグリンデルヴァルトにゴール。緑豊かな山岳地帯は前半から雨に見舞われた。
レースは1級山岳グリンゼル峠へのアプローチで早速大きく動く。総合逆転を懸け、ビッグネームを含む26名の逃げグループが形成された。
攻撃に出たのはアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)やクリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)、ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)、フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)ら。
1級山岳グリンゼル峠に向けた登坂距離12kmの長い登りで先頭グループは分裂し、ワウテル・ポエルス(オランダ、 ヴァカンソレイユ・DCM)を先頭に、霧と雨に覆われた頂上をクリアする。この時点でメイン集団とのタイム差は3分。
25kmに渡る長いダウンヒル区間で人数を増やした先頭グループからは、ヤン・バケランツ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)がアタックして独走開始。一方のメイン集団は、イエロージャージ擁するモビスターとランプレ・ISDが牽引する。
先頭バケランツは独走のまま超級山岳グロッセシャイデックに突入。逃げグループはヤコブ・フグルサング(デンマーク、レオパード・トレック)のためにアンディが引き続け、登りでバケランツのリードを削っていく。結局バケランツは頂上まで8kmを残して吸収。この時点で逃げグループは9名に絞り込まれていた。
勾配が刻々と変わる道の細い超級山岳グロッセシャイデックを進む逃げグループとメイン集団。しかしアンディが献身的に逃げグループを牽引したため、タイム差は縮まらない。メイン集団はダニーロ・ディルーカ(イタリア、カチューシャ)のアタックを切っ掛けに活性化し、頂上まで距離を残してクネゴが集団から抜け出す。
総合で16秒遅れのクネゴは快調に超級山岳グロッセシャイデックを登り、抜群の登坂力で2分差を埋め、頂上手前で先頭グループをキャッチ。イエロージャージのマウリシオ・ソレール(コロンビア、モビスター)は追走を試みたが、先頭グループには届かない。
先頭グループの選手たちを抜き去ったクネゴは、晴れ間の覗く超級山岳グロッセシャイデックを先頭で通過。イエロージャージのソレールは、フランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)らにマークされながら、43秒遅れでグロッセシャイデック頂上を通過した。
ステージ優勝と総合ジャンプアップを目指して、道の狭いテクニカルなダウンヒルコーナーを攻めるクネゴ。後方からはシクロクロスとMTBの経験が豊かなサガンが挽回し、ゴールの2.5km手前でクネゴを捉える。総合タイム差を考えて前を引き続けるクネゴの後ろから、ラスト200mmで飛び出したサガンが勝利。曇り空のグリンデルヴァルトに片手を突き上げた。
後続のフグルサングとテンダムは21秒遅れでゴール。イエロージャージのソレールは1分04秒遅れでゴールしたため、クネゴが総合首位に浮上した。
「最後の下りで誰が追いついてきたと思う?サガンだ!一緒にゴール勝負したくない選手の筆頭がサガンだった。彼の安定した走りとスプリント力を賞賛したい」。イエロージャージに袖を通したクネゴは笑顔で語る。
しかし狙いはあくまでもステージ優勝だったと言う。「昨日のステージで調子の良さを実感していたので、今日はステージ優勝狙いだった。グロッセシャイデックの後半が自分の脚質に合っていると知っていたのでアタックした。脚も回っていたし、下りでもタイム差を稼ぐことができた。ステージ優勝は逃したけど、このリーダージャージで報われたよ」。
2004年のジロ・デ・イタリアで総合優勝を飾り、一気にブレイクしたクネゴ。オールラウンダーとして注目を集めたが、その後のグランツールでは低迷を続ける。近年はワンデークラシックに特化し、短いステージレースでも成績を残す。ツール・ド・スイスでは2008年に総合4位、2009年総合6位という成績を残している。
「ツール・ド・フランスに向けてコンディションが上がっているので、これからもステージ優勝を狙いたい」。クネゴは同じくスイスで行なわれた4月のツール・ド・ロマンディでステージ優勝を飾っている。相性の良いスイスレースで更なる活躍を誓う。
クネゴをスプリントで敗ったサガンはシーズン5勝目をマーク。昨年頭角を現し、底知れないポテンシャルを秘める21歳は、ロード選手として着実にステップアップしている。「自分のコンディションには自信があった。序盤に逃げグループが形成され始めたとき、本能で集団から飛び出した。力を浪費することなく山岳をクリアできたのは、同じ逃げに乗ったチームメイトのサレルノのおかげだよ」。オールラウンダーが苦しむほどの山岳で逃げグループに残り、そして得意のスプリントで勝利した。総合ではすでに遅れているため、今後のステージでも優勝を狙って動くだろう。
選手コメントは各チーム公式サイトより。
ツール・ド・スイス2011第3ステージ結果
1位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール) 3h09'47"
2位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)
3位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レオパード・トレック) +21"
4位 ローレンス・テンダム(オランダ、ラボバンク)
5位 ジャンパオロ・カルーゾ(イタリア、カチューシャ) +48"
6位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTC・ハイロード) +1'04"
7位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)
8位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)
9位 マウリシオ・ソレール(コロンビア、モビスター)
10位 フランシス・デグレーフ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
個人総合成績
1位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD) 7h43'16"
2位 マウリシオ・ソレール(コロンビア、モビスター) +54"
3位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク) +1'16"
4位 ローレンス・テンダム(オランダ、ラボバンク) +1'19"
5位 ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTC・ハイロード) +1'21"
6位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック) +1'25"
7位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レオパード・トレック) +1'32"
8位 ダニーロ・ディルーカ(イタリア、カチューシャ) +1'53"
9位 ステフェン・クルイスウィック(オランダ、ラボバンク) +2'00"
10位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック) +2'10"
ポイント賞
ティージェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、HTC・ハイロード)
山岳賞
ローレンス・テンダム(オランダ、ラボバンク)
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ロイド・モンドリー(フランス、アージェードゥーゼル)
チーム総合成績
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text:Kei Tsuji
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