開幕迫るジロ・デ・イタリアに向けて、アスタナが出場メンバーを発表した。今シーズン電撃現役復帰を果たし、鎖骨骨折を乗り越えたランス・アームストロング(アメリカ)は「僕はマリアローザ候補ではない。ステージ優勝を狙う」とコメント。アームストロングはリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ)の総合優勝をサポートする。

SRAMツアー・オブ・ザ・ジラで総合ワンツー勝利を飾ったアームストロングとライプハイマー(アメリカ)SRAMツアー・オブ・ザ・ジラで総合ワンツー勝利を飾ったアームストロングとライプハイマー(アメリカ) photo:www.tourofthegila.com3月23日のブエルタ・ア・カスティーリャ・イ・レオン第1ステージで落車し、鎖骨を骨折したアームストロング。一時はジロ・デ・イタリア出場に赤信号が灯ったと思われたが、ガン克服後にツール・ド・フランス7連覇を達成したレジェンドは立ち止まらない。初出場のジロ・デ・イタリアに向けて調整を上げてきた。

鎖骨固定手術後、リハビリを続けていたアームストロングは、5月3日までアメリカ・ニューメキシコ州で開催されていたSRAMツアー・オブ・ザ・ジラでレースに復帰した。同レースはUCI(国際自転車競技連盟)非登録のナショナルレースのため、本来プロツアー登録のアスタナチームは出場できないが、ニュートラルデザインのジャージを着用すれば3選手まで出場が可能となる。

アームストロングはリーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ)とクリストファー・ホーナー(アメリカ)を引き連れ、自身の自転車ショップの名前を冠した「メロージョニーチーム」でレースに出場。個人タイムトライアルで3位(優勝はライプハイマー)の結果を残し、総合優勝のライプハイマーに次ぐ総合2位で完走。ジロ欠場どころか、順調な回復を見せた。

これまで幾度となく困難を乗り越えてきたアームストロングは、ジロ100周年記念大会で最も注目を集めている選手だと断言できる。普段はイタリア贔屓のガゼッタ紙も連日アメリカ人の動向を大々的に報じており、アームストロングはその中で「チャンスがあればステージ優勝を狙っていくが、僕はマリアローザ候補ではない。総合優勝はバッソとライプハイマーを中心に争われるだろう」と語っている。

注目のアスタナチームは、総合狙いのライプハイマーとアームストロングを軸に強力な布陣を揃えてきた。ライプハイマーは昨年のジロでアルベルト・コンタドール(スペイン)の総合優勝を支えて総合18位フィニッシュ。今シーズンはツアー・オブ・カリフォルニアで3連覇を達成し、ブエルタ・ア・カスティーリャ・イ・レオンで総合優勝。身長171cmの小柄なカラダで山岳を駆け上がり、タイムトライアルでは大柄なスペシャリストを駆逐する。アームストロングが言うように、マリアローザに近い選手の一人だ。

他にもヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア)やヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ)を始めとして、他チームに移籍すればエース級の選手が揃っている。注目度だけでなく、アスタナはチーム力も極めて高い。ジロ・デ・イタリアは5月9日、リード・ディ・ヴェネツィアの20.5kmチームタイムトライアルで開幕する。

第92回ジロ、アスタナチームメンバー
ランス・アームストロング(アメリカ)
ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア)
クリストファー・ホーナー(アメリカ)
リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ)
スティーブ・モラビート(スイス)
ダニエル・ナバーロ(スペイン)
ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ)
ホセルイス・ルビエラ(スペイン)