2011/06/12(日) - 13:00
ジロ・デ・イタリアで不本意な結果を残したホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)が、「ドーフィネへの出場を決める切っ掛けとなったステージ」で勝利した。ライバルたちの攻撃にも屈しないブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)がリーダージャージを守っている。
今大会最難関とされる第6ステージは、レ・ジェからル・コレ・ダルヴァールまでの192.5km。合計6つのカテゴリー山岳が設定されており、しかも終盤にかけて1級山岳と超級山岳が連続する。ゴール39km手前の1級山岳グラン・クシュロン峠は登坂距離が16.2kmに及ぶ難関峠。最後の超級山岳ダルヴァール峠は登坂距離11.2km・平均勾配8.4%だ。
前日のクリストフ・ケルヌ(フランス)の優勝に触発されるように、この日はユーロップカーが積極的な動きを見せる。連続する山岳でのアタックに次ぐアタックの結果、78km地点でようやく逃げが決まった。
逃げたのはシリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー)やエゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)、ユーリ・トロフィモフ(ロシア、カチューシャ)ら8名。ゴールまで88kmを残したこの日4つ目のカテゴリー山岳、3級山岳タミエ峠の通過時点でタイム差は3分45秒に。
メイン集団はチームスカイが一手にコントロールを担い、ジワリジワリと逃げグループとのタイム差を詰めていく。タイム差は概ね2分前後を推移した。
グラン・クシュロン峠通過後、ダルヴァール峠の登り口まで10kmを残した切迫したタイミングで、牛がコースに乱入するというハプニングが発生。避けきれずに落車したミケル・ランダ(スペイン、エウスカルテル)はレースを去っている。
メイン集団はアスタナがペースアップを図った状態で最後のダルヴァール峠に突入。それまで逃げていた8名の逃げグループはすぐさま吸収。登坂距離11.2kmという長い登りで、エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)のペースアップが始まった。
ボアッソンが刻むハイペースは、ぐんぐんとメイン集団の人数を絞り込んでいく。新人賞ジャージを着るルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)やヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)は脱落。
「ウィギンズのために働きたい」と常々語っていたボアッソンの集団牽引がラスト6.5km地点で終了すると、続けてロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)がアタックを開始。カウンターアタックでロドリゲスとアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)が飛び出し、ラスト5kmでロドリゲスの独走に。
持ち前の登坂力を発揮し、後続を引き離すロドリゲス。最終的にステージ2位のヘーシンクを31秒、ステージ3位のユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)を39秒引き離してゴールした。
得意の山岳が多く取り入れられた今年のジロで、見せ場を作れなかったロドリゲス。その悔しさを晴らすため、このドーフィネへの出場を決めた。「(ジロの後)このステージのプロフィールを見て、ドーフィネに出場することを決めたんだ。とてもキツいステージだったので疲労困憊だよ。これまでのステージでもチャンスがあったのでアタックしたけど、いつもタイミングが早すぎた。だから今日は最後のタイミングを待ち続けたんだ。ラスト5kmは、独走に持ち込む完璧なタイミングだったと思う」。
ロドリゲスはアムステル・ゴールドレース2位、フレーシュ・ワロンヌ2位と、今シーズンは惜しいところで大きな勝利を逃してきた。この勝利はUCIワールドツアーのブエルタ・アル・パイスバスコ第1ステージに続く2勝目。手元にポイント賞ジャージが回ってきたが、本人はまだ飽き足らずにドーフィネでの活躍を狙いたい考えだ。「とても満足しているけど、まだドーフィネは終わっていない。明日は総合表彰台を狙って闘うよ」。
総合争いにおけるライバルたちとのタイム差を最小限にとどめたウィギンズは、リーダージャージを堅守。エヴァンスを1分26秒、ヴィノクロフを1分52秒引き離した状態で最終ステージに挑むこととなった。また、遅れたコスタに代わって、ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン)が新人賞ジャージを獲得している。
新城幸也(ユーロップカー)は無理に集団に食らいつくことなく29分39秒遅れのグルペットでゴール。この日ステージ4位に入ったチームメイトのケルヌは総合5位にジャンプアップしている。
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2011第6ステージ結果
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 5h12'47"
2位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +31"
3位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +39"
4位 クリストフ・ケルヌ(フランス、ユーロップカー) +41"
5位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +50"
6位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) +54"
7位 クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソバンク・サンガード)+1'00"
8位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル) +1'06"
9位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +1'09"
10位 トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー) +1'59"
148位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +29'39"
個人総合成績
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) 23h16'11"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +1'26"
3位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +1'52"
4位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +2'13"
5位 クリストフ・ケルヌ(フランス、ユーロップカー) +2'52"
6位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +3'01"
7位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル) +3'30"
8位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、HTC・ハイロード) +4'14"
9位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) +4'22"
10位 トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー) +4'27"
130位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +50'10"
ポイント賞
ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
山岳賞
レオナルド・ドゥケ(コロンビア、コフィディス)
新人賞
ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン)
チーム総合成績
アージェードゥーゼル
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
レポート掲載が遅れましたことをお詫び申し上げます。
今大会最難関とされる第6ステージは、レ・ジェからル・コレ・ダルヴァールまでの192.5km。合計6つのカテゴリー山岳が設定されており、しかも終盤にかけて1級山岳と超級山岳が連続する。ゴール39km手前の1級山岳グラン・クシュロン峠は登坂距離が16.2kmに及ぶ難関峠。最後の超級山岳ダルヴァール峠は登坂距離11.2km・平均勾配8.4%だ。
前日のクリストフ・ケルヌ(フランス)の優勝に触発されるように、この日はユーロップカーが積極的な動きを見せる。連続する山岳でのアタックに次ぐアタックの結果、78km地点でようやく逃げが決まった。
逃げたのはシリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー)やエゴイ・マルティネス(スペイン、エウスカルテル)、ユーリ・トロフィモフ(ロシア、カチューシャ)ら8名。ゴールまで88kmを残したこの日4つ目のカテゴリー山岳、3級山岳タミエ峠の通過時点でタイム差は3分45秒に。
メイン集団はチームスカイが一手にコントロールを担い、ジワリジワリと逃げグループとのタイム差を詰めていく。タイム差は概ね2分前後を推移した。
グラン・クシュロン峠通過後、ダルヴァール峠の登り口まで10kmを残した切迫したタイミングで、牛がコースに乱入するというハプニングが発生。避けきれずに落車したミケル・ランダ(スペイン、エウスカルテル)はレースを去っている。
メイン集団はアスタナがペースアップを図った状態で最後のダルヴァール峠に突入。それまで逃げていた8名の逃げグループはすぐさま吸収。登坂距離11.2kmという長い登りで、エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)のペースアップが始まった。
ボアッソンが刻むハイペースは、ぐんぐんとメイン集団の人数を絞り込んでいく。新人賞ジャージを着るルイ・コスタ(ポルトガル、モビスター)やヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)は脱落。
「ウィギンズのために働きたい」と常々語っていたボアッソンの集団牽引がラスト6.5km地点で終了すると、続けてロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)がアタックを開始。カウンターアタックでロドリゲスとアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)が飛び出し、ラスト5kmでロドリゲスの独走に。
持ち前の登坂力を発揮し、後続を引き離すロドリゲス。最終的にステージ2位のヘーシンクを31秒、ステージ3位のユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)を39秒引き離してゴールした。
得意の山岳が多く取り入れられた今年のジロで、見せ場を作れなかったロドリゲス。その悔しさを晴らすため、このドーフィネへの出場を決めた。「(ジロの後)このステージのプロフィールを見て、ドーフィネに出場することを決めたんだ。とてもキツいステージだったので疲労困憊だよ。これまでのステージでもチャンスがあったのでアタックしたけど、いつもタイミングが早すぎた。だから今日は最後のタイミングを待ち続けたんだ。ラスト5kmは、独走に持ち込む完璧なタイミングだったと思う」。
ロドリゲスはアムステル・ゴールドレース2位、フレーシュ・ワロンヌ2位と、今シーズンは惜しいところで大きな勝利を逃してきた。この勝利はUCIワールドツアーのブエルタ・アル・パイスバスコ第1ステージに続く2勝目。手元にポイント賞ジャージが回ってきたが、本人はまだ飽き足らずにドーフィネでの活躍を狙いたい考えだ。「とても満足しているけど、まだドーフィネは終わっていない。明日は総合表彰台を狙って闘うよ」。
総合争いにおけるライバルたちとのタイム差を最小限にとどめたウィギンズは、リーダージャージを堅守。エヴァンスを1分26秒、ヴィノクロフを1分52秒引き離した状態で最終ステージに挑むこととなった。また、遅れたコスタに代わって、ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン)が新人賞ジャージを獲得している。
新城幸也(ユーロップカー)は無理に集団に食らいつくことなく29分39秒遅れのグルペットでゴール。この日ステージ4位に入ったチームメイトのケルヌは総合5位にジャンプアップしている。
選手コメントはレース公式サイトより。
クリテリウム・ドゥ・ドーフィネ2011第6ステージ結果
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) 5h12'47"
2位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク) +31"
3位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +39"
4位 クリストフ・ケルヌ(フランス、ユーロップカー) +41"
5位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +50"
6位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) +54"
7位 クリスアンケル・セレンセン(デンマーク、サクソバンク・サンガード)+1'00"
8位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル) +1'06"
9位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +1'09"
10位 トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー) +1'59"
148位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +29'39"
個人総合成績
1位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ) 23h16'11"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム) +1'26"
3位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) +1'52"
4位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット) +2'13"
5位 クリストフ・ケルヌ(フランス、ユーロップカー) +2'52"
6位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) +3'01"
7位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル) +3'30"
8位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、HTC・ハイロード) +4'14"
9位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック) +4'22"
10位 トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー) +4'27"
130位 新城幸也(日本、ユーロップカー) +50'10"
ポイント賞
ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)
山岳賞
レオナルド・ドゥケ(コロンビア、コフィディス)
新人賞
ジェローム・コッペル(フランス、ソール・ソジャサン)
チーム総合成績
アージェードゥーゼル
text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos
レポート掲載が遅れましたことをお詫び申し上げます。
フォトギャラリー
Amazon.co.jp