2011/06/13(月) - 23:39
マイヨヴェールを着るホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)が、1級山岳ラ・トゥッスイールのラスト700m地点で渾身のアタック。強烈な加速で後続を引き離したがロドリゲスが2連勝を飾った。総合は大きく動かず、ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)が初総合優勝に輝いた。
天候に恵まれたドーフィネ最終ステージ photo:Cor Vos第7ステージは117.5kmと短い。しかし破壊力抜群で、超級山岳クロワ・ド・フェール峠と1級山岳ラ・トゥッスイールが登場する。ツールでもお馴染みのクロワ・ド・フェール峠は、平均勾配7%の登りがなんと22kmに渡って続く。そして最後は登坂距離14.8kmのラ・トゥッスイール頂上ゴールだ。
総合争いを決定づけるこの難関ステージで、序盤から積極的に動いたのはティボー・ピノ(フランス、FDJ)。
マイヨジョーヌのブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)ら総合トップスリー photo:Cor Vosピノにはピエール・ロラン(フランス、ユーロップカー)やレオナルド・ドゥケ(コロンビア、コフィディス)らが合流し、先頭では合計11名のグループが形成。この逃げグループは50km地点で最大4分45秒のリードを得た。
超級山岳クロワ・ド・フェール峠の登りが始まると、フランス期待の若手山岳スペシャリストである21歳のピノが独走に持ち込む。
超級山岳クロワ・ド・フェール峠を登るマイヨジョーヌのブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) photo:Cor Vos一方、連日のエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)のコントロールによって縮小したメイン集団からは、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)やクリストフ・ケルヌ(フランス、ユーロップカー)、ロドリゲスがアタック。しかしこの3名はクロワ・ド・フェール峠の頂上手前で集団に引き戻される。
雄大な山岳風景が広がる頂上通過時点でピノのリードは55秒。ガードレールの無い迫力のダウンヒル区間でメイン集団からはトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)がアタックし、ラインが定まらない先頭のピノを置き去りにして独走開始する。ヴォクレールは単独で最後のラ・トゥッスイールの登りに突入した。
超級山岳クロワ・ド・フェール峠の下りでアタックしたトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー) photo:Cor Vos後方では、再び飛び出したヘーシンクがピノに合流し、ラ・トゥッスイールで先頭のヴォクレールをキャッチ。遅れてメイン集団を飛び出したクリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソバンク)も合流して先頭は4名に。
メイン集団のペースを上げたのは、前日にステージ優勝を飾ったロドリゲス。ステージ2連勝狙いのロドリゲスは集団を率いてラスト3.2km地点でヴォクレールらを捉える。総合トップ10の選手にヘーシンク、セレンセン、ピノを加えた13名のメイン集団は、ハイスピードを維持したままラ・トゥッスイールを駆け上がった。
1級山岳ラ・トゥッスイールを登るメイングループ photo:Cor Vos総合逆転を狙うはずのエヴァンスやヴィノクロフのアタックは不発に終わり、マイヨジョーヌのウィギンズは落ち着いた表情で登坂。ラスト1kmを切ると俄にステージ優勝を巡る動きが発生化し、ラスト700mの急勾配区間でロドリゲスが強烈な加速で飛び出す。ロドリゲスのペースは最後まで落ちず、後続を7秒引き離してゴールした。狙い通りのアタックでロドリゲスは難関山岳ステージ2連勝。
「ラ・トゥッスイールの登りはよく知っていて、早めのアタックは無駄足になると心得ていた。登りでは多くの選手がアタックしていたけど、いつもアタックが決まるのはラスト1キロを切ってからなんだ。タイミングを見計らって、急勾配が400mに渡って続く箇所でアタックを決めた」。
ステージ2連勝のホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)がガッツポーズでゴール photo:Cor Vos「ステージ優勝を狙って出場したドーフィネでステージ2勝目!調子や感触の面で、自分のキャリアの中で最も輝かしい1週間だったと思う。ジロ・デ・イタリアに出場することが多かったので、これが初めてのドーフィネ出場。もっと早くにこのドーフィネに出場すべきだったのかもしれない。完璧に自分向きのレースだとようやく気がついたよ」。
苦手とする個人TTでタイムを伸ばせなかったため、ロドリゲスは総合5位止まり。しかしジロで発揮することのできなかったクライマーとして誇りを、ドーフィネで見事に復活させた。ロドリゲスはポイント賞と山岳賞トップに輝いている。
総合表彰台、左から3位アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)、優勝ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)、2位カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) photo:Cor Vosそして総合優勝はウィギンズの手に。個人TTでリードを広げ、山岳でライバルたちから遅れないという走りで、UCIワールドツアークラスのステージレースで初優勝を飾った。
「ツール・ド・フランスのチャンピオン御用達のドーフィネは、歴史のあるレースだ。名立たる選手が並ぶ優勝者リストの中に自分の名前が加わることを誇りに思う。これはロードレーサーとしてのキャリアの中で最大の勝利だ。チームスカイにとってもファンタスティックな勝利だよ」。
ウィギンズが好調なのは間違いない。だが早い時期にコンディションを上げることで、ツール本番で低迷してしまうとの声も上がっている。ウィギンズはそんな声を一蹴する。「コンディションのピークが早過ぎるとは思わない。最後の登りで良い走りができなかったのを見ただろう?まだトレーニングの段階にあって、コンディションは上がり続けている状態だ」。
2009年ツールで総合4位に入り、オールラウンダーとして一気に開花したウィギンズ。ツールでは総合上位を狙っての出場となる。「アンディ・シュレクやアルベルト・コンタドールを退けてツールで総合優勝するなんて途方も無い話。ずっと総合トップ10を狙ってきた。でもこうしてドーフィネで大きな自信を得た今、目標を総合トップ6に切り替えたい。」
ユーロップカーの新城幸也は、エーススプリンターのセバスティアン・シャヴァネル(フランス)らとともに30分以上遅れてゴール。136番目でゴールラインを切ったが、タイムオーバーにより完走は認められなかった。ユキヤはヨーロッパでもう一レース走り、6月26日の全日本選手権ロードレースに向けて帰国する予定だ。
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2011第7ステージ結果
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 3h24'30"
2位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ) +07"
3位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)
4位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
5位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)
6位 クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソバンク・サンガード) +10"
7位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
8位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、HTC・ハイロード)
9位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)
10位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)
HD 新城幸也(日本、ユーロップカー)
個人総合成績
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) 26h40'51"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +1'26"
3位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +1'49"
4位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +2'10"
5位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +2'51"
6位 クリストフ・ケルヌ(フランス、ユーロップカー) +3'05"
7位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル) +3'30"
8位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、HTC・ハイロード) +4'14"
9位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) +4'22"
10位 トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー) +4'31"
ポイント賞
ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
山岳賞
ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
新人賞
ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン)
チーム総合成績
ユーロップカー
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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総合争いを決定づけるこの難関ステージで、序盤から積極的に動いたのはティボー・ピノ(フランス、FDJ)。
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超級山岳クロワ・ド・フェール峠の登りが始まると、フランス期待の若手山岳スペシャリストである21歳のピノが独走に持ち込む。
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雄大な山岳風景が広がる頂上通過時点でピノのリードは55秒。ガードレールの無い迫力のダウンヒル区間でメイン集団からはトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)がアタックし、ラインが定まらない先頭のピノを置き去りにして独走開始する。ヴォクレールは単独で最後のラ・トゥッスイールの登りに突入した。
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メイン集団のペースを上げたのは、前日にステージ優勝を飾ったロドリゲス。ステージ2連勝狙いのロドリゲスは集団を率いてラスト3.2km地点でヴォクレールらを捉える。総合トップ10の選手にヘーシンク、セレンセン、ピノを加えた13名のメイン集団は、ハイスピードを維持したままラ・トゥッスイールを駆け上がった。
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「ラ・トゥッスイールの登りはよく知っていて、早めのアタックは無駄足になると心得ていた。登りでは多くの選手がアタックしていたけど、いつもアタックが決まるのはラスト1キロを切ってからなんだ。タイミングを見計らって、急勾配が400mに渡って続く箇所でアタックを決めた」。
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苦手とする個人TTでタイムを伸ばせなかったため、ロドリゲスは総合5位止まり。しかしジロで発揮することのできなかったクライマーとして誇りを、ドーフィネで見事に復活させた。ロドリゲスはポイント賞と山岳賞トップに輝いている。
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「ツール・ド・フランスのチャンピオン御用達のドーフィネは、歴史のあるレースだ。名立たる選手が並ぶ優勝者リストの中に自分の名前が加わることを誇りに思う。これはロードレーサーとしてのキャリアの中で最大の勝利だ。チームスカイにとってもファンタスティックな勝利だよ」。
ウィギンズが好調なのは間違いない。だが早い時期にコンディションを上げることで、ツール本番で低迷してしまうとの声も上がっている。ウィギンズはそんな声を一蹴する。「コンディションのピークが早過ぎるとは思わない。最後の登りで良い走りができなかったのを見ただろう?まだトレーニングの段階にあって、コンディションは上がり続けている状態だ」。
2009年ツールで総合4位に入り、オールラウンダーとして一気に開花したウィギンズ。ツールでは総合上位を狙っての出場となる。「アンディ・シュレクやアルベルト・コンタドールを退けてツールで総合優勝するなんて途方も無い話。ずっと総合トップ10を狙ってきた。でもこうしてドーフィネで大きな自信を得た今、目標を総合トップ6に切り替えたい。」
ユーロップカーの新城幸也は、エーススプリンターのセバスティアン・シャヴァネル(フランス)らとともに30分以上遅れてゴール。136番目でゴールラインを切ったが、タイムオーバーにより完走は認められなかった。ユキヤはヨーロッパでもう一レース走り、6月26日の全日本選手権ロードレースに向けて帰国する予定だ。
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2011第7ステージ結果
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 3h24'30"
2位 ティボー・ピノ(フランス、FDJ) +07"
3位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)
4位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
5位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)
6位 クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソバンク・サンガード) +10"
7位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)
8位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、HTC・ハイロード)
9位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)
10位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)
HD 新城幸也(日本、ユーロップカー)
個人総合成績
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) 26h40'51"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +1'26"
3位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +1'49"
4位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +2'10"
5位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +2'51"
6位 クリストフ・ケルヌ(フランス、ユーロップカー) +3'05"
7位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル) +3'30"
8位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、HTC・ハイロード) +4'14"
9位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) +4'22"
10位 トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー) +4'31"
ポイント賞
ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
山岳賞
ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
新人賞
ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン)
チーム総合成績
ユーロップカー
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
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